宮城県の空き家率は12.42％で全国39位【2025年版】　ランキング、長期推移、活用事例などを解説

宮城県の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、宮城県の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。

宮城県の空き家率、長期推移、特徴

　宮城県の空き家の全体概要をみてみよう。

　最新のデータ(2023年度)によると、宮城県の空き家数は140,300戸、空き家率は12.42%となっている。宮城県の空き家率は全国39位に位置しており、全国の13.84%に比べて低い。

　宮城県では2008年調査時点まで空き家率が増加していたが、2011年の東日本大震災後の2013年調査では大幅に空き家率が下がっている。震災により物理的に空き家がなくなったこともあるが、「民間賃貸住宅・空き家の借り上げによる仮設住宅設置」により、被災者向けに約68,000戸の空き家がみなし仮設住宅として供給され、「空き家」として集計されていないことも空き家率が低下した要因となっている。震災後、下落した空き家率だが、直近の調査では上昇傾向にある。

宮城県の空き家率の長期推移は？

　2023年度の宮城県の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から0.44ポイント増加。空き家数は9,800戸増加した。人口減少と高齢化の影響が顕著に現れており、今後も増加傾向が続く可能性が高い。

　以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

宮城県の空き家の推移（1958年〜2023年）

年	空き家率	空き家数（戸）	住宅総数（戸）
2023	12.42%	140,300	1,129,200
2018	11.98%	130,500	1,089,300
2013	9.37%	96,900	1,034,100
2008	13.65%	138,400	1,013,900
2003	11.28%	106,300	942,300
1998	11.13%	98,600	886,100
1993	9.18%	72,600	791,000
1988	7.96%	55,800	700,800
1983	6.76%	42,800	632,700
1978	5.72%	33,100	578,700
1973	3.68%	18,100	492,400
1968	2.66%	10,800	406,710
1963	1.27%	4,300	338,000
1958	1.12%	3,400	303,000

宮城県の空き家ランキング【最新版】

　宮城県の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。

空き家率がもっとも高い市区町村は白石市

　宮城県で空き家率がもっとも高かったのは白石市の17.82%だ。

　白石市では、市内中心部を除く地域で人口減少と高齢化が進行している。老朽化した住宅の撤去、利活用が追いついておらず、防災および景観の面でも課題となっている。

深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは栗原市

　近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。

　2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。

　放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。

　宮城県の放置空き家率がもっとも高かったのは、栗原市で12.93%となっている。

　国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。

宮城県の空き家対策や活用事例は？

　宮城県では、「みやぎ空き家ガイドブック」を作成し、所有者や家族が空き家の管理や活用方法を理解しやすいよう支援している。また、市町村と連携して空き家バンク制度を運用し、空き家の利活用を促進している。さらに、空き家の適正管理や活用方法を紹介するセミナーを開催し、県民への啓発活動も行っている。

宮城県における空き家活用事例

　石巻市では、震災復興住宅の空き家を改修し、障害者グループホームとして活用。これにより住まいを必要とする障害者の生活拠点を確保するとともに、空き家問題の解決にも寄与している。

　蔵王町では空き家バンク制度を活用し、不動産取引業2団体と協定を締結し、空き家の売買および賃貸の仲介がスムーズになり、移住希望者への情報提供が充実することになった。

所有する空き家はどうすればいい？

　相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。

売却する

　今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。

　都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。

　一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。

　地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。

　さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。

解体する

　建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。

　解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。

　今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。

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賃貸活用する

　空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。

　ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。

　また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。

　空き家をどう活用するのがいいかプロに提案してほしいという方は、無料の「空き家解決プラン提案サービス」を利用するのも一つの方法だ。