今回は「2020年の住宅ローン金利大予想!」ということで、2019年の金利推移のおさらいとあわせて、変動金利、10年固定金利、35年固定金利について、2020年の動向を予測していきましょう。
こんにちはブロガーの千日太郎です。あっという間に年末が差し迫ってきましたね。
いろいろあった2019年。新元号「令和」に変わり、消費税増税もありました。そして住宅ローンの金利もダイナミックに変動した1年でしたね。今日は、住宅ローンの金利タイプごとに金利推移を分析し、2020年の住宅ローンの金利動向をズバリ予想したいと思います。
結論からお伝えすると、
・変動金利……史上最低レベルの金利を維持。これ以上は下がらず、横ばい
・10年固定金利……3月から値上げする銀行に注意!
・35年固定金利……多少上昇するかもしれないが、依然として低金利を維持
――だと、予想しています。特に、各銀行が価格競争を行っている「10年固定金利」は注意が必要で、3月を過ぎると突然金利が上がる可能性があるのではないかとみています。
2019年の金利推移の分析とあわせて、その理由を説明していきますね。
2019年金融マーケットの金利推移
そもそも、住宅ローン金利はどうやって決まる?
金利予想の前に、住宅ローンの金利が決まる仕組みについて簡単に知っておきましょう。住宅ローンは金融機関の商品です。そして住宅ローンの金利は商品の価格ですから、その原価は金融マーケットの金利です。金融機関は、金融市場から資金を調達し、利益を乗せて我々に貸すことで、その利ザヤで儲けているのです。
住宅ローンの変動金利に影響を与えるのは、日銀が民間銀行に資金を融資する際の金利である「政策金利」です。日銀は、この政策金利を操作することによって、民間銀行が融資をする際の金利を誘導しているのです。
2019年は、10年国債利回りが大きく下がった!
その政策金利の推移を日米で比較できるようにグラフにしました。米政策金利における2019年の大きな出来事といえば、約10年半ぶりの利下げです。
米FRBは2019年6月から7月にかけて米政策金利を2.50%から2.25%に下げ、さらに9月10月と立て続けに0.25%ずつ下げました。2008年のリーマンショック以来の利下げとあって、世界でも大きなニュースとなりました。
これに対して、日本の政策金利はずっとマイナス0.1%であり、ここから下げたところであんまり効果なさげだよね? ということもあってか、大きな動きを見せず据え置きとなっています。
一方、米政策金利の引き下げに対して分かりやすく反応したのは、「10年国債利回り(長期金利)」です。2019年6月以降、目に見えて利回りが下がり、一時はマイナス0.3%まで下落しています。
利回りは債券価格と逆方向に動きます。米利下げによってリスクを嫌った投資家が、株式などのリスク資産を売って安全資産の日本国債を購入しました。債券価格が上がったことで債券利回りが下がったのですね。
その後10月から11月、12月にかけては、米中貿易協議の進展を期待する投資家がリスクを取りに動き、債券が売られ(債券価格が下がる)、利回りが上がり始めています。
この10年国債利回りは住宅ローンの固定金利に影響します。固定金利の融資をするための資金をマーケットから長期金利で調達するという建前を取るからです。
金利タイプ別 2019年の金利推移と2020年の金利予想
では住宅ローン金利タイプごとに、2019年の金利推移のおさらいと2020年の金利予想をしていきましょう。住宅ローンの金利については、表面金利ではなく、我がダイヤモンド不動産研究所で推奨している実質金利(融資手数料等も含めた総支払額を金利に引き直したもの)で比較を行います。
■変動金利は史上最低水準の低金利を維持
現在、変動金利は各主要銀行で底の水準(これ以上は下げられない水準)になっています。もともと金利が高くて大きく下げる余地があったSBI新生銀行を除いて、ずっと横ばいで推移しています。
12月の米政策金利は据え置きとし、その後の利下げ観測も後退していることから、近い将来に利上げということはなく、変動金利の見方に変更を加えるような事象はありません。ですから、2020年も同じく横ばいで推移すると予想しています。
【関連記事はこちら】>>住宅ローン 実質金利ランキング(変動金利)[最新版]
■10年固定金利は、融資実行直前に金利を上げる銀行に注意
主要銀行の住宅ローンは、10年固定金利をメインとした価格競争状態となってきたのですが、既に金利も下がりきって、今はあまり動きの無い状況です。これも、もともと金利が高くて大きく下げる余地があったSBI新生銀行を除いて、基本的には横ばいで推移しました。
固定金利は基本的に10年国債利回りと連動しています。10月から12月にかけて10年国債利回りは上昇しているのですが、10年固定金利については、あえて金利を上げていないor上げ幅を抑えている金融機関が多くなっています。
ここからは私の憶測ですが、各行でイチオシしている10年固定金利の来年3月実行予定の融資の申し込みが集まっていて、このタイミングで変に上げてしまうと他行に逃げられてしまうことを恐れて、あえて金利を据え置いているのではないか?と見ています。
今のところ、実質金利ではSBI新生銀行が最も低金利ですが、それ以前が高かったことを考えると、3月になってから急に上げる可能性も否定できません。10年固定金利ではみずほ銀行、りそな銀行も低金利ですので、もしも3月までの融資を考えている方は、”保険”として本審査を通しておいた方が安心ですね。
【関連記事はこちら】>>住宅ローン 実質金利ランキング(10年固定)[最新版]
■30年固定金利・全期間固定金利は上昇傾向でもおトク度は高い
35年固定金利・全期間固定金利の代表はフラット35です。ダイヤモンド不動産研究所が調べている実質金利ランキングの上位はSBI新生銀行を除き、フラット35の販売代行をするモーゲージバンクで占められています。
フラット35は、もともと低金利で推移していたのですが、10月から12月にかけての10年国債利回り上昇の影響を受けて、金利がやや上がりました。しかし、10年国債のマイナス利回りを反映した、超低金利状態であることに変わりはありません。
また現在少しずつ金利が上がっているとはいえ、まだまだ本格的に景気が加速してく局面ではありません。主に米中貿易協議の行方に対する期待のみで上がっているようなところもありますから、再び下がる可能性もあります。
長期の固定金利で借りたい人にとって、少し金利が上がったとしてもフラット35の金利水準は依然としておトクです。
「フラット35S※」や「フラット35子育て支援型※」など、利息の一部を国や自治体が肩代わりしてくれる補助金制度も充実しています。これらの補助金制度を利用すれば、当初の5年または10年は、1%未満の金利で借りられることもありますので安心しておススメできる金利タイプです。
※フラット35S:省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅を取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度。詳細はこちら
※フラット子育て支援型:子育て支援に積極的な取組を行う地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、地方公共団体による補助金交付などとセットでフラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度。詳細はこちら
【関連記事はこちら】>>住宅ローン 実質金利ランキング(35年固定)[最新版]
【関連記事はこちら】>>フラット35の金利を最大「16年間、0.5%引き下げる」おいしい制度を見逃すな!【2019年11月最新版】
まとめ ~急な金利上昇に備えた対策を!
2020年の住宅ローン金利予想を、もう一度まとめておきましょう。
・変動金利……史上最低レベルの金利を維持。これ以上は下がらず、横ばい
・10年固定金利……3月から値上げする銀行に注意!
・35年固定金利……多少上昇するかもしれないが、依然として低金利を維持
2019年10月から12月にかけて、10年国債利回りは上昇しているのですが、変動金利には大きく影響しておらず、35年固定金利ではすでにやや微増。そして、大きく動きそうなのが10年固定金利だ、といったところです。
そうはいっても、住宅ローンの金利は日銀の政策金利だけでなく、金融マーケットの金利の影響を受けます。マーケットの金利動向は、取引に参加をする投資家の集団的な行動で決まるのですが、今のマーケットは投資家にとっての取引材料に乏しく、先行きの不透明な状況が続いています。
そして、住宅ローンの金利は、住宅の引き渡し日の属する月の金利が適用されますから、金利が低いうちに借りたいと思っても、そうはいきません。今現在の金利が低くても、住宅の引き渡し日には金利が上昇している可能性があるので、いまのうちに借りたいと思っている人にとっては、歯がゆいですよね。先行き不透明な状態だったらなおさら、突然の金利上昇リスクに備えておく必要があります。
あまり早い段階で一つの住宅ローンに絞ってしまうと、融資実行の直前に大きな変化があった場合に対応できなくなってしまいます。なので、いつでも最良の選択ができるように、複数の住宅ローンで本審査まで通しておき、最後の最後まで変更できる構えでいることをお勧めします。
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淡河範明さん
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