相続した実家の空き家など、不要な不動産を売却する際の注意点やおすすめの方法を解説!

2023年6月27日公開(2023年6月26日更新)
梶本幸治:株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長

今回は「使っていない不要な不動産を売却する際の注意点やポイント」について解説いたします。相続した実家の空き家など、不要な不動産の売却を検討している人は参考にしてください。(株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長 梶本幸治)

令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化される

不要な不動産の売却
使わなくなった不要な不動産(出所:PIXTA)

 不動産は重要な資産の一つですが、近年では使われないまま放置されている不動産が増えてきました。

 特に、所有者が亡くなったにもかかわらず相続登記が行われていない不動産は、所有者不明のまま放置され、景観や防犯の観点から大きな社会問題となっています。

 そこで国は、令和6年4月1日から相続登記の申請を義務化(これ以前の登記でも未登記であれば義務化の対象。但し3年の猶予期間有り)し、この義務に違反した場合は過料が課されることとしました。

【関連記事】>>相続不動産の登記義務化が2024年から開始! 未登記での「過料10万円」はどこまで厳格にやるのか?

 これによって、制度上は相続後に所有者不明状態になる不動産は無くなるはずですが、次に問題となるのは「使わないから手放したいけど、売れないし貸せない」物件の存在です。

 この問題を解消するため、令和5年4月27日から「相続土地国庫帰属制度」がスタートしました。これは土地に限定していますが、管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して算定した負担金を支払うと、その相続した土地を国庫に帰属させることができる制度です(1筆当たり14,000円の審査手数料を支払って申請し承認が必要)。

 ちなみに、申請段階で却下となる土地は下記の通りです。

・建物がある土地
・担保権や使用収益権が設定されている土地
・他人の利用が予定されている土地
・特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
・境界が明らかでない土地
・所有権の存否や範囲について争いがある土地

 つまり、親が残した不要な着物を買い取り業者に買い取ってもらうかのように、親から譲り受けた不要な土地を、国に買い取って(負担金を支払い)もらう時代になったのです。
※参照:政府広報オンライン|相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」

 これ以外にも、国庫に帰属させたいほどではないが、なんとなく所有したままで放置されている空き地・空き家もたくさんあります。

 このように使っておらず不要と思われる不動産の現状はどうなっているのでしょうか。

今後5年以内に空き家を売却したい人は17.3%

 ここでは、空き地・空き家のうち、空き家に注目してその現状をみてみましょう。

 国土交通省住宅局住宅政策課が令和2年12月16日に発表した「令和元年空き家所有者実態調査集計結果」には、空き家の現状が詳細に記載されています。その中から何点か気になる箇所をピックアップしてご紹介いたします。

・空き家の5割超は腐朽・破損がある
・空き家の約4割は最寄りの鉄道駅から2,000m以上離れている
・所有世帯の約7割は空き家まで1時間以内の場所に居住
・空き家の管理頻度は「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割
・空き家にしておく理由は、物置として必要、解体費用をかけたくない、更地にしても使い道がないの順

※参照:国土交通省|令和元年空き家所有者実態調査

 これらを総合的に読むと、

 「まあまあ壊れていたり、朽ちたりしている空き家を所有している。この空き家は自宅からはそう遠くない場所にあるが、駅からは少し遠い。管理のために月に数回訪れてはいるが、解体費用はかけたくなく、更地にしても使い道はなさそうなので、とりあえず物置として使用している

 といった状況が浮かび上がってきますね。

 なお同調査では、今後5年程度の利用意向についても調べていますが、それによると1位が空き家にしておく(28.0%)、2位がセカンドハウスなどとして利用(18.1%)、3位は売却(17.3%)で、4位は取り壊す(13.2%)とのことです。ちなみに賃貸は5.3%とやや少なめの印象です。

 ご覧いただいたように、令和元年空き家所有者実態調査からは、不動産所有に対する強い意志も、今後の利用に関する具体的なビジョンもあまり感じません。

 そうなると「いつか売却を」という選択をするときが来るかもしれません

 まあ、私自身の専門が不動産売買ですので、どうしてもそちらへ誘導(?)したくなるのかもしれませんね。

 とはいえ、今後5年程度の利用意向で売却は3位にランクインしています。

不要な不動産を売却する際の注意点とは

 では、ここからが本題ですが、不要になった不動産を売却するにあたり、不動産営業担当者と面談する際に注意していただきたいことがあります。

 それは、営業担当者から売却理由を尋ねられた時に「要らないから売る。不要だから売る」と言い過ぎないでいただきたいのです。

 「要らないから売る。不要だから売る」ばかり連呼すると、能力の低い営業担当者や、自分の成績ばかり考える営業担当者は次のように考えます。

不要だから売る

不要ならとっとと処分したいはずだ。高く売るより早く売りたいはずだ

では、スピーディーに売却できる「買取」を徹底的に提案しよう。売却価格は「仲介」より安くなるけれど

買取の方が不動産会社(営業担当者)ももうかるからその方がいいや!

 このような思考回路で徹頭徹尾、買取提案をされてしまうと、その営業担当者の営業職としての力量を測ることは難しいでしょう。

 では、どうすればよいでしょうか。私のおすすめの売却方法をお伝えしますね。

不要な不動産を売却する際におすすめの方法

不要な不動産の売却におすすめの相談方法
主要な売却理由と具体的なきっかけを伝える(出所:PIXTA)

 私がおすすめする方法とは、「主要な売却理由と、今回、具体的に売ろうと思ったきっかけを話した上で、不動産営業担当者から販売施策の提案を受ける」というものです。

 例えば、あなたが平成29年にご実家を相続されたものの、そのまま放置していたとします。その後、令和5年6月に「空き家の瓦が落ちてきて通行人の頭に当たった」というニュースを見て、急に実家を空き家にしているのが怖くなって不動産会社に査定依頼をしたとします。

 この場合、主要な売却理由は「平成29年の相続」、今回、具体的に売ろうと思ったきっかけは令和5年6月のニュースということになります。

 これらの経緯を営業担当者にお話しされれば、いろいろな施策の提案を受けられるでしょう。

 「そのニュースは私も見ました。そんな怖いことにならないよう、まずは更地にしてから販売しましょう」

 「いやいや、あなたのご実家はそこまで老朽化していませんよ。ですから急がずじっくり仲介で売りましょう」

 「確かに所有者の責任を問われるのは厳しいですね。早々に当社が即金で買い取りましょうか?」

 「不動産一括査定サイト」を利用すれば、複数の不動産会社へ同時に声をかけることもできます。複数の営業担当者からさまざまな販売施策の提案を受け、あなたが最もしっくりくる施策を提案してきた営業担当者に、売却を任せることをおすすめします

 あなたの不動産が、あなたのご希望に近い形で売却できるといいですね。

【関連記事】>>親の家を高く売るには、売却の流れや売り時について知っておくことが重要!

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