中古住宅の購入や、住宅ローンの借り換えのタイミングで、リフォームも済ませてしまいたいという人は少なくないと思います。しかしリフォームローンは高金利なので、住宅ローンの借り換え時に、リフォーム費用もまとめて借りてしまうと大変お得です。そこで、「リフォーム費用のトクする借り方」「低金利の住宅ローン」について、住宅ローンアドバイザーの淡河範明さんにアドバイスしてもらいました。
金利も違えば、借入条件も違う
似て非なる「住宅ローン」と「リフォームローン」
読者 中古住宅の購入と同時にリフォームを考えています。その場合、リフォームにかかる費用も、住宅ローンに含めて借してくれる銀行はありますか? それとも別途リフォームローンを組む必要がありますか?
淡河 お答えする前に理解しておいていただきたいのは、「住宅ローン」と「リフォームローン」の違いです。
住宅ローンは借り入れ条件として担保が必要な有担保ローンです。銀行・金融機関は融資対象となる家(および土地)に抵当権を設定します。万一、返済不能に陥ったときには、担保物件は競売にかけられ、残債にあてられることになります。
一方、リフォームローンは無担保ローンです。言うまでもなく、銀行は担保がなくても借してくれます。ただしその分、融資限度額は1000万円、最長返済期間は7~20年程度と短く、住宅ローンに比べて金利もはるかに高い2~8%前後となっています。
■「住宅ローン」と「リフォームローン」の違い | ||
住宅ローン | リフォームローン | |
金利 | 0.5~3%程度 | 2~8%程度 |
融資限度額 | 無制限(担保評価等による) | 1000万円 |
返済期間 | 35年 | 7~20年 |
担保 | 要 | 不要 |
費用 | 多い | 少ない |
審査スピード | 2週間~2カ月 | 即日~1週間 |
※ 数字は一般的な目安です。 |
有担保、無担保という商品としての根本的な違いがあるため、数年前まではリフォーム費用を借りるには、住宅ローンと別にリフォームローンを組むしかありませんでした(もしくは、売り主側にリフォーム工事まで行ってもらい、その分も含めた代金を販売価格として住宅ローンを組む方法がとられてきました。この場合、販売価格に応じて不動産会社の手数料などがアップするデメリットがあります)。
ところが、近年は多くの銀行で、中古住宅の購入費用とリフォーム費用の合計額を一括して借り入れできる住宅ローンを取り扱っています。つまり、今回の相談のケースでは、「リフォーム費用も住宅ローンに含めて借りられる」が回答となります。
■「リフォーム費用」を住宅ローンで借りられる? 主要銀行の対応状況 | |
対応 | みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、SBI新生銀行、三井住友信託銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行、楽天銀行、イオン銀行 |
非対応 | auじぶん銀行、ARUHI、優良住宅ローン、auカブコム証券 |
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借り換え時は新規リフォームのチャンス!
住宅ローンの残債にリフォーム費用を上乗せできる
相談のケースは新規で住宅ローンを申し込む場合でしたが、借り換えのケースではどうでしょう。借り換える際に、(1)新たにリフォーム費用を追加したり、(2)現在組んでいるリフォームローンの残債を住宅ローンにまとめたりすることはできるのでしょうか。
まず(1)「リフォーム費用を追加しての借り換え」は、相談のケースと同様に多くの銀行で対応してもらえます。「住宅ローンの残債+リフォーム費用」が各銀行の設ける返済負担率を下回っていれば、基本的には問題がないはずです。
一方、(2)「現在組んでいるリフォームローンを住宅ローンにまとめる」については、どの銀行でも、残念ながら住宅ローンに一本化することはできません。これはリフォームローンに限った話ではなく、カーローンや教育ローン、キャッシングなど、他の無担保ローンを、住宅ローンに一本化できないのと同様です。
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住宅ローンに一括する場合には
事前審査時にリフォーム工事の見積書が必要
住宅ローンでリフォーム費用も一括して借りるには、新規の場合も借り換えの場合も、事前審査の段階でリフォーム工事の見積書の提示が原則必要になります。
その際、できるだけ高く見積もっておいてもらうのがポイントです。どこまでリフォームするか、またリフォームのグレードなどで迷っている場合は、考えられる最大の想定で見積書を作成してもらいましょう。
というのも、審査の結果、一度通った融資額を減額する分には問題ありませんが、融資額のアップを希望する場合は一から改めて審査を受け直さなければならないからです。審査の受け直しとなれば、計画性のなさや見通しの甘さもマイナス印象となるため、プロである私たちも交渉に苦労します。注意してください。
また、リフォーム業者のほうでも撮影していることが多いですが、念のため、工事前の状態を自分でも写真に記録しておくようにしましょう。資金使途の確認のため、リフォーム完了後に銀行に提出しなければならないからです(フラット35の場合は適合証明書等を提出するため不要)。
「中古住宅+リフォーム」のケースは、
融資を2回に分けて実行する
通常の住宅ローンでは、物件の引き渡し日が融資の実行日となりますが、リフォーム費用も住宅ローンで一括して借りた場合はどのようになるのでしょうか。
まず、借り換えの場合は、物件の引き渡しがないため、リフォーム完了後にまとめて融資が実行されます。
一方、中古住宅の購入とリフォームを同時に行う場合は通常、物件の引き渡し日に購入費用分の融資が実行され、リフォーム完了後にリフォーム費用分の融資実行となります。ここに至るまでの審査や抵当権設定契約については、一つのものとして扱われますが、金銭消費貸借契約については2本結ぶことになります。
フラット35では、リフォーム業者が
“瑕疵担保責任法人”に登録されていることが必須
なお、フラット35(「リフォーム一体型」「リノベ」)については、少し複雑な流れとなります。3000万円の中古住宅を新規で購入し、併せて200万円のリフォームを行うケースを例にとると、物件の購入時につなぎ融資を利用して、いったん物件価格3000万円の支払いを済ませます。そして、リフォーム工事の完了後、3200万円の住宅ローンが実行となり、つなぎ融資とリフォーム費用を清算することになります。
フラット35は、2つ注意点があります。一つは取り扱いが中古物件の新規購入のみであること(=借り換えは不可)。もう一つは、工事を任せるリフォーム業者が“瑕疵担保責任法人”の登録業者でなければならない点です。
“瑕疵担保責任法人”とは、「住宅瑕疵担保責任保険」を提供できる法人のことで、引き渡し物件の保険対象部分に瑕疵が見つかった場合に、同保険でその補修費用をまかないます。一部の民間銀行でも、登録業者が条件になっているところがあるので、必ず確認してください。この点は難しいので専門家に相談してもいいでしょう。
最適な住宅ローン商品は
その人の置かれた状況によって異なる
最後にリフォーム費用も一括して借りられる、今、最もおトクな商品を具体的にご紹介したいところですが、ベストな商品はその方の借入額や借入期間、さらに家計状況や家族構成などによって変わってきます。
ダイヤモンド不動産研究所では、新規借入については「35年固定」(借入金額3000万円、借入期間35年)、借り換えについては「10年固定」(借入金額2500万円、借入期間30年)のケースにおけるランキングを毎月発表しています。実質金利(諸費用等も金利に換算して上乗せした金利)のランキングのランキングなので、本当にお得な住宅ローンを見つけることができます。
これらを目安に商品のあたりをつけ、シミュレーションサイトなどを使って、ご自分のケースで試算してみるといいでしょう。実質金利を自分で計算するのは大変なので、総支払額で住宅ローンを比較すればいいでしょう。とはいえ、なかなか正確にシミュレートするのもスキルが必要なので、面倒だと感じる人は住宅ローンの専門家に相談するのが、一番おトクかもしれません。
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132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
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新規借入2024年11月最新 主要銀行版
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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プロの評判・口コミ
淡河範明さん
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審査に関しては、めちゃくちゃ早いです。申し込んでから基本的には1ヶ月以内に融資実行ができるので、急いでいる場合にはありがたい。「今月中に融資して欲しい」とアピールすれば、審査がスムーズに運びやすいです。
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