福井県の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、福井県の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。
福井県の空き家率、長期推移、特徴
福井県の空き家の全体概要をみてみよう。
最新のデータ(2023年度)によると、福井県の空き家数は53,100戸、空き家率は15.55%となっている。福井県の空き家率は全国27位に位置しており、全国の13.84%に比べて高い。
若狭地方の過疎地域や勝山市など、豪雪地帯での空き家数が増えている。従来は二世帯同居が盛んで親宅が空き家になる事例が少なかったが、近年の核家族化で増加傾向にある。農村の古民家が主な放置空き家となっており、全体のその他空き家率も上昇している。
福井県の空き家率の長期推移は?
2023年度の福井県の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から1.72ポイント増加。空き家数は8,100戸増加した。人口減少と高齢化の影響が顕著に現れており、今後も増加傾向が続く可能性が高い。
以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

福井県の空き家の推移(1958年〜2023年)
年 | 空き家率 | 空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|
2023 | 15.55% | 53,100 | 341,400 |
2018 | 13.83% | 45,000 | 325,400 |
2013 | 13.89% | 43,000 | 309,600 |
2008 | 15.13% | 46,700 | 308,700 |
2003 | 13.07% | 38,300 | 293,000 |
1998 | 10.23% | 28,100 | 274,800 |
1993 | 8.21% | 20,600 | 250,900 |
1988 | 8.04% | 19,100 | 237,700 |
1983 | 7.30% | 16,200 | 221,800 |
1978 | 6.46% | 13,600 | 210,600 |
1973 | 4.41% | 8,600 | 195,200 |
1968 | 3.59% | 6,510 | 181,260 |
1963 | 2.04% | 3,300 | 162,000 |
1958 | 1.32% | 2,000 | 152,000 |
福井県の空き家ランキング【2023年度最新版】
福井県の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。
- 空き家率順
- 放置空き家率順
順位 | 市区町村名 リンク先は 将来価格予想 |
空き家率 | 空き家数(戸) | 放置空き家率※ | 放置空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 小浜市 | 20.81% | 3,140 | 12.86% | 1940 | 15090 |
2 | 敦賀市 | 18.18% | 6,010 | 10.22% | 3380 | 33060 |
3 | 福井市 | 16.08% | 20,050 | 6.77% | 8440 | 124690 |
4 | あわら市 | 15.97% | 1,900 | 8.49% | 1010 | 11900 |
5 | 越前町 | 15.17% | 1,050 | 13.58% | 940 | 6920 |
6 | 越前市 | 14.39% | 4,900 | 7.73% | 2630 | 34040 |
7 | 勝山市 | 13.76% | 1,130 | 11.08% | 910 | 8210 |
8 | 大野市 | 12.89% | 1,440 | 10.30% | 1150 | 11170 |
9 | 坂井市 | 12.24% | 4,370 | 7.90% | 2820 | 35710 |
10 | 鯖江市 | 11.84% | 3,330 | 5.40% | 1520 | 28130 |
11 | 永平寺町 | 10.82% | 840 | 7.22% | 560 | 7760 |
空き家率がもっとも高い市区町村は小浜市
福井県で空き家率がもっとも高かったのは小浜市の20.81%だ。
小浜市は若狭湾に面する漁業都市だが、漁業従事者の高齢化による減少と、若年層の都市部への流出により空き家が増加している。平成26年度の調査では県内における最高の空き家率を記録し、市街地より郊外の集落ではとくに深刻な状況になっている。市は補助金の給付を交えた空き家の解体および改修支援を実施している。
深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは越前町
近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。
放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。
福井県の放置空き家率がもっとも高かったのは、越前町で13.58%となっている。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
福井県の空き家対策や活用事例は?
福井市では、空き家の適正管理と利活用を推進するため、「福井県空き家対策協議会」を設置し、総合的な施策を展開している。具体的には、「ふくい空き家情報バンク」を通じて物件情報を公開し、所有者と利用希望者のマッチングを支援している。
また、空き家の取得やリフォーム、家賃に対する補助制度を設け、利活用を促進している。さらに、老朽危険空き家の除却費用や管理代行サービスの利用に対する補助も実施し、空き家の発生抑制と地域の安全確保に努めている。
福井県における空き家活用事例
若狭町では、江戸末期に建築された古民家をNPO法人が借り受けて、熊川宿若狭美術館として改修。主として障害者アート、現代美術、子ども美術などを展示し、美術文化の発信拠点として運営されている。また、同町の熊川宿の新しい観光スポットとして、地域経済の活性化を図っている。
所有する空き家はどうすればいい?
相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。
売却する

今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。
都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。
一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。
地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。
さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。
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解体する

建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。
解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。
今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。
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賃貸活用する

空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。
ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。
また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。