住宅ローンを「変動金利」で借りている人の多くは、「変動金利だけに、最近の低金利の恩恵を受けて金利が下がっているので借り換えの必要はない」と考えているようだ。しかし、それは大間違い。実は、過去に借りた人は「高い変動金利」のままになっているケースが大半だ。シミュレーション(試算)してみると、借り換えによって金利が下がり、数百万円以上もおトクになるケースもあるので、借り換えを急ぐべきだろう。
「変動金利」なのに、借り換えすべき理由とは?
2023年現在、住宅ローンの変動金利は新規借り入れした場合、年利0.4%を切るような超低金利時代に突入している。
そんな中、住宅ローンを借りている人のなかには、こんな人が結構いるようだ。
「住宅ローンのホームページを見てみたら、借りたときよりも金利がかなり低くなっていたよ。変動金利で借りておいてよかった!」
住宅ローン金利の低下に伴い、自分が借りている変動金利も下がっていると思っている人は多いが、これは大きな間違いだ。たしかに、住宅ローン金利は2007年頃から低下の一途をたどっており、現在、過去に類を見ない超低金利となっている。2016年には、日銀が「マイナス金利政策」を導入したことで、金利は一段と低下した。しかし、すでに住宅ローンを借りている人の金利は、最近の金利低下の恩恵を受けられていないのだ。
これを聞くと、「変動しない変動金利なんて、矛盾していないか?」と思うだろうが、実は、現在の低金利が適用されるのは、新規借入や、借り換えで新たに住宅ローンを借りた場合のみ。既存の借り手は借り換えを行わない限り、現在の金利が下がることはない。
つまり、すでに借りている人には、「高い変動金利」が適用されたままになっているということだ。
そこで今回、ダイヤモンド不動産研究所では、どうして変動金利が「高いまま固定されている」のかを分かりやすく解説し、借り換えによってどれくらい金利が下がるのかを試算してみた。変動金利で住宅ローンを借りている人は、この記事を参考にして、ぜひ借り換えを検討してみてはいかがだろうか。
金利優遇幅は、借りたときから変更されない
すでに変動金利で住宅ローンを借りている人の金利は、どうして下がっていないのか。答えは単純で、銀行が金利を下げないからだ。
住宅ローンの「店頭金利」は、「短期プライムレート(通称・短プラ)」をベースにして決められている。「短期プライムレート」とは、銀行が業績の良い会社に1年以内の短期貸し出しを行う際に基準とする金利のこと。短期プライムレートは優良中小企業の貸出金利や信頼できる個人の融資などに幅広く用いられている。金利については銀行側で自由に設定できることになっているが、銀行は短期プライムレートの引き下げに慎重になっており、ここ14年ほど変わっていないのが現状だ。
そして大手銀行の場合、住宅ローンの「店頭金利」は「短期プライムレート」+1%をとしているため、ずっと変化していない。とは言っても、実際の貸出金利は年々下がっている。なぜだろうか。
その秘密は、下図を見れば分かるだろう。ある大手銀行の変動金利の決まり方を図示したものだ。2009年と2018年の金利についてみてみよう。

まず、住宅ローン金利を決定するベースとなるのが、「店頭金利」だ。「店頭金利」は、言わば「住宅ローンの定価」だ。次に、実際の貸出金利である「表面金利」は、「店頭金利」から「金利優遇幅」を引いて計算する。「金利優遇幅」とは「住宅ローンの値下げ幅」のことだ。
定価とも言える「店頭金利」は、ここ14年ほど変化がない。
ただし、銀行間の競争激化によって「金利優遇幅」はどんどん拡大しており、2023年には金利優遇幅が2.1%にまで拡大している。もはや定価である「店頭金利」の姿かたちは残っていないくらい、「金利優遇幅」が非常に大きくなることで、金利が下がってきたのだ。

そして、厄介なことに金利優遇幅は、借りている間は変わることがない。つまり、新規貸し出しの金利優遇幅は拡大されているのに、既存の借り手は借りた当時の金利優遇幅がずっと適用され続けているのだ。
上図であれば、2009年3月に借りた人は、金利優遇幅はずっと「1%」のままで、変動金利は借入時から現在まで、2.475%ー1.000%=1.475%のままだ。もし、借り換えれば、0.330%といったの低金利が適用されるだろうことを考えると、「高い変動金利」を押し付けられているとも言えるだろう。
もし、定価である「店頭金利」自体が引き下げられれば金利は下がるが、「店頭金利」は14年も据え置かれたままで、望みは薄い。
よって、既存の借り手が、現在の低金利を利用したいのであれば、住宅ローンを借り換えるしかない。
こうした複雑な仕組みが、前述した「変動金利」に対する誤解を引き起こしているのだ。
借り換えで200万円以上メリットがある人も!
ここまでの説明で、変動金利の仕組みは大体理解できただろう。金利優遇幅が大幅に拡大している今、借り換えないと損をしてしまうことは明白だ。
では、実際に借り換えを行った場合、どれくらいメリットがあるのか。ダイヤモンド不動産研究所で試算してみた。下表は、過去に大手銀行で変動金利を借りた人が、ネット銀行の変動金利(2023年現在の表面金利でトップクラスの低金利である、PayPay銀行の0.330%で借り換えたときにお得になる金額(メリット額)をまとめたものだ(当初の借入金額3000万円、返済期間35年、借り換えの諸費用すべて込み)。
■変動金利への借り換えで、200万円以上得する!? |
|||
大手銀行からの借入時期 | 借入時の 金利 |
ネット銀行 との金利差 |
メリット額 (諸費用考慮後) |
---|---|---|---|
2007年に借入 | 1.48% | -1.15% | 150万円 |
2008年に借入 | 1.48% | -1.15% | 170万円 |
2009年に借入 | 1.48% | -1.15% | 191万円 |
2010年に借入 | 1.48% | -1.15% | 212万円 |
2011年に借入 | 1.28% | -0.95% | 179万円 |
2012年に借入 | 0.88% | -0.55% | 81万円 |
2013年に借入 | 0.88% | -0.55% | 91万円 |
2014年に借入 | 0.78% | -0.45% | 69万円 |
2015年に借入 | 0.78% | -0.45% | 78万円 |
2016年に借入 | 0.63% | -0.30% | 32万円 |
2017年に借入 | 0.63% | -0.30% | 38万円 |
2018年に借入 | 0.63% | -0.30% | 44万円 |
2019年に借入 | 0.63% | -0.30% | 50万円 |
2020年に借入 | 0.48% | -0.15% | -14万円 |
2021年に借入 | 0.48% | -0.15% | -11万円 |
2022年に借入 | 0.48% | -0.15% | -9万円 |
※大手銀行からの借り入れ当初の借入金額は3000万円、借入期間35年、借入金利は当時の大手銀行の平均的な金利とした。借り換え後はネット銀行(PayPay銀行)とし、借入金利は0.330%。借り換えの諸費用は、銀行への手数料が借入額×2.2%、印紙税・登記費用・司法書士報酬が20万円で試算した。 |
たとえば、2010年に変動金利で住宅ローンを借りた人の現在の金利は1.475%のままなので、ネット銀行の0.330%へ借り換えをした場合、1.145%も金利が低くなる。その結果、借り換え手数料などを支払ったとしても、今後の支払額は212万円も減少する。つまり、借り換えを行うだけで212万円も儲かるのだ。
このメリット額には驚くだろうが、住宅ローン金利はここ10年ほど優遇金利を拡大させながら下がり続けているため、ある意味当然のこととも言える。
表を見ればわかるが、わずか4年前に借りたばかりの人でも、借り換えによって数十万円の借り換えメリットが発生する。
しかし、これだけのメリットがあるにもかかわらず、よく分からずに放置している人は何十万人もいると言われている。これは、非常にもったいないことだ。
当サイトの「返済額シミュレーション(借り換え)」なら、借り換えによるメリット額も試算できるので使ってみよう。
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借り換えメリットを得るなら、今がチャンス!?
変動金利は、ここ10年間で1%も金利が下落し、もっとも金利が低い銀行は0.4%以下まで下がっている。ただし、銀行が住宅ローンを貸し出すのにかかるコストは0.5%とも言われており、変動金利については、これ以上下がる余地がほとんどないというのが実情だ。そのため、変動金利で住宅ローンを借りている人は、金利が「底」になりつつある今、借り換えのチャンスと言えるだろう。
変動金利で住宅ローンを借りている人の中には、今より1%以上高い金利で住宅ローンの支払いを続けている人もいる。借り換えを実行するだけで、昨今の金利優遇幅引き下げ競争によるメリットを手に入れられるのだが、勘違いしている人が多いためか、言わば「宝の持ち腐れ」状態になっている。
住宅ローンの借り換えの審査に落ちたところで、デメリットはまったくない。変動金利の住宅ローンを借りているのであれば一度、借り換えでメリットがあるかどうかを検討するのがいいだろう。
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淡河範明さん
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