奈良県の市区町村別の治安を調べるため、警察庁・総務省の統計資料をもとに治安ランキングベスト3およびワースト3をまとめた。安全、安心に暮らすために参考にしていただきたい。
全国治安ランキングで奈良県は22位
奈良県は治安の良さで全国22位。県内では221人に1件の割合で事件が発生している。

奈良県では、知能犯の犯罪発生率が高い。
2024年度は513件の詐欺被害が報告されており、被害総額は約46億円に及んでいる。なかでも、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺の被害が目立ち、その額は約32億6,400万円に上る。出典:奈良県警察本部生活安全企画課「やまとの安全 令和6年中の詐欺被害」
警視庁では、多くの国民が利用するSNSを悪用した犯罪が、体感治安の悪化を招くおそれがあると懸念されている。出典:警察庁長官官房「令和6年の犯罪情勢」
こうした被害の拡大を受け、奈良県警察は2024年3月1日から安全・安心アプリ『ナポリス』を導入し、詐欺の手口と対策方法について周知を図っている。出典:奈良県警察「奈良県警察安全・安心アプリ「ナポリス」を運用開始」
奈良県の犯罪発生率の推移
奈良県の犯罪発生率は1990年頃から低下傾向にあった。これは、他県の都市部に比べて人口流入が緩やかであったことと、地域社会における人的結束力が強かったことが考えられる。
しかし、1995年頃から増加に転じ、2002年にはピークを迎えた。これはバブル崩壊後の経済的混乱や雇用不安など、複合的な要因が絡み合った結果と見られる。
2002年以降は、警察による街頭防犯カメラの導入や、全国的な地域パトロール活動の実施、防犯教育の推進などが功を奏し、犯罪発生率は低下した。
2020年以降は新型コロナウイルスによる経済的ダメージやインフレによる実質賃金の低下などの景気悪化により、ふたたび犯罪発生率は上昇傾向にある。
【市区町村別】奈良県の治安ランキング(令和6年)
奈良県の治安ランキングの上位と下位の市区町村は以下の通りだ。
治安が良かった市区町村の1位は十津川村、2位は高取町、3位は川西町だった。
治安が良くなかった市区町村の1位は桜井市、2位は三宅町、3位は山添村だった。

治安がもっとも良い市区町村は「十津川村」
十津川村は奈良県の最南端に位置し、日本一の面積(672.38平方km)を誇る村である。自然豊かな環境のため、キャンプや釣り、山歩き等を目的とする観光客が多く訪れる。出典:十津川村「十津川村 主要観光地入込情報 令和7年8月」
十津川村は地域住民の結束力が強く、良好な治安が維持されている。
管轄警察の十津川警察庁舎所長も「村は、人や環境が良いのでしょう。皆で地域を見守っておられる。人と人の横の繋がりもすごくある。そのおかげで治安が良いのかなと感じます」と述べており、コミュニティの強さが治安の良さに寄与していることがうかがえる。出典:奈良県「十津川2021年9月 第721号」
また、十津川村ではツキノワグマを「絶滅のおそれのある地域個体群」として保護する一方、電気柵を設置するなどして人的被害が出ないよう工夫も凝らしている。出典:環境省「ツキノワグマの保護・管理に資する国交付金の確保について」
治安がもっとも悪い市区町村は「桜井市」
桜井市は、三重県の熊野市や島根県の出雲市、フランスのシャルトル市などと交流を深めながら互いの発展を大切している市だ。出典:桜井市「友好都市・友好交流都市」
しかし、市内ではSNS型投資詐欺やロマンス詐欺や特殊詐欺などが多発している。出典:奈良県警察「桜井警察署」
とくにSNSを通じて親密な関係を築き、恋愛感情に訴えかけて金銭を騙し取るロマンス詐欺が目立つ。
たとえば、会員制交流アプリで海外在住の医師を名乗る人物からフォローされ、メッセージのやりとりを始める。毎日やさしい言葉をかけられるうちに信頼するようになり、「あなたに会いに行くための入国手続きにお金が必要」と送金を依頼され、数十万円をだまし取られた事例が報告されている。出典:桜井市「広報わかざくら2025年8月号」
◆ダイヤモンド不動産研究所では、奈良県の治安ランキングの総合順位の公開、日本初の女性防犯アドバイザーである京師美佳氏に伺った防犯対策を紹介しているため、ぜひ参考にしてほしい◆
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