「住宅ローンの金利を引き下げてくれなければ、もっと金利の低い他行に借り換えますよ」。現在住宅ローンを借りている銀行にこう交渉して、金利を引き下げてもらう、「条件交渉」が増えているという。住宅ローンの借り換えは、登記簿の書き換えなども必要で手続きが大変だが、条件交渉なら、より簡単に借り換えに近いメリットを得られる(監修:山本俊成氏)。
銀行は、他の銀行で借り換えられるより、
条件変更に応じてでも、顧客を引き止めたい
「今、住宅ローンの借り換えがブームですが、基本的に同じ銀行で借り換えはできません。しかし、現在の住宅ローンの金利引き下げなどの『融資条件見直し』をしてもらえる可能性があります」。
元銀行員のキャリアを持つファイナンシャルプランナーの山本俊成氏は話す。
「銀行によって状況は異なりますが、借り換えで他の銀行に顧客をもっていかれるのであれば、今のローン内容の引き下げに応じることがあります。いわゆる、条件変更です。交渉しだいで、金利を下げてくれたりします。条件変更ならば、他の銀行で借り換えする手間もいらず、諸費用も不要になるので、メリットは大きいですよ」と山本氏。
契約上、大半の住宅ローンは条件変更が可能となっている。ただし、それに応じてくれるかどうかは、借り手の返済能力などを考慮して銀行が判断するので、個別対応になる。
「特に、金利の引き下げや返済期間を延ばすなど、銀行側にリスクが高くなる条件変更については、素直に応じないこともあります。どの銀行なら、そうした条件変更に応じてくれるかを見分けるのは、金融のプロでも難しい」(山本)。となると、実際に交渉してみるしかない。
ちなみに条件変更であれば、手続き費用も数千円のレベルで、負担はほとんどない。まさに「裏技」と言える。近年の金利低下で、銀行側も「条件変更」については、従来よりも柔軟に受け入れるようになっており、その実績も増えているようだ。とはいえ、銀行も顧客の言うままに条件変更をしてくれるわけではない。ではどうすればいいのか。
金利引き下げ交渉に向けて、
複数の銀行で試算して、本気度を伝える
「借り換えを考えるのであれば、別の銀行で借り換えの試算をしておくことが大切です。シミュレーション情報は、条件変更のときの大切な交渉材料になります。実際にいくつもの銀行を回って試算してもらえば、借り換えに対する本気度が伝わります。借り換え候補の銀行で作成してもらった書類を持って、借り入れしている銀行と交渉しましょう」と山本氏。
実際、都内に住むある40代の男性は、メガバンクで住宅ローンを借りており、ネットバンクでの試算結果を持参して、現在借りているメガバンクと交渉した。「金利の急激な低下で、顧客の流出も多くなっているようで、簡単にネットバンクに近い金利まで引き下げてくれた」と喜びを隠せない。十分に準備しておけば、それだけ条件変更の可能性は高まる。
また、山本氏は「信頼できるファイナンシャルプランナーに同席を依頼してもいいですね」という。金融のプロが立ち会うことで、条件変更の話はスムーズになることも多いという。
「条件変更」は、うまくいけば、借り換えの手間、時間、諸費用を大幅に抑えられるだけに、一考の余地があるだろう。
ただし、現在の銀行が金利引き下げに応じる場合、他の銀行に乗り換えるよりも、金利を引き下げてくれないケースが多いようだ。住宅ローンを乗り換える手続きの煩雑さや、手続きに費やす時間を考えれば、仕方ないだろう。最大限、金利を引き下げたいのであれば、借り換えも有力な選択肢だ。
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フラット35は、金利引き下げは無理だが、
返済期間の延長や、毎月返済額減額は可能
なお、長期固定住宅ローン「フラット35」については、大規模災害で被災した等の特別な理由がない限り、金利引き下げに応じてくれることはない。金利引き下げするということは、実質的には住宅ローンを一部免除するのと同じであるが、フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関による半官半民の住宅ローンであるため、一部の人だけを優遇することができないのだ。
とはいえ、返済が苦しくなった場合に備えて、住宅金融支援機構が条件変更のメニューを3つ用意している(下記参照)。返済中の銀行に相談し、審査をクリアすれば条件変更が可能だ。支払い期限を延ばすといったもので、支払いが苦しい場合などに利用するものだ。手数料は全て無料だ。
また、支払い期限が伸びるということは、総返済額が増える点にも注意しよう。
◆フラット35は返済方法を変更できる | ||
内容 | ||
Aタイプ | 返済期間の延長など | |
Bタイプ | 一定期間における返済額の減額 | |
Cタイプ | ボーナス返済分の返済額の変更、ボーナス返済の取り止めなど | |
※住宅金融支援機構が返済の継続が可能と判断した場合、変更に応じる。出所は住宅金融支援機構 |
こうした規則があるため、フラット35を借りている人が金利を引き下げるのなら、「借り換え」するしかない。借り換えは3つのパターンがある。
(1)「民間の銀行の住宅ローン」に借り換え
(2)「フラット35」から「フラット35」への借り換え(取次銀行はそのまま)
(3)「フラット35」から「フラット35」への借り換え(取次銀行を乗り換え)
(1)民間の銀行であれば、変動金利も固定金利も選択できる。変動金利であれば1%を大きく割り込んだ低金利での借り入れが可能だ。
次に、勘違いしている人も多いが、(2)「フラット35」から「フラット35」への借り換え(取次銀行はそのまま)は可能だ。全期間固定金利を選択したい人は、フラット35への借り換えも有力な選択肢になるだろう。
最後に(3)「フラット35」から「フラット35」への借り換え(取次銀行を乗り換え)、も検討したいところだ。「フラット35」はどこで契約しても商品は同じものであり、金利も横並びとなっている。ただし、手数料については、銀行によって違うので、現在の銀行よりも手数料が安い銀行があれば、乗り換えてたほうがいい。じっくりと研究して、乗り換え先を探すのがいいだろう。
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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プロの評判・口コミ
淡河範明さん
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審査に関しては、めちゃくちゃ早いです。申し込んでから基本的には1ヶ月以内に融資実行ができるので、急いでいる場合にはありがたい。「今月中に融資して欲しい」とアピールすれば、審査がスムーズに運びやすいです。
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