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東京の会社勤務でも移住支援金の対象に! 地方の新築マンションを買って支援金をもらえばゆとりのある生活が実現?

2023年2月17日公開(2023年2月17日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

東京一極集中の是正に向けて、政府は東京から地方への移住を促進してきたものの、なかなかうまくいかなかった。それが2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響で状況が一変。テレワークが広がり、地方への移住機運が高まった。この機を逃してはいけないと、国も一段と移住促進策に力を入れ、地方自治体でも移住を支援する制度を充実させている。移住するなら今がチャンスかもしれない。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

埼玉や神奈川など、東京以外の関東圏への移住が増えている?

 東京への一極集中に歯止めがかかりつつある。総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告」によると、2019年には東京都への人口の転入超過が8万人を超えていたのが、コロナ禍のせいもあり、2020年には3万人ほどに、2021年には5000人ほどに激減している(図表1)。

図表1 都県別の転入超過人数(単位:人)

 代わって地方への人口転入が進んでいる。そう言えればいいのだが、実際には東京都以外の関東各県への転入が増えている。埼玉県、神奈川県は3万人前後、千葉県は1万人台の増加。そして茨城県、群馬県といった北関東でも転入超過となっている。

 東京都から周辺各県への移住が増えるとともに、地方から首都圏に転入する場合でも、住宅価格や諸物価の高い東京都ではなく、周辺各県に移住するケースが増えているのではないだろうか。

 この流れを全国に広げることはできないのかと、国や地方自治体が移住促進策を積極的に展開している。それらの支援策を利用すれば、より魅力的な地方移住が叶うかもしれない。

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最大で300万円!移住促進のための国の支援制度2つ

 まず国が実施している制度として、「起業支援金」と「移住支援金」がある。起業支援金は、東京圏から地方に移住して、地域の課題に取り組む起業を行った場合、最大で200万円の補助金が出る(図表2)。

 移住支援金は、東京から東京圏以外の地域の中小企業へ就業したり、社会的な起業を行う場合には、最大100万円の補助金が出る。18歳未満の子どもとともに移住する場合、18歳未満の子ども1人につき、最大30万円(2023年度から100万円増額予定)の加算がある一方、単身の場合には最大60万円に減少する。

図表2 国の「地方創生移住支援金」と「起業支援金制度」の概要

図表  国の「地方創生移住支援金」と「企業支援金制度」の概要
移住支援金は18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合、18歳未満の世帯員1人につき最大30万円加算。(資料:内閣府ホームページ

 したがって、地方に移住して地域の課題を解決するための起業を行った場合には、起業支援金200万円と移住支援金100万円で、合計300万円の補助金を受けられる。

 地方への移住には、引越し代金のほか、住まいの確保などにお金がかかるだけに、この補助金は大きな手助けになるに違いない。ただし、実施状況は地域によって異なることがあるので、移住希望先の制度の確認が欠かせない。

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2022年からは東京都の会社に勤務したままでも移住支援金の対象に 

 この移住支援金、原則的には東京圏から地方に移住して、地元企業に就職することが条件だが、2022年度からは東京圏の会社に籍を置いたまま地方に移住するケースも対象になった。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で在宅ワークを採用する企業が増加しているのに対応して、転職しないまま地方に移住して仕事を続けるケースも補助金の対象になったわけだ。

 東京と地方では給与水準が大きく異なるため、転職をためらう人が多い。しかし、これにより転職せずに移住支援金が受けられるようになったわけで、移住を希望する人にとっては大きなインセンティブと言える。

東京の企業に勤めたままの年収で山口県の新築マンションを購入した場合

 東京カンテイでは、各都道府県別に、その地域の平均年収の何倍で、その地域の70㎡換算新築マンションを購入できるかという、年収倍率調査を行っている。

 2021年版によると、東京都の70㎡換算新築マンション価格は8373万円。平均年収は570万円なので、年収倍率は14.69倍だった。

 それに対して、年収倍率が一番低い山口県では70㎡換算価格が2624万円。平均年収453万円なので、年収倍率は5.79倍にとどまる。

 山口県の方が格段に新築マンションを手に入れやすいわけだが、東京都の企業に勤めたまま平均年収570万円で、山口県の2624万円のマンションを買えれば年収倍率は4.60倍まで低下する。山口県に移住して新築マンションを手に入れた上で、移住支援金をもらうことができれば、移住先での生活に一段のゆとりが生まれるはずだ。

 また地方に移住する際には、国の移住支援制度だけではなく、移住先の各種の支援制度にも注目しておきたい。国の制度とは別に支援策を実施していることがあるので、補助金などを合わせて利用でき、メリットが一段と大きくなるはずだ。

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一定期間住めば土地や建物が自分のものになる地方の移住支援制度も

 地方の移住支援制度はさまざまだが、図表3にあるように主なものとしては住宅を取得する人に対する支援、子育てのための支援、就業のための支援などを挙げることができる。

図表3 分野別移住支援の充実した自治体の例

図表3 分野別移住支援の充実した自治体の例
(参考:北海道標津町愛媛県松前町島根県奥井出雲町の各自治体公式ホームページから)

 なかでも、最も金額が大きいのが住宅取得のための支援制度だろう。図表3にあるように、北海道標津(しべつ)町では、町に住んで住宅を新築する場合、工事費の10%、最大300万円の支援が受けられる。

 同様の制度として、北海道浜頓別(はまとんべつ)町では、「ふるさと定住促進宅地」造成、上下水道完備の1区画100坪を、3年間無償で貸し付けてくれる。その期間中に住宅を建てて居住すれば土地が無償で譲渡されて自分のものになる。

 そのほか、自治体が用意した住まいに10年、20年などの一定期間居住すれば、その土地・建物を無償譲渡してくれる制度を実施している自治体もある。子育て支援については移住して出産すれば子育て応援支援金が出る自治体が多いし、子どもの医療費を全額補助する自治体もある。

 さらに、人材の逼迫(ひっぱく)感の強い介護や保育施設に就業すれば補助金が出る自治体などもあるので、転職と移住を同時に実現するのもいいのではないだろうか。

東京圏での移住も支援金の対象になるケースも

 そうはいっても、地方に地縁・血縁などのない人にとってはいきなり東京圏から地方への移住には何かと不安が伴う。だからこそ冒頭に触れたように、東京圏内で東京都から周辺県などに移住する人が増えているのではないだろうか。

 そこで注目しておきたいのが、東京圏内の「条件不利地域」への移住だ。この条件不利地域とは自然的、社会経済的条件が悪いとされる地域のことで、下の図表4のように設定されている。

図表4 東京圏の条件不利地域

 地方への移住支援金や起業支援金は、原則的に東京23区に在住または通勤する人が、東京圏外に移住するケースが対象となるが、東京圏内でもこの「条件不利地域」への移住は支援金の対象になる。最大100万円の支援金を受け取ることができるのだ。

 東京以外でも、埼玉県では飯能市、本庄市などが含まれている。飯能市の「飯能」駅からは、西武池袋線で「池袋」駅まで50分前後、特急を使えば40分(有料)。十分通勤も可能であり、実際に都心に通勤している人が少なくないエリアだ。

 移住と大げさに構えなくても移転先候補の一つと考えてもいいだろう。それでいて、マンションなどの価格は東京都に比べて格段に安いし、移住支援金までもらえるとなれば、メリットが大きいのではないだろうか。

 このようにさまざまな移住支援策が実施されている。もし移住を考えている人がいるなら、上手に活用したいところだ。

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