東京メトロ有楽町線延伸で「(仮称)千石駅」が誕生! 今ならまだ安くマンションが買える注目エリアを解説

2025年6月10日公開(2025年6月10日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

鉄道の新線や新駅の計画は、周辺の不動産相場に大きな影響を与える。マンション価格も新線などによって値上がりが期待される。首都圏では、2030年代の開業を目指して東京メトロ有楽町線の延伸工事が進められ、沿線エリアの価格上昇が始まっている。そのなかで、まだ買い時感があるのは江東区内の千石周辺である。 (住宅ジャーナリスト・山下和之)

新線計画で動く不動産価格のタイミング

江東区千石、有楽町線延伸の予定地、東京都江東区東陽6丁目の眺め(出典:PIXTA)
江東区千石。東京メトロ有楽町線延伸の予定地、東京都江東区東陽6丁目近辺の眺め(出典:PIXTA)

 鉄道の新線や新駅の開設はエリアの交通利便性を高め、周辺の開発計画が進む。それに合わせて商業施設や各種公共施設、新規にマンションが建設されるようになる。周辺の土地が買われ、地価をはじめとする不動産価格が上がり始め、同時に中古マンションの相場も上昇を始める。
 
 中古マンションの価格が上がり、周辺相場を押し上げ、新たに建設される新築マンションの価格もそれまでの相場から一段階、二段階と高くなってしまう。計画が表面化した段階からそうした変化が起こるので、実際に工事が始まってからでは高くなってしまっている。

(仮称)千石駅は開業前が買い時の理由

 相場の上昇には、次の四段階がある。

1.計画が水面下で噂となるなど、話題になり始める
2.計画が正式に認可され、工事が始まる
3.開業が目前に迫り、利便性向上などが具体的に見えるようになる
4.実際に開業して利便性が高まり、エリアの活性化が始まる

 新線や新駅の開業による資産価値の高まりを期待するのであれば、最も初期の1の段階で取得しておけば、その後の何段階かの値上がりを享受できる可能性が高い。しかし、この場合、開業まで20年、30年の期間がかかり、長い間不便な生活を強いられることになる。逆に3、4の段階になると、開業までの期間は短くなるものの、すでにかなり高くなってしまっているのでメリットは小さい。

 それだけに2の段階であれば、開業時期が明確になり、まだまだ値上がりを期待できると同時に、完成までの変化を目の当たりにすることができるという楽しみもある。とくに若い世代なら資産価値の向上を目の当たりにすることができる。
 
 東京メトロ有楽町線の延伸工事の場合、2022年に鉄道事業の許可申請が出され、同年に許可が下りた。2024年に都市計画の決定が公示され、2025年から工事が開始、2030年代半ばの開業を目指している。それに合わせて江東区では、ホームページで「地下鉄8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)」を、地域の方々と行政等が、沿線地域の将来像を共有し、一体となってまちづくりを進めていきます、と方針を掲げた。まさに2の段階であり、本格的なエリア開発が始まるタイミングだ。今なら発展の過程を見守ることができるだろう。

東京メトロ有楽町線の延伸で鉄道空白地帯が解消

 有楽町線の延伸計画は下の図のようになっている。

有楽町線の延伸計画

 現在の東京メトロ有楽町線は、和光市駅から新木場駅までを結んでいるが、今後は豊洲駅から分岐して、東京メトロ半蔵門線住吉駅までつなげる計画が進んでいる。その間には東京メトロ東西線の東陽町駅を経由しながら新たに以下の2駅が設置される予定だ。

・枝川駅(仮称)豊洲駅と東陽町駅の間
・千石駅(仮称)東陽町駅と住吉駅との間

 新駅が設置される枝川、千石エリアはともに鉄道空白地帯であり、都心に出るためには、都営地下鉄新宿線・東京メトロ東西線の住吉駅や東京メトロ東西線の東陽町駅まで十数分歩く必要があった。
 
 しかも東京メトロ東西線は混雑が激しく、通勤ストレスも大きいのが実情。江東区ではこうした課題を受け、今回の延伸計画により鉄道空白地帯が解消されると期待を寄せている。
 
 新線によって東京メトロ有楽町線沿いの有楽町や飯田橋などの都心部へのアクセスが飛躍的に向上することになる。現状ではまだ直結していないので、都心へ近いわりには、マンションの価格が安くなっているのも魅力ではないだろうか。

千石エリアの中古マンションはまだ安価

 新線でつながる5つの駅の中でも既存3駅のマンションの価格は高騰しており、とくにタワーマンションが集中する豊洲は、高額物件に押し上げられて超高価格帯になっている。

 リクルート「SUUMOの東京都の中古マンション相場を見ると2025年2月の専有面積60㎡から80㎡の中古マンション価格の中央値(※)は1億980万円と億ションが中心になっているほどだ。
 
 住吉や東陽町はそれほどではないものの、それでも中央値は5,000万円台、6,000万円台となっている。

 それに対して不動産仲介会社のランドクリエイトの調査によると、千石エリアで最近取り引きされた中古マンションの価格帯は1,500万円から6,500万円で、平均価格は3,795万円となっている。豊洲とは比べるまでもなく、住吉や東陽町に比べてもいまならかなり安価で買えそうだ。

※中央値とは、物件価格を安い順に並べたとき、真ん中に位置する価格のことです。平均値と違って、極端に高い・安い物件の影響を受けにくく、実態に近い相場を把握しやすい指標とされています。

千石エリアは下町情緒が漂う暮らしやすい場所

 では、その千石エリアは一体どんな街なのだろうか。

 千石エリアは、遊歩道や親水公園が多く存在するおだやかな雰囲気の住宅街。それも庶民的で親しみやすさを感じる街並みが広がっていて、下町情緒が漂う、初めての人でも馴染みやすい土地柄である。

 大規模な商業施設はないものの、個人商店が多く存在し、徒歩10分ほどの場所には砂町銀座商店街がある。700mほどの細い通りに商店がひしめき合い、活気にあふれている。生鮮食品から各種の惣菜までが揃い、大規模な商業施設にはないあじわいがある。馴染の店ができれば日常的に会話できるようになり、日々の買い物も楽しくなるであろう。

砂町銀座商店街
砂町銀座商店街(出典:PIXTA)

 現在、江東区では、新駅の開業に向けて周辺開発の計画を進めており、新駅周辺に必要な施設を設けるための準備を始めており、駅周辺の利便性の向上が進むことになる。

 もう少し視野を広げると、千石エリアの西には木場公園が広がり、豊かな緑、テニスコートなどがある。その北側には東京都現代美術館があり、時間があるときには運動がてら散歩をしたり、芸術にいそしむこともできる。

とくに「(仮称)千石駅」予定地の東側エリアは割安感がある

 マンション情報サイト「マンションナビ」を運営するマンションリサーチは、有楽町線の延伸がマンション市場に与える影響についての「中古マンションレポート」をまとめている。
 
 同レポートによると、「建設予定の『千石駅』の西側は2024年においても、価格の高騰がみられるのに対し、東側はむしろ横ばいもしくは下落しています。一方で新駅ができることで周辺エリアのニーズが高まるので、むしろ東側の駅近は、将来性を見ると割安になると考えられます」としている。


千石二丁目付近(出典:PIXTA)


  新駅(仮称)千石駅予定地の東側には都営アパート、大規模な中古マンションがあり、簡単に再開発しにくいのが現実だが、中小規模のマンションや戸建て住宅も点在しているので、新駅の開業に向けて再開発の機運が高まってくるのではないだろうか。

バスで都心直通、千石エリアの今が狙い目

 ここで取り上げた千石エリアについては、地下鉄の最寄り駅まで多少距離があるものの、千石エリアを南北に貫く四ツ目通りには、東京駅と錦糸町をつなぐ都バスが走っていて、運行本数も多く、丸の内、大手町、八重洲などに勤務先がある人はかえって便利かもしれない。東京駅からは各方面に乗り継ぐことができるので、さほど不便さはないだろう。

まとめ

 今後の再開発や利便性の向上を見据えると、千石駅予定地の東側エリアは、いまなお価格が落ち着いている“割安で将来性のあるエリア”と言える。新駅開業による資産価値の上昇を期待しながら、落ち着いた住環境や暮らしやすさも手に入れられる点で、今がまさに注目のタイミングだ。

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