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2020年の住宅ローン金利動向はどうなる?
日銀のマイナス金利政策で金利は過去最低水準!
銀行の競争が激化し、当面は底値圏内?

2020年1月1日公開(2020年9月25日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

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2020年以降の住宅ローンの金利動向はどうなるのだろうか? 住宅ローン金利は、日銀のマイナス金利政策の影響を受けて、過去最低水準で推移している。日銀の金融政策や、銀行間の住宅ローン獲得競争の激しさを検証してみると、当面は多少の変動はあるものの、過去最低金利水準で推移する可能性が高そうだ。

変動金利は、0.5%を切る水準まで下落

 まずは、住宅ローンで最も売れている「変動金利」の推移を見てみよう。

 下のグラフのように、過去12年分の変動金利の推移(2年間隔のデータ)を見ると、こちらも一貫して下落し続けていることがわかる。2008年9月は1.875%あった変動金利だが、2019年12月には0.475%まで下落している(いずれも大手銀行の金利)。ネット銀行の変動金利はさらに低い金利となっており、2020年1月のジャパンネット銀行の変動金利は0.399%だ。変動金利についても、過去最低金利水準となっている。

 変動金利は、主に短期金利市場から資金を調達しているので、短期金利に連動するといわれている。短期金利の指標となるのは、日銀の政策金利(無担保コール翌日物レート。現在は日銀当座預金の超過準備に対する金利)で、金融緩和政策により下落し続けており、現在は▲0.1%だ。

 ただし、住宅ローンの変動金利は、この日銀の政策金利以上に下落していることが、グラフを見るとわかるだろう。後ほど、この理由を説明する。

変動金利の推移と、日銀政策金利の推移

フラット35の金利は史上最低水準!

 次に、住宅ローンのうち、長期固定金利の代表格である「フラット35」の金利(返済期間21年以上、頭金10%以上の最低金利)の推移を振り返ってみよう。

 下のグラフは過去13年間の金利推移だが、ほぼ一貫して下落してきた。2007年当時は3%強だった金利は、2019年9月に過去最低金利の1.11%を記録。その後若干上昇しているものの、2020年1月は1.27%(団体信用生命込み)だ。今なお、住宅ローン金利は過去最低水準にあるといえる

 なお、フラット35の金利は、貸出資金を市場から調達しているため、日本国債10年の利回りとほぼ連動している。グラフを見ても、その連動ぶりがよくわかるだろう。日銀による金融緩和策により、10年国債金利はずっと下がり続けており、フラット35金利もほぼ連動する形で下がってきた。

フラット35と10年国債金利の推移

金利を決定するのは、市場金利と銀行間競争

 ここで、住宅ローンの金利はどうやって決定するのかを説明しよう。住宅ローン金利を決定する要因は、主に2つある。

 住宅ローン金利を決定する要因 
(1)日銀政策の影響を受けている市場金利
(2)銀行の住宅ローン獲得競争による金利引き下げ

 まず、(1)日銀政策の影響を受けている市場金利を見てみよう。銀行が住宅ローンを貸し出す際、その資金を金融市場などから調達しなければならないので、どうしても市場金利の影響を受けることになる。

 変動金利は、短期金利市場で資金を調達してくるので、「日銀の政策金利」(現在は、日銀当座預金の超過準備に対する金利)の影響を受けやすい。日銀の金融緩和政策により下落し続けており、現在は▲0.1%だ。

 一方で、住宅ローンの長期固定金利(フラット35を含む)は、長期金利(10年国債金利)の影響を大きく受ける。10年国債金利については、日銀がマイナス金利政策などを導入。0%程度にとどめるよう金利操作をするとしており、現在は0%から▲0.1%の間で推移している。

 (2)銀行の住宅ローン獲得競争による金利引き下げも重要な要因だ。多くの銀行は貸出先がなかなかないため、住宅ローンの獲得にかなり意欲的だ。ライバル銀行に競り勝つため、金利の引き下げ競争はかなり過熱している。住宅ローン業界では、この金利引き下げのことを「金利優遇」と言っている。

 それでは、今後の金利の動向を予想するため、「変動金利」と「長期固定金利」に分けて、さらに詳しく見ていこう。

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変動金利の低さは、銀行間の競争の影響が大きい!

 「変動金利」の金利の動向を調べるため、変動金利がどのように決まっているのかを見てみよう。ここでは大手銀行の三井住友銀行のケースで考えてみる。

変動金利の決まり方

 住宅ローンの変動金利の決まり方はやや複雑だ。最近はあまり目にすることはないが、住宅ローンの金利は、元々は「店頭金利」が利用されていた。各銀行の金利はほぼ横並びという牧歌的な時代だった。

 その「店頭金利」から、各銀行が設定した「金利優遇幅」を引いたものが「表面金利」で、実際に適用される金利はこの「表面金利」だ。「表面金利」は、2008年9月は1.875%だったが、2019年12月には0.475%まで低下している(ネット契約専用の金利)。

「表面金利」=「店頭金利」-「金利優遇幅」

 それぞれを、詳細にみていこう。

●店頭金利

「店頭金利」については、「日銀の政策金利」の影響を受けており、日銀による金融緩和策によって、徐々に下がってきた。

 日銀は景気回復のために政策金利を引き下げてきたが、それだけでは効果が薄いため、資産を買い入れる「量的緩和」、「マイナス金利」などの施策を実施してきた。今後、景気が回復したとして、金融政策を「引き締め」に転じたとしても、量的緩和の解消が先であり、日銀の政策金利の引き上げはその後になるのではないかという見方が多い。

 今のところ、金融緩和政策がすぐに終了するという兆候はないので、店頭金利が急上昇するということはないだろう。

●金利優遇幅

「金利優遇幅」についても、徐々に拡大している。金融自由化の中で多くの金融機関が収益の柱として住宅ローンに注目。顧客獲得に向けて、金利引き下げ競争が広がったのが原因だ。

 実際、三井住友銀行の場合、金利優遇幅は2008年9月に1.000%だったが、約11年後の2019年12月は2.000%まで拡大している。現在、各銀行の変動金利は0.5%前後という非常に低い金利となっているが、その大半は金利優遇によるものだ。

 銀行は、自らの利益を削って量の拡大に走ってきたわけだが、こうした競争はいつまで続くのだろうか。黒田東彦日銀総裁は2016年に、「競争的な金融システムの中で、住宅ローン金利の引き上げが起きることはなかなか考えられない」と答えている。金融機関は、法人向けの融資などがなかなか伸びないため、住宅ローン貸し出しに力を入れざるをえないと見ているのだ。

 実際、住宅金融支援機構が毎年行っている「民間住宅ローンの貸出動向調査(2019年度)」によると、「今後も積極的に住宅ローンに取り組む」という銀行は非常に多く、72.7%(新規借入の場合)にも上った。その比率は落ちてきてはいるものの、依然として高い。

 さらに、「金利優遇を活用した営業姿勢」についても、69.1%の銀行・金融機関が「競合機関との対抗策として継続」と回答している。変動金利が、今後突然上昇するという事態はすぐに起こりそうにはない。

変動金利はコスト割れ寸前!?

 とはいえ、金利がこれ以上、下落するのは簡単ではなさそうだ。すでにコスト割れ寸前まで金利が下がっていると言われており、これ以上、下がる余地は少ないからだ。

 住宅ローンには様々なコストがかかっている。資金調達原価、営業経費、団信保険料、住宅ローン破綻(デフォルト)コスト、繰り上げ返済リスクに備えたコストも必要だ。多くの項目は経営努力によって引き下げることが可能だが、少なくとも団信特約料は実費として0.3%程度を保険会社に支払っている。また、住宅ローン破綻コストは普通の審査基準であれば0.2%程度かかるといわれている。合計のコストは少なくとも0.5%だ。

 銀行の変動金利は現在、0.5%前後であり(2020年1月時点)、どう計算してもギリギリか、赤字だ。それでもここ数年、変動金利はじりじりと下がってきており、まだ下がる余地はあるかもしれない。銀行としては、住宅ローン単体で採算を取るというよりは、給与振込口座の獲得や投資信託の販売などで、総合的に収益を上げていくのだろう。

 こうした要因も踏まえて総合的に判断すると、住宅ローンの「変動金利」の見通しは、上がる要因も下がる要因も乏しく、当面は現状維持にとどまりそうだ。

 なお、ダイヤモンド不動産研究所で連載をしているブロガーの千日(せんにち)さんは、「2023年になるとリーマンショックの2008年以前の高い金利水準で借りている人はほぼいなくなっていて、2009年以降の超低金利で住宅ローンを借りている人しか残っていない状態になる」としており、その結果、ほぼ全ての銀行が変動金利を一斉に引き上げる可能性があるという予想もあるので参考にしよう。

【関連記事はこちら!】
⇒ 住宅ローンの変動金利が上がる時期を、銀行の“懐具合”から大胆予測!

長期固定金利も、優遇幅拡大の恩恵が大きい

 では、住宅ローンの10年固定金利、35年固定金利などの「長期固定金利」はどうやって決まっているのだろうか。

●フラット35

 まず、全期間固定金利で、公的融資の側面が強い「フラット35」については、先ほどもグラフで見たように、10年国債金利にほぼ連動している。今後も、連動していくものとみられる。

●民間銀行の長期固定金利

 では、民間銀行による「長期固定金利」の住宅ローンはどうなるのか。

 変動金利のケースと同様に、市場金利(10年国債金利)との連動性が高い「店頭金利」が下がっているだけでなく、「金利優遇幅」も徐々に拡大している。結果として、長期固定金利は、年々下落してきた。下の図を見てほしい。

10年固定金利の金利の決まり方(店頭金利、優遇幅、表面金利の推移)

  住宅ローンの10年固定金利(実際の貸出金利である「表面金利」)は、10年前(2008年9月)は2.950%もあったが、2019年12月には1.400%まで低下している。金利水準は非常に低くなっている。ネット銀行などでは、0.6%程度という非常に低い金利を提示している。

 店頭金利の下落もあるが、それ以上に大きいのが優遇幅の拡大だ。2019年12月の金利優遇幅は1.850%であり、店頭金利との差は非常に大きい。やはり、銀行間の競争による「金利優遇幅」の寄与度はかなり大きいといえる。

 今後も住宅ローンを獲得したいという銀行の姿勢に変わりはないので、金利優遇幅が急速に縮小することはなさそうだ。

長期金利の低下が住宅ローン金利低下を後押し

 では、今後の市場金利(10年国債金利)はどうなっていくのか。金利の先行きは誰にもわからないが、すぐに金利が上昇するという局面ではなさそうだ。

 日本政府は国債発行残高が約900兆円あり、金利が1%上昇しただけで、金利が9兆円も増大する。年間の税収が60兆円程度しかないのだから、ちょっとした金利上昇で政府予算がひっ迫してしまうので、日銀としては政府を支援するためにも大幅な金利上昇は絶対に避けたいところだ。

 一方で、米国はトランプ大統領が就任してから、金利を引き上げてきたが、米中貿易摩擦などによって、2019年には利下げに転じており、方向性は見えにくい。長期固定金利の見通しは、急速に金利が上昇する可能性は低いが、徐々に上昇していく可能性はあるかもしれない。

フラット35の金利が1%前後というのは異常な低金利
借り換えのチャンスがあるのなら、早めに取り組みを!

 以上のように、住宅ローンの変動金利の当面の見通しは現状維持、長期金利については徐々に上昇していく可能性がありそうだ。

 金利については予想が難しく、さまざまな見方があるものの、住宅ローン金利は数年前に比べれると現在でもまだ「超低金利状態」にある。フラット35の金利が1%強というのは数年前に比べたら異常な低金利だ。もし現在、住宅ローンを借りているのであれば、借り換えメリットがあるかどうかを確認し、現時点でメリットがあるのならば、借り換えてしまうのが得策だろう。

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