東京都・杉並区で、人気の高い新築マンションが分かる「新築マンション人気ランキング」を作成した。杉並区は、JR中央・総武線の高円寺や西荻窪、京王井の頭線の浜田山、久我山、西武新宿線の下井草、上井草など人気の住宅地が多いが、マンション用地が少なめ。これは、住宅評論家の櫻井幸雄氏が、デベロッパー33社を調査して作ったランキングだ。マンション選びの参考にしよう。(画像)高円寺駅 純情商店街/出典:PIXTA
杉並区の新築マンション市況:「都心に近く、住環境が良い」コロナ渦で良さが見直された
JR中央・総武線と京王井の頭線、そして西武新宿線が交通手段となる杉並区には、高級住宅地が数多い。京王井の頭線沿線では浜田山、久我山があり、JR中央・総武線には高円寺や荻窪、西武新宿線には下井草、上井草がある。
落ち着いた住宅街が広がり、低層、中層のマンションが多くなっている様子は、世田谷区と似ている。
もともと世田谷区と杉並区は、昭和から平成にかけて、都心近接の住宅エリアとして高い人気を誇っていた。その世田谷区と杉並区の人気が落ち始めたのは15年ほど前からだ。
「都心部と変わらないほど住宅価格が上昇した」ことや、「価格が高い割に、さほど便利な場所ではなく、通勤時間帯に電車の混み方がひどい」とされたことなどが人気下落の理由である。エリアの人気低迷にあわせて新築マンションの数も減少していった。
しかし、世田谷区では、2〜3年前からマンション人気が回復。人気物件が目立つようになった。それから1〜2年遅れ、杉並区でも人気物件が出始めた。それはコロナ禍の影響もありそうだ。都心部に近く、住環境が良い……世田谷区と杉並区が備えていた本来の良さがコロナ禍で見直されたわけだ。
杉並区は土地の値段が高く、マンションの分譲価格も高額になりがち。それでも、高額化した都心マンションと比べると、割安感を感じるようになった。それも、杉並区でマンション人気が上昇している理由と考えられる。
【関連記事】>>世田谷区の「新築マンション人気ランキング」駒沢、二子玉川、桜新町、下北沢、千歳船橋、経堂など、注目エリアのおすすめ物件は?
杉並区の新築マンション人気ランキングをすべて掲載
「新築マンション人気ランキング」は、「販売目前(モデルルーム公開前)」「販売中(モデルルーム公開中)」の新築マンションについて、「パンフレットなどの資料請求」と、「販売センターでのモデルルーム見学や商談」が、総戸数に比べてどのくらい多いかを「人気倍率」として計算し、ランキングにしたものだ。
※主要売主33社の人気上位物件をランキングしているため、対象物件数の少ないエリアは、
1位のみなど掲載物件数の少ない場合があります。人気倍率の計算方法はこちら。
販売中の人気新築マンション
1位サンウッド西荻窪(物件詳細はこちら)
3.8倍
- 価格
- 6,980万円〜1億2,480万円
- 完成時期
- 2024年10月下旬(予定)
- 東京都杉並区西荻北二丁目131番(地番)
- JR中央線・総武線「西荻窪」駅徒歩6分
- 間取り
- 2LDK・3LDK
- 専有面積
- 45.64㎡・70.20㎡
- 総戸数
- 19戸
- 来場者数
- 43人
- 売主
- サンウッド
- 施工会社
- 株式会社大勝
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2位サンウッド浜田山(物件詳細はこちら)
1.2倍
- 価格
- 9,870万円〜1億2,490万円
- 完成時期
- 2024年7月中旬予定
- 東京都杉並区浜田山3丁目936番35(地番)
- 京王井の頭線「浜田山」駅徒歩2分
- 間取り
- 2LDK・3LDK
- 専有面積
- 55.67~69.69㎡
- 総戸数
- 47戸
- 来場者数
- 42人
- 売主
- サンウッド、京王電鉄
- 施工会社
- 松井建設株式会社 東京支店
Yahoo!不動産詳細へ
※データは2024年8月28日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
【関連記事はこちら】>>東京都杉並区で住むべき駅ランキング全18駅!西荻窪駅、阿佐ケ谷駅は中古マンション価格が上昇!
◆新築マンション人気ランキング |
杉並区のエリア概況(人口、暮らし、治安)は?
◆杉並区の基本データ(人口、暮らし) | ||
人口 | 57万4118人 | 都内6位 |
人口(2025年の推計) | 58万2753人 | 都内7位 |
人口(2035年の推計) | 59万0450人 | 都内7位 |
世帯数 | 32万5606世帯 | 都内6位 |
人口密度(人/㎢) | 1万6856人/㎢ | 都内12位 |
外国人人口 | 1万5757人 | 都内16位 |
子ども比率(未就学児童÷総人口) | 4.4% | 都内14位 |
平均所得 | 473万円 | 都内10位 |
出所:住民基本台帳による東京都の世帯と人口(令和2年)、国際社会保障・人口問題研究所「『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』」、東京都「都内の保育サービスの状況について(令和2年4月1日現在)」、総務省「令和元年度 市町村税課税状況等の調」 |
杉並区の人口、世帯数はともに都内6位。戦後の高度成長期から人口流入が増加し住宅街として発展してきた背景が影響している。また、世帯数と総人口の比率から算出された、1k㎡あたりの人口密度は約1万6,000人と、都内12位。外国人の人口は約1万5,000人で、都内16位となっている。
杉並区の人口推移は今後増加傾向にあり、2020年現在の人口約57万人に対して、2025年には約58万3000万人、2035年には約59万人とそれぞれ約1万人の増加が見込まれている。
杉並区の総人口当たりの子ども比率は4.4%と、都内14位。住宅街であり共働き世帯も多い杉並区は、近年就労している親を持つ子どもが入所する保育所が足りない、待機児童問題が顕著となった。
現在は区立保育園や私立保育園のほか、認可保育園、認証保育園、グループ保育所や家庭的保育事業(保育ママ)などの保育設備、行政サービスの充実により、待機児童0を達成している。一方で、高齢者人口の増加にともなう高齢者福祉施設の不足が新たな課題となっている。
杉並区民の1年当たりの平均所得は約473万円で都内では10位だ。都内でも所得の中間層が多いといえる。
◆杉並区の治安 | ||
犯罪件数 | 3097件 | 都内13位 |
犯罪発生率 | 5.4% | 都内23位 |
出所:警視庁「犯罪発生状況(平成31年)」の刑法犯認知件数、※犯罪発生率は、犯罪件数÷総人口 ×1000 |
杉並区は治安がよく住みやすい街と言われている。杉並区の犯罪発生件数は3,097件と都内13位だが、人口と犯罪発生件数を割って算出した犯罪発生率は5.4%と、東京23区内ではもっとも低い。
杉並区の治安が良い背景には、2003年に住宅街をパトロールする「安全パトロール隊」の発足や、2004年に日本の自治体としてはじめて防犯カメラの運用基準に関して条例で規定するなど、治安対策への取り組みを多く行ってきたことがある。閑静な住宅街が多く、安心・安全に暮らせる街づくりがされていると言えるだろう。
杉並区のマンション相場は?
杉並区のマンション相場はどれくらいなのか。杉並区のマンションを築年数別でみると、平均価格(70m²換算)は以下のとおりとなっている。
1~3年以内 | - | |
3~5年以内 | - | |
5~10年以内 | 6,928万円 | |
10~15年以内 | 7,139万円 | |
15~20年以内 | 6,767万円 | |
20年以上 | 4,652万円 | |
※出所:住宅情報サイト「ライフルホームズ」 データは2023年4月1日時点。ーはデータなし。 |
また、杉並区と周辺の中古マンションの価格相場と比較すると、杉並区(5,198万円)に対して、武蔵野市(5,614万円)、三鷹市(4,255万円)、世田谷区(5,827万円)、中野区(5,628万円)となっている。
また、杉並区周辺の中古マンション相場(平均4,647万円)と比較すると、武蔵野市(平均4,131万円)や三鷹市(平均3,850万円)よりは上がるものの、23区内で同じ住宅街エリアの世田谷区(平均4,721万円)、中野区(平均4,723万円)よりも低い相場となっている。繁華街エリアである渋谷区(平均7,544万円)と隣接している環境ながら、手ごろな価格で購入できるマンションが杉並区では充実していると言える。
杉並区は住宅街エリアのため、中古マンションも低層階から中高層階、団地のような集合住宅などいろいろなタイプの物件がある。子育て世帯のほか、子育てを終えてのんびり夫婦で過ごしたいという世帯にも、さまざまな住宅がそろう。杉並区は、ライフスタイルや世帯人数に合わせていろいろなマンションが選びやすいエリアと言えるだろう。
杉並区の土地・地盤は?
杉並区は東京都23区の西側にあり、東は中野区、渋谷区、西は三鷹市、武蔵野市、南は世田谷区、北は練馬区と隣接し城西地区と呼ばれている。面積は34.06k㎡と東京23区内で8番目の広さがある。自然豊かな環境で、戦後の高度成長期から住宅街として発展してきた。
杉並区は武蔵野台地の中央部に位置しているため、区の大半は台地面であるのが特徴だ。台地面の北部には妙正寺川、中部には善福寺川、南部には神田川が流れ、それぞれに沿って大小の谷地に発展している。
今川や宮前など、杉並区の台地面は関東ローム層と呼ばれる火山灰土で覆われており、海抜高度が高いため起伏が少なく、なだらかな土地であるのが特徴だ。杉並区の台地面の関東ローム層は自然に積もったローム土のため、高い強度が期待できる。
一方、清水や堀ノ内などの谷底低地は、台地を形成していた土砂がふたたび積もった土や有機質土(腐植土)が積もっており、台地面よりもやや強度が落ちる。地盤調査会社「地盤ネットホールディングス」が発表した2018年度の「いい地盤ランキング」では、杉並区では東京23区内で2位と、良質な地盤に恵まれているのが分かる。
杉並区内の主要地域(高円寺、井草、永福和泉、高井戸)の特徴・主要施設・町名
●高円寺地域(阿佐ヶ谷、方南町)
杉並区のなかでも、アートカルチャーを中心に発展したエリアが高円寺だ。鉄道をはじめとする交通網も充実していて、東京都西部や新宿方面へのアクセスが良好な立地にある。JR中央線の高円寺駅、阿佐ケ谷駅、ほかにも、東京メトロ丸ノ内線の方南町駅、東高円寺駅、新高円寺駅、南阿佐ケ谷駅がある。
中心駅は高円寺で、北口には高円寺純情商店街、南口には高円寺パル商店街、高円寺ルック商店街と大規模な商店街が広がっているのが特徴だ。また、高円寺駅や阿佐ケ谷駅などの中央線駅の高架下スペースをいかした、倉庫や店舗が広がっている。高円寺駅から阿佐ケ谷駅の間の高架下スペースは、「alːku(アルーク)阿佐ケ谷」として開業している。
高円寺から南下すると「堀之内妙法寺」や「妙法寺門前通り商店街」で著名な堀ノ内エリアがある。千日紅市など、縁日の開催も豊富だ。また、東京メトロ丸ノ内線(分岐線)の終着駅である方南町駅があるのもこの堀ノ内となる。
●井草地域
井草地域は杉並区の北部に位置し、井草、上井草、下井草を有する。杉並区内には、日本全国に約400あるとされているアニメーション制作スタジオのうち約70が所在しており、機動戦士ガンダムシリーズなどの制作会社「サンライズ」があるのも、この上井草だ。杉並区に隣接している三鷹市や練馬区と同じく、世界有数のアニメーション産業集積地である。
●永福和泉地域
永福和泉地域は、京王電鉄井の頭線永福町駅、西永福駅を中心としたエリアだ。永福町駅は井の頭線の快速と各駅の乗り換え駅としても活用されている。駅周辺は商店街があり、レトロな雰囲気がある。
また、永福寺駅南口から地名の由来となった永福寺にアクセスできる。永福寺駅には彫刻家・佐藤忠良氏作の「冬の像」がある。芸術家、俳優など文化人が多く輩出したのも特徴だ。
●高井戸地域
高井戸地域は、杉並区南部の地域だ。京王井の頭線富士見ヶ丘駅から京王線下高井戸駅、京王線八幡山駅が主要な駅である。地名の由来は地域内の宗源寺にある高井戸不動、高井家が代々宮司を務める神宮寺のお堂にあった「不動様」から来ている説がある。
◆新築マンション人気ランキング |