東京都・荒川区で、人気の高い新築マンションが分かる、「新築マンション人気ランキング」を作成した。荒川区は、山手線の外側に位置する江戸時代の下町エリアで、分譲価格が抑えられた場所であり、町屋や南千住などが注目のエリアだ。これは、住宅評論家の櫻井幸雄氏が、デベロッパー33社を調査して作ったランキングだ。マンション選びの参考にしよう。(画像)日暮里繊維街/出典:PIXTA
荒川区の新築マンション市況:価格が控えめで人気が高い
注目は南千住や町屋
荒川区は、JR山手線の日暮里駅や西日暮里駅が玄関口となり、上野東京ライン尾久駅周辺や、東京メトロ千代田線・京成電鉄の町屋駅周辺を含む地域。全体的に町工場が目立ち、地味な印象の場所というイメージがあった。
そのなかで、再開発で活気づいている場所が南千住だろう。東京メトロ日比谷線やJR常磐線、つくばエクスプレスなどが利用できる拠点駅で、JRとつくばエクスプレスの東口側にはBiVi南千住 、LaLaテラス、ロイヤルホームセンター南千住などがあり、活気がある。その周囲に大規模マンションが複数開発されたが、新たなマンション用地は見当たらない。
代わって、近年新規物件が多く出ているのは、南千住駅の西側。既存の住宅地内、商業地内で小規模、中規模のマンションが継続的に登場している。
同様に、小規模、中規模の新築マンションが継続的に出ているのが町屋エリアだ。町屋には大規模商業施設がないものの、商店街が発達しているため、買い物に便利で生活しやすい。
南千住にしろ、町屋にしろ、荒川区のマンションは23区内立地としては価格が抑えられていることが多く、それなりに人気は高い。爆発的に売れるわけではないが、建物ができあがる前に完売するケースが多くなっている。
といっても、他地域の人が買いに来るケースは少なく、地元に住む人たち、地縁がある人たちが主な購入者となる。
地元の人たちは、それまでの価格水準を知っているので、あまりに高い値付けのマンションを避ける。それが、荒川区内のマンションが大きく値上がりしない理由だと考えられる。
荒川区は23区内のお買い得エリアと位置づけられ、その立地特性は今も変わっていない。
荒川区の新築マンション人気ランキングをすべて掲載
「新築マンション人気ランキング」は、「販売目前(モデルルーム公開前)」「販売中(モデルルーム公開中)」の新築マンションについて、「パンフレットなどの資料請求」と、「販売センターでのモデルルーム見学や商談」が、総戸数に比べてどのくらい多いかを「人気倍率」として計算し、ランキングにしたものだ。
※主要売主33社の人気上位物件をランキングしているため、対象物件数の少ないエリアは、
1位のみなど掲載物件数の少ない場合があります。人気倍率の計算方法はこちら。
販売目前※の人気新築マンション
1位イニシア東京尾久
2.1倍
- 価格
- 4,600万円〜6,400万円
- 完成時期
- 2025年7月下旬予定
- 東京都荒川区西尾久7丁目142番2号(地番)
- 高崎線「尾久」駅徒歩9分、都電荒川線「荒川車庫前」駅徒歩3分、京浜東北線「上中里」駅徒歩11分
- 間取り
- 2LDK・3LDK
- 専有面積
- 43.42~53.60㎡
- 総戸数
- 49戸
- 資料請求
- 101件
- 売主
- コスモスイニシア
- 施工会社
- 新日本建設株式会社
※データは2024年8月28日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
販売中の人気新築マンション
1位イニシア日暮里
1.6倍
- 価格
- 6,698万円〜9,998万円
- 完成時期
- 2024年6月竣工済
- 東京都荒川区西日暮里二丁目422-1(地番)
- JR山手線「日暮里」駅東口徒歩4分他
- 間取り
- 1LDK+S〜2LDK+S
- 専有面積
- 50.11~66.93㎡
- 総戸数
- 65戸
- 来場者数
- 89人
- 売主
- コスモスイニシア
- 施工会社
- 施工(建設、請負)大末建設株式会社
2位ライオンズ南千住グランプレイス(物件詳細はこちら)
1.5倍
- 価格
- 未定
- 完成時期
- 2024年3月
- 東京都荒川区南千住1丁目85番1
- JR常磐線「南千住」駅下車徒歩13分他
- 間取り
- 2LDK〜3LDK
- 専有面積
- 55.22~70.22㎡
- 総戸数
- 181戸
- 来場者数
- 238人
- 売主
- 大京
- 施工会社
- 東鉄工業株式会社
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3位サンウッドテラス東京尾久
1.2倍
- 価格
- 4,598万円〜7,398万円
- 完成時期
- 2025年2月中旬(予定)
- 東京都荒川区西尾久7丁目219番1、219番10(地番)
- JR上野東京ライン他「尾久」駅徒歩7分他
- 間取り
- 1LDK〜3LDK
- 専有面積
- 35.65〜63.88㎡
- 総戸数
- 33戸
- 来場者数
- 31人
- 売主
- サンウッド
- 施工会社
- 南海辰村建設株式会社 東京支店
※データは2024年8月28日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
◆新築マンション人気ランキング |
荒川区のエリア概況(人口、暮らし、治安)は?
◆荒川区の基本データ(人口、暮らし) | ||
人口 | 21万7146人 | 都内20位 |
人口(2025年の推計) | 22万2749人 | 都内20位 |
人口(2035年の推計) | 22万5996人 | 都内20位 |
世帯数 | 11万7228世帯 | 都内21位 |
人口密度(人/㎢) | 2万1373人/㎢ | 都内3位 |
外国人人口 | 2万1490人 | 都内11位 |
子ども比率(未就学児童÷総人口) | 4.5% | 都内13位 |
平均所得 | 374万円 | 都内19位 |
出所:住民基本台帳による東京都の世帯と人口(令和2年)、国際社会保障・人口問題研究所「『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』」、東京都「都内の保育サービスの状況について(令和2年4月1日現在)」、総務省「令和元年度 市町村税課税状況等の調」 |
荒川区の人口は約21万7000人で都内20位である。世帯数は約11万7000世帯で都内21位。外国人住民は約2万1,000人と、荒川区全人口の1割ほどである。
荒川区の将来人口は微増と予測されており、2025年の総人口約22万3000人に対して、5年周期で2%ほど増加を繰り返し、2035年には約22万6000人となっている。
荒川区の人口は40代~50代のベテラン世代が多く、それをピークにピラミッド状に人口が減っている傾向にあるため、少子高齢化が進んでいると考えられる。
(出典:荒川区ホームページ「数字で表す荒川区(区勢概要)」から)
一方で、子どもの人口は総人口の約4.5%で都内13位と中位。また、人口密度は1k㎡あたり約2万人と高く、都内3位と上位に属している。また、荒川区の1人当たりの平均所得は約374万円で、都内19位と低めとなっている。
◆荒川区の治安 | ||
犯罪件数 | 1537件 | 都内22位 |
犯罪発生率 | 7.1% | 都内10位 |
出所:警視庁「犯罪発生状況(平成31年)」の刑法犯認知件数、※犯罪発生率は、犯罪件数÷総人口 ×1000 |
犯罪件数は都内22位と少ないが、発生率は7.1%の10位と中位で、総合的には安定した治安を保っているといえる。
荒川区のマンション相場は?
荒川区のマンション相場はどれくらいなのか。荒川区のマンションを築年数別でみると、平均価格(70m²換算)は以下のとおりとなっている。
◆荒川区の中古マンション築年数別平均価格(70m²換算) | ||
1~3年以内 | 6,860万円 | |
3~5年以内 | 5,672万円 | |
5~10年以内 | ー | |
10~15年以内 | 4,677万円 | |
15~20年以内 | 4,540万円 | |
20年以上 | 3,955万円 | |
※出所:住宅情報サイト 「ライフルホームズ」 データは2021年2月5日時点。ーはデータなし。 |
また、荒川区と周辺の中古マンションの価格相場を比較すると、荒川区(4,315万円)に対して、足立区(2,862万円)、板橋区(3,747万円)、北区(4,667万円)となっている。
荒川区の土地・地盤は?
荒川区は区域のほとんどがJR山手線の外側に位置する、江戸時代からの下町エリアだ。台東区、文京区、北区、足立区、墨田区に隣接しており、日暮里駅や西日暮里駅を玄関口としている。三ノ輪、町屋、南千住が主要な地域で、東京都の北東部に位置する。東西に細長く北側が隅田川で区切られているのが特徴となっている。
荒川区内はほとんどが、標高が低く平坦な土地になっているが、一部、山手台地となっているのが西日暮里だ。荒川区の南西部に位置し、北西部が北区と、西部が文京区と、南部が台東区とつながっている。
西日暮里三丁目には富士山が見られる「富士見坂」がある。平成17年に国土交通省関東地方整備局から「関東の富士見百景」に認定されたが、現在は建物により富士山の姿は見えなくなった。
荒川区の最東端に位置するのが住宅街やマンションが並ぶ南千住エリアである。南千住は、北側と東側が隅田川に面しており、対岸には足立区と墨田区がある。足立区とは千住大橋と千住汐入大橋で、墨田区とは水神大橋と白鬚橋でつながっている。
なお、荒川区という地名ではあるが、実は荒川区に荒川は流れていない。というのも、現在荒川と呼ばれている川は、下町を水害から守るために造られた荒川の放水路なのだ。荒川区内を流れる元々の流路の方が隅田川と呼ばれるようになったためである。
荒川区内の主要地域(南千住、西日暮里など)の特徴・主要施設・町名
●南千住地域
荒川区の南千住は、江戸時代における日光街道、および奥州街道の宿場町、千住宿を起源としている。もともと現在の足立区内にあった千住宿が1660年に千住大橋南側まで拡大し、南宿として栄えたことから、現在の南千住となったとされている。
宿場町の一部には、江戸時代から明治の初期にかけて、小塚原刑場という処刑場があったとされ、20万人以上の罪人の刑が執行された。現在の南千住駅の西側にある延命寺内にはその跡地が残されている。
南千住駅は、JR常磐線、東京メトロ日比谷線、つくばエクスプレスが乗り入れている。1987年以降、南千住駅周辺は大規模な再開発が進み、南千住駅の東側は都市型道路が整備され、高層マンションも複数建設された。
また、再開発の一環としてオープンした複合商業施設LaLaテラス南千住には30以上のテナントが入っている。このほか、ロイヤルホームセンターや、BiVi南千住も立ち並び、地域住民の生活を支えている。
●西日暮里地域
西日暮里地域の日暮里駅、西日暮里駅は、荒川区の玄関口だ。西日暮里2丁目にある日暮里駅はJR山手線、京浜東北線、東北本線、常磐線、京成電鉄、東京都交通局日暮里・舎人ライナーが乗り入れ、西日暮里駅にはJR山手線、京浜東北線、東京メトロ千代田線、東京都交通局日暮里・舎人ライナーが乗り入れている。
日暮里駅東側は再開発が進み、居住・商業施設が一体となるサンマークシティ日暮里が3棟立ち並ぶ。2009年には駅構内に駅ナカ「エキュート日暮里」がオープンし、なおも発展を続けている。一方、西側は昔ながらの商店街「谷中ぎんざ」が残り、その入り口には「夕やけだんだん」という夕焼けの絶景スポットがある。
西日暮里駅はJR山手線・京浜東北線と東京メトロ千代田線が直交する構造になっている。東京メトロ千代田線の地上部分は道灌山通りが走り、その沿線には西日暮里公園が存在する。公園からは西日暮里駅のホームや線路が眺められるため、電車好きな子どもにとって絶好のスポットとなっている。西日暮里公園と道路を挟んで向かい側には開成学園がある。
◆新築マンション人気ランキング |