大阪府の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、大阪府の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。
大阪府の空き家率、長期推移、特徴
大阪府の空き家の全体概要をみてみよう。
最新のデータ(2023年度)によると、大阪府の空き家数は701,900戸、空き家率は14.24%となっている。大阪府の空き家率は全国34位に位置しており、全国の13.84%に比べて高い。
大阪府では、大阪市を中心に賃貸住宅の空室が主な空き家となっている。郊外のニュータウンでは高齢化による一戸建ての管理放棄例が増えつつあるが、府全体の放置空き家率は低い。新規の着工が多い一方で、古い住居の解体も進み、空き家率の改善につながっている。
大阪府の空き家率の長期推移は?
2023年度の大阪府の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から0.92ポイント減少。空き家数は7,500戸減少した。一定の改善傾向が見られるものの、引き続き注視が必要な状況である。
以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

大阪府の空き家の推移(1958年〜2023年)
年 | 空き家率 | 空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|
2023 | 14.24% | 701,900 | 4,928,600 |
2018 | 15.16% | 709,400 | 4,680,200 |
2013 | 14.80% | 678,800 | 4,586,000 |
2008 | 14.38% | 625,100 | 4,346,000 |
2003 | 14.60% | 603,300 | 4,130,800 |
1998 | 13.01% | 501,300 | 3,852,500 |
1993 | 10.56% | 369,400 | 3,497,600 |
1988 | 11.03% | 364,200 | 3,301,600 |
1983 | 10.73% | 327,600 | 3,053,700 |
1978 | 9.80% | 279,100 | 2,848,800 |
1973 | 6.54% | 165,900 | 2,537,700 |
1968 | 5.26% | 103,720 | 1,973,090 |
1963 | 2.92% | 40,900 | 1,402,000 |
1958 | 2.81% | 30,000 | 1,069,000 |
大阪府の空き家ランキング【2023年度最新版】
大阪府の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。
- 空き家率順
- 放置空き家率順
順位 | 市区町村名 リンク先は 将来価格予想 |
空き家率 | 空き家数(戸) | 放置空き家率※ | 放置空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 大阪市西成区 | 25.92% | 22,870 | 6.49% | 5730 | 88230 |
2 | 大阪市生野区 | 22.80% | 20,890 | 5.35% | 4900 | 91620 |
3 | 柏原市 | 20.79% | 8,150 | 6.81% | 2670 | 39210 |
4 | 大阪市中央区 | 18.36% | 17,170 | 1.87% | 1750 | 93540 |
5 | 大阪市東住吉区 | 18.17% | 13,950 | 6.20% | 4760 | 76790 |
6 | 大阪市旭区 | 18.10% | 10,280 | 5.26% | 2990 | 56800 |
7 | 大阪市港区 | 18.00% | 9,450 | 4.04% | 2120 | 52490 |
8 | 大阪市浪速区 | 17.94% | 12,900 | 2.56% | 1840 | 71920 |
9 | 大阪市大正区 | 17.72% | 6,250 | 6.27% | 2210 | 35270 |
10 | 守口市 | 17.07% | 13,820 | 6.43% | 5210 | 80980 |
11 | 門真市 | 16.99% | 11,670 | 5.55% | 3810 | 68670 |
12 | 大阪市都島区 | 16.98% | 12,150 | 4.21% | 3010 | 71540 |
13 | 大阪市住吉区 | 16.95% | 16,840 | 3.71% | 3690 | 99370 |
14 | 大阪市此花区 | 16.90% | 6,640 | 7.71% | 3030 | 39290 |
15 | 堺市堺区 | 16.68% | 15,260 | 7.51% | 6870 | 91500 |
16 | 大阪市東淀川区 | 16.45% | 20,390 | 5.11% | 6340 | 123970 |
17 | 大阪市平野区 | 16.36% | 18,040 | 3.93% | 4330 | 110300 |
18 | 東大阪市 | 16.25% | 45,790 | 5.00% | 14090 | 281720 |
19 | 大阪市 | 16.12% | 294,600 | 4.05% | 74100 | 1827900 |
20 | 忠岡町 | 15.74% | 1,250 | 6.80% | 540 | 7940 |
21 | 四條畷市 | 15.54% | 4,210 | 5.39% | 1460 | 27090 |
22 | 阪南市 | 15.17% | 3,680 | 7.13% | 1730 | 24260 |
23 | 河南町 | 15.07% | 1,130 | 7.47% | 560 | 7500 |
24 | 大東市 | 14.92% | 9,210 | 3.08% | 1900 | 61730 |
25 | 貝塚市 | 14.83% | 6,350 | 5.88% | 2520 | 42830 |
26 | 大阪市東成区 | 14.76% | 8,410 | 2.97% | 1690 | 56990 |
27 | 大阪市天王寺区 | 14.69% | 7,860 | 2.95% | 1580 | 53500 |
28 | 大阪市淀川区 | 14.57% | 18,610 | 3.74% | 4780 | 127760 |
29 | 羽曳野市 | 14.50% | 7,580 | 6.62% | 3460 | 52260 |
30 | 藤井寺市 | 14.40% | 4,720 | 5.92% | 1940 | 32780 |
31 | 堺市南区 | 14.19% | 9,680 | 3.91% | 2670 | 68230 |
32 | 泉大津市 | 13.98% | 5,300 | 4.75% | 1800 | 37900 |
33 | 八尾市 | 13.91% | 18,460 | 4.30% | 5710 | 132670 |
34 | 岸和田市 | 13.82% | 12,550 | 6.48% | 5890 | 90830 |
35 | 大阪市阿倍野区 | 13.82% | 8,830 | 4.57% | 2920 | 63910 |
36 | 豊中市 | 13.70% | 28,370 | 4.59% | 9510 | 207120 |
37 | 大阪市住之江区 | 13.58% | 9,710 | 3.59% | 2570 | 71510 |
38 | 泉南市 | 13.49% | 3,650 | 6.25% | 1690 | 27050 |
39 | 大阪市西淀川区 | 13.42% | 7,470 | 4.40% | 2450 | 55650 |
40 | 松原市 | 13.42% | 8,110 | 5.26% | 3180 | 60450 |
41 | 寝屋川市 | 13.31% | 15,450 | 5.25% | 6100 | 116110 |
42 | 富田林市 | 13.02% | 6,930 | 3.87% | 2060 | 53220 |
43 | 大阪市福島区 | 12.98% | 6,760 | 3.03% | 1580 | 52070 |
44 | 池田市 | 12.95% | 7,300 | 3.60% | 2030 | 56380 |
45 | 堺市北区 | 12.93% | 11,010 | 4.65% | 3960 | 85180 |
46 | 堺市 | 12.90% | 55,200 | 5.19% | 22200 | 427800 |
47 | 大阪市城東区 | 12.65% | 12,350 | 4.63% | 4520 | 97630 |
48 | 泉佐野市 | 12.28% | 6,280 | 4.23% | 2160 | 51120 |
49 | 河内長野市 | 12.11% | 5,820 | 5.47% | 2630 | 48070 |
50 | 高石市 | 12.04% | 3,230 | 4.10% | 1100 | 26830 |
51 | 吹田市 | 12.03% | 25,490 | 5.84% | 12380 | 211860 |
52 | 大阪狭山市 | 11.96% | 3,330 | 6.28% | 1750 | 27850 |
53 | 箕面市 | 11.69% | 7,710 | 3.47% | 2290 | 65930 |
54 | 大阪市西区 | 11.54% | 9,020 | 1.73% | 1350 | 78160 |
55 | 枚方市 | 11.43% | 22,320 | 4.60% | 8980 | 195260 |
56 | 和泉市 | 11.42% | 9,580 | 3.60% | 3020 | 83900 |
57 | 摂津市 | 11.39% | 5,280 | 3.73% | 1730 | 46360 |
58 | 堺市西区 | 11.32% | 7,540 | 4.89% | 3260 | 66610 |
59 | 大阪市鶴見区 | 11.31% | 6,400 | 2.28% | 1290 | 56580 |
空き家率がもっとも高い市区町村は大阪市西成区
大阪府で空き家率がもっとも高かったのは大阪市西成区の25.92%だ。
大阪市西成区は老朽化した多様な住宅が集中し、低所得層向け賃貸や簡易宿泊所も多いため、居住者離れや転出の頻度が高いことにより空き家率が高くなっている。
深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは大阪市此花区
近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。
放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。
大阪府の放置空き家率がもっとも高かったのは、大阪市此花区で7.71%となっている。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
大阪府の空き家対策や活用事例は?
大阪府では、平成28年に策定した「空家総合戦略・大阪」および平成31年の「空家総合戦略・大阪2019」に基づき、空き家対策を推進してきた。これにより、市区町村の体制整備や「大阪版・空家バンク」の設置、リノベーションまちづくりの推進など、基礎的な対応がおおむね完了している。
現在は、市区町村の取組状況や民間事業者の動向を踏まえ、情報提供や支援を強化している。また、危険な空家の除却促進、空き家を活用したまちづくりの推進、既存の住宅の流通やリフォーム市場の活性化など、多角的な施策を展開している。これらの取組により、空き家の適切な管理と地域の活性化を図っている。
大阪府における空き家活用事例
大阪府では空き家を福祉や地域づくりに活用する取り組みが進んでいる。豊中市では空き家を改修して高齢者見守り拠点に転用した事例があり、地域住民による高齢者支援の場として機能。独居高齢者の安否確認や相談対応など、地域の互助機能強化と空き家活用を両立させている。
府営堺三原台住宅の建て替えにおいて、大阪府、堺市、近畿大学が基本協定を締結。敷地の南側に府営住宅を集約し、北側に近畿大学医学部および病院を移転する計画が進んでいる。泉北ニュータウンの活性化、南大阪地域の医療機能の向上などに寄与するものである。
所有する空き家はどうすればいい?
相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。
売却する

今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。
都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。
一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。
地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。
さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。
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解体する

建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。
解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。
今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。
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賃貸活用する

空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。
ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。
また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。