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住宅ローンの「借入可能額」の決め方とは?
審査の専門家が、銀行内部の計算法を公開
年収別に、本当に借りられる額を試算してみた!

2017年6月15日公開(2020年7月3日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

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住宅を購入する前に知っておきたいのが、自分の「借入可能額」だろう。そこで、住宅ローンの借入可能額について、金融機関で住宅ローンの審査を担当していた専門家に聞いたところ、銀行内部では「審査金利」という、独自の金利を使って審査しているという。この審査金利を使って、本当の「年収別の借入可能額」をシミュレーション(計算)してみた。

ネットの借入限度額試算は、信用し過ぎない!
一般には公開していない「審査金利」が影響

 住宅を購入する際に気になるのが、「自分がいくらまで銀行から住宅ローンを借りられるのか」という点だろう。その金額よって、購入できる物件も変わってしまうからだ。

 そこで、ネット検索で、「住宅ローン 借り入れ可能額」と入力して調べてみると、たくさんの住宅ローンシミュレーションが見つかる。年収や借入期間などの必要事項を打ち込めば、すぐに借入可能額が表示される。しかし、ここで提示された借入可能額は、本当に信用していいものなのだろうか。

 「借入可能額の算出方法は、実は非常に複雑です。住宅ローンシミュレーションを信用しすぎては、後でガッカリすることもあり得ます」

 こう教えてくれたのは、金融機関で住宅ローンの審査の基準作りにも関わってきた経歴を持つ、iYell(イエール)の窪田光洋社長だ。住宅購入に関する情報サイト「いえーる すみかる」などを運営している。

 窪田社長によると、シミュレーションで出た金額で住宅ローンを申込んでも、審査で弾かれてしまうことはよくあるという。同様に、「毎年の返済額が年収の30%までなら借り入れ可能」や「借入総額は年収の5倍まで可能」といった話も、まったく当てにならないのが実情だという。これには、表向きはわからない「審査金利」の存在が影響している。

銀行の「審査金利」は3~4%とかなり高い!
ただし「返済負担率」は40%と甘め

 「審査金利」とは、実際に貸し出す金利とは別に、住宅ローンの審査用に設定された金利のこと。通常、銀行のホームページやパンフレットには記載されていない。

 「審査金利は、景気の状況によって将来的に金利が上昇しても返済が可能かどうかを見るためのものです。当然、公表されている金利よりもかなり高く設定しています」(窪田社長)

 窪田社長によると、審査金利の相場は3~4%にもなるという。当然、審査はシビアになりがちで、現在の貸出金利をもとに作られたシミュレーションだと、しばしば結果が違ってくるのだという。

 審査金利が存在する理由は、貸す側である銀行の心理に立てばよく分かる。変動金利の住宅ローンであれば、完済可能かどうかを調べるのは、最も高い時点の金利で審査するのが当たり前だろう。今の低金利からすると信じられないが、日本経済が絶好調だったバブル期は、変動金利で8%以上という時期もあった。それから考えると、3~4%という審査金利も、納得感がある。

 また、「返済負担率(返済比率)」という指標も銀行内部で持っている。「返済負担率」は、「年間の返済額」÷「年収」で計算するもので、これが高いほど返済が苦しくなる。通常、返済負担率が25%程度までなら、余裕を持って返済できると言われている。ただし、借入限度額をみる際の「返済負担率」は、40%程度と、比較的甘めに設定している銀行が多いようだ。

 下表が、銀行が借入限度額を計算するときの指標だ。併せて、半官半民の住宅ローン「フラット35」の指標も見てほしい。

 住宅ローンの「借入可能額」の計算方法とは?
  銀行 (公表)フラット35
 審査金利 3~4% 融資する金利
 審査上の
 返済負担率
40%程度 30%以下(年収400万円未満)
35%未満(年収400万円以上)

フラット35は「融資する金利」=「審査金利」
金利は毎月変わるので、注意しよう!

 半官半民の「フラット35」の場合は、「実際に融資する金利」=「審査金利」で審査すると公表しているので、結果の予想がしやすい。

 「返済負担率」について、
・年収400万円以上なら、返済負担率は35%以下
・年収400万円未満なら、返済負担率30%以下
と規定している。

 なお、借入限度額ギリギリの場合、「金利が上昇したために、借りられなかった。先月までなら借りられたのに」ということも有り得る。金利は毎月変わるので、気をつけたい。

 ■シミュレーションはこちら■

借入可能額シミュレーション 住宅ローン返済額シミュレーション

銀行のローンは、フラット35よりも審査が厳しい
年収に不安がある人はフラット35で借りよう!

 では、「審査金利」を使って、実際にどのくらい借りられるのか計算してみよう。

 民間の銀行の「自社商品」(審査金利、3%・4%)と、「フラット35」について、年収300万円~800万円の6パターンで、それぞれ借入可能額はいくらなのか試算してみた。赤字は最も借入可能額が多いケースだ。

 借入可能額が多いのはどっち? 銀行VSフラット35(借入期間35年で試算)
 商品名 銀行の自社商品 銀行の自社商品 フラット35
審査金利 4%と仮定 3%と仮定 1.06%
返済負担率 40%と仮定 40%と仮定 35%(年収400万円未満は30%)




年収300万円 2256万円 2598万円 2630万円
年収400万円 3003万円 3455万円 4103万円
年収500万円 3771万円 4313万円 5121万円
年収600万円 4516万円 5196万円 6138万円
年収700万円 5262万円 6054万円 7155万円
年収800万円 6030万円 6937万円 8000万円
 ※ 金利は2017年5月現在。フラット35の貸付上限額は8000万円なので、それ以上は借りられない

 このように、民間銀行の自社商品は、フラット35に比べると、借入可能額は少なくなるケースが多い。一般的に、フラット35は審査が甘めと言われており、借入可能額も相対的に多くなっている。ただし、実際に融資する際に適用される金利は民間の銀行の方が低いことが多いので、できれば、民間で借りたいところだ。

「お得な住宅ローンを借りるのなら民間」
「年収が低いなどの理由があって借りにくいのならフラット35」

 こうした棲み分けができている考えていいだろう。

【関連記事はこちら!】
⇒「フラット35と民間の住宅ローン、どちらがお得?「金利」と「審査の通りやすさ」で徹底比較!」

「審査金利」でも、新しい考え方が登場
固定金利なら、借入可能額が増えるケースも

 しかし最近は、審査金利についても新しい計算方法が出始めている。

 例えば、申込んだ住宅ローンが「変動金利」であれば、将来の金利上昇を見越した審査の必要性もがあるのは当然だろう。一方、申込んだのが「固定金利」の商品なら、将来の金利上昇などないのではと思う人は多いだろう。

 実は、住宅ローンを取扱う銀行は、申込み時点では「変動金利」か「固定金利」かを選択させないのが一般的だ。そのため、最終的に変動金利を選ぶのか、固定金利を選ぶのか分からないため、変動金利を借りた前提で審査金利を決めているのだ。

 ただし最近では、ネット銀行を中心に、申込み時点で金利タイプを選択させる銀行も増えてきている。そうした銀行で、固定金利を選んで申し込んだ場合は、「固定金利」=「審査金利」となるので、借入可能額も多少、増えることになる。

 とはいえ、固定金利も少し注意が必要だ。住宅ローンの契約書を読み込むと、「返済を延滞した場合は、優遇金利は解除される」という規定になっているケースが多い。最近の住宅ローンのほとんどに「優遇金利」が設定されており、万が一、延滞した場合は、もともとの高い金利である「基準金利」が適用されることになる。つまり、審査する上では、優遇金利は当てにならず、基準金利を使うことになる。あくまで審査は厳しく行うのが原則なのだ。

銀行提供の試算サイトに注目
確実に借りたければ複数銀行に申込もう!

 前述のように、借入可能額の算出方法は難しい。また、各銀行は、審査金利や返済負担率をすべて公表しているわけではない。何か方法はないのだろうか。

 「強いて挙げるなら……」と前置きして窪田社長は語る。「いくつかの銀行は、サイト上の住宅ローンシミュレーションで、審査金利を踏まえた、おおよその『借入可能額』を計算してくれる銀行もあります」(窪田社長)という。

 そこで、おおよその「借入可能額」を計算してくれる主な銀行のサイトで、借入可能額をシミュレーション(計算)してみた。年収、借入期間などを入力すれば、借入可能額の目安がその場でわかるというものだ。年収600万円、借入期間35年という条件で、比べてみたのが下表だ。

 年収から「借入可能額」が計算できる主な銀行(年収600万円、借入期間35年で試算)
 銀行名 商品名 審査金利の種類 借入可能額の目安
 イオン銀行 自社商品 金利タイプ選べず 3390~4520万円
 楽天銀行 自社商品 金利タイプ選べず 5541万円
 アルヒ フラット35 35年固定 6138万円
 ※ 2017年5月調べ、ウェブ上の住宅ローンシミュレーションを持つ主な銀行で試算


 大手銀行ではあまり対応していないが、ネット銀行の多くは、ネット上で、借入可能額の目安を試算できるようになっている。その結果、ほぼ同じ条件で計算しても、借入可能額は、3390万円から5541万円まで、大きな幅があった。また、フラット35は最も借入可能額が多く、6138万円もあった。審査に不安がある場合は、事前にこうしたサイトを使って調べてみるのがいいだろう。

 ただし、こうしたサイトで試算した借入可能額はあくまで「目安」であり、さらに借入可能額をクリアしていても、収入の安定性がなかったり、他の借金が多かったりすれば、審査に落ちることもある。

 確実に借り入れをしたいのであれば、複数の銀行に申込みすることをオススメする。

【関連記事はこちら!】
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順位 銀行名 <商品名>
実質金利
(費用等含む)
表面金利
(費用等除く)
保証料
(税込)
事務手数料
(税込)
1
◆auじぶん銀行 <住宅ローン 全期間引下げプラン(新規借入、じぶんでんきセット割引)・変動金利>
0.510%
全疾病+がん50%
0.380%
0円
借入額×2.2%
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三菱UFJ銀行とKDDIが共同で立ち上げたネット銀行。変動金利の競争力が高く、業界トップクラスの低金利となっている。がんと診断されると住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」「全疾病保障」が無料付帯。ネットだけで契約を完了でき、仮審査は最短即日回答、本審査は最短2~3営業日で回答など、審査スピードも早い。じぶんでんきセット割引は、新電力サービス「じぶんでんき」に加入できた場合、金利を0.03%引き下げるもので、適用されない場合の金利は0.41%となる。
【関連記事】auじぶん銀行の住宅ローンの金利、手数料、ポイント、注意点は?
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1
◆ジャパンネット銀行 <住宅ローン 全期間引下げプラン(自営業、市街化調整区域は不可)・変動金利>
0.510%
0.380%
0円
借入額×2.2%
【ジャパンネット銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
ネット銀行のジャパンネット銀行は2019年7月末に住宅ローンの貸し出しをスタート。最大の特徴は、業界最低水準という低い金利で、特に「変動金利」「10年固定金利」に強みがある。オプションの団体信用生命保険も豊富に取りそろえる。
【関連記事】ジャパンネット銀行の住宅ローンの金利、手数料、ポイント、注意点は?
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3
◆SBIマネープラザ <ミスター住宅ローンREAL・通期引下げプラン(店舗相談、新規借入)・変動金利>
0.540%
全疾病保障付き
0.410%
0円
借入額×2.2%
【SBIマネープラザの住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
SBIマネープラザは、証券、保険、住宅ローンなどを取り扱う、SBIグループのマネー相談プラザ。支店において対面で相談できるので、初心者でも安心だ。変動金利が低い「ミスター住宅ローンREAL」(住信SBIネット銀行の商品)と、全期間固定金利が低い「ARUHIのフラット35」を取り扱っているので、2種類の住宅ローンを比較して申し込みできる。
【関連記事】SBIマネープラザの住宅ローンの金利、手数料、ポイント、注意点は?
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※実質金利は、借入金額3000万円、借入期間35年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。固定期間終了後は変動金利を選択(現在の水準が継続と仮定)。実質金利の計算法はこちら。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。保証料は、大手銀行の一般的な保証料率を記載しているので、銀行によっては違う保証料率となる。主要18銀行・金融機関の主な商品を対象とし、ランキングに掲載するのは各銀行の商品の中で最も実質金利が低い商品のみとする。ホームローンドクター代表の淡河範明氏の協力で作成。

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