山梨県の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、山梨県の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。
山梨県の空き家率、長期推移、特徴
山梨県の空き家の全体概要をみてみよう。
最新のデータ(2023年度)によると、山梨県の空き家数は87,200戸、空き家率は20.42%となっている。山梨県の空き家率は全国4位に位置しており、全国の13.84%に比べて高い。
山梨県は全国でも住宅の空き家率が依然として高い水準にある。観光地や別荘地が多いため長期にわたって人が住まない別荘や空き家が多い。加えて人口減少と兼業農家の多さから、使われなくなった住宅が手放されず残りやすいことが背景にある。
山梨県の空き家率の長期推移は?
2023年度の山梨県の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から0.91ポイント減少。空き家数は2,800戸減少した。一定の改善傾向が見られるものの、引き続き注視が必要な状況である。
以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

山梨県の空き家の推移(1958年〜2023年)
年 | 空き家率 | 空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|
2023 | 20.42% | 87,200 | 427,000 |
2018 | 21.33% | 90,000 | 422,000 |
2013 | 22.01% | 92,900 | 422,100 |
2008 | 20.31% | 80,900 | 398,300 |
2003 | 19.35% | 73,600 | 380,300 |
1998 | 14.78% | 52,300 | 353,800 |
1993 | 13.13% | 41,200 | 313,700 |
1988 | 12.65% | 35,100 | 277,500 |
1983 | 9.77% | 24,700 | 252,700 |
1978 | 6.10% | 14,000 | 229,600 |
1973 | 4.58% | 9,300 | 202,900 |
1968 | 3.23% | 5,900 | 182,680 |
1963 | 1.80% | 3,000 | 167,000 |
1958 | 1.36% | 2,100 | 154,000 |
山梨県の空き家ランキング【2023年度最新版】
山梨県の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。
- 空き家率順
- 放置空き家率順
順位 | 市区町村名 リンク先は 将来価格予想 |
空き家率 | 空き家数(戸) | 放置空き家率※ | 放置空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 北杜市 | 46.06% | 16,530 | 11.79% | 4230 | 35890 |
2 | 大月市 | 22.05% | 2,540 | 14.93% | 1720 | 11520 |
3 | 上野原市 | 21.19% | 2,560 | 10.51% | 1270 | 12080 |
4 | 山梨市 | 19.70% | 3,190 | 13.03% | 2110 | 16190 |
5 | 昭和町 | 19.47% | 2,350 | 2.57% | 310 | 12070 |
6 | 笛吹市 | 18.20% | 6,120 | 9.37% | 3150 | 33630 |
7 | 甲府市 | 18.14% | 19,280 | 7.20% | 7650 | 106290 |
8 | 甲州市 | 17.44% | 2,300 | 10.61% | 1400 | 13190 |
9 | 富士河口湖町 | 16.09% | 2,100 | 8.43% | 1100 | 13050 |
10 | 韮崎市 | 15.65% | 2,180 | 6.60% | 920 | 13930 |
11 | 都留市 | 14.57% | 2,430 | 6.12% | 1020 | 16680 |
12 | 南アルプス市 | 13.98% | 4,310 | 7.91% | 2440 | 30840 |
13 | 富士吉田市 | 13.82% | 2,940 | 7.10% | 1510 | 21280 |
14 | 中央市 | 13.81% | 2,180 | 4.75% | 750 | 15780 |
15 | 甲斐市 | 12.20% | 4,340 | 3.74% | 1330 | 35560 |
空き家率がもっとも高い市区町村は北杜市
山梨県で空き家率がもっとも高かったのは北杜市の46.06%だ。
北杜市は南アルプス山麓の広大な山村地域を抱え、集落の過疎化と高齢化が顕著である。旧小学校の跡地や集落外縁部に老朽化した住宅が放置されていることも空き家率が高くなっている要因だ。
深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは大月市
近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。
放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。
山梨県の放置空き家率がもっとも高かったのは、大月市で14.93%となっている。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
山梨県の空き家対策や活用事例は?
山梨県では、空き家の適正管理と利活用を推進するため、総合的な対策を講じている。県は、空き家所有者に対し、年1回以上の建物や敷地の点検および管理を求め、防災、防犯、衛生、景観などの観点から周辺環境への悪影響を防ぐよう呼びかけている。
また、空き家を活用したビジネスの普及・促進を図るため、官民連携による空き家活用促進事業や、古民家などの情報を登録し公開する「やまなし空き古民家・レトロ建築バンク」制度を創設している。
さらに、各市町村と連携し、空き家バンク制度や相談窓口を設置し、空き家の利活用や解体に関する補助制度を提供することで、地域の安全かつ安心な住環境の確保と地域活性化を図っている。
山梨県における空き家活用事例
都留市は都心からの移住高齢者を誘致することで、産業を生み出し、まちを活性化させる「生涯活躍のまち・つる」事業を策定した。ゆいまーる都留は、旧雇用促進住宅下谷宿舎を改修し建てられたサービス付き高齢者向け住宅である。
小菅村では株式会社EDGEが古民家を改修してホテルとして再生する取り組みが地域再生大賞優秀賞を受賞した。伝統的な日本家屋の魅力を活かした宿泊施設として観光客を呼び込み、過疎地域の活性化に貢献している。
所有する空き家はどうすればいい?
相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。
売却する

今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。
都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。
一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。
地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。
さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。
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解体する

建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。
解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。
今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。
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賃貸活用する

空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。
ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。
また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。