住宅ローンを借りるときに必要な手数料・保証料(諸費用)とは? 手数料が安い銀行はどこ? こんな疑問に答えるため、主要18銀行の諸費用を比較した。中には手数料を住宅ローンに組み込むことができる(つまり、自己資金が少なくてもいい)銀行も登場している。
住宅ローンの2大諸費用「手数料」「保証料」とは
住宅ローンを借りる銀行・金融機関などに支払う諸費用は、借入金額に比例して大きくなることが多い。たとえば、借入金額が4000万円なら、銀行に対して4万〜88万円程度を支払う。銀行によってかなり幅がある。
諸費用は大きく分けて2つだ。
(1)手数料(事務手数料ともいう)
(2)保証料
これらの諸費用は基本、借入時に一括で支払う必要がある。自己資金がない人にとっては負担が大きいため、最近は借入額への繰り入れが可能(自己資金が少なくても大丈夫)という銀行も増えている。
なお、手数料と保証料の療法を支払うという銀行は少なく、どちらかだけを支払うという銀行が大半だ。
(1)手数料
最近、銀行への初期費用の支払い方法で増えているのが「手数料」方式だ。「事務手数料」「取引手数料」など、名称はさまざまだ。いつ支払うのかというと、後述する「保証料」と同様に、借入時に一括で支払う。
手数料に相場はなく、SBI新生銀行の通常商品のように5.5万円という「定額型」で安い銀行や、「借入金額×2.2%」など借入金額に連動する銀行あで様々だ。
なお、借入期間が35年の場合、「手数料」は借入金額×2.2%の銀行が多いが、後述の「保証料」だと借入金額×2.06%なので、ほぼ一緒だ。
しかし、借入期間が20年など短めの場合、「手数料」は借入金額×2.2%で変わらないのに対し、「保証料」は借入金額×1.48%となり、「保証料」のほうが安くなる。
また、「手数料」は繰上げ返済をしてもお金は戻ってこないが、「保証料」の場合、繰り上げ返済すると保証料の一部が戻ってくるメリットもある。
(2)保証料
地方銀行や、一部の大手銀行(主に店頭販売商品)、JA、ろうきんなど対して支払うのが、「保証料」だ。みずほ銀行、三菱UFJ銀行などの大手銀行は、従来「保証料」方式が主体だったが、最近は上記の「手数料」方式にシフトしつつある。
保証料については、銀行はほぼ横並びの保証料率となっている。たとえば返済期間35年、一括前払いの場合、借入金額×2.06%程度を、借入時に一括支払いする。借入金額4000万円なら保証料は約82万円となる。もし、借入期間が短い場合は、保証料率もそれに比例して低くなる。
なお、保証料を最初に一括で支払うのではなく、金利に0.2%程度上乗せして毎月支払う方法を選択できる銀行もある。
借入期間 | 保証料率 |
---|---|
5年 | 0.46% |
10年 | 0.85% |
15年 | 1.20% |
20年 | 1.48% |
25年 | 1.73% |
30年 | 1.91% |
35年 | 2.06% |
※出所:りそな銀行「保証料(一括前払い)の一覧表」。商品や取扱条件により保証料が異なる場合もある。2022年2月調べ。 |
(3)その他諸費用
住宅ローンを借りる場合は印紙税がかかる。印紙税は以下のようになっている。ただし、電子契約を結ぶ場合、書面は不要なので、印紙税は必要なくなる。ネット銀行の大半は電子契約似対応している。
契約金額 | 税率(軽減措置) |
---|---|
500万円超、1,000万円以下 |
1万円 |
1,000万円超、5,000万円以下 |
2万円 |
5,000万円超、1億円以下 |
6万円 |
1億円超、5億円以下 |
10万円 |
※出所:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表」から抜粋 |
他にも、住宅を購入する際は、以下の諸費用もかかる。諸費用の合計は、物件価格に対して、合計で5〜10%かかることになる。
・税金(登録免許税、都市計画税、不動産取得税)
・司法書士の手数料
・不動産仲介手数料(主に中古住宅)
・火災保険料、地震保険料
【関連記事】>>住宅購入の費用は、物件価格の最大10%!? 「諸費用」と「事前に用意する費用」を解説!
住宅ローンの手数料・保証料を比較(18銀行)
それでは各銀行の手数料・保証料がいくらなのか、具体的に比較してみよう。比較してみると、同じ銀行でも複数の商品を持っていることが分かる。
ネット銀行は、「手数料型」しかないが、大手銀行は「手数料型(ウェブ専用が中心)」「保証料型」の両タイプを持っている。
ネット銀行で手数料が安いのは、ソニー銀行、SBI新生銀行
ネット銀行の手数料を見ると、ソニー銀行(住宅ローン)の定額4.4万円、SBI新生銀行(通常商品)の定額5.5万円が非常に安いことが分かる。楽天銀行の定額33万円にしても、かなり安い。
多くのネット銀行は手数料を「借入額×2.2%」としており、4000万円を借りた場合は88万円となる。手数料が数万円というのは、非常に安いのだ。
不動産を購入する際は多額の諸費用がかかるため、自己資金が少なめの場合は、こうした手数料が安い銀行を選ぶといいだろう。
銀行名 | 手数料 | 保証料 |
---|---|---|
手数料定額で、自己資金が少ない人におすすめ | ||
【住宅ローン】
4.4万円(税込) 【変動セレクト】 【固定セレクト】 借入額×2.2%(税込) |
− | |
【通常商品】 5.5万円(税込) 【変動フォーカス】 借入額×2.2%(税込) 【ステップダウン金利】 16.5万円(税込) |
− | |
【定額型】 11万円(税込) 【定率型】 借入額×2.2%(税込) |
− | |
33万円(税込) | − | |
手数料が高額で、自己資金がある人向け | ||
借入額×2.2%(税込) | − | |
借入額×2.2%(税込) | − | |
借入額×2.2%(税込) | − | |
借入額×2.2%(税込) | − | |
借入額×2.2%(税込) | − |
大手銀行は、金利上乗せ型なら、諸費費用がほぼゼロ円
大手銀行の場合、「手数料」か「保証料」を選択させる銀行が多い。しかし、どちらも借入時に一括で「借入額✕2%程度」(借入期間35年の場合)かかることには変わりがない。
ただし、金利を上乗せすることで、初期費用を抑えることできる商品を取り扱っている銀行も多い。みずほ銀行は【金利上乗せ型】という、3.3万円+金利0.2%上乗せ(借入期間中ずっと)という商品を用意している。
その他、保証料の支払い方式として、「一括前払い」ではなく、「金利を0.2%程度上乗せ」を選択できる銀行も多い。
自己資金が少なめの場合は、「金利上乗せ」で、保証料を後払いすることができる銀行を選ぶといいだろう。全国展開している大手銀行だと、みずほ銀行、りそな銀行が、金利上乗せ型をラインアップしている。
銀行名 | 手数料 |
保証料 (35年借入のケース) |
---|---|---|
【ローン取扱手数料型】 借入額×2.2%(税込)+3.3万円 【保証料一部前払い方式】 3.3万円 【金利上乗せ型】 |
【保証料一部前払い方式】 借入額×2.06% |
|
【融資手数料型】 借入額×2.2%(税込) |
− |
|
【WEB専用】 借入額×2.2%(税込) |
− |
|
【融資手数料型】 借入額×2.2%+5.5万円(税込) |
【保証料一括前払い型】 借入額×2.16%+5.5万円 【保証料金利上乗せ型】 |
|
【融資手数料型】 借入額×2.2%(税込) |
【保証料型】 借入額×2.06%+3.3万円 |
|
借入額×2.2%(税込) | − | |
− |
【一括前払い方式】 借入額×1.78〜2.37%%+3.3万円 【月次後払い方式】 金利上乗せ0.10%~0.22%+3.3万円 |
|
フラット35の「諸費用」 | ||
商品名 | 手数料 | 保証料(35年借入) |
借入額×0.8〜2.2%(税込) >>こちらを参照 |
− | |
借入額×2.2%(消費税込) >>こちらを参照 |
− | |
※2023年12月調べ。各銀行の主力商品の商品説明書を元に作成。保証料は35年借入の料率。最優遇かつ最も安い諸費用のみ記した。詳細は各銀行に問い合わせを。 |
「手数料が高いからダメ」は間違い
ただし、気をつけたいのは、手数料が安い住宅ローンが、金利も低いとは限らないこと。また、手数料が高くても金利が低ければ、問題はない。つまり、諸費用だけでなく、金利とセットで考えないと、おとくな住宅ローンは見つからない。
なお、各銀行の住宅ローンサイトは非常に紛らわしく、初めて住宅ローンを借りる人だと、手数料、保証料がいくらなのか見つけるだけでも一苦労だろう。
そこでダイヤモンド不動産研究所では、主要132銀行の住宅ローンについて、金利に手数料・保証料を加味した「実質金利」を計算している。返済額シミュレーションもあり、最もおとくな住宅ローンを簡単に見つけられる。
手数料を住宅ローンに組み込める銀行は?
以上の諸費用は、借入時に現金で一括支払いする必要があり、結構負担が大きい。そのため最近は、住宅ローンに諸費用を組み込むことができる銀行が増えている。つまり、現金で諸費用を用意しなくてすむということだ。
以下が、諸費用(手数料、保証料)を組み込み可能な主要銀行だ。
auじぶん銀行
住信SBIネット銀行
ソニー銀行
イオン銀行
楽天銀行
PayPay銀行
みずほ銀行
フラット35(アルヒ)
以上はあくまで各銀行の約款上で「貸すことができる」としているだけであり、約款に書いていなくても貸してくれる銀行もある。さらには、「登記費用」「引越代」「不動産仲介手数料」なども融資対象としている銀行もある。
ただし、実際には審査で、希望通りの融資額を認められるとは限らない。そのため、申し込む際は複数の銀行に同時に申し込むようにしたい。
【関連記事】>>諸費用組み込み、頭金なし、オーバーローンに対応する銀行は?【主要17銀行の住宅ローン比較】
頭金10%以上でないと、金利が高い住宅ローンも
また、気をつけたいのが「頭金」だ。
かつては自己資金として頭金を物件価格の10〜20%程度用意しなければ住宅ローンを借りられなかった。しかし、最近の銀行は頭金なしの「フルローン」を出すケースが増えている。
ただし、全期間固定金利が売りの「フラット35」は、注意したい。頭金が10%以上でないと、割高な金利になるからだ。金利は以下のように0.11%も高くなる。
- フラット35金利(借入期間21年超35年以下)
【頭金10%以上】1.840%
【頭金10%未満】1.950%
※2024年7月の金利。最新金利は住宅金融支援機構「金利情報」を参照
そのため、フラット35を借りる場合は、「手数料」だけでなく、「頭金」も自己資金として用意しておく必要がある。
【関連記事】>>住宅ローンの頭金の目安はいくら? 頭金のメリット・デメリット、用意できない場合の対策も解説!
まとめ 手数料込みのオーバーローンも可能な時代に
以上が、住宅ローンにかかる諸費用の概要だ。
最近は、手数料、保証料などの諸費用を住宅ローンに組み込むことができ、頭金も不要という銀行が増えているので、手持ちの預貯金が少なくても住宅ローンを借りやすくなっている。
とはいえ、住宅購入をする際は、不動産仲介手数料、登記費用、印紙代など様々な費用がかかる。将来の不測の事態に備えて、一定額の貯金もしておきたいところで、やはり物件価格の10〜20%の自己資金・貯金があったほうが安心だろう。
【関連記事】>>住宅ローン借り換えの諸費用はいくら? 18銀行の手数料・保証料を徹底比較!
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
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新規借入2024年11月最新 主要銀行版
住宅ローン変動金利ランキング
※借入金額3000万円、借入期間35年で試算
- 実質金利(手数料込)
- 0.459%
- 総返済額 3242万円
- 表面金利
- 年0.329%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
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- 表面金利
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【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
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淡河範明さん
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