2025年6月の住宅ローンの金利推移・動向は、変動型は据え置き、10年固定は引き下げ、35年固定は引き下げとなっています。フラット35(買取型)は1.890%で前月から引き上げとなりました。変動型は基準金利が上がったとはいえ低水準を維持しています。本記事では、住宅ローンの金利推移を中心に金利動向も解説します。
住宅ローンの金利推移(変動金利、フラット35)
まずは、住宅ローン金利の過去約40年分の長期推移を見てみましょう。
1990年代、変動金利は8.0%以上という時期もありましたが、バブル崩壊以降、住宅ローン金利はほぼ一貫して下落してきました。
現在の変動金利は0.5%程度といまだ低金利が続いていますが、2024年の利上げ以降、金利の上昇が始まっています。
全期間固定金利の「フラット35(2003年以前は住宅金融公庫)」の金利もほぼ一貫して下落してきましたが、日銀による異次元金融緩和の終了に伴って、近年は上昇傾向にあります。とはいえ、長期的に見ればなお低金利といえます。

それでは、変動金利、10年固定金利、35年固定金利それぞれの金利推移や動向、最新のランキングを見ていきましょう。
住宅ローン「変動金利」推移、動向、最新のランキングは?
では、諸費用などを加味した「実質金利」ベースで、本当に割安な住宅ローンを見ていきましょう(表面金利が低くても、諸費用が高ければ意味がありません。両者を合計したのが実質金利です)。
最新の変動金利ランキングは以下のような結果となりました。

2025年6月の「変動金利(新規・借り換え)」の実質金利ランキングについては、りそな銀行がトップとなりました。調査した主要14銀行の住宅ローン金利について、3行が金利を引き上げ、1行が金利を引き下げ、10行が金利を据え置きました。
上位銀行の変動金利の推移
以下は、新規借入の上位銀行の変動金利(表面金利)推移(前月比)です。
2位、SBI新生銀行 年0.660%(前月比+0.250%)住宅ローン 変動金利半年型タイプ(新規借入、頭金10%以上)
3位、三菱UFJ銀行 年0.675%(前月比±0.000%)住宅ローン(事務手数料型)
3位、三菱UFJ信託銀行 年0.675%(前月比±0.000%)三菱UFJネット住宅ローン・三菱UFJ信託銀行専用・変動金利タイプ
5位、auじぶん銀行 年0.684%(前月比+0.050%)住宅ローン 全期間引下げプラン(新規借入、頭金20%以上)
2025年6月の「変動金利(新規借入)」の上位5銀行の住宅ローン金利については、3行が金利を据え置き、SBI新生銀行とauじぶん銀行が金利を引き上げました。
変動金利はもっとも利用者が多い金利タイプで、金利競争の主戦場となっています。4月には短期プライムレートの引き上げがありました。2024年10月以来、2回目の引き上げとなっており、金利の上昇傾向が次のグラフにもはっきりと表れています。
変動金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の変動金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
変動金利の動向は?
2024年7月の日銀金融政策決定会合でゼロ金利政策が解除され、「金利のある時代」に突入したことを受けて、多くの銀行が預金金利と住宅ローン金利を引き上げ、変動金利では0.5〜0.6%台が過半となりました。
・2025年もさらなる利上げがある?!
2025年1月の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%程度とする利上げが決定されました。
当初は金利が緩やかに上昇すると予想されていたものの、トランプ政権の関税ショックによって世界的に金利は一時的に低下しました。
その後、関税政策が二転三転して先行きが不透明となっています。しかし、日本国内では景気回復やインフレ動向、賃金上昇の動向次第で、再び金利が上昇に転じる可能性があります。
市場では「年内に追加利上げがある」との見方と「年内の利上げはなくなった」との見方が分かれていますが、個人的には国内景気が依然として回復傾向にあり、金融緩和も十分な水準であることから、年内にあと1度くらいの利上げがあると考えています。
よって、当面は金利の大きな動きはないと思われ、年末にかけて政策金利が上昇し、年明けに上昇するような流れを予想しています。
住宅ローン「10年固定金利」推移、動向、最新のランキングは?

2025年6月の「10年固定金利(新規借入)」はPayPay銀行が1位でした。また、10年固定金利の動向は、調査した主要13行の住宅ローン金利について、12行が金利を引き下げ、1行が金利を据え置きました。
上位銀行の10年固定金利推移
以下は新規借り入れの上位銀行の10年固定金利の推移(前月比)です。
2位、SBI新生銀行 年1.550%(前月比▼0.080%)住宅ローン 当初固定金利タイプ(新規借入)
3位、イオン銀行 年1.560%(前月比▼0.080%)住宅ローン 当初固定金利プラン・定率型(新規借入)
4位、みずほ銀行 年2.250%(前月比±0.000%)みずほネット住宅ローン(固定金利選択、ローン取扱手数料型、新規借入)
5位、りそな銀行 年2.235%(前月比▼0.050%)住宅ローン ずーっとお得!全期間型・融資手数料型(新規借入)
2025年6月の上位5銀行の住宅ローンについては、4行が金利を引き下げ、みずほ銀行は金利を据え置きとしました。銀行は「10年固定金利」を固定金利選択型の中核に据えていることが多く、激戦区となっています。
10年固定金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の10年固定金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
10年固定金利の動向
10年固定金利の住宅ローンは、10年国債金利をベースにしている銀行が多いと考えられます。今後の予想としては、日銀の利上げ期待と欧米の利下げにより、金利は細かい上下動を繰り返すでしょう。
また、預金金利を見てみると、10年固定金利についても上昇が始まっています。auじぶん銀行は定期預金10年物の金利が1%となっていて、10年固定金利の金利引き下げは一時的な調整とみられます。
2025年は日銀の政策金利の引き上げと米国の利上げの可能性から、10年国債の金利の変動幅が拡大すると見込んでいます。したがって、2025年末には10年固定金利の最低金利が2.0%を超える銀行が過半数を超えると予想します。
【最新金利】>>住宅ローン10年固定金利ランキング【新規借入】
住宅ローン「全期間固定金利」推移、動向、最新のランキングは?

2025年6月は、アルヒが「全期間固定金利(新規借入)」の実質金利ランキングで1位となりました。また、調査した主要7行の住宅ローン金利(フラット35除く)について、7行が金利を引き下げました。
上位銀行の全期間固定金利推移
以下は、上位銀行の全期間固定金利の推移(前月比)です。
2位、住信SBIネット銀行 年0.810%(前月比▼0.050%)フラット35S・保証型・ZEH・長期優良(4ポイント、頭金20%以上)
3位、三井住友信託銀行 年1.390%(前月比▼0.050%)フラット35S・手数料定率・金利Aプラン(頭金10%以上)
4位、楽天銀行 年1.390%(前月比▼0.050%)フラット35S・金利Aプラン(頭金10%以上)
5位、りそな銀行 年1.390%(前月比▼0.050%)フラット35S・金利Aプラン(頭金10%以上)
2025年6月の「全期間固定・35年固定金利(新規借入)」の上位5行について、5行が引き下げとしました。フラット35(買取型)の金利は前月から引き上げで、1.890%でした。
35年全期間固定金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の35年固定金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
35年全期間固定金利の動向
これまで、超長金利はおおむね上昇傾向にあり、住宅ローンの全期間固定金利も徐々に金利が上がっていくでしょう。
フラット35については前月から引き上げでした。また、10年国債とのヒストリカルスプレッド(これまでの金利差)の平均は1.5%でしたが、2025年4月に入って金利差は0.4%を割り込むなど、極端に縮小しています。営業政策的に表面金利をなるべく上がらないようにしているものと見られますが、これは強烈な割安感があると考えています。
5月は住宅金融支援機構がさらなる頑張りを見せました。ただ、いつまで身を削り続けることができるかはわかりません。個人的には、年内にも基準金利が2.0%を超えるのではないかと考えています。
市場金利(長期金利)の動向と推移
住宅ローン金利に影響を与える日本の市場金利も見ておきましょう。
市場金利と住宅ローンの関係は?
住宅ローンの全期間固定(フラット35)、10年固定金利などは、10年国債金利と連動性が高いと言われています。
住宅ローンの変動金利は、短期金利との連動性が高いと言われており、短期金利は日銀の政策金利(1月の金融政策決定会合で0.25%から0.5%程度に引き上げ)を指標としています。
2025年5月の金融政策決定会合では、日銀は政策金利を0.5%のまま据え置きとしています。
日銀の政策次第で、住宅ローン金利は将来的に上昇していく可能性があるため、金利タイプは慎重に選ぶ必要があります。「住宅ローンの金利タイプの選び方は?」の項目を参考にしてください。
長期金利は再び1.5%超え
長期金利(10年国債金利)については、トランプ新大統領の経済政策の影響や日銀の国債買入れ減額により上昇しています。2025年6月2日の日本の10年国債金利は1.517%です。長期金利は住宅ローンの固定金利に影響を与えるため、今後の固定金利は上昇していくと考えられます。

世界的な金利高の中で、日銀は今なお低金利政策を継続しています。そのため円安が進んでいるのが現状です。円安はインフレを加速する可能性があり、今後の金利動向は予断を許しません。
なお、市場金利が上昇することで、銀行の資産運用のスタンスが変更となる可能性があります。
これまでは国債金利が0%近辺であったため運用の魅力が乏しく、住宅ローンを積極的に獲得してきましたが、国債金利が上昇してくれば、「安全な国債で資産運用しよう」という銀行が増える可能性があり、結果として住宅ローンを無理に低金利で獲得する必要がなくなります。
こうした銀行の資産運用の面からも、住宅ローン金利が上昇する可能性があります。
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[借り換え] |
![]() |
![]() |
【金利動向】おすすめ記事 | 【基礎】から知りたい人の記事 |
【今月の金利】 【来月の金利】 【2025年の金利動向】 【変動金利】上昇時期は? 【変動金利】何%上昇する? |
【基礎の8カ条】 【審査】の基礎 【借り換え】の基礎 【フラット35】の基礎 【住宅ローン控除】の基礎 |
新規借入2025年6月最新 主要銀行版
住宅ローン変動金利ランキング
※借入金額3000万円、借入期間35年で試算
- 実質金利(手数料込)
- 0.783%
- 総返済額 3421万円
- 表面金利
- 年0.640%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+55000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 79,745円
①「団信革命」は要介護まで保障も
②自社商品なら、最大3億円まで借り入れOK!


- 実質金利(手数料込)
- 0.792%
- 総返済額 3427万円
- 表面金利
- 年0.660%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 80,015円
①保証料など0円サービスが充実
②新規借入で変動金利の場合は自己資金10%以上で金利優遇あり
③最大3億円まで借入可能


住宅ローン(事務手数料型)・変動金利
- 実質金利(手数料込)
- 0.808%
- 総返済額 3435万円
- 表面金利
- 年0.675%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 80,217円
①審査でさらに低い金利提示も!
②疾病保障付住宅ローンの「保険料支払型」は若い時の保険料が安く、中途解約もOK


-
住宅ローン利用者口コミ調査の詳細を見る
-
今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
132銀行の住宅ローンを比較 >>返済額シミュレーションで、全銀行の金利を一気に比較・調査
|
- 年収に対して安心して買える物件価格は?
-
- ・年収200万円で妻が妊娠中の家族の上限は1600万円!?
- ・年収250万円の単身者の上限は1800万円!?
- ・年収300万円の4人家族の上限は1800万円!?
- ・年収350万円の2人家族の上限は2100万円!?
- ・年収400万円の単身者の上限は2500万円!?
- ・年収450万円の4人家族の上限は2000万円!?
- ・年収500万円の4人家族の上限は3000万円!?
- ・年収600万円の3人家族の上限は3500万円!?
- ・年収600万円の40代独身の上限は3000万円!?
- ・年収700万円の共働き夫婦の上限は5000万円!?
- ・年収800万円の3人家族の上限は4500万円!?
- ・年収1000万円の30代4人家族の上限は5000万円!?
- ・年収1000万円の40代4人家族の上限は3500万円!?
- ・年収1000万円の50代夫婦の上限は3000万円!?
※サイト内の金利はすべて年率で表示
プロの評判・口コミ
淡河範明さん
りそな銀行の住宅ローンは、まず金利設定がかなりチャレンジングです。期間固定金利の場合、固定期間終了後も当初の金利優遇がずっと大きいままなので、金利は低いですね。そのため借り換えをするならメリットが大いにあります。
審査は、厳しくも緩くもないですね。用意する書類に関して厳格で、お客様の属性にもよりますが、必要書類が他の金融機関に比べて提出書類が多く、また、一つ不備があるときっちり揃えるまで何度もやり取りをしなければならず、煩わしいかもしれません。書類の不備があると審査が長びくリスクもあります。
一般に、自営業や会社経営をしている場合は、直近3期分の決算書と確定申告書、役員報酬の源泉徴収票の提出を求められます。りそな銀行では、さらなる書類を求められることもあり、会社の納税証明書の提出が必要となることもあります。そのため審査に時間がかかりがちで、事前審査も本審査もそれぞれ2〜3週間かかることも珍しくなく、融資実行を早めにしたい人は要注意です。