住宅ローンを借りる時にぜひ利用したいのが、多額の税金が戻ってくる「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」だ。入居が2022年~2023年なら、最大で合計455万円の税金が還付される。なるべく多くの控除を引き出すためには、テクニックが必要であり、現在の低金利をうまく活用すれば、住宅ローンの金利支払いよりも税金還付額のほうが多い「マイナス金利」状態になる。しっかりと理解して控除メリットを最大化しよう。
現在の超低金利下で住宅ローン控除で得するには、
「新常識3カ条」を守って、タイミングよく返済を!
住宅ローン控除は多額の税金還付があり、非常にメリットが大きい制度だ。ただし、繰り上げ返済方法を工夫するだけで、数十万円もお得になる。。
そこで、現在の超低金利下において、「住宅ローン控除で得する、繰り上げ返済の新常識3カ条」をまとめた。この3つを守りながらタイミングよく繰上返済していけば、控除額を数十万円も増やせる可能性がある。
(1)控除の対象となる住宅ローン残高まで、繰上返済
(2)「金利<控除率」なら、慌てて繰り上げ返済しない
(3)「金利>控除率」なら、積極的に繰り上げ返済(ただし毎年1月)
まずは、自分の控除率を確認
ひとつずつ解説するにあたって、まずは自分の控除率などを確認しておこう。
下表で、自分が入居した年を見て、自分に適用される「控除率」「控除期間」「住宅ローン残高上限」を確認しておこう。入居した年で自分の控除率などが決まり、終了まで変更されない。なお、新築の認定住宅(質の高い住宅)についての一覧表なので、物件タイプ等が違う場合は、国税庁のサイトなどで確認しよう。
入居年によって控除率、控除期間が違う |
|||||
入居年 |
控除率 |
控除期間 |
住宅ローン残高 の上限 |
||
---|---|---|---|---|---|
2013年〜 | 1% | 10年 | 3000万円 | ||
2014年〜 | 1% | 10年 | 5000万円 | ||
2019年10月〜 | 1% | 13年 | 4000万円 | ||
2022年~ | 0.7% | 13年 | 5000万円 | ||
2024年~ | 0.7% | 13年 | 4500万円 |
※2019年10月〜については、消費税率10%で、2021年11月までに契約し(分譲住宅の場合。注文住宅は2021年9月末までに契約)、2022年末までに入居する場合が対象で、11〜13年目については、「年末残高の1%」と「建物購入価格の2%×3分の1」の小さい金額。参考:国税庁のタックスアンサー「No.1211-1住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」「No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」(令和3年以前)」、その他の住宅は「土地・建物(住宅ローン控除等)」を参照。
(1)控除対象となる住宅ローン残高上限まで、繰り上げ返済
住宅ローン控除の対象となるのは、物件タイプによって上限が決められている。もし年末の住宅ローン残高が、控除の上限を超えている場合は、手持ちの現金・預金があるのであれば、なるべく早めに繰り上げ返済してしまったほうがいい。控除の対象とならない部分は、なるべく減らしておくのがいい。
例えば、2022年、2023年に入居の場合、認定住宅なら住宅ローン借入残高の5000万円まで、その他(一般住宅のこと)なら3000万円までという上限がある。それぞれ、0.7%にあたる35万円、21万円が毎年、控除される。それを超える残高分については、繰り上げ返済してしまっていいのだ。
ただし、自分の支払っている税額(所得税+住民税の一部)が35万円、または21万円に満たない場合は、自分が支払った税金しか戻ってこないので気をつけよう。所得税は全額戻ってくるが、住民税については9万7500円が上限となっている(2022年以降)。自分の税額を計算してみよう。おおよそ年収650万円以上あれば、年間35万円の税金が全額戻ってくる可能性がある。
【関連記事はこちら】>>住宅ローン控除の目安額を、年収別にシミュレーション!最大455万円もおとくになる!
もし、支払っている税額が控除額に満たない場合は、「支払っている税額(所得税+住民税の一部)×100倍」が控除対象の住宅ローン残高と考えて、そこまでは繰り上げ返済するようにしよう。
もちろん、生活資金などに必要な現金・預金まで繰り上げ返済してしまってはいけない。病気やケガ、勤めている会社の倒産時などに支払えなくなっては元も子もない。一般に「生活費1年分程度を現金・預金として取っておくべきだ」というファイナンシャル・プランナーが多いので、自分のライフスタイルに合わせて預金しておきたい。
(2)「住宅ローン金利<控除率」なら、慌てて繰り上げ返済しない
通常、現金・預金があるのなら繰り上げ返済をするのが常識だった。しかし、現在の金利動向をみると、変動金利は0.4%程度で、あなたの控除率0.7%〜1%を大きく割り込んでいる。そこで、「住宅ローン金利<控除率」なら、慌てて繰り上げ返済しないほうがいい。
支払い金利は残高×0.4%程度であるのに対して、控除で戻ってくる税金は残高×0.7%〜1%だ。差し引きすると、借金をしているのに、残高×0.3%〜0.6%程度の利益を生むことになる。住宅ローン控除によって、まさに「マイナス金利の世界」をが生まれている。
そのため、無理に繰り上げ返済をすると、利益が減ってしまうので、あえて繰り上げ返済しないのが正解だ(下表を参照)。
住宅ローン控除は、繰り上げ返済ありとなしではどちらがお得? (金利0.38%、残高1000万円で試算) |
|
対応 | 年間の金利負担 |
---|---|
繰り上げ返済なし | 残高1000万円 ×(金利0.38%-減税0.70%) =3.2万円の利益 |
繰り上げ返済500万円 | 残高500万円 ×(金利0.38%-減税0.70%) =1.6万円の利益 |
この「打ち出の小槌状態」とも言える状態を、わざわざ縮小することはない。手持ちの現金・預金が潤沢にあっても、10年間または13年間は絶対に繰り上げ返済せずに利益を受け取り続けよう。
そして住宅ローン減税の期間が終わったら、繰り上げ返済を一気に行うのがいい。
住宅ローン控除は毎年の年末の残高を元に控除額が決まるので、繰り上げ返済するのであれば、住宅ローン減税の期間が終わった時がベスト。「余裕があればすぐに繰り上げ返済すべきだ」という今までの常識とは逆の対応になるので、覚えておきたい。
(3)「住宅ローン金利>控除率」なら、積極的に繰り上げ返済
では、「住宅ローン金利>控除率」ならどうするのか。
これは従来と同じ考えで、なるべく繰り上げ返済すべきだ。戻ってくる税金よりも金利の支払い金利の方が多いので、なるべく残高を減らしたほうがいいのは当たり前だろう(下表を参照)。
住宅ローン控除は、繰り上げ返済ありとなしではどちらがお得? (金利1.5%、残高1000万円での年間収支) |
|
対応 | 年間の金利負担 |
---|---|
繰り上げ返済なし | 残高1000万円 ×(金利1.5%-減税0.7%) =8.0万円の支払い |
繰り上げ返済500万円 | 残高500万円 ×(金利1.5%-減税0.7%) =5.5万円の支払い |
ただし、何月に返済するかを工夫したほうがいい。繰り上げ返済はネットで簡単にできるようになったとはいえ、毎月こまめに返済するの手間がかかるため、多くの人は年に1回程度、まとめて返済している。住宅ローン控除は12月末の住宅ローン残高を元に計算しているので、控除額が確定した後の1月に繰り上げ返済するのがいい。
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年収が約800万円以上など、高い条件がある
ちなみに、住宅ローン控除の上限である合計455万円全額(2022年、2023年の場合)をすべて使い切るのは、なかなかハードルが高い。先ほど紹介した「繰り上げ返済の新常識3カ条」を実践しつつ、以下の3つの条件をクリアする必要がある。
住宅ローン減税455万円をすべて使い切る条件
- (1)年収が約650万円以上(控除対象の税金が50万円以上)
- (2)住宅ローン残高が4550万円以上をキープ
- (3)認定住宅であること
上記の条件は自分の努力ではどうにもならないものもあり、455万円全額を使い切るのはなかなか難しい。過大な期待はしないほうがいいだろう。
また、上記の(2)住宅ローン残高が5000万円以上をキープを厳密に守ると、実は借入当初の残高が膨らんで金利支払いが増えてしまうため、必ずしも13年間トータルの収支でメリットがあるとは言えない。計算が複雑なので省略するが、まずは5000万円を切るまで繰り上げ返済し、その後は残高をなるべくキープすればいい(認定住宅の場合)。5000万円をすべて使い切ることにあまり意味はないのだ。
なお、住宅ローン控除の概算については、当サイトの住宅ローン控除シミュレーションを活用しよう。
【関連記事はこちら!】⇒住宅ローン控除の目安額を、年収別にシミュレーション!最大455万円もおとくになる!
最大455万円の減税と、メリットが大きい
最後に、現在の住宅ローン控除を解説しておこう。住宅ローン控除は2022年の税制改正によって、大きく変更された。かなり複雑な制度で、購入する住宅によって減税となる金額が違う。
【2022〜2025年の住宅ローン減税の概要】
- ・控除率は0.7%
- ・減税期間は、住み始めてから13年間(新築)、または10年間(中古住宅)
- ・各年末(12月)の住宅ローン残高に、控除率0.7%を掛けた額が上限
- ・支払った税金(所得税、住民税の一部)が減税額の上限
- ・物件タイプにより、減税対象となるローン残高が異なる
物件タイプ別の住宅ローン最大控除額は?
住宅の種類 | 2022年〜 2023年入居 |
2024年〜 2025年入居 |
|
---|---|---|---|
新築 13年 |
認定住宅 | 5000万円 | 4500万円 |
ZEH | 4500万円 | 3500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 4000万円 | 3000万円 | |
その他 | 3000万円 | 0万円 | |
中古 10年 |
認定住宅 | 3000万円 | 3000万円 |
その他 | 2000万円 | 2000万円 |
控除される金額が大きいだけに、この控除をあてにして、家計をやりくりする人もいるだろう。例えば、年末の住宅ローンの残高が3000万円であれば、3000万円×0.7%=21万円が、「所得税と住民税の一部」から引かれる。
控除額は、認定住宅(認定長期優良住宅または認定低炭素住宅)ならば最大で年35万円×13年=455万円と、かなり高額だ。住宅ローン控除の適用を受けるには、確定申告をしなければならないが、2年目以降はサラリーマンであれば会社の年末調整で処理できる。手続きが簡単で効果が大きい制度だ。
できればフルに減税措置を受けたいところだ。
【住宅ローン減税額はいくらになる?】
年収と借入額によって、住宅ローン減税額は異なる。いくつかのケースで、年収別に総額いくら減税されるか紹介しよう。
年収400万円(借入額2000万円)=減税額152万円
年収400万円(借入額4000万円)=減税額240万円
年収600万円(借入額2000万円)=減税額152万円
年収600万円(借入額4000万円)=減税額303万円
年収800万円(借入額4000万円)=減税額303万円
年収800万円(借入額6000万円)=減税額434万円
※2人家族、共働き、認定住宅を購入、金利1.05%、11年目以降は1.30%。借入期間35年で計算。
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増築や100万円以上のリフォーム工事も対象
なお、現在は新築住宅や中古住宅だけでなく、増築や一定のリフォームで100万円以上の工事も対象となる。
特に2021年度以降は40㎡以上の小規模物件も対象になっている。一方で、2022年度からは所得要件が厳しくなり、2000万円以下でないと住宅ローン控除を受けられなくなった。他にも以下の表のような条件があるので参考にしてほしい。
「住宅ローン控除」のその他の適用条件(2022〜2025年度)
- ・ 控除率を0.7%、控除期間を新築住宅等は原則13年、既存住宅は10年とする。
- ・ 既存住宅(中古住宅)を含め、住宅の環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置を講じる。
- ・ 令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅について、省エネ基準適合の要件化。
- ・ 既存住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)について、「昭和57年以降に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和。
- ・ 新築住宅の床面積要件について、令和5年以前に建築確認を受けたものは40㎡以上に緩和(合計所得金額1,000万円以下の者に限る)。
- ・ 適用対象者の所得要件を合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引下げ。
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淡河範明さん
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