上板橋の再開発が注目される訳は?城北運動公園、中央図書館、教育科学館と恵まれた環境にタワマン建設で、不動産価格は上昇へ

2026年8月17日公開(2026年8月15日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

東京都板橋区では、JR板橋駅や東武東上線大山駅など、駅前の大規模な再開発が相次いでいる。なかでも上板橋駅の南口では、駅前一帯を区画整備する規模の再開発が進み、タワーマンションや交通広場の建設が始まっている。今回は、板橋区で再開発が相次ぐ背景と併せて、上板橋駅周辺を実際に歩いて確認した住環境と地域の不動産動向を紹介する。上板橋エリアでの不動産購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてほしい。

半世紀前に開発された街が、再開発の時期を迎えた

 東京都板橋区内で相次ぐ駅前の再開発。JR埼京線の板橋駅、東武東上線の大山駅、同じく上板橋駅。なぜ今、板橋なのか。

 理由は大きく3つある。1つ目は、建物の老朽化。半世紀前に一気に作られた駅前の建物が、揃って建て替えの時期を迎えている。2つ目は、防災。大きな震災の度に耐震性への基準は厳しくなり、古い木造住宅が密集する地域の再整備が急がれている。3つ目は、少子高齢化による人口構成の変化。街に求められる機能そのものが、変わってきたのだ。

 板橋区の街並みの原型ができたのは、高度経済成長期の1970年代。1968年に都営地下鉄6号線(現・都営三田線)が巣鴨から志村(現・高島平)間で開業、沿線各地の宅地化や高島平団地の建設といった大規模な開発が進んだ。マイカーの普及による交通量の増加や、東京へ流れ込む物量ラインの拡大に対応するため、広域にわたって中山道や川越街道が拡幅整備された。

 それから、半世紀。当時の建造物の老朽化、各地で起きた大規模な震災を受けた新耐震法の施行。そして、少子高齢化による区内の人口構成比率の変化。区内で主要駅を基点として相次ぐ市街地再開発事業はこうした時代の変化に対応するものなのである。

JR板橋駅には約130mのタワーマンションが2棟

 まず、JR埼京線の板橋駅。ここでは2つの再開発が動いている。

 1つ目は、駅ホームの西側に隣接する敷地で進む「板橋駅板橋口地区市街地再開発事業※1」である。商業施設・公益施設・住宅が併設する高さ約130m、34階建て(388戸)のタワーマンション「プラウドタワー板橋※2」がすでに着工しており、完成予定は2027年6月。

※1野村不動産、JR東日本「板橋駅板橋口地区市街地再開発事業
※2野村不動産「プラウドタワー板橋

 2つ目は、駅西口前のロータリー西側の敷地で進む「板橋駅西口地区市街地再開発事業」。A街区に商業施設と住宅を併設した高さ約140m、37階建て(約390戸)の超高層ビルが、B街区に6階建ての商業施設ビルが建てられる。完成予定は2029年9月。

※板橋区「板橋駅西口地区市街地再開発事業

大山駅ではタワーマンションの一部がすでに完成

 また、東武東上線の大山駅でも、再開発が進んでいる。

 駅西口のハッピーロード商店街を西へ進んだ、商業地と住宅地が混在する敷地での「大山町クロスポイント周辺地区第一種市街地再開発事業※1」。A街区に高さ約92m、26階建て(約239戸)「シティータワーズ板橋大山/ノースタワー※2」、B街区に高さ約31m、8階建て(約18戸)、C街区に高さ約19m、3階建ての商業施設、D街区に高さ約94m、25階建て(約88戸)「シティータワーズ板橋大山/サウスタワー※2」が建てられ、2024年12月にすべての建築工事が完了している。

※1板橋区「大山町クロスポイント周辺地区第一種市街地再開発事業
※2住友不動産「シティータワーズ板橋大山

 さらにその西側、川越街道に接する敷地では、「大山町ピッコロ・スクエア周辺地区第一種市街地再開発事業」が進行中である。高さ約107m、28階建てのタワーマンションが2棟(約324戸・約247戸)建てられ、完成予定は2033年12月である。

※板橋区「大山町ピッコロ・スクエア周辺地区第一種市街地再開発事業

上板橋駅の再開発は「防災」が最大の目的

 そして、東武東上線の上板橋駅である。現在進んでいる「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業」は、2004年11月15日に決定した。

※板橋区「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業」 

 最大の目的は、防災である。駅の南側には、旧川越街道やその脇道沿いに古い木造住宅が密集し、1971年に改築された旧駅舎をはじめ、老朽化した家屋やビルが残っていた。地震や火災に弱いこのエリアを整備し、安全な街に作り替えることで、防災面が改善されることになる。 

 交通の便も大きく変わる。これまで駅周辺のバスは、北口側駅前の国際興業バスの王子駅行きのみだった。再開発により、南街区に接する川越街道から駅南口前までの道路が整備され、南口駅前にバスが乗り入れるようになり、新たな交通網が広がる。なにより、自動車・自転車・歩行者の動線が分けられ、通勤・通学時間帯の駅前の混雑も解消されることである。

敷地は4つの街区に分かれ、交通広場もできる

 事業計画では、上板橋駅南口駅前から川越街道へ至る約2万2,000㎡の敷地を、東地区(約1万7000㎡)と西地区(約5,000㎡)に分ける。東地区はさらに東街区、中街区、南街区に分けられ、西地区の西街区と合わせて、4つの街区にゾーニングされる。

上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業街区図(出典・板橋区「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業について」)

 東地区の西側には、交通広場(3,900㎡)が新設される。バスやタクシーのロータリーが設けられ、この広場から改札口のある駅構内2階へつながるエレベーターデッキが架けられる。また、広場の地下は上板橋駅南口駐輪場になる。

シティタワーズ上板橋イースト/セントラル完成予想図

 東街区と中街区に建つのが、住居と商業施設からなる「シティタワーズ上板橋イースト/セントラル」である。東街区のイースト棟(26階建て、約313戸。完成予定2028年5月中旬)からは、駅2階の改札口に直結するペデストリアンデッキ(空中回廊)が設置される。中街区のセントラル棟(19階建て、約112戸。完成予定2027年9月)は、すでに着工している。

※住友不動産「シティタワーズ上板橋イースト/セントラル

 さらに、南街区にも商業施設の建設が予定されている。残る西街区でも、2021年に西地区市街地再開発準備組合が設立され、2024年1月10日付で市街地再開発事業の施行地区となる公告がなされている

※板橋区「西地区市街地再開発準備組合

もとは江戸と川越を結ぶ街道の宿場町だった

 ここで少し閑話休題。皆さまは、「上板橋」という駅名の由来をご存じだろうか。

 駅の南口から南へ進むと川越街道と交差し、その手前には旧川越街道が並行して延びている。川越は江戸時代、「江戸の北の守り」として軍事および経済の両面で幕府を支えた地である。新河岸川の水運や川越街道を通じて江戸と結ばれ、江戸の文化や物資が直接流れ込んでいた。明治維新の後は、この地理的な役割を担うべく、日本に導入されたばかりの鉄道を敷設しようと、幾多の鉄道会社が事業に取り組んできた。
 
 上板橋駅の開業は1914年(大正3年)。数々の統廃合を経て、現在は東武東上線の駅となっている。駅名の由来は旧川越街道の上板橋宿とされているが、宿場そのものは板橋区弥生町のあたり、同線のときわ台駅と中板橋駅の間に位置していた。

上板橋駅付近の高架化は調査の段階 

 一方で、残された課題もある。踏切である。

 今回の再開発で駅前は大きく変わるが、上板橋駅そのものが高架になるわけではない。線路は地上を走ったままで、駅の南北は当面、分断された状態が続くことになる。

 先行したのは大山駅だ。大山駅を中心とする約1.6kmの区間で線路を高架化し、道路と連続的に立体交差させる事業が都市計画事業として認可され、2021年12月に告示された。完成予定は2031年。

 これに対して、ときわ台駅から上板橋駅付近は、まだ「検討対象」の段階だ。板橋区内の東武東上線全線の立体化を将来的に見据えた調査は進められているが、上板橋駅付近の高架化が実現するかどうかは、現時点では決まっていない。

出典:板橋区「東武東上線の立体化と踏切について」、「東武東上線大山駅付近の連続立体交差事業等

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