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首都圏の通勤混雑率ワーストは、都営三田線
狙い目は、JR中央線など快速と各駅停車の並行路線!

2022年10月31日公開(2022年11月15日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

コロナ禍の今、在宅ワークが増えているため、通勤電車の混雑度はかなり緩和されている。だが、いずれ出勤が増えれば、混雑率が高まることが予想されるため、混雑度はマイホームの場所選びにおいて無視できない指標のひとつになるだろう。データをチェックして、混雑率の低い狙い目エリアをおさえておこう。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

首都圏の混雑率は、コロナ前の平均160%から108%にダウン

コロナ禍で通勤混雑率は低下している(出典:PIXTA)
コロナ禍で通勤混雑率は低下している(出典:PIXTA)

 国土交通省では通勤・通学時間帯における鉄道の混雑状況を把握するため、毎年「都市鉄道の混雑率調査」を実施している。東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市別に調査している。

 2020年の新型コロナウイルス感染症拡大以前は、首都圏では混雑率160%台が続いていたが、2020年には107%にダウンし、2021年も108%とほぼ横ばいだった。

 国土交通省によると、混雑率200%というのは「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」範囲で、180%は「折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」程度で、150%は「広げて楽に新聞を読める」、100%は「定員乗車(座席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる)」とされている。

 通勤電車がどの程度混んでいるかは、体力・気力に大きく影響するので、混雑率が低いほどオフィスでの仕事もはかどるのではないだろうか。

図表1 東京圏、大阪圏の混雑率の推移(単位:%)

コロナ下での混雑率は、100%台の前半止まりだが…

 その混雑率が平均108%ということは、比較的ゆったりと通勤・通学できる範囲ということができるが、新型コロナウイルス感染症が落ち着いて出勤が増えてくれば、もとの160%まではいかなくても、120%台、130%台に高まる可能性がある。

 それだけに、できるだけ混雑率の低い場所にマイホームを選びたいもので、路線別の混雑率は十分に頭に入れておきたいところだ。そこで、このほど発表された2021年の東京圏の鉄道の主要区間で、混雑率が高かった上位をみてみよう(国土交通省調べ)。

 最も高かったのは、都営地下鉄三田線で、西巣鴨・巣鴨間が131%で、2位は東京メトロ東西線の木場・門前仲町間の128%、3位が東京メトロ日比谷線の三ノ輪・入谷間の127%だった。

 いずれも、100%台の前半だから、比較的ゆったりと通勤できそうだが、これはあくまでもコロナ下の数値。コロナ禍が落ち着いて通勤が増えてくれば、どうなるのか。

図表2 東京圏の混雑率ワースト5(2021年)

路線名 区間 混雑率
都営地下鉄三田線 西巣鴨→巣鴨 131%
東京メトロ東西線 木場→門前仲町 128%
東京メトロ日比谷線 三ノ輪→入谷 127%
東京メトロ千代田線 町屋→西日暮里 126%
都営地下鉄新宿線 西大島→住吉 121%

東京圏で混雑率トップは、東京メトロ東西線だった!

 では、東京圏のコロナ禍以前の2019年の混雑率の上位はどうだろう。2021年では2位の東京メトロ東西線が2019年にはトップで、混雑率199%だった。先にみたように、混雑率200%だと、「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」状態だ。出勤時にかなり疲れて、乗車時間が長時間にわたると仕事にも影響が出てきそうだから、できることなら、そんな沿線の物件は避けたいところだろう。

 2021年1位の都営地下鉄三田線は2019年には161%の混雑率で、2021年3位の東京メトロ日比谷線158%となっており、混雑率上位に入っていない。高い混雑率であることは間違いないが、数字は変化している。

 それだけに、2021年の混雑率に惑わされるだけではなく、コロナ禍以前の2019年の混雑率もしっかりとチェックして選択することが大切だろう。

図表3 東京圏の混雑率ワースト5(2019年)

路線名 区間 混雑率
東京メトロ東西線 木場→門前仲町 199%
JR横須賀線 武蔵小杉→西大井 195%
JR総武線(緩行) 錦糸町→両国 194%
JR東海道線 川崎→品川 193%
JR中央線(快速) 中野→新宿 184%

意外にも最もすいているのは、JR中央線(緩行)⁉
三鷹、中野など始発駅が狙い目

中央総武緩行線(出典:PIXTA)
中央総武緩行線(出典:PIXTA)

 反対に、東京圏の路線のなかで、最も混雑率が低いのは、JR中央線(緩行)の61%で、他の路線に比べて飛び抜けて低くなっている

 中央線といえば、混雑率が高いイメージがあるが、JR中央線(緩行)だから各駅停車のこと。オレンジの車体ではなく、イエローの車体の方だ。東京駅とはつながっておらず、三鷹から秋葉原、その先は千葉方面に向かう路線を意味する。

 都下から都心の各地に通勤する人は中央線の快速を利用するだろうから、各駅停車の区間は意外にすいているわけだ。

 コロナ禍前の2019年のデータをみても、この路線が最も混雑率が低く、首都圏のなかでは唯一100%を切って、99%だった。これなら、うまくすれば座って、ゆったりと通勤できるので、オフィスでの仕事も効率が上がりそうだ(図表5)。

 各駅停車の始発駅である三鷹駅や中野駅、また中野~新宿間の駅であれば、快速電車ではなく各駅停車を利用して、ゆったりと通勤できる。また、居住地がJR中央線の快速区間のエリアであっても、各駅停車の始発駅である三鷹駅や中野駅から各駅停車に乗り換えれば、ゆったりと通勤できるということだ。体力・気力を温存し、仕事の能率を上げるためには、そんな選択もありだろう。

図表4 東京圏の混雑率下位(2021年)

路線名 区間 混雑率
JR中央線(緩行) 代々木→千駄ヶ谷 61%
JR常磐線(緩行) 亀有→綾瀬 92%
東京メトロ銀座線 赤坂見附→溜池山王 92%
京成押上線 京成曳舟→押上 93%
京急本線 戸部→横浜 95%

図表5 東京圏の混雑率下位(2019年)

路線名 区間 混雑率
JR中央線(緩行) 代々木→千駄ヶ谷 99%
京成本線 大神宮下→京成船橋 127%
都営地下鉄浅草線 本所吾妻橋→浅草 131%
東武東上線 北池袋→池袋 135%
京急本線 戸部→横浜 143%

快速と各駅停車の並行区間なら、混雑率はかなり低くなる

 2021年の混雑率が低い2位は、JR常磐線(緩行)の92%だった。トップのJR中央線(緩行)同様に、快速と各駅停車の並行区間であり、早めに起きて各駅停車を利用すれば、ゆったりと通勤できる路線ということができる。

 同じようなことは、2021年の混雑率下位5位の京急本線についてもあてはまる。快速などの混雑率は高いものの、各駅停車を利用すれば、混雑率はかなり低くなる。そのためには、快速などを利用するのに比べると30分、1時間早く起きないとならないが、それでゆったりと通勤できるのであれば、それもありと考えることができるのではないだろうか。

 混雑率のデータ、現状の数値をそのままとらえるだけではなく、コロナ禍が収束したときにはどうなるのかも考慮しながら、快適な通勤が可能となるマイホームの場所選びの参考にしていただきたい。

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