三重県の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、三重県の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。
三重県の空き家率、長期推移、特徴
三重県の空き家の全体概要をみてみよう。
最新のデータ(2023年度)によると、三重県の空き家数は142,700戸、空き家率は16.34%となっている。三重県の空き家率は全国19位に位置しており、全国の13.84%に比べて高い。
三重県では、伊勢志摩の旅館跡や別荘、熊野地域の過疎化集落など多様な形態の空き家が存在している。津市や四日市市など県央部でも賃貸空室が増加し、その他空き家率は全国でも高めである。とくに南部地域では、高齢化と人口流出による空き家が蓄積している。
三重県の空き家率の長期推移は?
2023年度の三重県の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から1.16ポイント増加。空き家数は13,100戸増加した。人口減少と高齢化の影響が顕著に現れており、今後も増加傾向が続く可能性が高い。
以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

三重県の空き家の推移(1958年〜2023年)
年 | 空き家率 | 空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|
2023 | 16.34% | 142,700 | 873,500 |
2018 | 15.18% | 129,600 | 853,700 |
2013 | 15.46% | 128,500 | 831,200 |
2008 | 13.22% | 104,600 | 791,000 |
2003 | 13.70% | 101,200 | 738,700 |
1998 | 12.34% | 84,800 | 687,000 |
1993 | 9.80% | 59,800 | 610,300 |
1988 | 9.78% | 54,600 | 558,500 |
1983 | 8.51% | 44,100 | 518,300 |
1978 | 7.35% | 35,100 | 477,300 |
1973 | 5.16% | 22,000 | 426,500 |
1968 | 4.01% | 15,280 | 380,950 |
1963 | 1.99% | 6,800 | 342,000 |
1958 | 2.21% | 6,900 | 312,000 |
三重県の空き家ランキング【2023年度最新版】
三重県の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。
- 空き家率順
- 放置空き家率順
順位 | 市区町村名 リンク先は 将来価格予想 |
空き家率 | 空き家数(戸) | 放置空き家率※ | 放置空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 尾鷲市 | 35.14% | 4,090 | 31.01% | 3610 | 11640 |
2 | 熊野市 | 32.44% | 3,530 | 27.48% | 2990 | 10880 |
3 | 志摩市 | 31.03% | 8,540 | 17.30% | 4760 | 27520 |
4 | 鳥羽市 | 30.20% | 3,180 | 20.32% | 2140 | 10530 |
5 | 川越町 | 24.86% | 2,170 | 7.22% | 630 | 8730 |
6 | 伊賀市 | 20.59% | 9,230 | 11.96% | 5360 | 44830 |
7 | 津市 | 17.19% | 24,360 | 9.21% | 13050 | 141680 |
8 | 伊勢市 | 16.96% | 10,470 | 10.03% | 6190 | 61740 |
9 | いなべ市 | 16.48% | 3,220 | 6.60% | 1290 | 19540 |
10 | 松阪市 | 15.70% | 11,540 | 8.01% | 5890 | 73490 |
11 | 菰野町 | 14.42% | 2,550 | 9.79% | 1730 | 17680 |
12 | 名張市 | 14.34% | 5,210 | 9.31% | 3380 | 36320 |
13 | 亀山市 | 13.98% | 3,410 | 6.23% | 1520 | 24390 |
14 | 玉城町 | 13.39% | 810 | 9.42% | 570 | 6050 |
15 | 桑名市 | 13.09% | 8,370 | 7.21% | 4610 | 63920 |
16 | 四日市市 | 11.87% | 18,020 | 6.81% | 10330 | 151780 |
17 | 鈴鹿市 | 10.96% | 10,000 | 4.48% | 4090 | 91230 |
18 | 東員町 | 7.39% | 760 | 5.83% | 600 | 10290 |
19 | 明和町 | 6.87% | 620 | 5.76% | 520 | 9020 |
空き家率がもっとも高い市区町村は尾鷲市
三重県で空き家率がもっとも高かったのは尾鷲市の35.14%だ。
尾鷲市の空き家率は平成20年以降一貫して増加傾向にあり、漁業中心の地域経済の縮小と若年層の離散が追い打ちをかけている。山間集落や海岸線沿いで老朽家屋の維持管理が困難となり、空き家化が加速している。
深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは尾鷲市
近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。
放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。
三重県の放置空き家率がもっとも高かったのは、尾鷲市で31.01%となっている。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
三重県の空き家対策や活用事例は?
三重県では市町と連携し、空き家の除却やリフォームに対する補助制度を設けている。また、専門家団体と協力して「空き家ネットワークみえ」を設立し、無料相談会や研修会を通じて所有者を支援している。さらに、所有者不明の老朽した空き家には、略式代執行による除却支援を実施している。
三重県における空き家活用事例
伊賀市では空き家を改修して地域交流カフェ兼図書スペースに再生した。住民の居場所づくりと文化的活動の場として機能している。多世代が集い交流できる空間として地域コミュニティの活性化に貢献している。
尾鷲市三木里町町内にある空き家は、築54年の木造平屋建て。所有者は遠方に住み、処分に困っていたという。地区会が譲り受け、愛知工業大学工学部との連係で、災害時のみなし仮設として運用する。すでに着工しており、来年5月の完成を目指している。
所有する空き家はどうすればいい?
相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。
売却する

今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。
都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。
一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。
地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。
さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。
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解体する

建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。
解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。
今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。
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賃貸活用する

空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。
ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。
また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。