2019年7月を境に、世界的な低金利状態が加速しています。その影響で、金融機関各社は長期固定金利商品の金利を続々と下げ始めました。特に、「フラット35」と「20年固定」では金利の低下が目立ってきているので、住宅ローンをこれから申し込む方にとって今はお得な状況なのですよ。
【目次】 フラット35と20年固定が、過去稀にみる低金利 価格競争は、長期固定金利にシフトしている 主要銀行「20年固定」のポイントを紹介 ・auじぶん銀行 ・ソニー銀行 ・SBI新生銀行 ・りそな銀行 ・三菱UFJ銀行 まとめ ~複数の金融機関で審査を通すべし! |
フラット35と20年固定の金利が、過去稀にみる低水準に
こんにちはブロガーの千日太郎です。
現在、10年国債利回りは、2016年7月に記録した過去最低のマイナス0.3%に迫る勢いで下がっています。それに伴って、住宅ローンの金利もどんどん下がってきました。
特に、2019年7月を境として、35年の超長期固定金利「フラット35(保証型)」が大きく金利を下げているのですが、この副産物として各社の20年固定金利も、また金利を下げてきています。
下記の表に、各金融機関の2019年6月から9月までの金利をまとめました。この推移を見ても、各行が金利を引き下げてきていることは明らかです。
これまで、当初固定金利の中で「20年固定」金利はあまり目立つ位置づけではありませんでした。しかし、超長期固定金利のフラット35が下がってきていることで、20年固定も同じく下がる現象が起きています。
その背景について説明しましょう。
価格競争は、変動金利から長期固定金利にシフトしている
長期金利(主に10年国債利回り)の低下が世界的に加速しています。米中対立や世界経済への先行き不安と、10年半ぶりのFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを受け、投資家のマネーがリスク回避のために安全な国債に集まってきているのが原因です。
米国の金利は、8月に入ってから急激な下降を見せました。米国よりはなだらかではありますが日本の金利も徐々に下がってきており、日銀が容認している下限のマイナス0.2%をふり切ってしまいました。これは、いよいよマイナス0.3%に達するのでは? という水準です。
■2016年と2019年では何が違うか?
2016年7月に日本の長期金利がマイナス0.3%を記録したときには、その翌月にはフラット35(買取型で団信抜き)の金利が0.9%となり、三井住友信託銀行の10年固定金利は0.35%という、それぞれ史上最低の金利をマークしました。
2019年9月現在、フラット35(保証型)の金利は0.92%で、表面的には2016年当時の0.9%よりも高いように見えますが、これは団信込みの金利なのです。2016年当時、団信の年率が0.358%であったことを加味して比較すると、文句なしに現在のフラット35は団信込みで史上最低金利です。
2016年に10年固定金利が安かったのは、主に信託銀行でした。信託銀行は信託業務のために顧客から預かった信託財産を安全資産に投資しなければならないのですが、安全資産の代表である国債の利回りがマイナスになっていたため、住宅ローンで代替していたんですね。つまり、マイナスになってしまった10年国債に対する代替投資としての10年固定金利の住宅ローンだったのです。
当時はマイナスでなければ良いよ、くらいの勢いで金利の引き下げをやっていたわけですが、やがてこれ以上集める必要が無くなったので、現在は正常な金利に戻っているという訳です。
なので、2019年の今の局面では、長期金利がどれだけ下がっても住宅ローンの10年固定金利は大して下がらないということになっています。
■ベースとして金利の高い、長期の固定金利に価格競争がシフト
現在20年固定の金利が下がっているのは、7月のFRB利下げを契機として、銀行の価格競争が従来の変動金利から、より金利の高い長期の固定金利に移行してきているということです。
現在の変動金利は0.5%弱と確かに低いですが、任意のタイミングで金利を上げることができます。これまでずっとアメリカは利上げを続けてきていましたから、銀行側としても「いずれ近いうち日本も……」という希望がどこかにあったのです。しかし、10年半ぶりに米FRBが利下げをしたことで、当分の間は金利が上がる見込みが無くなってしまったのですよ。
ここで、銀行が0.5%の金利で丸1年お金を貸すと、いくら儲かるのか計算してみましょう。メガバンクの調達金利は0.3%前後ですから、1年で0.2%が粗利ということになります。3000万円の貸金であれば、年に6万円が儲け。これでは赤字です。実際には毎月の返済によって元本も減っていきますから、儲けは6万円もありません。
そこへ、今後当分の間は利上げの見込みが無いとなると、これ以上変動金利の融資を増やしてもジリ貧になりますよね。ならば、少しでも金利の高い商品を売らなければというのが自然な流れなのです。
20年固定は20年間金利を固定するわけですから、それなりに高い金利にしておかなければ、将来的には赤字になってしまうリスクがあります。しかし、そんな悠長なことを言っていたら、今年来年の決算が赤字になってしまい競争に負けてしまう……! まずは目先の利益を確保しなければ、という状態に追い込まれているのです。
こうした状況は、商品を売る側からするとかなりシンドイですけど、商品を買う我々の立場からすると美味しい状況なのですよね。なので、今後はハッキリ言って20年固定が狙い目です。今後も金利は下がるでしょう。
主要銀行の「20年固定」のポイントは?
では実際にどんな商品を選んだら良いのでしょうか。商品を決める際には、単に金利だけで低いところを選ぶのでなく、融資手数料(保証料)や団信の特約なども加味して、より自分にピッタリな20年固定を選ぶことをおススメします。以下に主要銀行ごとのポイントを解説しますね。
■auじぶん銀行「低金利に、ガン50%保障+全疾病保障を加えた手厚い保険が強み」
主要銀行の中でも20年固定で金利が低いのがauじぶん銀行。それに加えて、金利上乗せなしで付帯する団信の特約の厚さでナンバーワンです。
まず金利上乗せなしでガン50%保障が付きます。ガン50%保障を付けようとすると0.1%上乗せになる金融機関が多いですので、この時点で0.1%低金利と読み替えてもいいでしょう。
さらに、全疾病保障(180日の就業不能状態)が金利上乗せなしで付帯しますので、金利面と無料団信という面では最強の組み合わせです。
ただし、融資手数料が2.2%(税込)と割高なのと、20年の固定期間が終わった後の金利引き下げ幅が少ないのが注意点です。
■ソニー銀行「金利タイプの切り替えとワイド団信の安さが魅力」
ソニー銀行の20年固定金利(固定セレクト)は、0.842%(2019年9月時点)。団信の特約では、金利上乗せなしでガン50%保障が付きます。しかし全疾病保障はつきません。そして、融資手数料は2.2%(税込)と割高です。
ここまで見ると、auじぶん銀行の方が良いのでは? と思われるかもしれませんが、ソニー銀行はWebで24時間リアルタイムに金利タイプを変更できるというメリットがあります。なお変動金利から固定金利への変更は無料です。
さらに、過去に大病を患ったなどの理由から一般の団信に加入できない場合はワイド団信への加入を検討することになるのですが、多くの銀行でワイド団信は0.3%以上金利に上乗せとなるところ、ソニー銀行は0.2%の上乗せでワイド団信に加入できます。
■SBI新生銀行「低金利&定額の融資手数料で、実質金利では最低に」
SBI新生銀行の20年固定については、前回こちらの記事(SBI新生銀行の20年固定の住宅ローンは、新規借入でも借り換えでもグッドチョイス!)でも特集をしましたね。融資手数料の面では最低金額の55,000円(定額)で借りられるというのが大きな魅力です。
また、新規借入の場合、10%の頭金を入れることで表示金利から0.05%の金利引き下げとなりますので、最低金利と比較してもほとんど変わらない金利になります。融資手数料が安い分、総支払額の実質金利では最も低金利になるのがSBI新生銀行の20年固定の魅力ですね。
■りそな銀行「“団信革命”は身体障害に強い保険」
りそな銀行にあって他行にないメリットは「団信革命」です。金利に0.3%上乗せが必要ですが、要介護2以上の介護状態や16の身体障害状態で住宅ローンがゼロ円になる保険を付けることができます。
身体障害状態を保障する団信はフラット35の機構団信がありますが、それよりも保障を受けられるハードルが低いです。例えば、「腎臓の機能を完全・永久に失って生涯、人工透析治療が必要になった」というケースでは、機構団信だと「生活するのに常に介護を要する」ほど悪化していないため保障対象外となりますが、りそな銀行の団信革命なら保障されます。
■三菱UFJ銀行「“7大疾病保障付住宅ローン”は病気のリスクに強い」
三菱UFJ銀行にあって他行にないメリットは、団信の「7大疾病保障付住宅ローン」の〈3大疾病保障充実タイプ〉です。金利に0.3%の上乗せが必要ですが、がんの診断(90日の待機期間があります)や、脳卒中(脳梗塞など)・急性心筋梗塞の入院時点で、住宅ローン残高が0円になります。
他行の疾病保障だと、3疾病では就業不能60日とか半年、長いものでは1年超という期間を条件とするケースが多いです。この点から、いわゆる医療実態に詳しい医師や看護師の方、保険会社の社員の方などがよく利用しているのがポイントです。
まとめ ~複数の金融機関で審査を通すべし!
あくまで、これから20年固定が狙い目というのは個人的な見解です。千日個人としては、もちろん確信に近い感じでいますが、もしかしたら最近20年固定金利が下がっている理由は全く別のことである可能性もありますし、今後の金利動向については、ここに書いた千日の予想と異なってくることは大いにあり得ることです。
また、現時点でこの推測が当たっていたとしても、銀行の営業方針はマーケットを反映してガラッと変わることがありますから、注意が必要です。
そんなように、早くから一つの金融機関や金利タイプに絞ってしまうと、融資実行の直前に営業方針が変わってしまい、思っていた金利で融資を受けられないリスクがあります。ですので、申し込もうと思ったら、念のためにも複数の金融機関、金利タイプで審査を通しておくことをお勧めします。
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淡河範明さん
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