世帯年収1000万円、夫35歳会社員、妻34歳会社員、6歳と3歳の子どもがいる4人家族が不動産を購入する場合、住宅ローンはいくらまでなら安心して返済できるのか、資金繰りをシミュレーションしてみた。このまま共働きで65歳まできちんと働き続けられるのであれば、5000万円程度の物件であれば問題なく購入できるだろう。とはいえ、3人目の子どもが生まれたり、共働きを続けられなくなったりする可能性があるなら、希望する物件価格は低めにしておいたほうが安全だろう。(ファイナンシャル・プランナー 菱田雅生)
世帯年収1000万円、30代4人家族のケースをシミュレーション
今回は、30代半ばの共働き夫婦、松本さん(仮名)から相談が来たと想定して試算する。現在の世帯年収は合計1000万円で、貯蓄は1000万円。家族構成は、夫35歳、妻34歳でともに会社員、6歳と3歳の子どもがいる。上の子が小学校に上がるタイミングでマイホームを買いたいと考えているようだ。
シミュレーションでは、給料などの収入と、住宅ローン返済などの出費を推計して、毎年の「年間収支」と「貯蓄残高」を計算した。今回も、年収は50歳まで年1%の昇給率で増えていき、50歳以降は昇給なし、65歳まで働くことができるものとして試算。これで、住宅ローンを安心して支払うことができるのか、今後約30年の家計推移をチェックする。そのほかの細かい前提条件は以下を見てほしい。
【家族構成】
夫35歳/年収600万円(50歳までは年1.0%増加、50歳以降は増減なし)
妻34歳/年収400万円(手取り320万円で将来にわたって増減なし)
長女6歳、長男3歳
【基本生活費】300万円(年1.0%で増加)
【住居費】(購入前)家賃月15万円(購入後)年212万円(住宅ローン返済+保有税等)
【教育費】中学までが公立、高校以後は私立(大学は文系)で試算
【保険料】36万円
【その他出費】100万円(年1.0%で増加)
【初年度年間収支】+60万円
【貯蓄残高】1000万円(期待運用利回り年0.5%)
【住宅ローンの詳細】5000万円(諸経費+200万円)のマンションを頭金800万円と住宅ローン4400万円(全期間固定金利1.31%、30年返済)で翌年購入。毎月返済額約15万円。住宅ローン減税を考慮(控除期間10年で試算)
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物件価格は5000万円あたりが無難なラインか
前提条件が変わればシミュレーション結果も大きく違ってくるので注意が必要だが、上記の前提条件だと、物件価格は5000万円あたりが安全圏の上限か。予定外の出費がなければ、これまで通りの生活を続けて64歳時点で1700万円強の貯蓄をすることができる。
4000万円、5000万円、6000万円の物件を購入したケースをそれぞれシミュレーションしてみると、6000万円の物件を購入した場合は、64歳時点での貯蓄は448万円。
ギリギリなんとかなるかもしれないが、老後資金としては寂しい金額だ。4000万円の物件なら、64歳時点の貯蓄は2976万円になる。老後のゆとりを優先するのであれば、物件価格を高くせずに抑えておくのも有効だろう。
30代、世帯年収1000万円の4人家族が買える物件価格は?
下記に、5000万円の物件を購入した場合の、年間収支と貯蓄額をグラフにした。
5000万円の物件を買った場合の「年間収支」と「貯蓄残高」の推移は?
教育費にいくらかけるかで、物件価格はかなり違ってくる
世帯年収が1000万円くらいになってくると、人によるお金の使い方の違いがより大きくなってくる。食費などの生活費にどのくらいのお金をかけるのか、子どもの教育費にどのくらいのお金をかけるのか。収入が多くなってゆとりが生まれるほど、各家庭による違いが大きくなってくるのである。
フルタイムの共働きであるなら、一般家庭よりは外食が多いかもしれない。子どもの保育園や学童保育などにかかるお金も多くなりがちだろう。
今回の試算では、平均的な教育費を想定しつつ、塾やけいこ事などにかかる家庭教育費の金額を少し多めに見積もってみたが、中高の6年間、進学塾や予備校にフルに通ったとすると、実際にはもっとかかるだろう。
普通よりも多くのお金を子どもにかけたいと思っている場合は、希望する物件価格を500万円とか1000万円の単位で引き下げたほうが無難かもしれない。
また、3人目の子どもが生まれた場合や、妻が働けなくなった場合など、ライフプランそのものが大きく変わる可能性もゼロではない。その可能性の度合いに応じて、より安全策を取るのか、あまり気にしないのか、最終的には夫婦で話し合って決めるべきだろう。
住宅取得だけが人生ではない。子どもの教育や、夫婦の老後も考慮しながら、住宅取得後のゆとりある生活を目指すべきである。今回は、夫婦ともども65歳まで働ける前提で住宅ローンを30年返済として試算しているが、より安全策を取るなら、25年返済でも安心して返していけるように、借入金額を少なく抑えた資金計画が望ましいだろう。
- 年収に対して安心して買える物件価格をシミュレーション
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- ・年収600万円の3人家族の上限は3500万円!?
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- ・年収1000万円の30代4人家族の上限は5000万円!?
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- ・年収1000万円の50代夫婦の上限は3000万円!?
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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淡河範明さん
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