2024年2月の住宅ローン金利動向を予想しよう。フラット35の金利については、前月より引き下げて1.820%と予想。2024年2月の金利を発表ずみの楽天銀行については、変動金利・10年固定金利ともに引き下げ、ソニー銀行については変動金利を据え置き、10年固定金利を引き下げた。
住宅ローン金利の推移は?
まずは、2024年1月の住宅ローン金利動向をおさらいしておこう。
「変動金利(新規借入)」は、調査した主要14銀行のうち、2行が金利を引き上げ、金利を引き下げた銀行はなかった。
「10年固定金利(新規借入)」は、調査した主要13銀行のうち、11行が金利を引き下げ、金利を引き上げた銀行はなかった。
「35年固定金利(新規借入、フラット35を除く)」は、調査した主要8銀行のうち、7行が金利を引き下げ、金利を引き上げた銀行はなかった。フラット35の金利は、1.870%と引き下げた。
なお、2004年頃をピークに住宅ローン金利は下がり続けている。5年固定、10年固定、35年固定(全期間固定)については、足元では金利が上昇し始めているものの、長期的に見ればまだ低水準。一方、変動金利タイプは、史上最低水準となっている。
2024年2月のフラット35金利は、引き下げと予想
では、全期間固定の「フラット35」の金利見通しを確認しよう。実は、機関投資家に販売している「支援機構債券」(原価)の金利に、「上乗せ金利」(コスト)を足せば、翌月の金利が予測できる。
住宅金融支援機構が2024年1月19日に発表した「第201回貸付債権担保住宅金融支援機構債券」の金利を見ると、1.000%だった。上乗せ金利(コスト)は、最近の水準では0.660%~1.020%となっている。2024年1月の上乗せ金利は+0.820%だった。
以上を踏まえ、2024年2月の「フラット35金利」は、以下になると予想する。
・フラット35:1.820%(前月比 -0.05%)
(借入期間21〜35年、頭金10%以上、団信あり)
・フラット20:1.340%(前月比 -0.05%)
(借入期間15〜20年)
フラット35の金利は、過去最低水準
フラット35の金利は、2016年8月に0.900%の最低金利となったが、これには団体信用生命保険が含まれていない。当時の団体信用生命保険料である0.358%を金利として加算すると、当時の本当の金利は1.258%だった。
フラット35の金利は10年国債金利との連動性が高いといわれる。市場金利については、世界的な金利上昇により、日本の市場金利も上昇する可能性が指摘されており、当面は横ばいか、上昇していくと見られる。
なお、フラット35は2022年10月に商品改定があり、
これで、民間銀行の全期間固定の住宅ローンと比較しても、遜色ない商品になっている。フラット35は、審査基準がゆるく誰でも借りやすいというのが特徴だが、金利も低いとなると、全期間固定金利の中でも、有力な選択肢となる。
現在のフラット35および全期間固定金利は、長期的に見れば過去最低水準にある。借り換えを考えている人は、低金利状態が続いているうちに検討してもいいだろう。
変動金利は、横ばいか、やや引き下げ
次に、すでに発表されている銀行の2024年2月の「変動金利」を見ていこう。現在、楽天銀行が金利を発表している。
楽天銀行は、2月の金利を引き下げた。ソニー銀行は、金利を据え置いている。
【新規借入】(カッコ内は先月比)
・ソニー銀行(変動セレクト) 0.397%(前月比 ±0.000%)
・楽天銀行(住宅ローン) 0.557%(前月比 -0.003%)
【借り換え】
・ソニー銀行(変動セレクト) 0.297%(前月比 ±0.000%)
・楽天銀行(住宅ローン) 0.557%(前月比 -0.003%)
楽天銀行の変動金利は、わずかに上下はするものの直近数年間で大きな変更はない。金利上昇の局面でもその姿勢を変えていないが、変動金利は0.2%台の戦いとなっていることから、金利の低さでは勝負しない意向だろう。
他行については、変動金利を引き下げる動きも出ており、変動金利は今後も据え置きか、若干下落が予想される。
10年固定金利は引き下げ
最後に、10年固定金利の来月の金利を見てみよう。2024年2月の「10年固定金利」についても、すでに楽天銀行が発表している。
10年固定金利は、市場金利の上昇に合わせて徐々に上昇しているが、ソニー銀行、楽天銀行ともに2024年2月の金利を引き下げている。
【新規借入】(カッコ内は先月比)
・ソニー銀行(住宅ローン) 0.960%(前月比 -0.150%)
・楽天銀行(住宅ローン) 1.620%(前月比 -0.122%)
【借り換え】
・ソニー銀行(住宅ローン) 0.960%(前月比 -0.150%)
・楽天銀行(住宅ローン) 1.620%(前月比 -0.122%)
10年固定金利は各金融機関の主力商品の一つ。2023年は市場金利の上昇に合わせて各銀行とも金利を徐々に引き上げ傾向にあったが、最近は米国金利の引き下げ見通しなどもあり若干下げている。
市場金利(10年国債)の推移は?
ここで、住宅ローンの固定金利のベースとなる、市場金利(10年国債)の動向を見ておこう。
米国市場(10年国債)は、やや上昇
米連邦準備理事会(FRB)は、インフレ対策のため、積極的な利上げを継続的に推進していた。しかし、2023年12月12日〜13日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)では、3会合連続で政策金利を据え置いた。
さらに、FRBのパウエル議長は会合後の記者会見で数年ぶりに利下げに転じることを示唆。米国市場金利は一段と引き下がり、12月14日、4カ月ぶりに4%を割り込んだ。
ただし、米新規失業保険申請件数などが予想より低水準だったこととを受けて、米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が後退すると債券売りが出たため、金利はやや上昇に転じている。2024年1月22日の米国長期金利(10年国債利回り)は4.130%となっている。
日本の10年国債は、米国金利の影響を受け、やや上昇
日本の長期金利(10年国債)は、日銀による金融緩和政策により、低金利を維持してきた。しかし、2022年12月以降、日銀は金利上昇に向けて金融政策を転換。2023年10月30日〜31日に開いた金融政策決定会合では、長期金利の上限について、1%を一定程度超えても容認することを決めた。
なお12月7日の参院財政金融委員会で、植田日銀総裁は「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言。より積極的に利上げが進む可能性を示唆したが、1月18日の金融政策決定会合では、全員一致で現在の金融政策の維持を決めており、長期金利はやや下げている。
2024年1月22日の市場金利(10年国債利回り)は0.670%となっている。
また、現状の住宅ローン金利については、変動金利以外は上昇基調にあるのは間違いないが、それでも過去10年で見ると、まだ低水準であることに変わりはないのが現状だ。
変動金利は変わらず史上最低水準、
フラット35は引き下げと予想
以上のことから、2024年2月の住宅ローン金利は、
・フラット35は、引き下げ
・変動金利は、横ばいか、やや引き下げ
・10年固定金利は、引き下げ
という動きになりそうだ。
住宅ローンは銀行の収益の柱の1つとなっており、一定のボリュームを取りたいという銀行が多い。そのため、金融政策の引き締めが進みつつあるとはいえ、当面は急激な金利上昇の可能性は低いと思われる。
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