岡山県の治安ランキング！　犯罪が少なく安全に暮らせる市区町村はどこ？【2025年版】

岡山県では、市区町村によって治安状況に大きな差がある。近年は特殊詐欺の増加や犯罪の低年齢化など、犯罪の質的な変化も課題となっている。そこで、警察庁と総務省の統計資料をもとに岡山県内の市区町村別の治安ランキングを作成した。不動産の購入や売却時に参考にしていただきたい。（監修：防犯アドバイザー京師美佳）

岡山県の治安ランキング(治安の良さ)は全国29位

　岡山県は治安の「良さ」は全都道府県中29位。全国的に見ると治安はやや悪い県だ。県内では200人に1件の確率で事件が発生している。

参考：警察庁「令和6年警察白書　統計資料」と統計局「人口推計（2023年（令和 5年）10月 1日現在）全国：年齢（各歳）、男女別人口 ・ 都道府県：年齢（5歳階級）、男女別人口‐」。犯罪遭遇率は「人口÷犯罪件数」で算出して治安が良い順で全国ランキングを作成。総合ランキングは、すべての犯罪を含む刑法犯罪の発生率の低さで作成。

　刑法犯の中でも、凶悪犯や粗暴犯の犯罪遭遇率が高い。

　2024年には重要犯罪（殺人、強盗、放火、不同意性交等、略取誘拐・人身売買、不同意わいせつの合計）の被害が144件も報告されているが、なかでも不同意性交が目立つ。　出典：岡山県「重要犯罪　罪種別　認知・検挙状況(令和6年1月～12月）」

　例えば、岡山市立小学校の男性教諭が市内に住む女性の同意なしに性的暴行を加えたとして逮捕された。また岡山駅の階段において女性のスカート内を盗撮した男性が逮捕されている。出典：岡山市「岡山市広報連絡資料　岡山市立小学校教諭の逮捕事案についてお知らせします」岡山県警察「事件事故情報」

　このような被害報告が多いことから、岡山県は2024年4月1日以降に「岡山県性犯罪・性暴力被害者のための転居費助成金」を設けた。性犯罪や性暴力被害に遭い、従来の住居に住み続けるのが困難になった人びとに対して転居費を助成している。　出典：岡山県「岡山県性犯罪・性暴力被害者のための転居費助成金」

　このように不同意性交が多発しており、治安を悪化させている。

岡山県の犯罪発生率の推移

　岡山県の犯罪発生率は1997年代から上昇し、2002年頃に全国平均を上回りピークを迎えた。この上昇はバブル経済崩壊後の雇用不安や経済的な圧迫などの社会的な変化が要因として考えられる。

　2001年以降は、警視庁を皮切りに各都道府県警察において街頭防犯カメラの導入、さらには全国的な地域パトロール活動を実施、防犯教育の推進などを図ったことが功を奏して犯罪発生率は低下した。

　しかし、2020年以降は新型コロナウイルスによる経済的ダメージやインフレによる実質賃金の低下などの景気悪化により、ふたたび犯罪発生率は上昇傾向にある。

【市区町村別】岡山県の治安ランキング（令和6年）

　岡山県で治安が良い市区町村はどこなのか。公的データをもとに、市区町村の治安ランキングを作成した。下記の地図は、犯罪遭遇率に基づき色分けしたものである。治安が良い順に「白（451人以上に1件）」「黄緑（301人～450人に1件）」「緑（151人～300人に1件）」「赤（0人～150人に1件）」で塗り分けた。　

参考：岡山県「岡山県の人口（令和6年9月1日)」、岡山県警察「令和6年の犯罪概況」。犯罪遭遇率は「人口÷犯罪件数」で算出。都道府県により市区町村データが異なるため、公表されている最新データを使用している。

治安がもっとも良い市区町村は「鏡野町」

　鏡野町はこどもから高齢者まで安心して住み続けられる町を目指している。

　例えば、安全・安心まちづくり事業費を設けて、防犯チラシの配布や防犯パトロールを強化している。出典：岡山県鏡野町「安全・安心まちづくり事業費」

　また、くらし安全課では防犯灯設置助成金や特殊詐欺等防止機器購入補助金などを給付している。こうした支援を通じて良好な治安を維持している。出典：鏡野町「R2くらし安全課」

治安がもっとも悪い市区町村は「岡山市」

　1889年に市制を施行し岡山市が誕生。さらに、2005年に御津町と灘崎町、2007年には建部町と瀬戸町の合併により人口約70万人の新たな岡山市が誕生した。2009年には全国で18番目の政令指定都市となった。出典：岡山市「岡山市のプロフィール沿革」

　岡山市を管轄する岡山県警察には、警察官になりすまして現金をだまし取る詐欺、暴行を加えて死亡させた傷害致死、酒気帯び運転で自転車と衝突する道路交通法違反などが報告されている。出典：岡山県警察「事件事故情報」

　さまざまな被害が報告されているため、岡山市は地域での安全パトロールや防犯灯の整備などを呼びかけている。出典：岡山市「安全・安心のまちづくり」

岡山県ではどのような犯罪が多い？どのような防犯対策が必要？

　岡山県では、窃盗（住居侵入）、特殊詐欺、不同意性交などが多いが、どのように防犯対策を立てていくかを紹介していく。

窃盗（住居侵入）

　岡山県は窃盗犯の犯罪遭遇率が高い。自転車盗やオートバイ盗、自動車盗が発生しているため、ツーロックを心がけてほしい。

　また、侵入盗（空き巣・忍び込み・居空き）の被害も報告されている。

　住居侵入は深夜0時から4時にかけての発生が多いが、朝や昼も狙われている。幼稚園の送り迎えやゴミ出しの時に鍵をかけ忘れるなど、ちょっとした隙に鍵のかけ忘れが命取りとなる。出典：警察庁「令和5年 罪種別 発生時間帯別 認知件数」

　そのため、しっかりとした戸締まりの徹底が不可欠だ。戸締まりが面倒だと感じる方は、スマートロックを取り付けるという選択肢もある。

　犯人は侵入に5分、物色に5分、合計10分もあれば犯行を完了できると言われている。つまり、わずかな油断が被害に直結する。したがって、侵入に時間をかけさせる工夫が有効だ。具体的には、窓に補助錠や防犯フィルムを取り付けることで時間をかけさせるほか、防犯アラームの設置も有効である。

　これから岡山県内でマイホームを建てる予定がある方は、警察庁、国土交通省、経済産業省が建物部品関係の民間団体とともに設置した「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が認定したCPマーク付きの建材を選ぶことを推奨する。CPマーク付きの建材は、ピッキングやこじ開けに対して一定時間以上の抵抗力を持つと証明されている。出典：警察庁「住まいる防犯110番 防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」

特殊詐欺

　岡山県の一部の地域では特殊詐欺の被害が報告されている。2024年の被害件数は197件で被害総額は約6億3980万円にも及んでいる。出典：警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「令和6年中の情勢」

オレオレ詐欺

　オレオレ詐欺は、AIディープフェイクで合成した映像や音声で子どもになりすますなど手口が巧妙化している。そのため、対面で会うまではお金を渡さないように意識することが対策として有効である。

闇バイト

　高齢者だけでなく青少年も狙われている。「手軽に」「短時間で」「簡単に」稼げるアルバイトに手を染めてしまい、特殊詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯など犯罪組織の手先として利用される青少年が続出している。

 「自分の子どもに闇バイトをさせないためには、その後の人生がどうなるかを子どもに教えておくことが重要です。たとえば、共同正犯に問われて強盗致死で裁かれたら、無期懲役か死刑。有期懲役でも結婚や就職が難しくなることを教えておくと抑止力となります。最近では、岡山県で闇バイトの募集が増え始めているため、注意してください」（京師氏）。

不同意性交(不同意わいせつ)

　岡山県では、不同意わいせつや不同意性交が報告されている。

　体を触られるなどの被害は、夏にかけてピークを迎える。猛暑により薄着になる人が増えることもあり、わいせつ行為に及ぶ傾向が高まる。

 「女性は十分に注意してください。尾行されているかもしれないと感じた際には、ダブルターン(同じ方向に2度続けて曲がることで、後方に不自然に残る人物がいないか確認する)を行いましょう。そして、後ろについてきた場合はコンビニに入り安全を確保してください。店前で待ち伏せされている場合は警察に通報しましょう。また、いつでも周囲に助けを求められるように、ブザー付きのスマホを持っておくことをおすすめします」（京師氏）。

住まなくなった家の放置は治安の悪化につながる

　近年、治安悪化を招く要因として問題視されているのが、長期間、人が住んでいない空き家や別荘などだ。

　例えば、管理が行き届かず、郵便物のたまり、庭の雑草が生い茂ったままだと空き巣に「留守の家」と思われて狙われる。 岡山県でも空き家率は年々増加しており、対策が急務となっている。

　適切な管理が難しいのであれば、売却して資産を有効活用するという選択肢は非常に有効だ。 「使っていない物件がある」「そろそろ手放したい」ときは、無料査定で市場価値を確認してみてほしい。

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