住宅ローンの返済方法には、毎月返済額が変わらない「元利均等返済」と、毎月返済額のうち元金分(借金返済に充てられる分)が同じで徐々に毎月返済額は減っていく「元金均等返済」の2つがある。現在の超低金利時代が続く限り総返済額に大差はなく、将来の生活設計の立てやすさから「元利均等返済」がおすすめだ。
「元利均等返済」と「元金均等返済」は一字違いで、間違いそうになるが、毎月返済額の計算方法が大きく異なる。
「元利均等返済」は、元金分と利息を合わせた毎月の返済額が変わらないので分かりやすい。ただし、毎月返済額に占める元金分と利息の割合は毎月変わる。返済が進むほど元金分の割合が増えていくためで、最初は借入残高がなかなか減らない。
「元利均等返済」は毎月の返済額が同じなので、将来の生活設計が立てやすいというメリットがある。しかし、返済期間が同じ場合、「元金均等返済」より総返済額が多くなるというデメリットがある。
一方、「元金均等返済」は毎月返済額が徐々に減っていく。同じなのは毎月返済額のうち、元金分だ。返済期間35年の場合、借入額を420カ月(35年×12カ月)で割れば、毎月の元金分の返済額が出る。利息は借入残高に金利を掛けて計算する。銀行の表示する金利は年利なので、毎月の金利は年利÷12で計算する。返済額は元金分+利息となる。当初の毎月返済額は「元利均等返済」より多くなるが、毎回の返済で借入残高が減るにつれて利息も減っていくので、毎月返済額は次第に減っていく。
返済期間が同じ場合、「元金均等返済」は元金の返済が「元利均等返済」より早く進み、総返済額も少なくなるのがメリットだ。しかし、当初の返済額が「元利均等返済」より多くなるというデメリットがある。
現在の超低金利状態では「元金均等返済」のメリットはほぼない
金利の上昇に注意して柔軟に検討しよう
どちらを選んだ方がいいかは、現在の家計や将来の生活設計によって違ってくる。公務員など、将来の収入がある程度見通せる人なら、「元利均等返済」の方が家計の管理はしやすいだろう。一方、今は夫婦共働きだが、子供ができたら妻が退職する予定だというような人は、家計に余裕があるうちに元金を減らせる「元金均等返済」がいいだろう。
ただし、これは普通の金利状態のときの話だ。ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんは次のようにアドバイスする。
「金利が1%を切っている現状では、総返済額に大差はないので、元金均等返済のメリットはほとんどありません。むしろ、元利均等返済で返済額を一定にし、将来の生活設計を立てやすくすることのメリットが上回ります」
実際、金利0.5%(35年固定金利)とし、両者を比べてみよう(借入額3000万円、借入期間35年とする)。
「元利均等返済」は総返済額が3271万円で、毎月返済額はずっと7.8万円だ。一方の、「元金均等返済」は、総返済額が3263万円で、毎月返済額は最初8.4万円だが、徐々に減少していき、420カ月目は7.2万円になる。
それぞれの図の面積が総返済額にあたるのだが、こうして比べてみると面積はほとんど一緒だ。「元利均等返済」は総返済額がわずかに8万円高いだけであり、一方で返済額が変化しないというメリットに変わりはない。現在の超低金利時代が続く限りは、「元利均等返済」を選んでおけば間違いなさそうだ。
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
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Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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淡河範明さん
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