令和3年度住宅ローン控除が正式に施行されており、13年間1%の控除率が受けられる条件が確定しました。そして未定ではありますが令和4年度には住宅ローン控除率1%が改悪される(引き下げられる)という話も出ています。そこで現在の住宅ローン控除を確実に受けられる条件と、それに間に合わずに控除率が引き下げられることになってしまった人が選ぶべき住宅ローンについて解説します。(住宅ローン・不動産ブロガー、千日太郎)
※2022年度の税制改革については、記事「住宅ローン控除率が0.7%は改悪じゃなかった!? 計算して分かった、得する年収と金額は?」を参照
1%の住宅ローン控除を13年間受けられる人は?
こんにちは、ブロガーの千日太郎です。
住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高の1%を上限として所得税等から還付される減税制度です。最大で約600万円の税金が還付される、非常におとくな制度です。
消費税増税のタイミングで、13年間に延長されていたものが、コロナ対策として本年度も特例期間が延長されています。11~13年目の税額控除は次のいずれか少ない額が限度額となります。
①年末住宅ローン残高×1%
②(住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3
この最大1%の税額控除を13年間受けるには、住宅の契約時期の要件と入居開始時期の要件をどちらも満たす必要があります。それを図にしたのが以下のものです。
■契約時期、入居時期を守れば「13年間」
住宅の契約時期の要件については、取得する住宅の種類によって期間が違います。
・注文住宅を新築する場合:令和2年(2020年)10月1日~令和3年(2021年)9月30日に契約
・分譲住宅:既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:令和2年(2020年)12月1日~令和3年(2021年)11月30日に契約
この契約時期の要件を満たし、かつ、
・令和3年(2021年)1月1日~令和4年(2022年)12月31日までに入居を開始
以上を満たせば、最大1%の住宅ローン控除が13年間受けられることになっています。
そしてこの適用がある場合には床面積の条件が緩和され、合計所得金額1000万円以下の人については、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅についても、最大1%の住宅ローン控除を13年間受けられることになっています。
少しややこしいのですが、「契約時期」と「居住開始時期」の両方の要件を満たさなければ最大1%、13年間とはなりません。
■契約時期を満たさず、2021年中に居住開始なら「10年間」
契約時期が定められた期間に間に合わず、令和3年1月1日~令和3年12月31日までに居住を開始した人は、最大1%の住宅ローン控除を13年間受けることができません。しかし全く受けられないということではなく、他の要件を満たしていれば最大1%の住宅ローン控除が10年適用となります。
・注文住宅を新築する場合:令和3年(2021年)10月1日~令和3年(2021年)12月31日に契約&居住開始
・分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:令和3年(2021年)12月1日~令和3年(2021年)12月31日に契約&居住開始
なお、面積要件の緩和の対象にはなりませんので、住居の床面積は50㎡以上でなければなりません。
■令和4年度税制改正は、改悪予定
契約時期が定められた期間(注文住宅:2021年9月末まで、分譲住宅:2021年11月末まで)から外れ、令和4年(2022年)1月1日以降に居住を開始する人は最大1%の住宅ローン控除を13年間受けることができないのはもちろんのこと、最大1%の住宅ローン控除を10年間受けられるかどうかも未定です。「令和4年度税制改正」でカバーするということになるのですが、この改正内容については、現時点では未定ということになります。図にすると以下のようになります。
令和4年度税制改正では「現行法の1%の控除率が見直され、引き下げられるかも?」という話が出ています。住宅ローンの金利が1%未満だと、住宅ローン控除によって税金の戻しの方が金利よりも多いため、「住宅ローン利用者がもうかるのは優遇しすぎではないか?」という指摘があるのです。
改正の内容は未定ですが、住宅ローン控除の控除率の上限が下表のように「一律1%」から、「1%」と「借入利率」の低い方へ修正されるのではないかと言われているのです。
「1%」と「借入利率」の低い方とすれば、住宅ローンを借りることによって逆にもうかるという現象はなくなりますので、個人的には十分にあり得ると思います。
なお、控除期間については言及されておらず、期間は10年間という従来の期間に戻されるとみています。
控除率の引き下げ後は低金利の変動金利は終了か?
もしこのような改正となった場合は、おとくな住宅ローンの組み方のセオリーが変わることになります。今はとにかく低金利の住宅ローンがおとくとされていますが、住宅ローン控除の上限が「1%」と「借入利率」の低い方になると、低金利の住宅ローンを借りたところで住宅ローン控除の恩恵も減ってしまうのです。
そうなった際、どう行動すればいいのでしょうか。
■固定金利の方がおとくになる
例えば0.4%の変動金利と1%の固定金利を比較してみましょう。どちらも住宅ローン控除のある期間は、利息の負担はありません。しかし、変動金利には金利の上昇リスクがある一方で、固定金利は金利が固定されているので金利の上昇リスクはありません。まとめると下表のようになります。
もしかしたら変動金利は上昇する可能性がありますが、10年固定などの固定金利であれば固定期間中は上昇リスクはありません。少なくとも減税期間についてはどちらも利息の負担がないので、金利の上昇リスクを負わない分だけ明らかに1%の固定金利が有利な選択となります。
住宅金融支援機構の調査によると約6割の人が変動金利を選んでいるそうですが、住宅ローン控除制度が改正されると、この割合も変わってくる可能性があります。
■金利が1%になるように疾病保障団信を付ける
さらに考えられるのは、適用金利が1%以下に収まる範囲で、金利上乗せの疾病保障団信を付けることです。金利上乗せ型の団信は契約上、住宅ローンの金利として払うものになります。だとするならば、団信を付ける場合と付けない場合で下表のようなになります。
どちらも減税期間については、利息の負担がない点で同じです。上限の1%になるように疾病保障団信を付けておけば、対象の疾病になったときに住宅ローンがゼロ円になる保険付きということになります。控除期間については、明らかに後者の方が有利ですね。
まとめ~税法の動向にも注視を!
令和3年度(2021年)税制改正については確定しましたが、令和4年度(2021年)については、現時点ではまったくの未定です。しかし、現在議論されている方向で住宅ローン控除の控除率が引き下げられた場合には、現在最も有利とされている住宅ローンの組み方のセオリーが変わることもあり得ます。通常、年度夏にならない度抑年以降の制度設計が決まらないので、令和3年12月頃に制度の内容が判明するでしょう。
もちろん新型コロナウイルスによる不況が深刻化、長期化すれば、令和4年度にも13年間、最大1%の住宅ローン控除が延長される可能性は十分にあります。これからマイホームの購入を考えている方は、コロナに関連して所得税法(住宅ローン控除)の動向にも注意する必要があるでしょう。
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【調査概要】
調査日:2023年12月
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調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
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Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
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Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
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【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
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・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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淡河範明さん
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