鳥取県の治安ランキング！　犯罪が少なく安全に暮らせる市区町村はどこ？【2025年版】

鳥取県では市区町村によって治安状況に大きな差がある。近年は特殊詐欺の増加や犯罪の低年齢化など、犯罪の質的な変化も課題となっている。そこで、警察庁と総務省の統計資料を元に県内の市区町村別の治安ランキングを作成した。鳥取県で不動産の購入や売却を考えている人は参考にしてほしい。（監修：防犯アドバイザー　京師美佳）

鳥取県の治安ランキング(治安の良さ)は全国12位

　鳥取県は治安の「良さ」で全国12位。全国でも治安が良い県だ。県内では256人に1件の確率で事件が発生している。

参考：警察庁「令和6年警察白書　統計資料」と統計局「人口推計（2023年（令和 5年）10月 1日現在）全国：年齢（各歳）、男女別人口 ・ 都道府県：年齢（5歳階級）、男女別人口‐」。犯罪遭遇率は「人口÷犯罪件数」で算出して全国ランキングを作成。総合ランキングは、すべての犯罪を含む刑法犯罪の発生率の低さで作成。

　鳥取県では、刑法犯の中でも性犯罪（風俗犯）の犯罪遭遇率が高い。

　なかでも、痴漢や盗撮の被害が目立っており、学校職員による女子学生の盗撮や、商業施設内での盗撮行為、ストーカー行為といった事案が報告されている。出典：鳥取県「公立学校教職員の懲戒処分の概要」、鳥取県「安全ナビ＠鳥取県」

　こうした背景から、鳥取県は痴漢や盗撮行為など卑わいな行為に規制を設ける迷惑防止条例を改正する際に県民の意見を募った。 従来は公共の場所や乗り物が対象であったが、改正案では住居、浴場、更衣室、便所なども対象とすることが検討されている。条例の改正内容からも、のぞき行為や盗撮行為が多い実態が伺える。出典：鳥取県「鳥取県の迷惑防止条例の一部改正について」

　また、知能犯の犯罪遭遇率も目立つ。特殊詐欺の中でもSNS型投資詐欺やロマンス詐欺が顕著であり、2024年度には41件（前年同期比+30件）の被害が報告されている。被害総額は6億2,822万円（前年同期比+4億6,731万円）に及んだ。出典：鳥取県「【令和6年 SNS型投資・ロマンス詐欺認知状況】」

　全国と比較して治安は比較的良いものの、盗撮、痴漢、特殊詐欺といった犯罪が多く発生している。

鳥取県の犯罪発生率の推移

　鳥取県の犯罪発生率は、1995年以降から急上昇し、2003年にはピークを迎えた。これは、バブル崩壊後の経済の混乱や雇用への不安など複合的要因が絡み合った結果と考えられる。

　2002年以降、警視庁を皮切りに各都道府県警察において街頭防犯カメラの導入や地域パトロール活動の実施、防犯教育の推進などを図ったことが功を奏して犯罪発生率は低下した。

　2019年以降は、新型コロナウイルスによる経済的ダメージやインフレによる実質賃金の低下などの景気悪化により、ふたたび犯罪発生率は上昇傾向にある。　

【市区町村別】鳥取県の治安ランキング（令和6年）

　鳥取県で治安が良い市区町村はどこなのか。公的データをもとに、市区町村の治安ランキングを作成した。下記の地図は、犯罪遭遇率に基づき色分けしたものである。治安が良い順に、「白（451人以上に1件）」「黄緑（301人～450人に1件）」「緑（151～300人に1件）」「赤（0人～150人に1件）」で塗り分けている。 　

※人口4,000人以下の市区町村はランキング対象外。出典：鳥取県「鳥取県の推計 人口鳥取県人口移動調査）」、鳥取県警察「令和6年（2024年）市町村別 認知状況」。犯罪遭遇率は「人口÷犯罪件数」で算出。都道府県により公開データが異なるため、公表されている最新データを使用している。

治安がもっとも良い市区町村は「南部町」

　南部町は2004年に西伯郡西伯町と西伯郡会見町が合併して誕生した。豊かな自然に恵まれ、県下有数の古墳密集地帯であり、律令国家以前から豊かな文化が栄えた地域である。出典：南部町「概要・沿革」

　南部町には「未来を創る課」が設けられている。地域の安心まちづくり事業を展開しており、魅力あるまちづくりを推進する団体に対して補助金を交付している。補助対象経費に1/2を乗じた額とし、上限は30万円である。

　地域柄、公民館の改修やゴミステーションの改修、公園遊具の設置撤去などの集落環境整備、備品購入に充てられている。出典：南部町「地域の安心まちづくり事業」

治安がもっとも悪い市区町村は「米子市」

　米子市は、鳥取県の西部に位置しており、豊かな自然環境に恵まれている。道路、鉄道、空港などの利便性も高く、地域の交通結節点および宿泊拠点として、人の行き来が盛んな場所だ。出典：米子市「市の概要」

　米子市では、不審者情報が多い。市内の小学校や中学校の近辺では盗撮やつきまといの被害が発生している。また、変質的行為（下半身露出やのぞき）も報告されている。出典：米子市「令和6年度 米子市内の不審者情報 発生場所」

　米子市では、学校周辺を中心に少年指導委員会と公民館社会部が合同で防犯パトロールを実施している。出典：米子市「防犯パトロール隊」

鳥取県ではどのような犯罪が多い？どのような防犯対策が必要？

　鳥取県では、窃盗（住居侵入）、痴漢や盗撮、特殊詐欺が多いが、どのように防犯対策を立てていくかを紹介していく。

窃盗（住居侵入）

　鳥取県の犯罪件数の約7割が窃盗である。自転車盗やオートバイ盗、自動車盗が目立つため、ツーロックを心がけることが必須である。また、侵入盗（空き巣・忍び込み・居空き）も報告されている。

　住居侵入は深夜0時から4時に多いが、朝や昼間も狙われている。幼稚園の送り迎えやゴミ出しの際の鍵のかけ忘れが命取りとなる。出典：警察庁「令和5年 罪種別 発生時間帯別 認知件数」

　そのため、しっかりとした戸締まりが不可欠だ。戸締まりが面倒だと感じる方には、スマートロックを導入するという選択肢もある。

　犯人は侵入に5分、物色に5分、合計10分もあれば犯行を完了できる。わずかな油断が被害に直結するため、侵入に時間をかけさせる工夫が必要だ。具体的には、補助錠や防犯フィルムの取り付けが有効である。

　これから鳥取県内でマイホームを建てる予定がある方は、警察庁、国土交通省、経済産業省が建物部品関係の民間団体とともに設置した「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が認定したCPマーク付きの建材を選ぶことを推奨する。CPマーク付きの建材は、ピッキングやこじ開けに対して一定時間以上の抵抗力を持つと証明されている。出典：警視庁「住まいる防犯110番 防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」

痴漢・盗撮（性被害）

　鳥取県では痴漢や盗撮、性被害が目立っている。出典：鳥取県「安全ナビ＠鳥取県」

　街灯の少ない夜道が暗くなる地域では、性被害のリスクが高まる。音楽を聴きながらなどの「ながら歩き」は、背後から接近する足音に気づきにくいため、被害に遭う可能性が高くなる。

　また、毎日同じ時間帯に同じ道を通って帰宅していると、顔や行動パターンを覚えられ、狙われやすくなる。そのため、帰宅時間やルートを日によって変えるなど変化をつけることが望ましい。

 「不審者に尾行されていると感じた場合、ダブルターンをしてください。二つ目の角を曲がっても後ろに人がいるようであれば、人気のあるコンビニなどに避難をしてタクシーを呼んで帰るか、家族に迎えにきてもらうのが安全です。店の前でもまだ待ち伏せているようであれば、警察に通報しましょう。また、万が一に備えて、防犯ブザー付きのスマートフォンを持っておくと安心です」（京師氏）。

特殊詐欺

　鳥取県は特殊詐欺の被害も多い。

ロマンス詐欺

　鳥取県では、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺などの特殊詐欺等が多発している。 出典：鳥取県「SNS型投資・ロマンス詐欺認知状況」

　SNSで知り合った異性と仲良くなってやり取りしている人が「事情があってお金が必要だ」と言ってきた場合でも、お金を振り込まないことが大切だ。どうしてもお金を貸す場合は、直接会ってお金を渡すように意識することで被害を防げる。

 「相手からもらった写真を画像検索することで嘘だと判明する場合もあるため、一度調べてみることをおすすめします」（京師氏）

架空請求詐欺

　また、架空請求詐欺の被害も目立つ。出典：鳥取県「特殊詐欺認知状況」

　架空請求詐欺は、サービスを利用していないにもかかわらず「お客様が利用されたサービスの解約手続きがされておらず、放置されたままとなっている」といった内容で連絡し、金銭を騙し取る手口である。

　被害を防ぐためには決して一人で対処せず、すぐに警察署や消費生活センターなどの専門機関へ相談すること。

オレオレ詐欺

　オレオレ詐欺は、AIディープフェイクで合成した映像や音声を利用し、子どもになりすますなど、手口が年々巧妙化している。そのため、対面で会うまでお金を渡さないように意識することが対策として有効である。

闇バイト

 「手軽に」「短時間で」「簡単に」という甘い言葉に乗せられアルバイトに手を染めてしまい、特殊詐欺の受け子や出し子、あるいは強盗の実行犯など犯罪組織の手先として利用される青少年が報告されている。

 「自分の子どもに闇バイトをさせないためには、その後の人生がどうなるかを具体的に教えておくことが重要です。共同正犯に問われ、強盗致死罪で裁かれた場合、無期懲役か死刑という極めて重い刑罰が科されます。有期懲役になった場合でも結婚や就職が著しく難しくなります。こうした未来を伝えることが抑止力となります」（京師氏）。

住まなくなった家の放置は治安の悪化につながる　

　長期間、人が住んでいない空き家や別荘などを放置すると治安の悪化を招く。

　例えば、管理が行き届かないと、郵便物がたまり、庭の雑草が生い茂ったままだと空き巣に「留守の家」と思われて狙われる。

　適切な管理が難しいのであれば、売却するという選択肢も有効だ。

 「使っていない物件がある」「そろそろ手放したい」ときは、無料査定で市場価値を確認してみてほしい。

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