滋賀県の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、滋賀県の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。
滋賀県の空き家率、長期推移、特徴
滋賀県の空き家の全体概要をみてみよう。
最新のデータ(2023年度)によると、滋賀県の空き家数は81,600戸、空き家率は12.29%となっている。滋賀県の空き家率は全国42位に位置しており、全国の13.84%に比べて低い。
滋賀県では、琵琶湖沿岸の農村部などにも空き家はあるが、大津市や草津市のように大阪圏へ通勤可能な地域では需要が強く、空き家率は低い。結果的に県全体の空き家率は全国平均を下回っている。その他空き家率の上昇はみられるが、西日本の中では放置空き家が少ない県である。
滋賀県の空き家率の長期推移は?
2023年度の滋賀県の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から0.68ポイント減少。空き家数は400戸増加した。一定の改善傾向が見られるものの、引き続き注視が必要な状況である。
以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

滋賀県の空き家の推移(1958年〜2023年)
年 | 空き家率 | 空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|
2023 | 12.29% | 81,600 | 664,200 |
2018 | 12.97% | 81,200 | 626,000 |
2013 | 12.91% | 77,800 | 602,500 |
2008 | 12.91% | 73,300 | 567,600 |
2003 | 12.66% | 63,800 | 504,100 |
1998 | 10.94% | 50,200 | 458,700 |
1993 | 9.93% | 38,900 | 391,900 |
1988 | 8.97% | 31,700 | 353,300 |
1983 | 8.95% | 28,800 | 321,800 |
1978 | 9.71% | 28,500 | 293,500 |
1973 | 5.19% | 12,700 | 244,900 |
1968 | 3.51% | 7,160 | 203,750 |
1963 | 1.81% | 3,300 | 182,000 |
1958 | 2.09% | 3,700 | 177,000 |
滋賀県の空き家ランキング【2023年度最新版】
滋賀県の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。
- 空き家率順
- 放置空き家率順
順位 | 市区町村名 リンク先は 将来価格予想 |
空き家率 | 空き家数(戸) | 放置空き家率※ | 放置空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 高島市 | 23.05% | 5,480 | 11.36% | 2700 | 23770 |
2 | 長浜市 | 18.49% | 9,690 | 12.67% | 6640 | 52410 |
3 | 東近江市 | 17.49% | 9,180 | 10.63% | 5580 | 52490 |
4 | 湖南市 | 14.98% | 3,890 | 7.94% | 2060 | 25960 |
5 | 彦根市 | 14.81% | 8,370 | 8.81% | 4980 | 56530 |
6 | 米原市 | 14.63% | 2,240 | 9.34% | 1430 | 15310 |
7 | 愛荘町 | 12.53% | 1,160 | 8.64% | 800 | 9260 |
8 | 甲賀市 | 11.71% | 4,550 | 6.64% | 2580 | 38850 |
9 | 大津市 | 10.86% | 18,460 | 6.51% | 11060 | 169970 |
10 | 日野町 | 10.81% | 970 | 6.02% | 540 | 8970 |
11 | 近江八幡市 | 10.64% | 3,880 | 7.19% | 2620 | 36460 |
12 | 野洲市 | 8.64% | 1,900 | 4.91% | 1080 | 21990 |
13 | 守山市 | 8.25% | 2,950 | 5.90% | 2110 | 35740 |
14 | 栗東市 | 7.17% | 2,090 | 1.85% | 540 | 29140 |
15 | 草津市 | 6.67% | 4,980 | 2.77% | 2070 | 74690 |
空き家率がもっとも高い市区町村は高島市
滋賀県で空き家率がもっとも高かったのは高島市の23.05%だ。
高島市は南北に山村が広がり交通が不便なうえ、少子高齢化が進んでいる。別荘など二次的住宅も多く、観光シーズン以外は利用されず放置されている状況だ。所有者による定期管理および改修の負担が大きく、空き家が増加している。
深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは長浜市
近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。
放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。
滋賀県の放置空き家率がもっとも高かったのは、長浜市で12.67%となっている。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
滋賀県の空き家対策や活用事例は?
滋賀県は、空き家問題に対して、発生予防、流通促進・利活用、除却支援の三本柱で対策を展開している。発生予防では、所有者向けのガイドブックや啓発動画を通じて、空き家化を未然に防ぐ意識啓発を行っている。
流通促進・利活用では、市町や民間が運営する「空き家バンク」の情報を集約し、空き家の有効活用を支援している。除却支援では、老朽化した空き家の解体費用に対する補助制度を設け、安全な住環境の確保を図っている。
また、空き家に関する相談窓口を設置し、所有者や地域住民からの相談に対応している。
滋賀県における空き家活用事例
高島市では空き家を改装して移住者向けのシェアオフィス兼住宅として整備した事例がある。テレワークの普及を背景に、都市部から地方へ移住しながら仕事を続けたい層のニーズに応え、新たな人の流れを創出している。
長浜市では、新築からリフォーム、古民家再生を主とした建築会社の経営者が長浜市木之本町川合を流れる高時川を一望できる空き家を買い取り、民泊施設「鮎はうす」として再生。Wi-Fiも設置されており、ワーケーション、リモートワークにも活用できるようになっている。
所有する空き家はどうすればいい?
相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。
売却する

今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。
都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。
一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。
地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。
さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。
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解体する

建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。
解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。
今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。
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賃貸活用する

空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。
ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。
また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。