住宅ローン金利は、2016年8月に底を打った?
金利の上昇に備えて借り換えするなら、
10年固定と全期間固定のどちらが有利?!

2017年6月15日公開(2020年6月8日更新)
淡河範明:住宅ローンアドバイザー

2年前に住宅ローンを組んだばかりだけど、最近の異常な低金利を見て、借り換えを検討したい……。そんな相談が舞い込んできたのは、ダイヤモンド不動産研究所内に誕生した、住宅ローンと家計の悩みを解決する「お金がたまる住宅ローン相談室」。住宅ローンアドバイザーの「淡河範明(おごう のりあき)さん」と、知識はないけど物おじせずに室長に何でも聞けるリサさんという凸凹コンビが、最適の住宅ローン選びという難問を解決していく。

今回の相談内容:
2年前に5年固定で住宅ローンを組んだばかりなのですが、金利がまた下がっているようなので、借り換えを検討したい。できれば、固定期間もいろいろ比較して最適なものを選択したい。
(43歳・男性)

 助手のリサ  先生、ここのところ、数字とのにらめっこが続きますね。

 淡河  う~ん。

 リサ  もしかして、今回の相談と関係があるんですか。

 淡河  そうなんだよ。

 リサ  でも、借り換えについての相談だったんでしょ。

 淡河  今年の3月頃に連絡があって、大手銀行で借りた5年固定金利の住宅ローンを借り換えしたいと相談を受けたんだ 。

 リサ  大手銀行から借りていて、借入期間が35年、借入金利は5年固定金利で0.98%、借入総額が4000万円か。2年前に借りたばかりなのね。

 従来の住宅ローンの概要
 金融機関  大手銀行
 借入日  2014年9月
 借入期間  35年(2年経過)
 借入金額  4000万円
(現在、3806万円)
 借入金利  0.98%(5年固定)
 ↓       
 0.775% (6年目以降は変動金利、借入当時の金利水準が継続と仮定)
 返済額(当初5年)  月11.3万円
 返済額(6年目以降)  月10.9万円

 淡河  借り入れるときには5年固定金利と10年固定金利のどちらにするかを悩んだけれども、5年固定金利の金利0.98%に対して、10年固定金利は1.4%程度だったため、金利の低さに魅力を感じて、5年固定金利を選んだらしい。

 リサ  それにしても、4000万円も借りているのに、金利の固定期間が短すぎるんじゃないの。

 淡河  当時から20年程経ったら全額繰上返済をすることを前提に考えていたそうなんだ。そのくらい資金に余裕がある人なので、5年固定金利でもリスクは大きくなく、固定期間終了後に金利が上昇しても迅速に対処できると考えていたようだね。

 リサ  でも、どうして、改めて借り換えようという気になったのかしら。

 淡河  今年1月に日本銀行がマイナス金利を導入したことで住宅ローン金利が下がり、借り換えのメリットあるはずだと気が付いたんだ。銀行間の競争の激化もあって、特に10年固定金利の低下は大きかったからね。

 そこでまずは、借り入れている大手銀行に金利の引き下げが可能かどうかを相談してみた。金利の引き下げ交渉は、借り換えよりも手続きが簡単だからね。ただ、金融機関からは「無理です」と断られたので、どこで借り換えをすべきか相談してきたという経緯なんだ。

 借り換え候補としては、諸費用などを加味した実質金利で比べて最も安かった、以下の3つを候補にあげたんだ。

 2016年3月時点の金利比較
商品 従来の住宅ローン
(1.5年経過)
借り換え候補
5年固定 5年固定 10年固定 全期間固定
金融機関名 大手銀行 三菱UFJ信託銀行 りそな銀行 三菱UFJ銀行
商品名 当初固定期間引下型 WEB限定借換ローン
(当初型)
ずーっと固定金利コース
表面金利 0.98% 0.35% 0.50% 1.65%

5年固定と10年固定の差はわずか0.15%
10年固定をメインに検討継続

 リサ  「5年固定金利」は2年前に0.98%だったけど、わずか1年半で0.35%に下がっているわ。この差は大きいわね。

 淡河  ところが、それ以上に10年固定金利が下がっていたんだ。5年固定金利と10年固定金利の金利差はわずか0.15%。これだけ金利差が縮まっているのなら、10年固定金利を軸に検討しようということになった。

 リサ  でも、3月には借り換えなかったんでしょう。どうしてなの?

 淡河  日本銀行のマイナス金利がスタートしたばかりでその後の動向が見えにくい時期だったからね。将来の金利の予測は難しく確実なことはいえないけれど、マイナス金利の影響を受けて金利が下がる可能性はあると伝えたところ、もう少し様子を見ようということになったんだ。

 リサ  相談者ってどのような方なんですか?

 淡河  金融関係に勤めているそうだ。

 リサ  どうりで金利変動に敏感なんだ。

 淡河  そうそう。いろいろな金利の上昇パターンにおいて、総支払額がどれだけ変わるかどうか、試算を求められたよ。商品の選択に失敗して、コスト(総支払額)が上昇してしまうのを絶対に避けたいと考えていた。

 リサ  金利が上昇することを相当心配していたのね。

 淡河  そして、8月になって金利が一段と下がってきたころ、お客様から「そろそろ借り換えの実行をしてもいいタイミングじゃないだろうか」との連絡がきた。やはり、一番関心を持っていたのが、住宅ローン金利の見通し。「もっと下がるかもしれないし、ここが底かもしれないし」と気持ちは揺れに揺れていた。

 私の住宅ローン金利に対する見解も求められたので、住宅ローンのコストを計算するとこれ以上の低金利はあまりないだろうと話したけど、あまり納得していなかったみたい。

 リサ  まだ、決心がつきかねていたんだわ。

 淡河  そこで、とりあえず、りそな銀行の10年固定と、三菱UFJ銀行の全期間固定の申込み手続きをしておいたんだ。

 リサ  8月に申込んで、8月中に実行できるの?

 淡河  審査には一定の時間がかかるので、その月の内に実行するのはかなり大変なんだ。本人もどの商品にするかを決めかねていた面もあるので、実行は翌月へと持ち越しになったんだ。

 リサ  慎重な方ね~。   

当初は金利低下が大きい10年固定への借り換えを検討
9月の金利上昇で全期間固定へ方針変更

 淡河  ところが、9月に入って金利が一斉に上昇し始めたので、慌てたみたい。底を打って、上がり始めたんじゃないかと。それまでは10年固定金利に気持ちが傾いていて、金利の上昇も1%程度という読みでいたのが、2%程度の上昇もあり得ると考えるようになったんだ。

 2016年9月に金利は底を打った?
商品 従来の住宅ローン
(2年経過)
借り換え候補
5年固定 10年固定 全期間固定
金融機関名 大手銀行 りそな銀行 三菱UFJ銀行
商品名 - WEB限定借換ローン
(当初型)
ずーっと固定金利コース
表面金利
(3月)
0.98%
(約2年前)
0.50% 1.65%
表面金利
(8月)
0.45% 0.95%
表面金利
(9月)
0.45% 1.09%

 リサ  住宅ローン金利って、そんなに上昇する可能性があるの?

 淡河  金利が5年程度で1%以上変動することは過去の金利変動から考えると十分にあり得るんだ。長期間で見れば、1~4%くらい金利が上昇する可能性もあると話していたんだけどあまり聞いてもらえなかった。でも金利が上昇に転じた途端、2%の上昇を基軸に考えるようになったよ。人の気持ちって、何かきっかけがあると大きく変わるんだね。

金利は0.11%上がったが全期間固定を選択
2%金利が上昇すると490万円の得

 リサ  それでどの商品を選んだの?

 淡河  6年目以降に変動金利が2%上昇するという前提で、各商品を比較してみたんだ。下表がその結果だよ。20年経ったところで全額を繰上返済しているので気を付けてね。

 金利上昇に強い全期間固定(20年で繰上返済したケース)
商品 従来の住宅ローン
(2年経過)
借り換え候補
5年固定 10年固定 全期間固定
金融機関名 大手銀行 りそな銀行 三菱UFJ銀行
商品名 - WEB限定借換ローン
(当初型)
ずーっと固定金利コース
金利
上昇

なし
金利 (当初5年)0.98%

(その後)0.775%
(当初10年)0.45%

(その後)0.569%
(全期間)1.09%
総返済額 4228万円 4056万円
(52万円お得)
4378万円
(269万円損失)
金利
2%
上昇
金利 (当初5年)0.98%

(その後)2.775%
(当初10年)0.45%

(その後)2.569%
(全期間)1.09%
総返済額 5112万円 4436万円
(556万円お得)
4378万円
(615万円お得)
※ 従来の住宅ローンは、借り入れから20年目で、借り換え候補は18年目で一気に全額繰上返済するケースを想定。借り換え候補は従来の住宅ローンが2年経過した時点の借入残高3806万円を、借入期間33年で借り換えたものとする。従来の住宅ローンの総返済額は、3年目以降の合計額。借り換え諸費用は120万円。

 リサ  ふーん、2%金利が上昇したとき、総支払額が最も少ないのは三菱UFJ銀行の全期間固定「ずーっと固定金利コース」なんだ。従来の住宅ローンに比べて、借り換え費用込みで615万円もお得だわ。

 淡河  そう。異常な低金利になっている10年固定に比べても60万円近く安い。それで、それまでは10年固定に気持ちが傾いていたけど、急きょ方針を変更し、全期間固定に決定したんだ。

 リサ  でもちょっと待って、金利が上昇しなかった場合は、借り換えないほうがお得じゃない?

 淡河  実はそうなんだよ。現在の金利が0.98%、新しい金利が1.09%なので、金利は上がったことになるね。借り換え費用で120万円かけているので、金利が上がらなければ、269万円くらいの損失になる。

 リサ  ええ?。私はそんなのイヤ!

 淡河  お客様の場合、とにかく将来のコスト上昇(総支払額)を気にしていた。全期間固定であれば、これ以上コストがアップすることはないので、安心できるという訳だ。特に想定する金利2%上昇というケースで、最もお得なのが全期間固定金利だったのだから、納得感はあるだろうね。

 リサ  そうなんだー。目先の利益ばかり追求しちゃう私にとっては、なかなかできない決断ね。まあ、成果は神のみが知るということかしら。

 淡河  確かにコストは上がったものの、よりよい結果を出すために、何度も試算をしている。お客様は2016年8月が住宅ローン金利の底ではないかと考えていたので、おそらく史上2番目に安いと考える9月の金利で住宅ローンを組めたことを、後悔はないと思うよ。 

132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入]
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【回答の配点】
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満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
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・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。

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