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住宅ローンで頭金を用意しておくことのメリットはこんなにある! 

2020年2月27日公開(2020年2月29日更新)
福崎剛

福崎剛(ふくさき・ごう)氏:東京大学大学院卒、都市工学専攻。日本ペンクラブ会員。マンション管理問題から、景観保全のまちづくり、資産価値の高い住宅選びなど、都市計画的な視点でわかりやすく解説。『マンションは偏差値で選べ!』(河出書房新社)、『本当にいいマンションの選び方』(住宅新報社)など、著書多数。

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住宅ローンを組む場合、かつては頭金を10%以上用意するのが当然だったが、最近は100%フルローンを認める銀行も増えている。とはいえ、頭金を用意しておくことのメリットは非常に大きいのだ。(フリージャーナリスト:福崎剛)

頭金なし「100%ローン」が当たり前の時代に

 住宅の購入を考えている人は、たいていその購入資金として、不動産価格の1~2割程度の頭金を貯めているといわれている。サラリーマンなら、財形住宅貯蓄などを活用して、頭金を貯めている人も少なくないだろう。

 一方、近年、多くの銀行・金融機関で、不動産価格の同額まで融資を受けられる、「100%ローン」を認めるようになってきた。この、100%ローンを利用すれば、頭金がなくても住宅を購入することができるのだ。

 さらに、不動産価格以上の金額が借りられる「オーバーローン」ができる銀行も増えている。オーバーローンでは、住宅ローンの申し込み手数料だけでなく、不動産仲介手数料、引っ越し代、火災保険料などまで融資対象になっている。

【参考記事はこちら】>>住宅ローン手数料・引越し代などの「諸費用」まで借りられる住宅ローンを、18銀行で徹底比較!

頭金の平均金額は、不動産価格の1~2割

 とはいえ、実際には、住宅購入者の多くが頭金を用意しているようだ。住宅金融支援機構が行った「2018年度フラット35利用者調査」によると、「注文住宅購入者」「分譲マンション購入者」ともに、ある程度の頭金を用意していることが分かっている。

フラット35 頭金 平均 分譲マンション
表を拡大 出典:『2017・2018年度フラット35利用者調査』住宅支援機構 より編集部作成

 この表で、「手持金」と表示されているのがいわゆる頭金に相当する。注文住宅購入者では、頭金は650〜750万円ほど。建設費の20%前後にあたっているため、頭金として用意したのは約2割といえるだろう。

 分譲マンション購入者の場合も見てみよう。購入価格が全国平均で約4,400万円、手持金は700万円を超えている。購入価格に対して、約16%前後の頭金を用意していることが分かる。この調査結果からも分かるように、「頭金は1〜2割」という通説は、実態とほぼ変わらない。

フラット35 頭金 平均 分譲マンション
表を拡大 出典:『2017・2018年度フラット35利用者調査』住宅支援機構 より編集部作成

頭金を用意する3つのメリットとは?

 100%ローンやオーバーローンも使えるというのに、なぜ多くの人が頭金を用意するのだろうか? それは、頭金があった方がメリットが大きいからに違いない。頭金を用意することの主なメリットが下記の3点だ。

  • 【頭金を用意するメリット】
  • ①住宅ローンの利息支払い分が少なくなる
  • ②優遇金利が適用される
  • ③ローン返済途中で住宅を売却する場合、リスクが減らせる
  •  

■①住宅ローンの利息支払い分が少なくなる

 頭金があれば、当然ながら住宅ローンの借入額は小さくなるので、その分、利息の支払い額も少なくなる。どのくらい負担が減るのか、大手都市銀行の変動金利でシミュレーションしてみよう。前提は以下の通り。【前提】3500万円の住宅を購入。変動金利(0.525% 2020年1月)、借入期間35年、金利はずっと変わらないとして計算。

 このシミュレーションによると、全額借入(100%ローンを利用)する場合は、毎月返済額は91,242円、総返済額は3,933万円になる。一方、頭金500万円を用意して、残りの3,000万円を同じ変動金利(0.525%)で借り入れた場合、毎月返済額は78,208円、頭金500万円を足すと、合計3,873万円となった。

 頭金を用意するほうが、全額住宅ローンで借り入れた場合よりも約60万円お得になる。毎月の返済額でいうと、13,034円安くなる。この差額が35年続くのである。

 この約60万円の金額差をどう考えるかは、人によって違うだろう。頭金500万円を貯めるとなると、2~3年とはいかない。購入タイミングも加味すれば、頭金なしで早めに住宅を買っておく…という選択肢もありだろう。

■②「優遇金利」が適用される

 なお、銀行によっては頭金がないと、金利が高く設定される場合があるので注意しよう。例えば、フラット35のケースだと、「頭金なし」と「頭金10%以上」では、0.26%もの金利差がある。

 総返済額にどの程度差があるのか試算してみよう。

 総返済額で約227万円もの差額が出ているいかに頭金を用意することが負担も少なくなり、お得か分かるだろう。

 また、フラット35の場合、頭金を20%、30%、40%以上用意できれば、さらにお得な金利が適用される商品もある。例えば、アルヒや住信SBIネット銀行のフラット35では、頭金が多くなるほど金利を引き下げている(2020年2月現在の引下げ幅)。

フラット35 頭金に応じて金利が低くなる商品一覧

 住信SBIネット銀行では、頭金を2割以上用意できれば、金利の割引幅が大きくなる。アルヒには、頭金を4割用意すれば、通常金利よりも0.2%も金利が低くなる「スーパーフラット6」という商品もある。このことから、頭金を用意すると、頭金なしで購入するよりも金利が大いに優遇されることが分かる。

■③ローン返済途中で住宅を売却する場合、リスクが減らせる

 頭金を用意するメリットは、返済の負担が少なくなるだけではない。仮に、住宅ローン返済中に、住宅を売却しようとしたとき、負債だけが残るのを防ぐためでもある。

 例えば、3,500万円の住宅を、頭金なしで借入期間35年、変動金利(0.525%)の住宅ローンで購入したとしよう。7年後に売却することになり、売値が2,700万円になっていた場合、住宅ローンの借入残高は約2,850万円になる。この場合、150万円の赤字となる。

 一方、同じ3,500万円の住宅購入に際して頭金500万円を用意し、借入額を3,000万円、借入期間35年で変動金利(0.525%)の場合は、7年後の住宅ローンの借入残高は約2,440万円。住宅の売値が2,700万円だとすれば、260万円の黒字になる。

住宅ローン返済中に、家を売却する場合

  つまり、売却するときに、住宅ローンの借入残高よりも高く売却できれば黒字になるが、頭金なしで借入額が多いと、売却時点で赤字になりやすいというわけである。赤字ということは手持ちの現金で埋め合わせなければならない。手持ちの現金がなければ、「売るに売れない」という事態にもなりかねないのだ。

申込金・手付金の存在を忘れない

 頭金となる自己資金が少なくても住宅を購入できるとはいえ、購入申し込みに必要な「申込金」や、売買契約のために支払う「手付金」は手元に用意しておく必要がある。

 申込金は、不動産会社に対して購入の意思表示するもので、5万〜10万円程度であることが多い。支払い後は預かり証が発行され、もしも売買契約に至らなかった場合は、全額返金してもらえる。

 一方、手付金とは、売買契約を結ぶ際に、物件価格の一部を先払いするものだ。だいたい住宅価格の5〜10%程度の場合であるため、手付金が100万円を超えることも多く負担が大きい。こちらは、契約のキャンセルを防止するためのものなので、万が一、自己都合により契約を結ばなかった場合には、返金されない。

 申込金は不動産購入前、手付金は契約時に発生するものだ。そのため、住宅ローンを使って事前に用意することができない。ただし、これらは後々不動産の代金として充当されるため、住宅ローンの借入額に加えることはできる。そのため、自分の貯金を取り崩すか、親族などから一時的に借りるという人も多い。

 ちなみに、物件価格以外にもいろいろなお金がかかり、これらをまとめて「諸費用」と呼んでいる。こちらは、住宅購入の契約後に発生するものなので、諸費用にも使える住宅ローンを利用すれば、用意することができるものだ。

◆諸費用に含まれる費用とは?

・住宅ローン事務手数料
・ローン保証料
・団体信用生命保険料
・印紙税
・消費税
・火災保険料
・住宅ローン斡旋手数料(不動産販売会社に銀行を紹介してもらった場合)
・抵当権設定登録免許税
・司法書士報酬
・引越し代、家具、家電の購入費など
→これらを合計すると、物件価格の5~10%前後になる

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頭金が用意できない場合の対処法

 頭金があると住宅ローンの返済負担が減るし、優遇金利も適用される。しかし、どうしても頭金が用意できない場合もあるだろう。そんなときは、どうしたらいいだろうか?

どうしても頭金が用意できなければ、親や親族からの資金援助を活用しよう

 例えば、親や親族からの援助を受けるのもいいだろう。親から資金を受け取る場合、1年間に110万円(基礎控除額)までなら贈与税はかからない。

 また、消費税増税に伴って期間限定で作られた「住宅取得等資金贈与の非課税制度」もある。両親や祖父母から住宅取得のために資金贈与を受けた場合、一定額までなら贈与税がかからないという制度だ。この制度は、令和3年(2021年)12月31日までの贈与に対して利用できる

 次のように一定の要件を満たせば、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。国税庁のWEBサイトに、下記のような一覧表があるので、これを参考に簡単に説明しよう。

 2020年(令和2年)3月31日までなら、最大3,000万円までの贈与が非課税とされる。贈与された金額の申告は必須で、もしも申告漏れした場合は課税されてしまうので、忘れずに申告したい。なお、住宅売買の契約年や、住宅の機能性評価などによって非課税枠が異なっている。詳細は、税務署などに問い合わせて確認するといいだろう。

 贈与を受けるほかに、親子間で資金を「借り入れる」という選択もある。借用の場合、贈与税はかからないが、「借用書」を作成しておくことが重要だ。一般的な借入契約と同じように書面を作成し、借りる側が特別な利益供与を得ていないように一定の利息をつけておけば、贈与税問題が生じるリスクは少ない。借入期間は、返済が完了するときの両親の年齢が、平均寿命を大幅に超えることがないように設定しておきたい。

 借入金の返済は振り込みにして、通帳で返済証明をできるようにしておくこともポイントだ。

頭金がなくても、「頭金あり」の優遇金利を受ける方法

 頭金がなくても「頭金あり」の優遇金利を受ける方法もある。

 不動産価格の90%をフラット35で借りて、残りの10%は、別の変動金利ローンで借りればいいのだ。こうしたケースのために、各銀行・金融機関では、フラット35を補完するための商品を用意している。残りの10%のために借りた住宅ローンの金利は高いのだが、総支払額ではお得になる。以下が試算した結果だ。

 3,000万円を借りるとした場合、「アルヒフラット35」は、頭金なしだと金利が高くなる。試算によると、毎月返済額は89,378円、総返済額は38,517,341円になった。

 一方、「アルヒフラット35+アルヒ フラットα」を使って、90%の2700万円をフラット35で借り、残り300万円をアルヒ フラットαで借り入れた場合、毎月返済額は91,019円、総返済額は38,227,897円になった。

 後者の場合、2本の住宅ローンを組むことになるが、3000万円全額をフラット35で組んだ場合よりも少し(約29万円)割安になる。

 要するに、頭金なしで住宅ローンを組む場合でも、銀行によってわずかでも割安になるプランを選ぶことができるというわけである。さらに、返済時には変動金利である「アルヒ フラット+α」の300万円から繰り上げ返済をしていくと、さらに節約できる。

まとめ

 以上、頭金を用意しておくことのメリットを紹介してきた。以下、メリット・デメリットをまとめてみたので参考にしよう。

頭金を用意するメリット

・借入額を低くし、毎月の返済負担、総返済額を抑えられる
・頭金が多く、融資比率が9割以下であると金利の優遇を受けられる
・住宅ローン返済途中で売却するとき、住宅ローン残高を相殺し黒字になりやすい

頭金を用意するデメリット

・頭金を貯めるまでに数年かかり、購入のタイミングを逃す可能性がある

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