住宅ローン金利は今後どうなるのか。日銀は2024年3月から2026年6月までに4回の追加利上げを実施し現在の政策金利は1.0%。住宅ローンの変動金利は大手銀行で1.0%前後、フラット35は3%台まで上昇している。本記事では、大手シンクタンクの短期金利予想を踏まえ、2026年以降の住宅ローン金利の見通しをわかりやすく解説する。(住宅ローンアドバイザー 淡河範明)
住宅ローン金利は今後どうなる?2026年の見通し
住宅ローン金利は、固定金利が先行して上がるなか、変動金利ともに今後も緩やかに上昇していく見通しだ。日銀が金融正常化に向けて動き出しており、「過去最低水準」の時代は完全に終わった。
まずは、変動金利(青線)と全期間固定金利のフラット35(赤線)の18年間の推移を確認しよう。
2024年3月のマイナス金利解除を起点に、日銀は4回の追加利上げを実施。2026年6月の利上げ(政策金利1.0%)を受け、変動・固定ともに本格的な上昇局面に移行している。
変動金利(青線)については、2008年9月以降に下落を続け、2024年3月には0.375%まで低下した。しかし、2024年5月以降ほとんどの銀行が金利を引き上げ始め、2026年4月には大手銀行を中心に相次ぎ引き上げが実施された。
ソニー銀行・イオン銀行・SBI新生銀行は基準日が5月のため、5月1日付けで金利の引き上げを実施。現在の変動金利は多くの銀行で1.0%前後の水準となっている。
全期間固定金利のフラット35(赤線)は、2004年ごろは3%台だったが、その後1%台まで下落。2019年以降に金利上昇が始まり、2026年6月以降のフラット35金利は、3%台まで上昇している。
2025年から2026年にかけての世界的な金利上昇を受けて、全期間固定金利が上昇し始めただけでなく、日銀の金融政策の変更により、今後の住宅ローン金利はさらに上昇する見込みだ。
【毎月更新中!】>>最新の住宅ローンの金利推移(変動・固定)は? 最新の動向や金利タイプの選び方も解説
2026年以降の大手シンクタンクの短期金利予想は?
次に、大手シンクタンクの短期金利の予想を見てみよう。短期金利は住宅ローンの変動金利に連動しており、今後の変動金利予測の参考になる(各社の短期金利の指標は違う。詳細は注記参照)。
| 年度 | 大和総研 | みずほR&T | ニッセイ基礎研 | 三菱UFJR&C |
|---|---|---|---|---|
| 2026 | 1.25% | 1.00% | 1.00% | 1.00% |
| 2027 | 1.50% | 1.50% | 1.25% | 1.25% |
| 2028 | 2.00% | 1.75% | 1.50% | 1.25% |
| 2029 | 2.50% | 2.00% | 予想なし | 予想なし |
| 2030 | 3.00% | 2.00% | 予想なし | 予想なし |
|
※出典および短期金利の指標:大和総研「第229回日本経済予測(2026年6月)」は日銀政策金利、みずほリサーチ&テクノロジーズ(みずほR&T)「2026・2027年内外経済見通し(2026年2月)」は無担保コールレート。ニッセイ基礎研究所「2026・2027年度経済見通し(26年5月)」は無担保コールレート、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(三菱UFJR&C)「2026/2027 年度短期経済見通し(2026 年 6 月)」は無担保コール翌日物を参照。 |
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大和総研は、7月号のレポートで2026年末時点の想定を1.00%から1.25%へ上方修正した。2026年以降、毎年0.25%の利上げが2回実施されると予想している。みずほR&Tは、2027年中に1.5%まで利上げを行った後は、年に1回の利上げと予想している。ニッセイ基礎研と三菱UFJR&Cの予想は、先の2社と比べて利上げは緩やかな予想である。
日銀は、金融政策決定会合を年間8回開催する予定で、1回あたり0.25%単位で金利を上げることが予想されるが、毎回金利を上げる訳ではない。2025年は政策金利を0.75%まで引き上げ、2026年6月には1.0%まで引き上げた。
市場では次回の利上げ時期を2026年12月とみる向きが多く、実現すれば政策金利は1.25%に達する。日銀の植田総裁は、中立金利について1%〜2.5%と言及していたため、やや保守的な見通しをしているようだ。
変動金利は今後どうなる?下がる可能性はあるか
変動金利が今後大きく下がる可能性は低く、上昇していくことが見込まれる。ただし、上昇スピードは固定金利と比較すると緩やかになるだろう。また、固定金利とのスプレッド(変動金利が1.24%、フラット35は3.14%とすると、スプレッドは1.9%)は徐々に解消されていくものと見ている。
住宅ローンの変動金利は主に短期金利市場から資金を調達しているため、日銀の政策金利に連動する。
政策金利は2026年6月時点で1.0%程度となっており、日銀が利上げ基調を続ける以上、変動金利の上昇圧力は当面続く見通しだ。
変動金利の仕組みをおさらいしておこう。政策金利に銀行のコストや利益を乗せたものが「店頭金利(基準金利)」であり、そこから各銀行が設定した「金利優遇幅」を引いたものが「表面金利(実際の貸出金利)」となる。
下のグラフの通り、2008年9月の「表面金利」は1.875%だったが、「金利優遇幅」が拡大することで表面金利を下げてきた。一時期0.375%だった表面金利は、2026年6月現在、0.995%まで上昇している(大手銀行のケース)。
では、「店頭金利」「表面金利」「金利優遇幅」それぞれの要因を見ていこう。
「店頭金利」については、日銀の政策金利※(短期金利の指標)の影響を受ける。
※政策金利:無担保コール翌日物レート。現在は日銀当座預金の超過準備に対する金利
政策金利(上グラフの赤線)は、日銀の金融緩和政策によって低下していったが、住宅ローンの店頭金利(上グラフの緑線)はこれに追随せず、過去15年以上、2.475%で横ばいが続いていた。
その理由は、ベース金利を短期プライムレート※としている銀行を含めほとんどが金利を変更しなかったからだ。一方、ベース金利を短期プライムレートとしない一部の銀行は、店頭金利を少し動かした。※短期プライムレート:金融機関が優良企業向けの短期貸出(1年未満の期間の貸出)に適用する最優遇金利
ここからは原則、短期プライムレートをベース金利とする銀行を中心に説明する。
マイナス金利解除で「店頭金利」据え置きの終焉
本稿では15金融機関を対象に分析した。2008年のゼロ金利再導入以降、政策金利は約0.4%下がり、それに連動するように、店頭金利は2.875%から2.475%へ引き下げられた。
その後も政策金利は徐々に引き下げられ、約0.2%低下(+0.1%→▲0.1%)となり、マイナス金利にまでなったのだが、その間も店頭金利が変更されることはなかった。
その理由は、短期プライムレートを政策金利に連動して引き下げると、利息収入が大きく減少するため、店頭金利と政策金利の連動を断ち切ったのだと推測している。
2024年3月にマイナス金利が解除され、政策金利は17年ぶりに▲0.1%から0%に引き上げとなったが、住宅ローンの店頭金利は変更されることがなかった。これは連動が断ち切られていた期間に積み上がった0.2%の乖離分を、今回の解除で吸収したとみなせる。
同年7月のゼロ金利解除により、政策金利は0.25%に引き上げられた。これを受け、以下の通りほとんどの銀行が店頭金利を引き上げ、平均では0.163%上昇した。
据え置き:みずほ銀行ほか2社
0.15%引き上げ:三菱UFJ銀行をはじめ7社
0.25%引き上げ:住信SBIネット銀行、イオン銀行、ソニー銀行、auじぶん銀行
0.25%以上の引き上げ:楽天銀行、SMBC信託銀行
※0.25%引き上げた銀行のうち住信SBIネット銀行以外は、ベース金利を短期プライムレート以外としている。短期プライムレートをベース金利とする銀行の多くが0.15%の引き上げにとどめたのは、前述の0.1%の乖離分が残っていたと判断したためとみられる。
変動金利の今後:金利優遇幅の縮小リスクにも注意
表面金利を下げるもうひとつの要因である「金利優遇幅」は、近年まで徐々に拡大してきた。銀行間の顧客獲得競争の結果だが、金利上昇局面では優遇幅が縮小に転じる可能性もある。
2024年10月に三菱U F J銀行が優遇幅を拡大したことで競争は激化したが、みずほ銀行のように住宅ローンを積極的には取らない方針に切り替えた銀行も出ており、潮目は変わりつつある。
長期金利が上昇すれば、銀行は住宅ローンより国債運用を優先する動きも起きうる。短期金利が上昇しなくても、金利優遇幅が縮小することで変動金利の表面金利が上昇する可能性もある点は、特に注意が必要だ。
総合的に判断すると、住宅ローンの変動金利は、2026年末までに0.25〜0.5%程度の上昇を見込む。2026年6月に日銀が政策金利を1%へ引き上げたことで、追加利上げ余地は残るものの、上昇ペースは2024〜2025年ほどの急勾配にはならないと見込まれるが、「金利が上がらない」と楽観視できる局面はすでに過ぎている。
【関連記事】>>住宅ローンの10年後の変動金利は何%になるかを予想!
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変動金利ランキングはこちら >>長期固定金利(フラット35)は今後どうなる?
長期固定金利の今後を見ていこう。ここでは、住宅金融支援機構が民間銀行と提携して提供する「フラット35」と、民間銀行が提供する固定機関選択型の「長期固定金利」について解説する。
フラット35は今後も上昇していく見込み
長期固定金利の代表格である「フラット35」の金利(返済期間21年以上、頭金10%以上の最低金利)の推移を見てみよう。
フラット35の金利は貸出資金を市場から調達しているため、10年国債の利回りとほぼ連動して動く。下のグラフは過去15年間の金利推移である。

※2019年9月以前は、団信保険料が別途支払いだったため、保険料に当たる0.358%を足した金利とした
フラット35は、2019年9月に過去最低金利の1.11%を記録した後に上昇しているものの、2025年2月は1.89%(団体信用生命保険込み)と低水準だった。しかし、2026年6月には3.21%まで上昇している。1年で1%以上の上昇だ。
フラット35(買取型)と10年国債のスプレッド(金利差)は過去平均で約1.5%だったが、2024年後半から縮小し、2026年6月には約0.4%まで縮まっている。銀行が利益を圧縮してでも低金利を提供してきた結果だが、この状態が長続きするとは言いにくい。
日銀は2024年7月にYCC(イールドカーブコントロール)政策を撤廃し、長期金利は市場で決定されることとなった。経済成長率・期待インフレ率・期間プレミアム・海外金利などの影響を受けながら、長期金利は徐々に上昇していくと予想する。
フラット35を利用するなら「保証型」も検討を
フラット35には「買取型」と「保証型」の2タイプがある。多くの金融機関が扱う「買取型」は最低金利がほぼ横並びだが、ARUHIなどが取り扱う「保証型」は買取型より低い金利を設定している。さらに頭金の割合が多いほど金利が下がる仕組みになっており、フラット35を利用するなら「保証型」を検討したい。
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民間銀行の長期固定金利は今後どうなる?
フラット35と並んで選択肢となるのが、民間銀行が提供する固定期間選択型の長期固定金利だ。市場金利(10年国債金利)との連動性が高い「店頭金利」の低下に加え、「金利優遇幅」の拡大が続いてきた結果、長期固定金利は長期にわたって下落してきた。

三井住友銀行の10年固定金利(表面金利)は、2008年9月の2.95%から2024年3月には1.14%まで低下した。店頭金利の下落もあるが、それ以上に大きかったのが優遇幅の拡大だ。2023年4月の金利優遇幅は2.650%と、店頭金利との差は非常に大きい。
ただし、2025年2月に一部銀行が優遇幅をわずかに縮小に転じ、2025年以降はこの傾向が広がっている。長期固定金利を積極的に獲得したいという状況ではなくなってきた銀行が増えており、今後は徐々に「金利優遇幅を引き下げる銀行が増える」と見込まれる。
10年国債利回りがすでに2.6%台まで上昇している2026年6月現在、店頭金利の上昇と優遇幅の縮小がダブルで作用するリスクがある。民間銀行の長期固定金利も、今後は上昇しやすい局面にあると考えておきたい。
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全期間固定金利ランキングはこちら >>変動金利か固定金利か、どちらを選ぶべき?
ここまで解説してきた通り、住宅ローン金利は今後、変動金利も固定金利も上昇していくと考えられる。
そのため、どちらの金利タイプを選ぶべきかは、「金利リスクへの耐性」と「家族のライフスタイル」によって異なる。
変動金利・固定金利ともに上昇が続いている今、まずは返済に余裕があるかどうかの確認が出発点となる。
【変動金利が向いている人】
・金利が今後上昇しても返済に余裕がある
・将来の金利上昇時に繰り上げ返済の資金を確保できる
・借入残高が比較的少ない、または返済期間が短い
【固定金利(フラット35など)が向いている人】
・毎月の返済額を完済まで固定したい
・返済に余裕がなく、今後の金利上昇リスクを取れない
・これから子育てや教育費など、出費が重なる時期を迎える
固定金利を選ぶ際は、「固定された毎月の返済額を最後まで確実に払い続けられるか」を基準にすべきである。
変動金利を選ぶ場合は、「現在の金利が最後まで継続した場合」と「借入から6年目以降に基準金利が4%に上昇した場合」の2パターンを試算し、返済が苦しくならないか必ず確認しておこう。
とくに、2026年8月には短期プライムレートの引き上げが決定しているため、変動金利を選ぶ人は、直近の金利上昇分を織り込んだ試算を行っておきたい。
返済額については、ダイヤモンド不動産研究所の「返済額シミュレーション」で手軽に確認できる。
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住宅ローン金利の今後に関するFAQ
- Q住宅ローン金利は今後どうなる?上がる?下がる?
- A
変動金利・固定金利ともに、今後も上昇基調が続く見通しです。日銀は2024年3月のマイナス金利解除以降4回の追加利上げを実施しており、2026年6月現在の政策金利は1.0%です。大手シンクタンクはいずれも2027年までに1、2回の利上げがあると予想しており、変動金利への影響が続くと見込まれます。当面、変動金利が大きく下がる可能性は低いでしょう。
- Q変動金利は今後下がることはある?
- A
現状では変動金利が今後下がる可能性は低いと判断しています。日銀が利上げ基調を継続している以上、政策金利に連動する変動金利への下押し圧力は働きにくい状況です。ただし、景気後退や金融システムへの懸念が生じた場合、利上げペースが鈍化・一時停止する可能性はあります。そのシナリオでも「下がる」のではなく「上昇が止まる」程度と考えるのが現実的です。
- Q金利上昇はいつまで続くのか?
- A
大手シンクタンクの見通しでは、2026〜2027年にかけて政策金利が1〜1.5%程度の水準と予想されています。急ピッチな利上げが長期間続くシナリオは想定されておらず、ある程度の水準に達した後は横ばいになるとみられます。ただし、日銀の植田総裁は「経済・物価がオントラックであれば引き続き利上げをする」と発言しており、賃金動向や米国景気次第でペースは変わります。
- Q政策金利と住宅ローンの変動金利はどう連動するの?
- A
住宅ローンの変動金利は「政策金利→短期プライムレート→店頭金利→表面金利」という流れで連動します。政策金利が0.25%上がると、短期プライムレートが0.25%上昇し、多くの銀行で店頭金利も引き上げられます。ただし、各銀行が設定する「金利優遇幅」の調整によって、実際の表面金利(借入金利)の上昇幅は異なります。2024年以降の利上げ局面では、銀行によって据え置き・0.15%上昇・0.25%上昇と対応が分かれています。
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淡河範明さん
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