9月の東京都の中古マンション価格・市況は、成約価格6728万円で2カ月連続の前年割れ! 売出価格は上昇でワニの口が再度広がる

9月の東京都の中古マンション価格・市況は、成約価格6728万円で2カ月連続の前年割れ! 売出価格は上昇でワニの口が再度広がる
2026年10月15日公開(2026年10月15日更新)
服部盛昭:株式会社R-Scope 不動産ライター

東京都の中古マンション市場は、都心3区・城東・城南・城北・城西・多摩の6エリアで需給の動きが異なり、同じ東京都でもエリアごとに違う顔を見せている。本記事では、2026年9月度の最新データをもとに、「売出価格」と「成約価格」の推移を確認し、エリア別の最新動向を解説する。
※本記事のグラフ、データは東日本不動産流通機構「月例速報マーケットウォッチ」をもとに編集部が作成。(画像出典:PIXTA)

東京都のマンション価格推移の概要

 2026年9月の東京都全体の成約価格は6728万円(前年比-3.3%、前月比-1.4%)、成約件数は1699件(前年比-30.1%、前月比+8.8%)、売出価格は8999万円(前年比+11.3%、前月比+0.5%)だった。

 成約件数の前年比-30.1%は、過去1年(2025年10月~2026年9月)でもっとも大きな減少率で、さかのぼるとコロナ禍で最初の緊急事態宣言が発令された2020年5月の-37.6%(成約件数882件)ぶりの数字だ。

 成約件数はエリア別でも6エリアすべてが前年比マイナスとなったが、前月比では、8月(1562件)が過去1年でもっとも少なかったこともあり、6エリアすべてで増加している。ただし9月の1699件は、8月に次ぐ過去1年で2番目の低水準だ。

 成約価格は8月(前年比-0.4%)に続いて2カ月連続で前年を下回った。売出価格の前年比プラス幅は、4月の+26.1%から9月の+11.3%まで縮小が続いている。それでも成約価格との差は2271万円と、8月(2129万円)から142万円広がっている。売主の価格目線は上昇ペースが鈍ってきているが、金利上昇などの影響もあり、買い手の予算との開きは埋まっていない。

 在庫件数は2万9785件(前年比+30.7%、前月比+6.1%)で、前年比では9カ月連続の増加となった。前年比の伸び率は8月の+21.3%から9.4ポイント拡大している。在庫は積み上がる一方で売出価格には頭打ちの兆しが出ており、エリアごとに売り手の動き方に違いが出てきた。

都心3区:成約価格は1億3132万円(前年比+1.4%、前月比-7.4%)

 千代田区・中央区・港区の都心3区の9月の成約価格は1億3132万円(前年比+1.4%、前月比-7.4%)だった。前年比ではプラスを維持したが、これは成約物件の平均専有面積が56.81㎡(前年比+3.0%)と拡大した影響が大きい。㎡単価は231.17万円(前年比-1.6%、前月比-6.3%)と、前年・前月のいずれも下回った。

 一方、売出価格は1億9499万円(前年比-0.4%、前月比+2.8%)と高水準を維持している。成約価格との差は6367万円に達し、8月の4802万円から1カ月で1565万円拡大した。売り手の希望価格と実際の成約価格の開きが目立つ。

 在庫件数は5537件(前年比+64.8%、前月比+6.5%)と、6エリアでもっとも高い増加率だった。一方、成約件数は176件(前年比-39.3%、前月比+14.3%)にとどまり、前年比の減少幅は6エリアで最大となった。在庫件数は月間成約件数の約31.5倍に相当し、売出物件の積み上がりが続いている。

 売出価格が高止まりする一方、成約物件の㎡単価は下落しており、売り手と買い手の価格認識に隔たりがみられる。成約価格の前年比プラスも、専有面積の拡大による影響が大きく、価格水準そのものが上昇しているとは言い切れない。

 今後も在庫の増加が続けば、成約価格や㎡単価に下押し圧力がかかる可能性がある。ただし、月間成約件数は176件と限られるため、物件構成による月ごとの変動にも注意が必要だ。

城東地区:成約価格は5991万円(前年比-1.8%、前月比-0.1%)

 台東区・江東区・江戸川区・墨田区・葛飾区・足立区・荒川区の城東地区の9月の成約価格は5991万円(前年比-1.8%、前月比-0.1%)となり、5月以来4カ月ぶりに前年同月を下回った。一方、㎡単価は102.75万円(前年比+0.9%、前月比+2.1%)と上昇している。成約物件の平均専有面積が58.31㎡(前年比-2.7%)に縮小したことに加え、平均築年数も25.26年と前年同月の22.39年から2.87年古くなっており、物件構成の変化が成約価格に影響したとみられる。

 特に目立つのが在庫の増加だ。在庫件数は5835件(前年比+27.0%、前月比+7.7%)と6エリアでもっとも多く、前年比の増加率も8月の+14.3%から拡大した。売出物件の積み上がりが加速している。

 一方、売出価格は6253万円(前年比+14.6%、前月比-1.4%)と、前年を大きく上回るものの、前月からは下落した。成約価格との差は262万円となり、8月の348万円から86万円縮小している。売出価格には前月比で調整の動きがみられる。

 成約価格は前年割れとなったものの、㎡単価は上昇しており、現時点で相場全体が下落に転じたとは言い切れない。ただし、在庫の増加が続くなかで売出価格の引き下げが広がれば、成約価格にも下押し圧力がかかる可能性がある。今後は在庫の動向に加え、売出価格の調整が成約価格や㎡単価にどの程度波及するかが注目される。

多摩地区:成約価格は3740万円(前年比-5.2%、前月比-2.7%)

 多摩地区(八王子市・立川市・武蔵野市・調布市など)の9月の成約価格は3740万円(前年比-5.2%、前月比-2.7%)で、前年比は8月のプラスからマイナスに転じた。総額の下落が㎡単価(-5.7%)より小さいのは、専有面積が67.63㎡(前年比+0.5%、前月比+5.4%)と6エリアでもっとも広かったためだ。㎡単価は55.29万円(前年比-5.7%、前月比-7.7%)と、前月比では6エリア最大の下落となった。

 もう一つの特徴は在庫の少なさだ。在庫は3578件(前年比+1.2%、前月比+3.5%)と、他の5エリアが+27.0%~+64.8%のなかで一桁台にとどまる。8月は在庫の㎡単価と成約の㎡単価がほぼ一致していたが、9月は在庫60.64万円に対して成約55.29万円と、5.35万円の差が開いた。在庫が増えにくい多摩地区では、売り手もある程度強気のようだ。

 売出価格は3864万円(前年比+9.3%、前月比+3.7%)で、僅かにだが買い手との価格目線の差が再び開いた状況が考えられる。成約件数は314件(前年比-28.0%、前月比+5.7%)と少ないエリアのため、単価の下落が続くかは10月以降のデータで確認したい。

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