中古マンションの売出と成約の価格乖離が3割近くまで拡大! 売り手と買い手は「ワニの口」の見極めが重要

2026年4月28日公開(2026年4月28日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

2026年2月の中古マンションの売出価格と成約価格の乖離が3割近くまで拡大している。都心部でも価格下落の兆しが広がるなか、売り手と買い手それぞれにとってワニの口の広がりが何を意味するのか。市場の変化と今後の動きを読み解く。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

「ワニの口」が閉じていると中古マンション市場は活性化する

 まずは図表1をご覧いただきたい。これは東日本不動産流通機構のデータから、首都圏中古マンションの成約価格と、売出価格(新規登録価格)の平米単価の推移を示している。

図表1 首都圏中古マンションの新規登録価格と成約価格の平米単価の推移(単位:万円)

首都圏中古マンションの新規登録価格と成約価格の平米単価の推移
出典:東日本不動産流通機構「月例Market Watch 2026(令和8)年2月度

 一見して分かるように、2025年当初は両者の差は小さかったが、同年後半からその差が徐々に拡大して、口が開いたような状態になっている。

 このように売出価格(上あご)と成約価格(下あご)の乖離が拡大した状態を、業界では「ワニの口」と呼んでいる。中古マンション市場が活況を呈しているときには、売出価格と成約価格の差が小さくなって、ワニの口は閉じた状態になっている

 2025年2月は図表1にあるように、売出価格の平米単価が87.71万円に対して、成約価格は79.14万円だから、両者の差は10.8%だった。

 平均すると、売出価格から1割程度低い水準で成約していることになる。同じ物件の比較ではないので、物件による格差はあるだろうが、売り手と買い手が交渉した結果、1割程度の値引きで契約が成立したケースも多いのではないだろうか。

買い手にとっては値引き交渉の余地が大きくなっている

 2026年1月は売出価格が110.97万円に対して、成約価格は86.99万円だから、両者の格差は27.6%に拡大していることになる。2026年2月は売出価格、成約価格ともにやや低下しているが、それでも格差は27.1%とワニの口は開いたままだ。

 つまり、この時点では売出価格に比べて成約価格は3割近く低くなっていて、3割近く値引きしないと成約が難しくなっているといっていいだろう。買い手からすれば、値引き交渉の余地が大きくなっているわけだ。

 こうした現象について業界では、「ワニの口が大きく開くと売れ行きが鈍化し、不動産市場は悪化していることになる」と呼ばれている。

 2026年当初の状況はまさにその段階にあり、マンション市場は曲がり角に差し掛かりつつあるのではないだろうか。実際、売出価格、成約価格ともに右肩上がりのカーブを描いてきたのが、同年2月は一転して下落している。

都心部の中古マンションにも下落傾向が広がる

 これは首都圏全体に通じる傾向で、首都圏全体やエリア別の成約価格は図表2のようになっている。

図表2 首都圏中古マンションのエリア別の成約価格推移(単位:万円)

首都圏中古マンションのエリア別の成約価格推移
出典:東日本不動産流通機構「月例Market Watch 2026(令和8)年2月度

 価格は中古マンションは郊外部などでは下落しても、東京都はなかなか下がらないといわれてきたが、最近はそうでもなくなってきている。東京都は1月の成約価格7,221万円から2月は7,172万円で、やはり前月比0.7%の下落だった。

 なかでも都心3区(千代田区、港区、中央区)は1億4,871万円から1億3,354万円に、前月比10.2%もの下落となっている。

 都心部の高額物件の購入層は高額所得者や富裕層が中心だから、多少の価格上昇では購入力は低下しない。むしろ価格上昇は資産価値の上昇につながるので、購入意欲を後押しするのではないかといわれてきた。

 しかし、ここまで高くなるとさすがの高額所得者や富裕層にもためらいが生まれ、購入意欲の低下、価格の下落につながっているのかもしれない。2026年1月の急上昇の反動減という面はあるだろうが、価格下落率10%超えという状況には注目せざるを得ない。

都心部から周辺エリアまで下落エリアが拡大

 価格下落の兆しは都心部だけではなくさまざまなエリアに広がりつつある。図表3は、首都圏のエリア別の中古マンション70㎡価格が、3カ月前に比べてどのように変化しているかを調べた結果を示している。

図表3 首都圏主要エリアの中古マンション70㎡価格と3カ月前との騰落率

 東京都全体では3カ月前に比べて1.4%上昇しているが、都心5区は0.8%の下落となっている。そのほか23区では、城東エリア、城南エリアはわずかに上昇しているものの、城西エリア、城北エリアはマイナス。

 また、周辺3県でも千葉県全体や千葉県主要エリア、神奈川県(横浜市など)のように下落しているエリアがある。それだけに、マンションの売却を検討している人は、下落が本格化する前に売却するのが現実的だし、売り出しにあたっては価格の設定を考える必要があるだろう。

※「マンションレビュー」のエリア区分

  • ・都心5区:千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区
  • ・城東エリア:台東区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区
  • ・城南エリア:品川区、目黒区、大田区、世田谷区
  • ・城西エリア:中野区、杉並区、練馬区
  • ・城北エリア:文京区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、足立区
  • ・埼玉県主要エリア:さいたま市、川口市
  • ・千葉県主要エリア:市川市、船橋市、浦安市

ワニの口が狭くならないと購買力が回復しない

 売出価格は「この価格で売りたい」という売り手の期待値であり、成約価格は「この価格なら買える」という買い手の支払い能力を示すものである。

 ワニの口が広がっていることは、購買力の限界が近づいており、ワニの口が狭まらないと売れなくなってしまう。

 成約価格は購買力の限度に近づいているので、これを引き上げるわけにはいかない。したがってワニの口を狭くして購買力を回復するためには、売出価格を引き下げて開いた口を狭くするしかない

 成約価格は、2025年2月には79.14万円だったのが、2026年2月は85.61万円だから、1年間の上昇率は7.1%だ。

 しかし、新規登録価格は2025年2月の87.71万円から2026年2月は108.83万円だから、25.3%も上がっていて、乖離は格段に広がってきている。このワニの口の広がりが、成約価格の上昇率の鈍化をもたらしているのではないだろうか。

 ワニの口が閉じているときは売り手市場であり、ワニの口が開いているときは買い手市場である。買い手にしてみれば値引き交渉で指し値が可能な状態であり、成約価格を引き下げる力が働く。

買い手と売り手はワニの口の見極めが重要

 買い手としては、新規登録価格つまり売出価格ではなく、最近の成約価格を参考にして値引き交渉に当たるのが一般的だから、成約価格の低下圧力が働く。

 そうした傾向が強まれば、売り手も強気での値付けが難しくなり、「新規登録価格=売出価格」を引き下げざるを得なくなる。

 そうなれば、売出価格と成約価格ともに下がっていくが、現実的には売出価格の下げ方が大きくならないと、ワニの口は小さくならない。

 売り手としては、できるだけ早く売出価格に近い価格で成約に結びつけるには、周辺の競合物件に先立って売出価格を下げるのが現実的だ。

 強気の値付けのままだと一向に買い手がつかず、市場で野ざらし状態になる。いったん野ざらし状態になると、何か問題があるのではないかと、ますます買い手がつかなくなってしまう。そうならないためには市場動向を睨んで、思い切った値付けが必要になるわけだ。

 ただし、ここで注意すべき点がある。現在の局面には2つの異なるシナリオが考えられるからだ。

 ひとつは「ワニの口が閉じる」シナリオだ。売出価格が引き下げられて成約価格に近づき、ワニの口が縮小する。売り手市場への転換を意味するため、買い手にとっては値引き交渉の余地が縮まる前に動くべきタイミングだ。

 もうひとつは「ワニ自体が下を向く」シナリオだ。売出価格も成約価格も両方が下落していく値下がり相場への移行である。この場合、今より安い価格で購入できる可能性があるため、買い手は焦らずに成約価格の底を見極めてから動くのが得策ということになる。

 現時点では2026年2月に売出・成約価格ともに下落に転じており、どちらのシナリオに向かうのかはまだ見えていない。

 売り手は競合物件に先んじて価格を引き下げ、早期成約を目指す戦略が現実的だ。買い手は市場の方向性を見極めながら、だらだらと待ち続けるのではなく、底値の兆しを確認したうえで思い切った決断をすることが求められる。

 中古マンション市場に変化が起き始めている現在、このワニの口の見極めが重要になってきそうだ。

【毎月更新中】>>東京都の中古マンション価格推移をエリアごとに解説!

中古マンションランキングINDEX
おすすめ記事はこちら 
【購入】中古マンションを選ぶ際の注意点
【購入】物件見学時のポイント
【購入】登記簿に関する注意点
【売却】不動産一括査定サイト33社比較
【売却】マンションを高く売る方法
【売却】マンション売却の税金
マンション売却におすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら↓
◆SUUMO(スーモ)売却査定
特徴 圧倒的な知名度を誇るSUUMOによる一括査定サービス
・主要大手不動産会社から地元に強い不動産会社まで2000社以上が登録
電話番号の登録は任意なのでしつこい営業電話を避けられる
対応物件 マンション、戸建て、土地
紹介会社数 10社(主要一括査定サイトで最多)
運営会社 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証プライム子会社)
>>SUUMO(スーモ)の詳細記事はこちら
SUUMO(スーモ)無料査定はこちら >>
◆HOME4U(ホームフォーユー)
home4u
特徴 悪質な不動産会社はパトロールにより排除している
・20年以上の運営歴があり信頼性が高い
・2500社以上の提携会社から最大6社の査定が無料で受け取れる
対応物件 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
紹介会社数 最大6社
運営会社 NTTデータ・ウィズ(東証プライム子会社)
>>HOME4Uの詳細記事はこちら
HOME4U無料査定はこちら >>
◆ズバット不動産売却
特徴 厳選した不動産会社のみと提携
比較サイト運営歴20年以上の会社が運営
・情報セキュリティマネジメントシステムの国際認証基準である「ISO27001」の認証を取得しており安心感あり
対応物件 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟ビル
紹介会社数 最大6社
運営会社 ウェブクルー
ズバット不動産売却無料査定はこちら >>
◆イエウール
特徴

掲載企業一覧を掲載、各社のアピールポイントも閲覧可能
2600社以上の不動産会社と提携
・対応可能な不動産の種類が多い

対応物件 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
紹介会社数 最大6社
運営会社 Speee
>>イエウールの詳細記事はこちら
イエウール無料査定はこちら >>
◆LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)
特徴

日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営
4900社以上の不動産会社と提携
匿名査定も可能で安心

対応物件 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
紹介会社数 最大6社
運営会社 LIFULL(東証プライム)
>>LIFULL HOME'Sの詳細記事はこちら
LIFULL HOME'S無料査定はこちら >>
◆マンションナビ
特徴

マンションの売却に特化
・賃貸用の査定も可能
・2500社の不動産会社と提携

対応物件 マンション
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
運営会社 マンションリサーチ
>>マンションナビの詳細記事はこちら
マンションナビ無料査定はこちら >>
◆いえカツLIFE
特徴

・対応可能な不動産の種類がトップクラス

共有持ち分でも相談可能
訳あり物件(再建築不可物件、借地権、底地権など)の査定も対応

対応物件 分譲マンション、一戸建て、土地、一棟アパート・マンション・ビル、投資マンション、区分所有ビル(1室)、店舗、工場、倉庫、農地、再建築不可物件、借地権、底地権
紹介会社数 最大6社(売買2社、買取2社、リースバック2社)
運営会社 サムライ・アドウェイズ(上場子会社)
>>いえカツLIFEの詳細記事はこちら
いえカツLIFE無料査定はこちら >>

 

一括査定サイトと合わせて
利用したい査定サイト

◆「SREリアルティ」不動産査定
特徴 ・片手仲介なので、両手仲介・囲い込みを行わない
・東証プライム上場企業のソニーグループの関連会社が運営
・売却専門の担当者がマンツーマンで高値売却をサポート
対応物件 マンション、戸建て、土地(建物付きを含む)、収益用不動産
対応エリア 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、京都府
運営会社 SREホールディングス株式会社
>>SRE不動産の詳細記事はこちら
60秒で簡単入力!「囲い込み」を行わない不動産会社
◆中古マンション相場と10年後の価格を予想!【不動産価格データベース】 
TOP