長野県の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、長野県の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。
長野県の空き家率、長期推移、特徴
長野県の空き家の全体概要をみてみよう。
最新のデータ(2023年度)によると、長野県の空き家数は208,500戸、空き家率は20.06%となっている。長野県の空き家率は全国6位に位置しており、全国の13.84%に比べて高い。
長野県は移住希望者が多い地域だが、別荘地(軽井沢など)の未使用の別荘や山間部の古民家などに空き家が多い。二地域居住で使用される物件も統計上は空き家に含まれ、結果として空き家率が高くなっている。山間集落では老朽化した住宅がそのまま残される例が増えている。
長野県の空き家率の長期推移は?
2023年度の長野県の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から0.48ポイント増加。空き家数は11,200戸増加した。人口減少と高齢化の影響が顕著に現れており、今後も増加傾向が続く可能性が高い。
以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

長野県の空き家の推移(1958年〜2023年)
年 | 空き家率 | 空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|
2023 | 20.06% | 208,500 | 1,039,600 |
2018 | 19.58% | 197,300 | 1,007,900 |
2013 | 19.75% | 194,000 | 982,200 |
2008 | 19.34% | 183,000 | 946,300 |
2003 | 16.72% | 148,900 | 890,800 |
1998 | 15.26% | 129,800 | 850,400 |
1993 | 12.63% | 94,700 | 749,900 |
1988 | 11.90% | 83,000 | 697,500 |
1983 | 11.21% | 72,600 | 647,400 |
1978 | 7.92% | 47,300 | 596,900 |
1973 | 6.14% | 33,500 | 545,500 |
1968 | 3.82% | 18,510 | 484,990 |
1963 | 3.29% | 14,300 | 434,000 |
1958 | 2.30% | 9,300 | 404,000 |
長野県の空き家ランキング【2023年度最新版】
長野県の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。
- 空き家率順
- 放置空き家率順
順位 | 市区町村名 リンク先は 将来価格予想 |
空き家率 | 空き家数(戸) | 放置空き家率※ | 放置空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 軽井沢町 | 70.38% | 20,030 | 6.01% | 1710 | 28460 |
2 | 茅野市 | 41.50% | 17,000 | 5.54% | 2270 | 40960 |
3 | 小諸市 | 24.26% | 5,590 | 10.33% | 2380 | 23040 |
4 | 辰野町 | 23.74% | 2,210 | 18.05% | 1680 | 9310 |
5 | 下諏訪町 | 22.32% | 2,310 | 13.62% | 1410 | 10350 |
6 | 佐久市 | 21.30% | 11,140 | 9.63% | 5040 | 52310 |
7 | 大町市 | 20.26% | 2,670 | 12.52% | 1650 | 13180 |
8 | 伊那市 | 20.01% | 6,350 | 10.24% | 3250 | 31740 |
9 | 諏訪市 | 19.84% | 5,270 | 8.66% | 2300 | 26560 |
10 | 御代田町 | 19.71% | 1,640 | 11.30% | 940 | 8320 |
11 | 岡谷市 | 18.68% | 4,300 | 11.56% | 2660 | 23020 |
12 | 千曲市 | 18.36% | 4,960 | 10.66% | 2880 | 27010 |
13 | 駒ヶ根市 | 17.18% | 2,740 | 7.65% | 1220 | 15950 |
14 | 飯田市 | 17.12% | 7,860 | 10.39% | 4770 | 45920 |
15 | 東御市 | 17.07% | 2,340 | 10.50% | 1440 | 13710 |
16 | 上田市 | 16.00% | 12,180 | 8.08% | 6150 | 76120 |
17 | 長野市 | 15.42% | 28,700 | 8.06% | 15010 | 186130 |
18 | 飯山市 | 15.01% | 1,270 | 10.52% | 890 | 8460 |
19 | 安曇野市 | 14.47% | 6,330 | 7.20% | 3150 | 43760 |
20 | 須坂市 | 14.12% | 3,140 | 7.64% | 1700 | 22240 |
21 | 松本市 | 13.92% | 17,050 | 5.71% | 6990 | 122510 |
22 | 塩尻市 | 13.32% | 4,310 | 7.69% | 2490 | 32360 |
23 | 中野市 | 12.51% | 2,280 | 6.70% | 1220 | 18220 |
24 | 箕輪町 | 10.56% | 1,200 | 5.46% | 620 | 11360 |
25 | 南箕輪村 | 9.42% | 710 | 2.92% | 220 | 7540 |
空き家率がもっとも高い市区町村は軽井沢町
長野県で空き家率がもっとも高かったのは軽井沢町の70.38%だ。
全国屈指の別荘地である全国屈指の軽井沢町は、別荘を中心に住宅の68.23%が「二次的住宅等」として空き家扱いになっている。観光シーズン以外はほぼ利用がなく、管理不全による景観および防災上のリスクも指摘されている。町は別荘バンクの設立や所有者への管理指導を強化している。
深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは辰野町
近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。
放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。
長野県の放置空き家率がもっとも高かったのは、辰野町で18.05%となっている。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
長野県の空き家対策や活用事例は?
長野県は、空き家の有効活用と適正管理を推進するため、多角的な対策を展開している。「あんしん空き家流通促進事業」では、住宅診断や既存住宅の売買瑕疵保険の費用を一部補助し、中古住宅の流通を促進している 。
また、「空家等対策支援専門家派遣事業」を通じて、市町村に対し、司法書士や建築士などの専門家を派遣。空き家の適正管理や利活用に関する助言や情報提供を行っている 。
さらに、「すまいの終活ノート『家のコト』」を無料で提供し、住まいに関する終活を支援している 。これらの取り組みにより、空き家の利活用を促進し、地域の活性化と住環境の向上を目指している。
長野県における空き家活用事例
安曇野市の菓子工房studio samboはリンゴ農家と、工房となる物件を探していたパティシエが、市の空き家マッチングで出会い実現したもの。リンゴ農家で採れた素材を使ったお菓子作りで、人と地域がつながる賑わいが創出される場となっている。
下諏訪町では、大工職人を地域の商店街に誘致し、空き家の再生に取り組んでいる。地域の建築資源が有効活用されるとともに、職人と地域住民が協力し、長く良好な関係が築かれている。20年間の取り組みで30店舗以上が開業し、空き家をなくすことに成功している。
所有する空き家はどうすればいい?
相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。
売却する

今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。
都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。
一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。
地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。
さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。
不動産を売却するなら、まずは「不動産一括査定」で売却価格の目安を知ろう。
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解体する

建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。
解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。
今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。
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賃貸活用する

空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。
ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。
また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。