こんにちは千日です。長期金利の指標になる10年国債利回りが2017年9月4日と8日にマイナス0.01%を記録しましたね! これにより今後の住宅ローンの金利動向はどうなるのでしょうか。10年固定金利、フラット35、変動金利の3商品について、考えてみましょう。私の予想では、固定金利は10月の方が9月より下がり、変動金利は変動せずになると考えています。
まずは、今年の10年国債金利の推移を見てみましょう。昨年は一時、マイナスを記録しましたが、2017年に入ってからはマイナスとなったのは9月4日が初めてです。
国債金利の下落は、北朝鮮による弾道ミサイルの発射に加え6度目となる核実験により、アメリカとの武力衝突のリスクが高まっていることを反映したものと言われています。最近はテレビをつけると必ず目にするニュースです。
アメリカにとっては、待った無しの危機的状況です。捨て身で挑んでくる相手を、全くの無傷で制することは出来ない。そのリスクを反映してのマイナス金利なのですね。9日の建国記念日には挑発行為に出なかった北朝鮮ですが、根本的な危機が去ったわけではありません。これから住宅ローンの実行を予定している人向けに固定金利、変動金利それぞれの今後の動向についてお話したいと思います。
私は、固定金利は10月の方が9月より下がり、変動金利は変動せずという予想をしています。
固定金利は10月にはさらに下がる
住宅ローンの金利は毎月の初めに発表された金利がその月に適用されます。ですから今月9月の住宅ローンの金利はこのマイナス金利を反映したものではありません。このまま北朝鮮情勢に変化が無ければ長期金利のマイナス幅は広がっていくでしょうから、全般的に、10月の金利の方が下がりそうですよね。
基本的に住宅ローンの固定金利は長期金利と連動すると言われています。銀行が住宅ローンで我々に貸す資金は金融市場から調達しているからですね。こんな関係です。
つまり、金融市場の長期金利というのは、銀行にとって商品の「仕入れ値」です。仕入れ値が下がっているということは、我々への売値も下げられるということです。
注目の10年固定金利は、昨年ほど下がらない
昨年のマイナス金利政策で歴史的な低金利を記録したのは10年固定金利でしたね。現在、家を探している人の中には、この低金利をキッカケに家を買おうと思い立った人も多いと思います。しかし、固定金利の中でも、10年固定金利が去年ほどの下がり方になるか、というとそこまでにはならないでしょう。
その理由は、まさに昨年10年固定が未曾有の低金利となった理由にあります。
日銀のマイナス金利発表によって、それまで民間銀行が日銀に預けていた預金の一部に銀行が利息を払わなければならなくなりました。銀行は当然日銀から預金を引き出し、日銀への預金に代わる投資先として国債の購入に充てたんです。これはいわば脊髄反射的な反応です。
全ての銀行がこぞって国債の購入に走れば、当然国債の価格は上がり、「国債価格の上昇」=「長期金利の下落」ということで長期金利がマイナスになったのです。
住宅ローンの10年固定金利では、三井住友信託銀行などの信託銀行が10年固定を大幅に下げましたが、これは高すぎる国債の代わりとして住宅ローンの融資に力を入れたのです。信託銀行はその信託業務のために安全資産に投資しなければならないのですが、国債の利回りはマイナスで、買った瞬間に損が確定するような状態です。
国債相場が高い限り、信託銀行は住宅ローンの金利を下げて利用者を集めざるを得ない状態でした。いくら金利が安くて儲けが少なくても国債を買うよりはマシだからです。その代表格であった信託銀行は今年に入ってから10年固定金利を上げてきています。北朝鮮の地政学リスクで10年固定が下がったというニュースがありましたが、下表のように基本的には上がっているのです。
三井住友信託銀行 | 三菱UFJ信託銀行 | |
---|---|---|
2017年3月 | 0.550% | 0.550% |
2017年9月 | 0.700% (半年前比 +0.150%) |
1.070% (7カ月前比 +0.520%) |
どちらも上がっていますが、三菱UFJ信託銀行などは倍くらいの金利ですよね。
これは、本音としては、『もう10年固定はお腹一杯』ということです。住宅ローンの10年固定金利は銀行にとって10年間の資金運用手段です。ということは今後当分の間は10年のレンジでの補充の必要は無い。また必要になっても、、その方法が住宅ローンとは限りませんよね。
「今後は10年固定金利が下がらない」という私の予想は、こうした銀行側の資金運用の思惑を、公表された金利から推測してのことです。
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市場金利が反映されるフラット35は下落を予想!
では、「固定金利ではどの金利タイプが狙い目か?」というと、答えは「フラット35」ということになるでしょう。
フラット35の金利は、住宅金融支援機構がその事務を代行する金融機関からフラット35の債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて「機構債(RMBS・住宅ローン債権担保証券)」という形で販売しています。
銀行は融資事務を代行して右から左に資金を流すだけですから、固定の手数料を取るだけです。そして住宅金融支援機構は国の出先機関ですから、これも固定的な経費を取るだけです。つまり、債券市場の金利がダイレクトに反映しやすい仕組みになっているのです。
9月のフラット35の金利は、8月末の金融市場の金利の影響を受けますが、その時点ではまだ、10年国債はマイナスにはなっていませんでした。今後しばらく、10年国債の金利が大きく上昇するという可能性はかなり低いでしょうから、少なくとも10月のフラット35金利は下落すると見ていいでしょう。
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フラット35は、10月から「団信」を実質値下げ!
それと忘れてならないのが、2017年10月1日の申し込みからのフラット35の機構団信のリニューアルです。この新制度の骨子は2つです。
✓従来の団信保険料は年一回、ローン残高の0.358%を払う方式だったが、今後はフラット35の金利に0.28%上乗せとなり毎月の返済と一緒に支払う、実質的な団信の値下げ。
✓従来の団信の保障範囲は高度障害と死亡が条件だったが、今後は身体障害(身体障害者福祉法1級or2級)についても保障の範囲に含まれる、範囲の拡大。
新制度になっても、フラット35の団信加入は任意でこれは変わりませんが、住宅金融支援機構としては加入者を増やしたいという思惑があるのでしょう。加入者が増えれば一人一人の保険料の負担も軽くできるということです。ちなみに、団信に加入しない場合は団信込みの金利から0.2%引き下げとなります。
✓団信保険料としては値下げと充実。
✓見た目の金利は値上げ。
こんな感じですね。従来のフラット35の機構団信は割高でしたので、団信に加入したい人にとっては朗報です。
武力衝突があっても、変動金利は上がらない?!
ここまでは、北朝鮮情勢に変化が無いという前提で話をしてきました。しかし、状況自体は冒頭に書いているように待ったなし、なのです。武力衝突になったときの円相場と長期金利の動きについては専門家の間でも割れており、主なものとしては、以下の4つの流れが考えられます。
(1)低金利の円を借り入れ、高金利通貨に投資していた投資家が即座にポジションの解消に動くことで、円が押し上げられると…円高→国債高→長期金利低下です。
(2)日本株の約3割を保有する海外投資家が、武力衝突の日本への被害や企業業績への打撃に萎縮し、日本から資金を引き揚げ、同様の理由で日本人が国外に資金を退避させると…円安→国債安→長期金利上昇です。
(3)米国経済への打撃を織り込む形で米国債利回りが低下し、ドル安になることで円高が進むと…国債高→長期金利低下です。
(4)軍事支出が増えるとの思惑が米経済見通しを高め、ドルが上昇するのに伴い円安になると…国債安→長期金利上昇です。
長期金利というのは必ずしもセオリー通りに動くとは限らず、思わぬことがトリガーとなってヒステリックに反応することもあるので、専門家であってもその動向を的確に予測することは難しいのですね。だからこそこのように見解が分かれるのです。
住宅ローンは申込から実行まで、概ね6週間が目安ですね。今でこそ長期金利は下がるという見方が大勢を占めていますが、6週間もあれば北朝鮮をめぐる情勢が急展開し、金利動向が180度ひっくり返り、長期金利が上昇していくことは十分にあり得ることです。
前置きが長くなりましたが、そこで注目すべきが変動金利ということです。
変動金利は短期プライムレートに連動するのですが、短期プライムレートは日銀が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けます。つまり、日銀が政策金利を上げない限りは、金利を上げる大義名分は無いのですね。
折しも今、変動金利をより下げてきている銀行が増えており、銀行間の競争が10年固定から変動金利に移ってきているトレンドもあります。りそな銀行と、住信SBIネット銀行の変動金利、10年固定金利の推移を見てください。変動金利は引下げ、10年固定は引き上げています。
変動金利 | 10年固定金利 | |
---|---|---|
2017年2月 | 0.569% | 0.500% |
2017年9月 | 0.440% (7カ月前比 -0.129%) |
0.650% (7カ月前比 +0.150%) |
変動金利 | 10年固定金利 | |
---|---|---|
2017年2月 | 0.447% | 0.540% |
2017年9月 | 0.444% (7カ月前比 -0.003%) |
0.640% (7カ月前比 +0.100%) |
民間金融機関の住宅ローンというのは銀行が販売する「商品」なんですよね。商品の値決めをするのは売り手です。市場の金利動向とは別の原理が働いて金利が決まることは珍しいことではありません。
つまり、固定金利をメインに考えている人にとっては、簡単には金利が上昇しない変動金利でも審査を通しておくことが、武力衝突時の保険になりうる可能性もあるのです。
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(関連記事はこちら!⇒[住信SBIネット銀行の住宅ローンの金利・手数料は?])
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無料団信の保障範囲 | 死亡・高度障害 | ||
オプション保険(保険料) | 「団体信用生命保険」+「3大疾病保障特約付」+「7大リスクに対応の団信革命」(金利+0.3%) | ||
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まとめ~ リスクヘッジで、複数の金利タイプを検討すべき!
我々利用者としては、借り換えや、家の購入という一大事に不安定な情勢が重なってしまったわけですね。ですから、2重3重に打つ手を用意しておく必要があります。以下のように、金利が決まる仕組みの異なる商品でそれぞれ審査を通しておき、情勢の変化に応じて有利な方を選べるようにしておくのです。
✓民間融資と公的融資(フラット35を含む)
または
✓変動金利と固定金利
このように、保険(リスクヘッジ)として複数の金利タイプで審査を通しておくことを強くお勧めします。
なお、賢明な読者様ならご承知のことと思いますが、このブログに書いたことは、あくまで現時点で公表されている情報に基づいて、千日個人が予想したものです。ですから、実際の金利の動きと異なってくることも大いにあり得ます。
最終的な判断はあくまでご自身に委ねられています。用法用量を守ってご利用ください。
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淡河範明さん
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