マイナス金利の導入で住宅ローン金利も下がったからといって安易に家を買うのは禁物だ。途中で繰り上げ返済すればいい…、と多額の住宅ローンを組むと老後にリスクを残す。また、すでに住宅ローンがある人も、借り換えのほか様々な返済テクニックを上手に使い少しでも負担を軽くしよう。
返済期間35年や返済限度額上限の
安易な住宅ローンを組まないこと!
「フラット35」という名称があるように、住宅ローンと言えば、なんとなく“35年で組むもの”という意識がある。だが、安易に35年で借りてしまうと、35歳で買ったとしても完済は70歳、40歳では75歳と老後に大きく食い込んでしまう。今は80歳まで返済が可能なため、「月々の返済を楽にして、途中で繰り上げ返済をすればいい」と甘えがちだ。
しかし、現実は妻が途中で仕事を辞めたり、教育費と重なったりして計画通りいかないことが多く、結局老後にツケが回る。
「そもそも、老後に家賃を払いたくないという理由で、住宅を買う決断をした人も多いはずなのに、老後に返済が続くローンを組むのは意味がありません。買うときは35年ローンが必要な物件ではなく、65歳までの返済年数で買える物件を選ぶのが、最も堅実な考え方です」(生活設計塾クルー取締役・深田晶恵さん)
ただ、不動産価格が上昇する中、若い人の収入は減少気味の今、どうしても35年で組まざるを得ない人も多い。
「その場合も銀行の貸付限度額を全部使おうと思わないこと。特に共働きなら1人分の収入で返済していける金額にすると安心です。もう1人の収入を繰り上げ返済に回せるので、どんどん期間を短縮でき、教育費や老後のお金も、余裕を持って貯めて行けます」(ファイナンシャルリサーチ代表・深野康彦さん)
2人分の収入をベースに借りてしまうと、途中でどちらかの収入が減ったり、仕事を辞めた場合住宅ローンが大きなリスクに。夢のマイホームだからと、大風呂敷を広げすぎないことがポイントだ。
固定金利なら繰り上げ返済を
変動金利なら条件変更を駆使せよ!
すでにローンが始まっており、老後にローンが残るのが確実な場合は、なんとか65歳までの完済を目指そう。返済期間を減らすには、繰り上げ返済をするのが基本だが、教育費が始まるとなかなか貯蓄に手が回らない。ローンの借り換えという手段もあるが、手数料で貯蓄が数十万円も減るのはリスクもある。
そこで検討したいのが返済方法の“条件変更”だ。「毎月の返済額を数千円だけ追加する、あるいはボーナス払いを1回3万〜5万円だけ追加するだけなら、家計の負担をほぼ変えずに返済期間の短縮が可能。年に数万円の返済額アップでも、十分に期間短縮効果が出ます」(FPの畠中雅子さん)。
特に変動金利の場合は、返済期間を削ることで将来の金利上昇リスクも減らせるのでオススメだ。
「運用と違い、繰り上げ返済や条件変更がもたらす効果は確実。老後に利益を出すのと同じ意味があるので、バランスよくお金を配分していくことが大切です」(深野さん)
最後に住宅ローンで老後破綻しないための4つの方法を紹介しよう。
①繰り上げ返済(期間短縮)
〜早ければ早いほど利息の軽減効果大!〜
繰り上げ返済の期間短縮型は、返済額を変えず返済期間を短縮する方法。短縮される期間の元金だけでなく利息も減らせるため、利息部分が大きいローン前半に行なうほど効果大。「固定金利の人は特に有利。100万円貯まってから、と先延ばしをせずに、手数料を見てこまめに行なうほうが得」(畠中さん)。

②繰り下げ返済(月々の返済を減額)
〜家計が苦しい時期の救いの一手に!~
繰り下げ返済の返済額軽減型は、返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす方法。利息の軽減効果はローンの後半になれば、期間短縮型よりも高効率となる。負担が減った実感は大きく、家計も楽になる。「特に、教育費がかさむ時期などは有効な手段。期間返済型と上手に使い分けるといいでしょう」(深野さん)。

③返済条件の変更
~ボーナス時5万円の併用払いで期間短縮!~
繰り上げ返済ではなく、返済方法を変更する形で期間を縮めることもできる。「ボーナス併用払いを使っていない人は、年2回、5万円ずつの返済を追加することで、数年の短縮が可能。このぐらいの負担増なら教育費が重なる時期もやり繰りの範囲で消化でき、効果も大きいのでオススメです」
(畠中さん)。

④退職金の使い方
~使っても2割までにとどめるのが健全!~
老後に残債が多く残る場合は、退職金を使うこともやむを得ない。「退職金は最後の収入であり、老後の貴重な財源。使ったらもう取り返すことはできないので、あまりあてにしすぎないこと」(深野さん)。あくまで最後の切り札とし、使う額を最小限に食い止められるように現役時代の返済を調整するのがベスト。


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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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※サイト内の金利はすべて年率で表示
プロの評判・口コミ
淡河範明さん
SBI新生銀行の住宅ローンは、10年固定、15年固定、20年固定といった金利が低い点が特徴です。
商品も特徴的で、介護状態を保障する団信や、長く借りていると金利が下がっていく「ステップダウン金利」があるのも主要銀行ではここだけです。
審査はオーソドックスに行なっている感じです。住宅ローン処理センターで集中審査しているので、窓口のかたの力量があまり問われず、公平に審査されるという印象です。
なお、相談から審査、契約の手続きまでネットで完結できるようになりました。不安な方には、ビデオ通話で自宅から気軽に相談ができるので、コロナ禍の現状では最適な方法が用意されているようです。