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コロナ危機で住宅ローンの延滞・返済困難者が急増!
相談件数は2カ月で60倍!ローン破綻しないための備えとは?

2020年5月13日公開(2020年9月11日更新)
山下和之

山下和之(やました・かずゆき)氏:1952年生まれ。編集制作会社勤務を経て株式会社山下事務所設立。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・ホームページ・単行本等の取材・原稿制作のほか、各種セミナー講演、メディア出演などを行う。主な著書に『家を買う。その前に知っておきたいこと』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(学研プラス)、『2017~2018年度版住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などがある。ブログも運営している。

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、住宅ローンの支払いが困難になり、延滞しそうになっている人が増加している。ここでは、新型コロナウイルスのような不測の事態が発生したときに、住宅ローン破綻しないために備えておくべきことについて解説する。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

条件変更などの相談がわずか2カ月で60倍に増加

収入源などで、住宅ローンの返済が困難になっている人が増えている(出所:PIXTA)
収入減などで、住宅ローンの返済が困難になっている人が増えている(出所:PIXTA)

 新型コロナの影響で、企業が従業員数や勤務時間を削減したり、企業の倒産が出始めている。その結果、収入減で住宅ローンの返済が困難になる人が増えているようだ。

 住宅金融支援機構によると、取り扱い金融機関などを通して条件変更の相談を行った人は、2月には20件だったのが、3月には200件に、そして4月には1200件に増えたそうだ。なんとわずか2カ月の間に60倍にも増加したことになる。この数字は気になるところだ。

 もちろん、コロナショックで想定外の収入減少が起こっているわけだから、やむを得ない面があるとはいえ、わずか2カ月で返済に行き詰まったり、延滞しそうになるのは、準備不足の人が多かったのではないかという気がしないでもない。

 住宅ローンを組むときには、住宅ローンの頭金や諸費用とは別に、半年分程度の生活費は預貯金として手元に残しておく必要がある。それがあれば、2カ月程度であたふたすることはないはずだが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が当分は続きそうだとして、いますぐのことではなくても、将来への備えとして相談している人もいるのかもしれない

 そのため、フラット35を実施している住宅金融支援機構では、ホームページで「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」と題したページを開設し、返済困難者への対応を急いでいる。

まだ収入が減っていない段階なら打つ手は多い

 今はまだ、ひっ迫しているわけではないが、今後が心配というのであれば、転ばぬ先のつえとして、打つ手はいくつかある。

 まず、より金利の低いローンに借り換えて、毎月の返済額を減らす手がある。収入が大幅に減少してしまってからでは、簡単に借り換えには応じてもらえないが、そうでなければ可能になるかもしれない。

 特に、フラット35のように「全期間固定金利型」であるために、やや高めの金利でローンを返済している場合には、変動金利型や固定期間選択型などに借り換えることで、適用金利が下がって、返済額を減額できる可能性が高くなる

 下記の表1にあるように、2年前にフラット35で4000万円借りた人だと、当時の金利は返済期間35年で1.37%だったが、いまならメガバンクでも変動金利型は0.525%、固定期間選択型の10年固定なら0.75%などで利用できる。ネット銀行を利用すれば、もっと低い金利で借りることも可能だ。

【表1】借り換えで毎月返済額を減らす
■現在の住宅ローン:
2018年6月に「フラット35」で4000万円借り入れ
金利1.37%、35年元利均等・ボーナス返済なし
毎月返済額:11万9942円

■借り換えの前提:
2020年5月末残高:3819万3777円
借り換え費用含めて3900万円の借り入れ

■借り換えプラン①:
年利0.525%の「変動金利型」、33年元利均等・ボーナス返済なし
毎月返済額:10万7283円

■借り換えプラン②:
年利0.75%の「固定期間選択型の10年固定」、33年元利均等・ボーナス返済なし
毎月返済額:11万1205円 

借り換えで返済額を減らし、その分を預貯金に回す

 たとえば、表1の借り換えプラン①は、年利0.525%の変動金利型に借り換える例だが、毎月返済額は11万9942円から、10万7283円に1万円以上軽減できる。それで安心しないで、減額できた分を預貯金に回して、万一に備える資金とすれば、なお安心感が高まるだろう。

 そうはいっても、「変動金利型は将来の金利上昇リスクが不安」という人には、借り換えプラン②「固定期間選択型の10年固定」を利用する手もある。その場合、年利0.75%で毎月返済額は11万1205円になる。減額幅は小さくなるが、それでも返済額を10年間固定できるのは安心材料ではないだろうか。

 時期によっては、大手銀行などが金利優遇キャンペーンとして10年固定金利を0.50%で提供することもある。そんなチャンスをうまくつかめば、軽減効果はより大きくなる。

不要不急のお金があれば繰り上げ返済で毎月返済額を減らす

 万一の事態などに備えて、多めの預貯金がある場合には、一部繰り上げ返済で毎月返済額を少なくする方法もある。

 一部繰り上げ返済は、毎月の返済額を増額して期間を短縮する「期間短縮型」と、返済期間は変えずに、毎月の返済額を減らす「返済軽減型」がある。利息カット効果は「期間短縮型」のほうが大きいので、そちらを利用する人のほうが多いのだが、将来の収入減などに備えるのであれば、「返済軽減型」のメリットも大きい。

 たとえば、借入額4000万円で、2年後に100万円を返済軽減型で繰り上げ返済すると、表2にあるように、毎月返済額は11万9942円から11万6795円に減る。しかも、完済までの利息支払額を24万2901円も少なくできるのだ。

 繰り上げ額が多くなれば、この軽減額はもっと大きくなる。繰り上げ返済しすぎて、手元資金が少なくなると万一のときに不安になるが、無理のない範囲で実行する価値はあるだろう。

【表2】返済軽減型繰り上げ返済の効果
■設定条件:

2018年6月にフラット35で4000万円借り入れ
金利1.37%、35年元利均等・ボーナス返済なし
2020年5月末残高:3819万3777円
毎月返済額:11万9942円 

■繰り上げ効果は?
100万円繰り上げ(11万6795円/月、利息が24万2901円減少)
200万円繰り上げ(11万3649円/月、利息が48万5897円減少)
300万円繰り上げ(11万0502円/月、利息が72万8783円減少)
400万円繰り上げ(10万7355円/月、利息が97万1684円減少)
500万円繰り上げ(10万4209円/月、利息が121万4701円減少)
(出所:金融広報中央委員会『知るぽると』のシミュレーターによる)

条件変更などの相談は、絶対にローンの延滞が発生する前に

住宅金融支援機構「返済特例」
住宅金融支援機構「返済特例」 (出典:住宅金融支援機構ホームページ

 そんなゆとりはない、もう返済は待ったなし…と切迫しているのであれば、延滞が発生する前に取り扱い金融機関で相談するようにしたい。延滞が発生してしまうと、受けている優遇金利の適用が無くなるなど、事態がいっそう深刻になるので、何より延滞しないうちに相談することが大切だ。

 民間の銀行などでは、どのような猶予策が適用されるのか、その内容は公開されていないが、フラット35の住宅金融支援機構では、図表3のような条件変更メニューを公表している。もちろん、誰でも適用されるわけではなく、「大幅に収入が減少しているものの、条件変更で返済額が減額されれば、返済を継続していけることが確実」などの条件がある。

【図表3】住宅金融支援機構の条件変更メニュー一覧
■返済特例    

・返済期間などの延長で毎月の返済額を減らすことができる
・毎月の返済額は減少するが、総返済額は増加する
■中ゆとり    
・一定期間、返済額を軽減できる
・減額期間終了後の返済額及び総返済額が増加する
■ボーナス返済見直し    
・ボーナス返済月の変更
・毎月分・ボーナス返済分の返済額の内訳変更
・ボーナス返済の取り止め
(資料:住宅金融支援機構ホームページから

条件変更で毎月返済額を半額以下にできるケースも

 住宅金融支援機構の条件変更メニューのなかでも、最も適用が多いといわれるのが、図表3にある「返済特例」だ。最大では返済期間を15年間延長し、それでもまだ難しい場合には、最長3年間、元金を据え置いて、利息返済だけにあてることができるという特例だ。

 たとえば、金利1.37%、35年元利均等・ボーナスなしで4000万円借りている場合でみると、毎月返済額は11万9942円だが、返済特例で以下のようになる(借り入れから2年経過したとする)。

  • ・返済期間延長(15年間)
     ⇒
    毎月返済額9万0519円(2万9423円減少)
  • さらに、元金据え置き(3年間)
     
    ⇒毎月返済額4万3604円(半額以下)

 これなら、何とか返済できるという人もいるのではないだろうか。

 ただ、これらはあくまでも猶予策であって、減免されるわけではない。当面の返済額は減っても、返済期間延長などで、完済までの総返済額は増えることになる。したがって、将来、収入が回復したときには、早めに返済期間を元に戻すなどの措置を忘れないようにしたい。

住宅ローン破綻する前に売却も

 条件変更などによっても、返済を継続するのが難しいという場合には、残念ながら売却などによって住宅ローンを一括返済するしかなくなる。

 売却可能額がローン残高を上回っていれば、売却によって残高をゼロにして、手元に若干なりとも売却益が残る可能性もある。ゼロからのやり直しにはなるが、マイナスからのスタートよりはまだマシだろう。

 逆に、住宅ローン残高が売却可能額を大幅に上回っていると、銀行が抵当権をはずしてくれないので、売却は難しくなる。銀行の許可を得て任意売却するか、それも難しい場合には競売に付されることになる。競売では落札価格は相場よりかなり安くなるので、マイナス幅が拡大、マイホームを失った上で、住宅ローンの返済が残るという、文字通りのマイナスからのスタートになってしまう。

 そんな最悪の事態を避けるためにも、事前に対策を取っておくことが重要。万全の対策があれば、新型コロナウイルスのような不測の事態も無事に乗り越えることができるし、問題が発生しても傷は浅くなる。今回の新型コロナウイルス感染症拡大は、そうした基本的なことを、改めて気づかせてくれているのかもしれない。

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3
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※実質金利は、借入金額3000万円、借入期間35年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。固定期間終了後は変動金利を選択(現在の水準が継続と仮定)。実質金利の計算法はこちら。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。保証料は、大手銀行の一般的な保証料率を記載しているので、銀行によっては違う保証料率となる。主要18銀行・金融機関の主な商品を対象とし、ランキングに掲載するのは各銀行の商品の中で最も実質金利が低い商品のみとする。ホームローンドクター代表の淡河範明氏の協力で作成。

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