東京・練馬区で、人気の高い新築マンションが分かる、「新築マンション人気ランキング」を作成した。練馬区は、庶民的な街のイメージが強いが、新築マンションについては「都心に隣接しながら分譲価格が抑えられた場所」として人気がある。特に練馬、氷川台、石神井公園、大泉学園などが注目だ。これは、住宅評論家の櫻井幸雄氏が、ディベロッパー33社を調査して作ったランキングだ。マンション選びの参考にしよう。(画像)石神井公園/出典:PIXTA
練馬区の新築マンション市況:価格は3LDKが6000万円超え、小さめの部屋が増加
練馬区は、JR山手線の外側に位置する住宅エリア。都心寄りの練馬駅周辺は、西武池袋線に東京メトロ有楽町線が乗り入れ、都営大江戸線も利用できることから、人気が上昇。それに伴って、新築分譲マンション価格も上がってしまった。
その練馬駅周辺では、このところ新築マンションが途絶えている。そのため、今後、出てくる新規物件は驚くような高額設定になる可能性がある。
そのほか、西武池袋線沿線には富士見台駅、石神井公園駅、大泉学園駅など落ち着いた住宅地を擁する駅が並ぶ。教育環境もよく、ファミリー世帯には魅力的な立地条件だと思われるが、その一帯でも新規分譲マンションが減っている。そのため、新規に分譲されるマンションは価格が上昇。90㎡を超える大型住戸であれば、最上階で1億円を超えるケースも出ている。
西武池袋線でさらに先の保谷駅やひばりヶ丘駅など都下の駅周辺のほうが、新築物件が豊富。その手前に位置する練馬区内ではマンション用地が求めにくくなっているため、価格が上がっているようだ。その影響だろう、現在、練馬区内で分譲されているマンションは、駅から少し離れた場所の小規模マンションが主体になっている。
分譲価格は3LDKで6000万円台以上に。価格を抑えるため、1LDKや2LDKのケースが目立ちはじめている。練馬区といえば、かつてはお手頃価格のファミリー向けマンションを見つけやすい場所だったが、そのイメージは徐々に変わりつつある。それは、周辺の板橋区や北区でも同様である。
練馬区の新築マンション人気ランキングをすべて掲載
「新築マンション人気ランキング」は、「販売目前(モデルルーム公開前)」「販売中(モデルルーム公開中)」の新築マンションについて、「パンフレットなどの資料請求」と、「販売センターでのモデルルーム見学や商談」が、総戸数に比べてどのくらい多いかを「人気倍率」として計算し、ランキングにしたものだ。
※主要売主33社の人気上位物件をランキングしているため、対象物件数の少ないエリアは、
1位のみなど掲載物件数の少ない場合があります。人気倍率の計算方法はこちら。
販売目前※の人気新築マンション
1位ジオ練馬富士見台(物件詳細はこちら)
8.6倍
- 価格
- 6,640万円〜9,590万円
- 完成時期
- 2024年5月(竣工済)
- 東京都練馬区富士見台1丁目17-25
- 西武池袋線「富士見台」徒歩9分
- 間取り
- 2LDK~3LDK
- 専有面積
- 54.27㎡~
- 総戸数
- 36戸
- 資料請求
- 310件
- 売主
- 阪急阪神不動産
- 施工会社
- 木内建設株式会社東京本店
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※データは2024年8月28日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
販売中の人気新築マンション
1位オーベル練馬春日町ヒルズ(物件詳細はこちら)
2.9倍
- 価格
- 未定
- 完成時期
- 2025年1月下旬予定
- 東京都練馬区春日町三丁目2016番1、2018番5(地番)
- 都営大江戸線「練馬春日町」駅徒歩6分
- 間取り
- 3LDK・4LDK
- 専有面積
- 68.40~80.07㎡
- 総戸数
- 31戸
- 来場者数
- 73人
- 売主
- 大成有楽不動産
- 施工会社
- 南海辰村建設株式会社
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2位バウス氷川台(物件詳細はこちら)
1.4倍
- 価格
- 未定
- 完成時期
- 2025年8月予定
- 東京都練馬区桜台3丁目9-7(地番)
- 東京メトロ有楽町線他「氷川台」駅徒歩4分
- 間取り
- 2LDK~4LDK
- 専有面積
- 50.41~82.39㎡
- 総戸数
- 93戸
- 来場者数
- 61人
- 売主
- 中央日本土地建物、トヨタホーム、三信住建
- 施工会社
- 飛島建設株式会社
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3位ブランズ練馬中村南(物件詳細はこちら)
1.2倍
- 価格
- 6,650万円〜1億280万円
- 完成時期
- 2024年12月下旬予定
- 東京都練馬区中村南二丁目5番2(地番)
- 西武新宿線「都立家政」駅徒歩10分他
- 間取り
- 2LDK~4LDK
- 専有面積
- 56.43~80.61㎡
- 総戸数
- 81戸
- 来場者数
- 65人
- 売主
- 東急不動産、総合地所
- 施工会社
- 株式会社長谷工コーポレーション
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※データは2024年8月28日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
◆新築マンション人気ランキング |
練馬区のエリア概況(人口、暮らし、治安)は?
◆練馬区の基本データ(人口、暮らし) | ||
人口 | 73万9435人 | 都内2位 |
人口(2025年の推計) | 76万8303人 | 都内2位 |
人口(2035年の推計) | 78万2599人 | 都内2位 |
世帯数 | 37万7837世帯 | 都内3位 |
人口密度(人/㎢) | 1万5379人/㎢ | 都内15位 |
外国人人口 | 8474人 | 都内22位 |
子ども比率(未就学児童÷総人口) | 4.7% | 都内11位 |
平均所得 | 417万円 | 都内16位 |
出所:住民基本台帳による東京都の世帯と人口(令和2年)、国際社会保障・人口問題研究所「『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』」、東京都「都内の保育サービスの状況について(令和2年4月1日現在)」、総務省「令和元年度 市町村税課税状況等の調」 |
練馬区の人口は約74万人で都内2位を誇る。一方で外国人人口が都内で2番目に少ない区でもある。
練馬区の総人口は都内2位であるにもかかわらず、人口密度は15位にとどまる。また、練馬区は「最低居住面積水準」に基づく水準未満の世帯率が23区で最も低い。最低居住面積水準は、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準だ。東京は全国に比して低いが、練馬区はその中でも低くなっている(出典:総務省「平成25年住宅・土地統計調査 調査の結果」から)。
練馬区の将来人口推計をみてみると、2025年には約76万8000人に、2035年には約78万3000人に増加すると予測されている。
また、練馬区は「乳幼児一時預かり事業」などに使える「子育てスタート応援券」の無料配布に代表されるように、子育て家庭の支援に力を入れている。子どもの人口比率は4.7%と都内11位。かつては保育園激戦区と言われたが、徐々に改善され、待機児童数は2020年4月1日時点で、23区の待機児童数の平均が43人であるのに対し練馬区は11人と少ないと言える。
◆練馬区の治安 | ||
犯罪件数 | 4558件 | 都内7位 |
犯罪発生率 | 6.2% | 都内19位 |
出所:警視庁「犯罪発生状況(平成31年)」の刑法犯認知件数、※犯罪発生率は、犯罪件数÷総人口 ×1000 |
練馬区の犯罪発生率は都内19位と、人口1人当たりの犯罪発生率が低いことも特徴だ。自然に恵まれ、犯罪発生率が低く、子育てしやすい環境にあるとなれば、若いファミリー層向きの区であるといえるだろう。
練馬区のマンション相場は?
練馬区のマンション相場はどれくらいなのか。練馬区のマンションを築年数別でみると、平均価格(70m²換算)は以下のとおりとなっている。
1~3年以内 | 6,731万円 | |
3~5年以内 | 6,090万円 | |
5~10年以内 | 5,602万円 | |
10~15年以内 | 5,633万円 | |
15~20年以内 | 5,237万円 | |
20年以上 | 4,681万円 | |
※出所:住宅情報サイト「ライフルホームズ」 データは2023年4月1日時点。ーはデータなし。 |
また、練馬区と周辺の中古マンションの価格相場と比較すると、練馬区(4,825万円)に対して、豊島区(6,335万円)、中野区(5,628万円)、板橋区(4,441万円)、武蔵野市(5,614万円)となっている。
練馬区の専有面積70m²の場合の中古マンション平均価格は3,580万円、築3~5年以内に限っても5,671万円にとどまる。平均価格は23区の中では20位と価格は安く、マンションを入手しやすい地域といえる。
また、練馬区と周辺の中古マンション相場を比較すると、練馬区(3,580万円)に対して、練馬区の東側、都心寄りになる豊島区は5,145万円、中野区は4,715万円、板橋区は3,719万円。南側に接し、住宅地としても人気の吉祥寺がある武蔵野市であれば4,123万円となっている。
練馬区は交通の便が悪いというイメージを持つ人もいる。しかし、東京メトロ有楽町線、都営大江戸線、西武池袋線など、都心に直結する複数の路線が通っており、地域を選べばさほど不便ということはない。
マンション平均価格が23区内では抑えられている一方で、自然が多いなどの生活環境とあわせて考えると、子どもを持つ若い世帯が入手しやすく、かつ生活しやすい地域といえるのではないだろうか。
練馬区の土地・地盤は?
練馬区内は全域が比較的地震に強いとされる武蔵野台地上にあり、河川が少ないことから地震が起こったとしても液状化の不安はほぼないとされている。
また、土砂災害の危険度が高い場所もほとんどない。地震の被害を示すのに使われるのは、地震による建物倒壊危険度と火災危険度、それらを考慮した総合危険度を合わせて評価した地域危険度である。練馬区ではこの地域危険度(5段階)が最大でも3であり、地震による被害が比較的少ない地域といえる(出典:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」)。
練馬区内の主要地域(石神井、光が丘、練馬)の特徴・主要施設・町名
練馬区は、東京23区の中で一番最後に成立した区。1947年に板橋区から分かれ、東京の23番目の区として成立したという経緯がある。
また、NHK朝の連ドラ「なつぞら」にも出てきた日本で最初に長編アニメーション映画『白蛇伝』が作られたことから、日本アニメ発祥の地とされ、関連企業も多い。
練馬区といえば、石神井公園や光が丘公園など広々とした公園を抱え、自然が身近にあり、住みやすい環境と言える。
●石神井地域
練馬区の石神井地域は地名のとおり、石神井公園を中心とした閑静な住宅地。その石神井公園(石神井台1・2丁目)は、練馬区の中でも広々とした公園で、石神井池など2つの大きな池があり、武蔵野の森の風景を残した自然公園である。
また、石神井地域には世界初の絵本美術館とされる、ちひろ美術館がある。いわさきちひろ本人の旧宅をそのまま美術館にしており、本人の作品の常設展はもちろん、絵本や絵本作家の個展や展覧会が開催されている。
●光が丘地域(練馬春日、高野台)
石神井公園と並び、練馬区のもう一つの代表的な公園である光が丘公園(光が丘4丁目)を中心としているのが光が丘地域である。練馬区内最大面積を誇る光が丘公園は、さまざまな植物が植わり、自然の豊かさを感じられる。
また、光が丘公園の近くには2020年12月にリニューアルオープンした商業施設、光が丘IMAがある。光が丘IMAは練馬区では比較的大きく施設が充実しているショッピングモールであり、都営地下鉄大江戸線「光が丘駅」に直結し、買い物だけでなく交通の便も良い。
光が丘地域では、光が丘だけではなく田柄も、5丁目など南側であれば、光が丘駅が利用可能で、都営大江戸線「練馬春日駅」も場所によってはアクセスできる。光が丘および田柄は、自然が身近で生活利便性も高いことから、まだ子どもが小さいファミリー層向けの地域といえる。
実際に、地域内ではマンション建設が進んでいる。同じく、光が丘地域でファミリー層に向いているのが高野台である。高野台も光が丘や田柄と同じく、全体的に治安の良い静かな住宅地だ。西武池袋線「石神井公園駅」と「練馬高野台駅」の2駅が利用可能で交通利便性も悪くはない。かつ西武池袋線しか利用できないこともあって、価格は比較的抑えられている。
●練馬地域(春日町、中村橋、北町)
練馬城跡に建築された遊園地「としまえん」があった練馬地域。そのとしまえんは2020年8月に惜しまれながら閉園、跡地には「ハリー・ポッター」のテーマパークが建設されるといわれている。
練馬地域の春日町は、としまえんの北側に位置し、都営大江戸線「練馬春日町駅」を中心にした地域。春日町は小さな公園が多く自然が多い一方、小規模な商業施設やコンビニも点在しており、生活利便性が高い。また、小・中学校が多く、ファミリー層が住みやすい地域となっている。
都営大江戸線練馬駅の西側、西武池袋線「中村橋駅」付近は、サンツ中村橋商店街のほか大型~中型マーケットなどがあり、生活利便性が高い。かつ、練馬区の中心地からは少し外れるため家賃相場も抑えられる。
練馬駅の北側には、練馬区の中でも下町風情が残る北町がある。北町は、東武東上線「東武練馬駅」と東京メトロ副都心線「平和台駅」の間に位置している。
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