【東京都中古マンション価格推移】9月の成約価格は2カ月連続マイナス! 売出価格はプラスでワニの口が広がる【完全版】

【東京都中古マンション価格推移】9月の成約価格は2カ月連続マイナス! 売出価格はプラスでワニの口が広がる【完全版】
2026年10月15日公開(2026年10月14日更新)
服部盛昭:株式会社R-Scope 不動産ライター

 以下は2026年8月版の記事です。

東京都のマンション価格推移の概要

東京 マンション価格推移成約価格売出価格5000万円6000万円7000万円8000万円9000万円1億円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/427/727/8

 2026年8月の東京都全体の成約価格は6826万円(前年比-0.4%、前月比-2.5%)、成約件数は1562件(前年比-18.7%、前月比-16.2%)、売出価格は8955万円(前年比-16.9%、前月比--2.4%)だった。

 特筆すべきは、6エリアすべてで成約件数が前年比・前月比とも同時にマイナスとなり、過去1年でもっとも少ない取引件数となった点だ。住宅ローン金利の先高観や、㎡単価・成約価格の水準の高止まりなどが影響しているのかもしれない。価格の重さそのものが購入判断を鈍らせ、様子見に回る動きが強まっている可能性がある。

 在庫件数は2万8082件(前年比+21.3%、前月比+3.5%)で8カ月連続の増加となった。一方、在庫㎡単価は173.99万円/㎡(前年比+21.8%)で前月比はわずかに-0.3%と、単価面では上昇に一服感がみられる。

 ただし高水準の在庫が需給を緩め続けていることに変わりはない。エリアによって在庫の増え方や、売出価格と成約価格の差(いわゆる「ワニの口」)の広がり方に違いが出ている点は引き続き注目したい。

都心3区:成約価格は1億4175万円(前年比+4.5%、前月比+8.2%)

東京都心3区 マンション価格推移成約価格売出価格9000万円1億円1億1000万円1億2000万円1億3000万円1億4000万円1億5000万円1億6000万円1億7000万円1億8000万円1億9000万円2億円2億1000万円2億2000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/427/727/8

 千代田区・中央区・港区の都心3区は、8月の成約価格が1億4175万円(前年比+4.5%、前月比+8.2%)となり、3カ月連続で上昇した。成約㎡単価は246.81万円/㎡(前年比+4.1%、前月比+3.2%)、専有面積は57.43㎡(前年比+0.3%、前月比+4.9%)とそろって伸び、価格・単価・面積のすべてが上向いた。

 一方で、成約件数は154件(前年比-38.9%、前月比-32.5%)にとどまり、この1年(2025年8月~2026年8月)で最低となった。これより少ないのは、新型コロナによる1回目の緊急事態宣言が発出された2020年4月の98件であり、いかに低水準かがわかる。

 成約件数がこれだけ絞られる中で価格・単価・面積がそろって上振れしているのは、少数の高額・大型物件が成約全体の平均を押し上げていると見るのが自然で、市場そのものが上向いたとは言い切れない。

 在庫件数は5197件(前年比+58.1%、前月比+5.2%)で6エリアの中でもっとも高い増加率となり、在庫の膨張に歯止めがかかっていない。

 一方で売出価格(新規登録価格)は1億8977万円(前年比+0.4%、前月比-6.1%)とやや弱含んでおり、成約価格との差は4802万円まで縮小した。6月の7212万円、7月の7113万円から一気に2000万円以上縮まった計算になる。

 在庫が積み上がる中で売主側の強気な価格設定にもやや調整が入り始めている可能性があり、成約件数の急減とあわせて、都心3区の需給バランスに変化の兆しが出ていると見ることもできそうだ。

城東地区:成約価格は5996万円(前年比+3.2%、前月比+4.1%)

東京東部(城東地区) マンション価格推移成約価格売出価格4000万円5000万円6000万円7000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/427/727/8

 台東区・江東区・江戸川区・墨田区・葛飾区・足立区・荒川区の城東地区は、8月の成約価格が5996万円(前年比+3.2%、前月比+4.1%)となった。成約件数は359件(前年比-20.8%、前月比-16.3%)と減少幅が大きく拡大しており、これまで比較的減少幅の小さかった城東でも失速が鮮明になってきた。

 成約㎡単価は100.66万円/㎡(前年比+2.3%、前月比+0.7%)で、100万円/㎡台を維持している。ここで目立つのが在庫との価格差だ。在庫㎡単価は118.23万円/㎡(前年比+19.5%、前月比+0.2%)まで上昇しており、成約㎡単価との開きは17.57万円/㎡に達する。

 売出価格も6344万円(前年比+18.9%)で、成約価格との差は348万円とほかのエリアに比べて絶対額は小さいものの、在庫件数は5418件(前年比+14.3%)と6エリアの中でもっとも件数が多く、在庫の「高値化」が静かに進行している点は見逃せない。

城南地区:成約価格は6995万円(前年比-6.1%、前月比-11.5%)

東京南部(城南地区) マンション価格推移成約価格売出価格4000万円5000万円6000万円7000万円8000万円9000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/427/727/8

 品川区・大田区・目黒区・世田谷区の城南地区は、8月の成約価格が6995万円(前年比-6.1%、前月比-11.5%)と、6エリアの中でもっとも大きな下げ幅となった。7月は専有面積の拡大(59.07㎡、前年比+3.7%)を伴って成約価格が7905万円(前年比+12.9%、前月比+8.5%)まで押し上げられたが、8月は専有面積が54.47㎡(前年比-7.6%、前月比-7.8%)へと縮小し、価格もそれに連動する形で反落した。

 成約件数は280件(前年比-21.1%、前月比-13.3%)で、6月・7月に続き3カ月連続の二桁減となった。一方で売出価格は7942万円(前年比+26.0%、前月比-2.8%)と強気な傾向が続いており、成約価格との差は7月の263万円から8月は947万円へ拡大した。

 成約件数が絞られるなかで、売り出し側の強気な価格設定と、実際に取引される物件の質のブレが同時に起きており、城南地区は6エリアの中でもっとも振れ幅の大きい相場展開になっている。

城北地区:成約価格は6078万円(前年比+12.5%、前月比+2.5%)

東京北部(城北地区) マンション価格推移成約価格売出価格3000万円4000万円5000万円6000万円7000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/427/727/8

文京区・豊島区・北区・板橋区・練馬区の城北地区の9月の成約価格は5621万円(前年比-3.2%、前月比-7.5%)となり、2025年9月以降、13カ月ぶりに前年同月を下回った。一方、㎡単価は107.46万円(前年比+3.9%、前月比-1.9%)と前年を上回っている。成約物件の平均専有面積が52.31㎡(前年比-6.8%、前月比-5.8%)と、6エリアでもっとも大きく縮小したことが、成約価格を押し下げた主な要因とみられる。売出価格は5573万円(前年比+14.8%、前月比-6.2%)となり、成約価格が売出価格を48万円上回った。ただし、売出物件の平均専有面積は47.27㎡と、成約物件より約5㎡狭い。売出㎡単価は117.91万円で、成約㎡単価の107.46万円を10.45万円上回っており、面積当たりの価格では売出物件の方が約9.7%高い水準にある。成約件数は264件(前年比-23.5%、前月比+1.9%)となった。前年同月からは減少したものの、減少幅は6エリアでもっとも小さく、前月比ではわずかに増加している。成約価格が売出価格を上回った背景には、両者の専有面積の違いがあると考えられる。成約㎡単価は前年を上回っており、価格水準が大きく崩れているわけではないものの、前月比では下落している。売出㎡単価との開きも残っており、今後は売り手の希望価格と実際の成約水準がどのように変化するかが注目される。

城西地区:成約価格は7760万円(前年比+8.9%、前月比-5.7%)

東京西部(城西地区) マンション価格推移成約価格売出価格5000万円6000万円7000万円8000万円9000万円1億円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/427/727/8

 新宿区・渋谷区・杉並区・中野区の城西地区は、8月の成約価格が7760万円(前年比+8.9%、前月比-5.7%)となった。成約件数は213件(前年比-15.8%、前月比-12.7%)で、6月-17.2%、7月-23.3%からは減少幅がやや縮んだものの、依然として二桁減が続いている。

 もっとも際立つのが在庫の高値化だ。在庫㎡単価は200.34万円/㎡(前年比+14.1%、前月比-0.1%)と、7月に突破した200万円/㎡の大台を8月も維持した。成約㎡単価153.01万円/㎡との差は47.33万円/㎡に達し、7月時点の43万円/㎡台からさらに拡大している。売出価格(9461万円、前年比+7.5%、前月比+0.6%)と成約価格の差も1701万円まで広がった。

 また、成約件数の減少が続くなかで、在庫件数の伸び率が加速している。在庫件数は4961件(前年比+23.4%、前月比+3.0%)で、この1年(2025年8月~2026年8月)でもっとも高い伸び率となっており、在庫の積み上がりに歯止めがかかる気配はない。在庫㎡単価の高値化とあわせて、城西地区は6エリアの中でも需給の緩みがもっとも進んでいるエリアのひとつと言えそうだ。

多摩地区:成約価格は3844万円(前年比+8.8%、前月比+1.3%)

東京都(多摩地区) マンション価格推移成約価格売出価格3000万円4000万円5000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/427/727/8

 多摩地区(八王子市・立川市・武蔵野市・調布市など)は、8月の成約価格が3844万円(前年比+8.8%、前月比+1.3%)となった。専有面積は64.17㎡で、6エリアの中で依然としてもっとも広く、都区部と比べた広さの優位性が実需層を引きつけている様子はこれまでと変わらない。

 成約件数が297件(前年比-9.5%、前月比-16.1%)と、この1年でみても唯一300件を割り込んだことには注目したい。都心部で先行していた需要減速が、比較的堅調だった郊外エリアにも及び始めている可能性がある。

 一方で供給面では、在庫件数が3458件(前年比-5.5%、前月比+3.5%)と、6エリアの中で唯一在庫が前年を下回っている。新規登録件数も1099件(前年比-3.4%、前月比-5.8%)と細っており、供給の絞り込みが続いている。

 在庫㎡単価(59.95万円/㎡)と成約㎡単価(59.90万円/㎡)の差はわずか0.05万円/㎡とほぼゼロで、6エリアの中でもっとも「売出価格と成約価格の実勢が近い」市場になっている。都心部で在庫の高値化と成約価格の乖離が広がる一方、多摩地区は供給が絞られながらも相場観のズレが小さい、対照的な値動きを見せている。

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