富山県の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、富山県の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。
富山県の空き家率、長期推移、特徴
富山県の空き家の全体概要をみてみよう。
最新のデータ(2023年度)によると、富山県の空き家数は69,700戸、空き家率は14.71%となっている。富山県の空き家率は全国31位に位置しており、全国の13.84%に比べて高い。
富山県では、射水市や氷見市などには古くからある町家や漁村住宅が空き家化して残されている。富山市中心部においては空き家率が比較的低いが、中山間地域は無人住宅化が進んでいる。農家住宅など大きな家屋がそのまま放置されるケースも多く、解体費用の負担が課題になっている。
富山県の空き家率の長期推移は?
2023年度の富山県の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から1.45ポイント増加。空き家数は9,700戸増加した。人口減少と高齢化の影響が顕著に現れており、今後も増加傾向が続く可能性が高い。
以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

富山県の空き家の推移(1958年〜2023年)
年 | 空き家率 | 空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|
2023 | 14.71% | 69,700 | 473,900 |
2018 | 13.26% | 60,000 | 452,600 |
2013 | 12.80% | 56,200 | 439,000 |
2008 | 12.30% | 52,200 | 424,300 |
2003 | 11.60% | 47,300 | 407,700 |
1998 | 9.79% | 37,100 | 379,100 |
1993 | 7.73% | 27,000 | 349,300 |
1988 | 7.12% | 22,600 | 317,300 |
1983 | 6.62% | 20,000 | 302,100 |
1978 | 5.56% | 16,100 | 289,800 |
1973 | 4.22% | 11,400 | 269,900 |
1968 | 3.17% | 7,440 | 234,490 |
1963 | 1.47% | 3,200 | 217,000 |
1958 | 1.35% | 2,600 | 193,000 |
富山県の空き家ランキング【2023年度最新版】
富山県の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。
- 空き家率順
- 放置空き家率順
順位 | 市区町村名 リンク先は 将来価格予想 |
空き家率 | 空き家数(戸) | 放置空き家率※ | 放置空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 黒部市 | 19.27% | 3,750 | 10.53% | 2050 | 19460 |
2 | 魚津市 | 17.82% | 3,440 | 10.57% | 2040 | 19300 |
3 | 氷見市 | 17.41% | 3,280 | 14.76% | 2780 | 18840 |
4 | 高岡市 | 15.46% | 11,800 | 9.17% | 7000 | 76320 |
5 | 滑川市 | 15.42% | 2,180 | 11.03% | 1560 | 14140 |
6 | 小矢部市 | 14.92% | 1,710 | 8.81% | 1010 | 11460 |
7 | 富山市 | 14.60% | 29,690 | 6.79% | 13800 | 203330 |
8 | 南砺市 | 14.26% | 2,800 | 8.97% | 1760 | 19630 |
9 | 上市町 | 13.92% | 1,180 | 10.38% | 880 | 8480 |
10 | 射水市 | 12.42% | 4,840 | 8.83% | 3440 | 38970 |
11 | 入善町 | 11.79% | 1,170 | 10.08% | 1000 | 9920 |
12 | 砺波市 | 10.04% | 1,840 | 4.47% | 820 | 18330 |
13 | 立山町 | 8.08% | 760 | 7.01% | 660 | 9410 |
空き家率がもっとも高い市区町村は黒部市
富山県で空き家率がもっとも高かったのは黒部市の19.27%だ。
黒部市は立山連峰の麓に位置し、新幹線駅や企業立地のある中心部を除くと過疎化が進んでいる。高齢化による住民の減少と、山間部への転居ニーズの低下で住宅総数に対し空き家率が年々上昇している。市は「空家等対策計画」を策定し、空き家バンクで利活用を促進している。
深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは氷見市
近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。
放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。
富山県の放置空き家率がもっとも高かったのは、氷見市で14.76%となっている。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
富山県の空き家対策や活用事例は?
富山県では、空き家の増加に対応するため技術的な助言や連絡調整を行い、市町村や関係団体と連携して個別相談会やセミナーを開催している。
また、空き家コーディネーターの設置や、空き家の利活用、代執行による除却などの支援も実施している。「富山県空き家対策官民連絡協議会」を通じて、官民の連携を強化し、空き家問題の解決を図っている。
さらに、住まいを空き家にしないためのパンフレットや、空き家の利活用事例の紹介など、県民への啓発活動も行っている。
富山県における空き家活用事例
高岡市清水町では、7階建て建物にエレベータホールやエントランスの増築し、スポーツジム部分であった1階から3階までを福祉施設、サービス付き高齢者向け住宅「だいご清水館」への改修を行った。
下新川郡入善町の「にゅうぜんの里」は電子部品の製造工場の屋根や基礎、鉄骨以外を改修し、1階を高齢者生活支援施設と個室40戸や共同のリビング、食堂、浴室などに、2階は事業者の事務所となっている。
所有する空き家はどうすればいい?
相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。
売却する

今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。
都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。
一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。
地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。
さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。
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解体する

建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。
解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。
今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。
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賃貸活用する

空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。
ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。
また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。