東京都・中央区で、人気の高い新築マンションが分かる、「新築マンション人気ランキング」を作成した。中央区では、人形町、日本橋、晴海、月島、小伝馬町に人気物件が多く、周辺には明石町などの割安なエリアも存在する。これは、住宅評論家の櫻井幸雄氏が、デベロッパー33社を調査して作ったランキングだ。マンション選びの参考にしよう。(画像)築地駅入り口/出典:PIXTA
中央区の新築マンション市況:新規物件が減り、より特殊性を高めている
山手線沿いに位置し、オフィスや商業施設が集まり、便利さと楽しさを集約した場所が、千代田・中央・港の3区。もともと都心と呼ばれたのは、この3区だった。
純都心の3区である、千代田区・中央区・港区では、2015年以来、新築マンション価格が高騰。3LDKを買おうとすると、1億5000万円以上の予算がないと、恥ずかしくて販売センターに入れない、という状況が生まれてしまった。
販売センターなど、誰でも入れるだろう、と思われがちだが、都心超高級マンションの垣根は恐ろしく高い。
まず、販売センターのあるギャラリーの建物は、中の様子がまるで見えない。そして、建物に入るためには予約が必須。その予約は、基本的に同時間1組だけ。コロナ禍で、来場者の予約時間が重ならないようにしている販売センターが多くなったが、都心超高額マンションは以前から“密回避”である。
その特別な場所、千代田・中央・港の3区では、新規物件がめっきり減ってしまった。
賃貸マンションになるケースが増えているし、販売されても「クローズド(選ばれた人にだけ、販売を案内する方式)」となりやすいからだ。結果、売り手市場であり、価格も「時価(売り手のいうまま)」になってしまう。特別な場所が、一段と特殊性を高めたと言えそうだ。
中央区の新築マンション人気ランキングをすべて掲載
今回は対象となる物件はありませんでした。
>>「パークタワー勝どきミッド/サウス」勝どき駅直結で注目、デメリットは?
>>「DEUX TOURS(ドゥ・トゥール)」「完成売り」物件は本当に買いなのか?
>>「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」潜入レポートで、5000万円台の部屋を発見
>>「MID TOWER GRAND」価格は高いが、中央区では稀な立地条件
◆新築マンション人気ランキング |
中央区のエリア概況(人口、 暮らし、治安)は?
人口 | 16万2025人 | 都内22位 |
人口(2025年の推計) | 20万8684人 ※1 | ― |
世帯数 | 9万1790世帯 | 都内19位 |
人口密度(人/㎢) | 1万5869人/㎢ | 都内14位 |
外国人人口 | 7564人 | 都内22位 |
子ども比率(未就学児童÷総人口) | 8% | ― |
平均所得 | 635万円 ※2 | 都内4位 |
出所:住民基本台帳による東京都の世帯と人口(令和5年)、国際社会保障・人口問題研究所「『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』」、東京都「都内の保育サービスの状況について(令和2年4月1日現在)」、総務省「令和元年度 市町村税課税状況等の調」 |
都内23区のうち、中央区の人口は22位、世帯数は19位である。人口に占める子どもの比率は8%。1km²あたりの人口密度は14位。外国人人口は7564人で22位となっている。
また、中央区発表による最新の将来人口推計(中央区人口ビジョン)は、2026年には20万8684人と20万人を超え、その後も増加が見込まれている。
中央区民の一人当たり平均所得は都内4位である。
犯罪件数 | 2595件 | 都内20位 |
犯罪発生率 | 16.5% | 都内6位 |
出所:出所:警視庁「犯罪発生状況(平成31年)」の刑法犯認知件数、※犯罪発生率は、犯罪件数÷総人口 ×1000 |
治安に関しては、警視庁が発表した2017年の23区中の犯罪件数(刑法犯認知件数)は20番目。犯罪発生率は16.5%で都内6位となる。
中央区は昼夜間人口比率が約500%に達しているため、昼夜間人口の差が大きな区の犯罪発生率は必然的に高くなってしまう。
中央区のマンション相場は?
中央区のマンション相場はどれくらいなのか。中央区のマンションを築年数別でみると、平均価格(70m²換算)は以下のとおりとなっている。
1~3年以内 | - | |
3~5年以内 | 13,203万円 | |
5~10年以内 | 9,775万円 | |
10~15年以内 | 8,772万円 | |
15~20年以内 | 8,446万円 | |
20年以上 | 6,540万円 | |
※出所:住宅情報サイト「ライフルホームズ」 データは2023年4月1日時点。ーはデータなし。 |
また、中央区と周辺の中古マンションの価格相場と比較すると、中央区(7,738万円)に対して、千代田区(11,370万円)、港区(8,699万円)、新宿区(6,598万円)、文京区(6,994万円)、台東区(6,001万円)、墨田区(5,814万円)となっている。
中央区の土地・地盤は?
中央区は1947年、京橋区と日本橋区が合併して誕生。東京23区のほぼ中央に位置する。面積は10.11㎢で都内22位の広さになる。
中央区内はほぼ平坦で、標高は1m〜4m。中央区内で最も標高が高いのは銀座から新橋近辺の標高4m。特に銀座は、地下鉄銀座線工事の際の地質調査で砂洲が堆積した安定した地盤という結果が出ている。中央区の西側は、今では暗渠(あんきょ)化しているが、日本橋、京橋周辺には多数の河川が流れていたため、町や区界はこの河川に沿っていることが多い。東側は江戸時代からの埋め立てによってできてきた地域である。
区内中央には日本の道路網の始点である「日本橋」があり、各道路は碁盤の目のように整備されている。区北西から外堀通り、中央通り、昭和通り、新大橋通り、清澄通りなどが平行に走り、それらと交差するように永代通り、晴海通りなどが走る。JR2路線、地下鉄9路線の鉄道網も道路に沿うように張り巡らされている。
中央区内の主要地域(京橋、日本橋、月島)の特徴・主要施設・町名
●京橋地域(八重洲、銀座、新富町)
中央区の北西部にあたり、八重洲、銀座などオフィス街や商業地があるため、数多くのビルや商業施設が建ち並ぶ。住宅もマンションや団地などの集合住宅が大半である。
かつて多くの人と物が行き来した地域であり、今も日本の商業、ビジネスの中心地として活気にあふれている。一方、美術館や画廊、骨董店も多く、美術の町としての側面も持っている。
碁盤の目状に走る道路に沿うように張り巡らされた地下鉄網で都内へのフットワークも良好である。
八重洲は新たなランドマーク、ツインタワービルグラントウキョウがそびえる東京駅東玄関口に広がる。京橋地域の北側に位置する京橋も数多くのオフィスビルが建ち並ぶ。
銀座には、百貨店や世界のトップブランドの旗艦店が居並ぶ。新富は、多くの行政機関やオフィスビルと中小の商店、住宅が同居。江戸末期外国人居留地であった明石町、入船、湊も近年高層マンションの姿が目立ちはじめている。市場移転を終えた築地は、2020年以降の跡地再開発が計画されている。八丁堀、新川はオフィスビルと住宅地が混在しているが、ここ数年新しいマンションの建設が進んでいる。
●日本橋地域(浜町、人形町、小伝馬町、箱崎町)
中央区の北東部、隅田川に囲まれるて広がる。江戸時代は両替商の町であったため、いまも日本銀行本店や東京証券取引所が立つ一大金融街である。また老舗の百貨店や問屋街が連なり商業地としてのにぎわいも見せている。同地域に数多く見られる「日本橋」を冠した町名は、京橋区と日本橋区が合併して中央区が発足した際の町名変更の名残りである。
江戸五街道の起点として知られる「日本橋」には日本国道路元標が置かれており、同地域も道路、交通網がよく整備されている。
隅田川に面し、明治座や浜町公園など風光明媚な日本橋浜町では、近年高層マンションの建設が進んでいる。かつて木造住宅が広がっていた日本橋箱崎町も、羽田・成田空港等へ向かうリムジンバスのバスターミナルにより街の様相が変わり、いまでは中高層マンションが建ち並ぶ。人形町には、安産・子授けの神様で有名な「水天宮」もある。小伝馬町は、昔からの衣料問屋が立ち並ぶ。
●月島地域(勝どき、豊海町、晴海)
月島地域は明治から大正にかけて行われた東京湾の浚渫工事によってできた埋め立て地。月島1号地、月島2号地、月島3号地、月島4号地と呼ばれていた。隅田川の下流が二股に分かれた中州に、佃や月島、勝どき、豊海町、晴海がある。長く交通路が開かれず移動に不便な地域であったが、2000年に都営大江戸線が開通したことで、臨海部では50階超のタワーマンションが複数建築されるなど、大きく変身を遂げている。
佃煮発祥の地として知られる佃は、1990年頃から超高層マンションを中心とする大規模住宅群「大川端リバーシティ21」の再開発で町の姿が大きく変わった。月島、勝どきは埋め立て地の月島1号地、2号地、3号地にあたり、もんじゃの町として親しまれるが、高層ビルの姿が目立ち、2020年東京オリンピクに向け新橋、四谷、神田に繋がる環状2号線の工事が進められている。
埠頭に冷蔵倉庫が数多く並ぶ豊海町も、タワーマンションを中核とした再開発が進んでいる。
◆新築マンション人気ランキング |