多くの銀行は、住宅ローンの手数料の支払い方に「定率型」と「定額型」の2パターンを用意している。どちらが有利か実際に計算したところ、借入期間がおおむね13年以上であれば、「定率型」を選んだ方が総支払額が少ない銀行が多いことが分かった。完済までの期間が13年未満という人は少ないので、通常は「定率型」を選んでおけば間違いはない。
住宅ローンは定率型と定額型どっちが有利なのか?
多くの銀行が、手数料の支払い方法について、「定率型」「定額型」の2つの商品を用意している。
「定率型」は、借入金額に対して一定の割合を手数料として支払う。そのため、借入金額が多ければ多いほど手数料は高くなる。例えば、借入金額×2%の定率型のとき、3000万円を借りると、手数料は60万円になる。自己資金が少ない人には少し重荷かもしれない。
一方、「定額型」は、借入金額に関係なく少額の手数料を支払う。おおむね3〜6万円であることが多い。その代わり、「定率型」に比べると金利が0.1~0.3%程度高く設定されている。
単純に金額だけで比べると、「定額型」の手数料の安さについ目がいってしまいがちだが、金利が高ければ毎月の返済額は多くなるため、必ずしも有利とは言えなそうだ。いったい「定率型」と「定額型」のどちらが有利なのだろうか。
試算すると、借入期間13〜19年以上なら「定率型」が有利
それでは、実際の銀行の商品で試算してみよう。
みずほ銀行は、借入期間19年以上なら「定率型」
例えば、みずほ銀行が提供する35年固定金利の「フラット35」で、借入金額3000万円、返済期間35年、割引プラン適用、融資率9割以下で借りた場合の総支払額を比較してみよう。
みずほ銀行で、総支払額が少ない手数料タイプは? | |||
借入期間 | 総支払額 | ||
定率型 (手数料/借入金額×1.045%、金利/1.430%) |
定額型 (手数料/3.3万円、金利/1.520%) |
||
10年 | 3252万円 | > | 3238万円(有利) |
11年 | 3275万円 | > | 3262万円(有利) |
12年 | 3297万円 | > | 3287万円(有利) |
13年 | 3320万円 | > | 3311万円(有利) |
14年 | 3343万円 | > | 3335万円(有利) |
15年 | 3366万円 | > | 3360万円(有利) |
16年 | 3389万円 | > | 3384万円(有利) |
17年 | 3412万円 | > | 3409万円(有利) |
18年 | 3435万円 | > | 3434万円(有利) |
19年 | 3459万円(有利) | < | 3459万円 |
20年 | 3482万円(有利) | < | 3484万円 |
… | … | … | … |
35年 | 3846万円(有利) | < | 3873万円 |
※商品は「フラット35」、借入金額3000万円、返済期間35年、割引プラン適用、融資率9割以下、金利は2022年3月現在の数値 |
「定率型」の手数料は借入金額×1.045%なので、31.3万円、表面金利は1.43%。一方、「定額型」の手数料は3.3万円(消費税込)で、表面金利は1.520%だ。
3000万円をきっちり35年で返済する場合、「定率型」の総支払額は3846万円、「定額型」の総支払額は3873万円となり、「定率型」の方が27万円もお得になる。毎月の返済額も「定率型」は9.1万円に対して、「定額型」は9.2万円と、「定率型」の方が約0.1万円安い。
ただし、借入期間が短いときは注意が必要だ。借入金額にもよるが、おおむね18年以下だと「定額型」の方が安くなるのだ。最初に支払う金額が少ないため、期間が短いと「定額型」が有利になる。
【関連記事はこちら】>>みずほ銀行の住宅ローンの口コミ・金利・手数料は?ネット専用ローンは、ネット銀行並みの低金利!
ソニー銀行は借入期間13年以上なら「定率型」
同様に、手数料に「定率型」と「定額型」を用意しているのがソニー銀行だ。実際に総支払額を試算してみた。
ソニー銀行で、総支払額が少ない手数料タイプは? | |||
借入期間 | 総支払額 | ||
定率型「変動セレクト」 (手数料/借入金額×2.2%、変動金利/0.457%) |
定額型「住宅ローン」 (手数料/4.4万円、変動金利/0.757%) |
||
10年 | 3135万円 | > | 3120万円(有利) |
11年 | 3142万円 | > | 3131万円(有利) |
12年 | 3149万円 | > | 3143万円(有利) |
13年 | 3156万円 | > | 3155万円(有利) |
14年 | 3163万円(有利) | < | 3167万円 |
15年 | 3170万円(有利) | < | 3178万円 |
… | … | … | … |
35年 | 3312万円(有利) | < | 3420万円 |
※借入金額3000万円、返済期間35年、変動金利型、金利は2022年3月現在の数値 |
借入金額3000万円、返済期間35年、変動金利型で借りた場合、「定率型」の「変動セレクト住宅ローン金利プラン」の手数料は借入金額×2.2%なので、66万円、金利は0.457%。
一方、「定額型」の「住宅ローン金利プラン」の手数料は4.4万円(消費税込)で、金利は0.757%だ。総支払額は変動金利が今後も現在と同水準が続くとして計算した。
すると、「定率型」の総支払額は3312万円、「定額型」の総支払額は3420万円となり、やはり「定率型」の方が108万円もお得だ。毎月の返済額も金利が低い分、定率型の方が安い。
ただし、ソニー銀行の場合も、おおむね13年以下だと「定額型」の方が安くなるので注意しよう。
【関連記事はこちら】>>ソニー銀行の住宅ローンの金利・手数料は?業界トップクラスの低金利や安い諸経費が人気!
商品によって、有利になる境目の年数は違う
「定率型」と「定額型」の手数料の設定額・金利負担は銀行によって違うが、13年〜19年程度で逆転することが多い。通常、それだけ短期で完済できる人は少ないので、基本的には「定率型」を選んでおけば間違いない。
ただし、初めから短期で返済するつもりの人にとっては、初期費用が少ない「定額型」の方が有利になることがあるので、上記のような比較が必要だ。各銀行のローンシミュレーションでどちらの方が総支払額が少なくなるかチェックするか、窓口などに問い合わせてみよう。
【関連記事はこちら】
>>フラット35の住宅ローン金利ランキング! メリット、手数料、おすすめの主要銀行を紹介
>>住宅ローン借り換えの諸費用は30万~280万円と金利が同じでも、住宅ローンにより大きく差がつく!
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[借り換え] |
![]() |
![]() |
【金利動向】おすすめ記事 | 【基礎】から知りたい人の記事 |
【今月の金利】 【来月の金利】 【2025年の金利動向】 【変動金利】上昇時期は? 【変動金利】何%上昇する? |
【基礎の8カ条】 【審査】の基礎 【借り換え】の基礎 【フラット35】の基礎 【住宅ローン控除】の基礎 |
新規借入2025年3月最新 主要銀行版
住宅ローン変動金利ランキング
※借入金額3000万円、借入期間35年で試算
- 実質金利(手数料込)
- 0.531%
- 総返済額 3281万円
- 表面金利
- 年0.390%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+55000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,426円
①「団信革命」は要介護まで保障も
②自社商品なら、最大3億円まで借り入れOK!
③【期間限定】WEB完結金利優遇キャンペーン実施中。変動金利が年0.390%~


- 実質金利(手数料込)
- 0.540%
- 総返済額 3287万円
- 表面金利
- 年0.410%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,688円
①保証料など0円サービスが充実
②新規借入で変動金利の場合は自己資金10%以上で金利優遇あり
③最大3億円まで借入可能


- 実質金利(手数料込)
- 0.551%
- 総返済額 3292万円
- 表面金利
- 年0.420%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,819円
①低金利の上、がん50%団信無料
②無料で全疾病保償&12カ月の就業不能保償を付帯
③金利+0.1%で、がん100%団信も付帯OK


-
住宅ローン利用者口コミ調査の詳細を見る
-
今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
132銀行の住宅ローンを比較 >>返済額シミュレーションで、全銀行の金利を一気に比較・調査
|
- 年収に対して安心して買える物件価格は?
-
- ・年収200万円で妻が妊娠中の家族の上限は1600万円!?
- ・年収250万円の単身者の上限は1800万円!?
- ・年収300万円の4人家族の上限は1800万円!?
- ・年収350万円の2人家族の上限は2100万円!?
- ・年収400万円の単身者の上限は2500万円!?
- ・年収450万円の4人家族の上限は2000万円!?
- ・年収500万円の4人家族の上限は3000万円!?
- ・年収600万円の3人家族の上限は3500万円!?
- ・年収600万円の40代独身の上限は3000万円!?
- ・年収700万円の共働き夫婦の上限は5000万円!?
- ・年収800万円の3人家族の上限は4500万円!?
- ・年収1000万円の30代4人家族の上限は5000万円!?
- ・年収1000万円の40代4人家族の上限は3500万円!?
- ・年収1000万円の50代夫婦の上限は3000万円!?
※サイト内の金利はすべて年率で表示
プロの評判・口コミ
淡河範明さん
りそな銀行の住宅ローンは、まず金利設定がかなりチャレンジングです。期間固定金利の場合、固定期間終了後も当初の金利優遇がずっと大きいままなので、金利は低いですね。そのため借り換えをするならメリットが大いにあります。
審査は、厳しくも緩くもないですね。用意する書類に関して厳格で、お客様の属性にもよりますが、必要書類が他の金融機関に比べて提出書類が多く、また、一つ不備があるときっちり揃えるまで何度もやり取りをしなければならず、煩わしいかもしれません。書類の不備があると審査が長びくリスクもあります。
一般に、自営業や会社経営をしている場合は、直近3期分の決算書と確定申告書、役員報酬の源泉徴収票の提出を求められます。りそな銀行では、さらなる書類を求められることもあり、会社の納税証明書の提出が必要となることもあります。そのため審査に時間がかかりがちで、事前審査も本審査もそれぞれ2〜3週間かかることも珍しくなく、融資実行を早めにしたい人は要注意です。