【不動産売却の失敗例】「高い査定額の会社を選ぶ」「多数の会社に依頼する」など、3つのケースを紹介!

2023年8月12日公開(2023年8月10日更新)
梶本幸治:株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長

今回は実際にあった「不動産売却の失敗例」について3つのケースをご紹介いたします。大切な資産である不動産の売却で失敗したくないという人は、ぜひ参考にしてください。(株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長 梶本幸治)

不動産売却で実際にあった失敗例

不動産売却で損をしないために失敗例を参考にしよう
不動産売却で損をしないために失敗例を参考にしよう(出所:PIXTA)

 前回のコラムでは「不動産売却の成功例」について紹介しましたが、今回はその逆、不動産売却の失敗例をご紹介いたします。

 前回もお伝えしました通り、不動産を購入する際は物件ありきで商談が進みますが、不動産売却は「どの不動産会社の、どの営業職に担当してもらうか」によって商談の成否が大きく分かれます。

 つまらない営業担当者に捕まったり、優秀な営業担当者をうまく使えなかったりすると、思うような売却活動は難しいでしょう。

 ここでは、そのような不動産売却の失敗事例を3つ紹介いたします。

ケース1
高い査定価格を提示した不動産会社に依頼して失敗

 自宅の売却に際し、まずは価格査定を依頼したいと考えたAさんは、最近話題の不動産一括査定サイトを利用しようと思い立ちました。

 以前、マイカーの売却に際し、車の一括査定を利用したAさんは、会社によって価格に差があったことを思い出し、不動産でも一括査定で一番高値を付けてくれた不動産会社に依頼しようと決めておられたのです。

 不動産一括査定に登録したところ、登録した直後から、Aさんの携帯電話は鳴りっぱなし。どれも不動産一括査定サイトに加盟している不動産会社からの電話です。

 この電話攻勢に関しても以前、車の一括査定サイトを利用した時に経験しているAさんは動揺することなく対応し、6社の話を聞くように手配しました。6社の査定価格・会社特徴・営業担当の説明は次のようなものだったようです。

ア社:2480万円 大手仲介会社 「この価格なら即金で買い手がいます。仲介手数料はいただきますが」

イ社:3185万円 大手仲介会社 「この価格はAIが出した価格ですから間違いないです」

ウ社:2980万円 地元老舗会社 「3000万円を超えての成約は少々難しいかと思います」

エ社:3780万円 地元新興会社 「今、市場は高騰しています!自信があります、任せてください!」

オ社:3060万円 地元個人商店 「3000万円少し上で開始して、3000万円で売りましょう」

カ社:2580万円 大手買取会社 「今、この価格なら弊社が買い取ります。仲介手数料は不要です」

 この回答を聞いたAさんは次のように感じました。

 「どの会社もいろんな理屈はこねているけど、営業はやっぱり自信と勢いだよね。ここは【エ社】一択でしょう!」

 Aさんは、一番高い査定価格を提示した【エ社】と専任媒介契約(不動産売却を1社のみに依頼する契約)を締結し、いよいよ販売がスタートしました。

 約束通りこの不動産会社の営業担当者は、近隣へのチラシ配布やインターネットへの登録などを実施し、その都度詳細な報告を行ってくれました。販売開始後、2週間くらいまでは…。

 販売開始後2週間まではマメに連絡をくれた営業担当者も、それからは1週間に1回「特に動きはありませんが、鋭意販売活動に努力します」とのメールを寄こすだけとなったのです。

 そして、販売開始後3カ月がたとうとする時、久しぶりに営業担当者から掛かってきた電話をとったAさんに対し、電話口で営業担当者は次のように告げました。

 「3780万円でスタートしましたがなかなか売れませんので、この辺で価格を見直しましょう。私も最初は3780万円でも売れるかなと思いましたが、今考えると3000万円くらいかなと思いますので、3050万円くらいに変更しませんか?」

 この話を聞いたAさんは、【エ社】との専任媒介契約解除を即決されました。

 Aさんが以前経験された車の一括査定は基本的に「買取金額査定」ですが、不動産一括査定サイトは基本「仲介金額査定」です(上記の例では【ア社】【カ社】の価格が買取金額です)。

 仲介での査定価格はあくまで「不動産会社が考える売れる価格」です。上記【エ社】のような悪質な不動産会社に引っかかると、とんでもなく高い査定価格で売主様の気を引こうとする場合もあるので注意が必要です。

【関連記事】>>査定価格が高い不動産会社は信頼できる?本当に売れる価格かを確認する方法を解説

ケース2
一般媒介で多数の不動産会社に依頼して失敗

 次は相続した実家の売却を検討されたBさんのお話。ちなみにBさんのご実家は関西、今のお住まいは関東です。

 Bさんも先ほどのAさんと同様に不動産一括査定サイトを利用されましたが、Aさんと異なる点は「基本的に不動産会社を信用していない」という点です(大学卒業後、ずっと不動産業界に身を置いている筆者にとっては寂しい限りですが、残念ながらお気持ちは理解できます)。

 不動産一括査定サイト加盟店の4社から査定書を取り寄せたところ、査定価格は1870万円~2020万円とおおむね同じような価格でしたが、そこは不動産会社を信用していないBさんのこと、提示された査定価格も信用していません。

 4社との間で売り出し価格2480万円の一般媒介契約(不動産売却を複数の不動産会社に依頼する契約)を締結しました。

 販売開始後、4社からはぼちぼち報告が入っていましたが、それも次第に少なくなり、販売開始後1カ月たった頃にはどの不動産会社からも報告は来なくなっていたのです。

 売却物件である実家は関西ですが、現在のお住まいが関東であるBさんにとって現地の様子が全く分からないため、4社に順番に電話をかけてみました。

 するとそろいもそろって全ての不動産会社は「今は具体的な商談は入っていませんが、価格の見直しを行う必要は感じません」とのこと。

 これに気を良くしたBさんは、価格の見直しを行わなかったところ、なんとそれから1年間も売れないまま時間だけが過ぎ去ってしまいました。

 販売開始後1年目に久しぶりに物件である実家を訪れたBさんは、驚きの光景を目にします。販売当初は現地に貼られていた4社の【売り物件看板】は全て撤去され、4社ともが全く販売に力を入れていないことを知りました。

 現地から4社の内の1社にクレームの電話を入れたBさんに対し、営業担当者はこう述べたそうです。

 「こう申し上げては何ですが、販売の責任は他の3社様にもあると思います。これが専任媒介契約なら話も違ってきますが。また、金額に関しましても当社の査定価格はご検討いただけなかった訳で、そのように売主様のご事情ばかりおっしゃられましても…」

 このように、どの不動産会社も積極的に販売活動を行っていなかったことを知ったBさんは愕然とされたそうです。

 不動産会社を信用しないというBさんの方針は、ある程度理解できます。しかし、媒介契約が4社というのは少々多すぎたようです。

 大切な資産である不動産の売却は、信用できる会社を選びたいところです。4社への一般媒介では、自らが悪者を引き受けてでも売主様に「販売の実情」をお伝えしようとする営業担当者がいなかったとしても仕方がないと思われます。

【関連記事】>>専任媒介と一般媒介、不動産の売買契約ではどちらがおすすめ? 特徴やメリットなどを解説!

ケース3
不動産会社の担当者に本音を伝えず失敗

売却理由は正直に伝えたほうがよい
売却理由は正直に伝えたほうがよい(出所:PIXTA)

 次のCさんは、とあるネガティブな売却理由により、所有不動産の現金化を急いでおられました。

 ただし、現金化できればいくらでもよいというものではなく、ある一定以上の金額で売却する必要があるという難しい状況だったのです。

 売却理由がネガティブであることから、多くの不動産会社と話をする必要がある不動産一括査定サイトの利用は見送り、いつも自宅にチラシが入っている不動産会社1社に絞って声をかけることにしました

 Cさんが問い合わせた不動産会社からは、Cさんよりも20歳ほど年下の若手営業担当者がやってきました。

 爽やかな雰囲気のこの営業担当者は、「売主様のご意向に従って販売計画を立案しますので、C様の売却理由をお聞かせいただき、ご希望の売却金額や売却時期をお伝えください」と言ってくれました。

 しかし、自分よりもかなり若い営業担当者にネガティブな理由を伝えるのは少し恥ずかしい気持ちがあり、また、この営業担当者を上手く利用すれば、こちらの手の内を明かさずとも高値で売れるのではないかと考えたCさんは、次にようにリクエストしました。

 「まあ、売れても売れなくてもいいから希望の時期はないけど、できるだけ高く売ってきてよ」

 Cさんのリクエストを受けた営業担当者は査定価格2500万円のところ、販売開始価格を3180万円で販売契約を立案し、この計画に沿ってCさんの不動産は売りに出されました。

 Cさんは本来、ネガティブな理由により不動産の現金化を急いでいました。しかし、不動産営業はCさんの「うそのリクエスト」を受け、「ワンチャンスに賭ける」式の販売計画を立案したのです。

 結局、Cさんの希望時期までに不動産は売れず、Cさんはお金を捻出するため、金融機関や親戚、友人の間を金策に駆け回ることとなったそうです。

 Cさんが自らのネガティブな売却理由を明かし、希望の金額や売却時期を営業担当者に伝えて、きちんとした販売計画を立案してもらっておけば、また違った結果になったのにと思うと残念です。

不動産売却に失敗しないために

 上記のように、実際にあった売却の失敗例は、不動産会社とのコミュニケーション不足に起因するものがほとんどです。

 「不動産会社なんかそう簡単に信用できるか!」とおっしゃる方が多いことも理解しているつもりですが、不動産会社も悪い人ばかりではありません。

 あなたが信用できる不動産会社や不動産営業担当者に出会い、少しでもご希望に近い条件で、所有不動産を売却できるよう願っています。

※2018年から連載を続けさせていただききました私、梶本幸治のコラムも今回で最終回となります。5年強の長きにわたりご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
>>梶本幸治(かじもと・こうじ)氏の「不動産売却」「不動産業界への就職・転職」記事一覧はこちら
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