年収1000万円でも審査に落ちる理由とは? 高年収の人でも失敗しがちな審査基準を解説!

2017年6月15日公開(2021年5月26日更新)
ダイヤモンド不動産研究所
監修者 窪田光洋:iYell 社長

住宅ローンの借り入れ時には、「年収が1000万円もあったのに、なぜか審査に落ちた……」といったことが頻繁に起こり、その審査は謎に包まれている。そこで、銀行が設定している審査基準や、その考え方について、住宅ローンの専門家の話をもとに、高年収の人でも何故審査に落ちるのかについて、クイズ形式で解説しよう。

「高年収」と「安定収入」は、どちらが重要か?

 問題(1)
 下記の年収(過去3年分)では、どちらが住宅ローン審査に通りやすい?
 (順に3年前、2年前、1年前)
 (A) 500万円、500万円、500万円
 (B) 3000万円、500万円、1000万円
 答え
 (A) 高年収よりも、重要なのは「安定感」!

 住宅ローンの審査についてよく言われるのが、「自営業だと住宅ローンは借りにくく、正社員や公務員だと有利に借りられる」というもの。確かに「定職についている」ことは重要ではあるが、それがすべてというわけではない。

 「実は銀行がローン審査で最も重要視するのは、年収や雇用形態ではなく、収入が安定しているかどうかなんです」

 こう語るのは、住宅ローン専門会社で審査基準を策定する業務を担当した経験があり、現在は住宅購入に関する情報サイトなどを運営しているiYell(イエール)の窪田光洋社長だ。自らを「住宅ローン博士」と名乗るほど、住宅ローンの審査について詳しい。

  一般には、大企業の正社員であり、さらに年収が多ければ多いほど審査が通りやすいと考えられている。しかし、それは必ずしも正しくはない。大企業に勤めていても、収入の変動が多い場合はローン審査に不利になることがある。年収に占める成果報酬の割合が高い外資系企業の社員などは、収入自体が高水準であっても変動幅も大きいため、審査では不利に働くのだ。

 「統計によると、収入が乱高下する人は生活が派手になったり接待費などの持ち出しが多くなったりする傾向があり、収入が多いからといって、支払い能力が必ずしも高い訳ではありません。こういった人は審査上不利になるのは間違いないです」(窪田氏)

 逆に、一般的には不利と言われる自営業でも、長年にわたって安定的な収入がある人は、高く評価されることもある。自営業者や個人事業主の場合、決算書や確定申告を3〜5年分提出するよう求められるが、収入が安定していて、事業内容も安定的であれば、住宅ローンを借りやすい。

 確かに貸す側の立場になってみれば、将来にわたって返済してもらえるかどうかが最も気になるところ。直近の年収だけでは判断せず、収入の安定性で評価したいというのが本音なのだ。何をおいても、安定収入が最も重要だということだ。

【※関連記事はこちら!】⇒[住宅ローンの審査基準を15銀行で徹底比較! 年収100万円、勤続6カ月で借りられる銀行は?]

【信用力をアップする対策は?】

 住宅ローンの審査のためには安定的な収入が求められるが、収入構造を変えるというのは簡単なことではない。収入が乱高下する人の場合、例えば、多額の頭金を用意しておけば、銀行の心証も良くなるだろう。

銀行に自己申告しなければならない、意外な借金とは?

 問題(2)
 住宅ローンを借りるとき、自己申告しなければならない借金は?
 (A) 携帯電話端末の分割払い
 (B) 大学時代の奨学金
 (C) 親戚から借りた300万円
 答え
 (A)(B)(C)すべて。借金に類するものは全て申告が必要。しかし、申告しなければ銀行が把握できないものもある

 住宅ローンを借りる際に、借金に類するものはすべて申告しなければならない。しかし、「これは借金ではないだろう」と誤解しているものあるので注意したい。

 例えば、「携帯電話端末の分割払い分」や、「クレジットカードのキャッシング」、「自動車ローン」なども借金だ。学生時代の「奨学金」も借金の一種だ。また、親戚から借りたお金も借金となるので、記載しないといけない。

 しかし、これだけいろいろと借金の種類があると、記載漏れも出てきそうだ。

 そこで活用したいのが、ローン審査において重要な個人信用情報だ。住宅ローンを取り扱う銀行などで組織する団体としては、「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」があり、個人の信用情報(個信)を共有している。信用情報とは、どの銀行から、いくら借りているのかといった情報だけでなく、過去の5年分の延滞履歴や、住宅ローンに申し込んだという履歴も記録されている。ここにある信用情報が住宅ローン審査に大きな影響を与える。

 下記は、全国銀行個人信用情報センターをはじめとした、主な個人信用情報機関の一覧だ。

・主に銀行、信用金庫などが登録 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
・主にクレジットカード会社が登録 シー ・ アイ ・ シー(CIC)
・主に消費者金融などが登録 日本信用情報機構(JICC)

【※関連記事はこちら!】⇒[信用情報の審査で知っておきたい5つのポイント]

 自分の個人信用情報は、本人であれば簡単に閲覧できる。例えば、KSCなら、ホームページから所定の用紙をダウンロードして必要事項を書き込み、本人確認資料を提出し、手数料(1080円)を支払えば、報告書が郵送されてくる。ただし、KSCだけだと、銀行や銀行系カード会社を中心とした情報しか登録されていない。住宅ローンやカードローン、クレジットカードなどの契約内容と返済状況全てを確認したいのであれば、前述の3機関全てで個人情報を閲覧するのがいいだろう。調べてみると意外なものが借り入れとして履歴されているかがわかるだろう。

 なお、個人信用情報機関に、すべての借金が登録されるわけではない。例えば、親戚から借りたお金などは銀行が把握することは難しく、支払いを延滞していても銀行にはわからないだろう。といっても、こちらも申告はする必要がある。

 また「奨学金」は、個人信用情報機関には登録されない借金だが、延滞してしまった場合に限り、延滞履歴が記載されてしまう。もし、奨学金を借りていることを申告せずに延滞履歴があった場合は、借り手の信頼性が著しく失われてしてしまので、借金はきちんと申告しよう。

【信用力をアップする対策は?】

 個人信用情報を自身で確認し、どこに不利な点があるか把握しておくことは重要だ。

 「例えば、自動車ローンが少しだけ残っているのであれば、それを完済してから住宅ローンを申し込んだほうが、審査に通りやすいことがあります。審査に不安があるなら、必ず自分の借金の状態を把握して、対策を打ってからローンを申込むのがいいでしょう」(窪田氏)

 いずれにせよ、自らの個人信用情報を知っておいて損はない。

「いつ延滞したか」も重要!

 問題(3)
 キャッシング延滞履歴がある。住宅ローン審査に影響が大きいのはどちら?
 (A)先月、1万円延滞した
 (B)1年前、1万円延滞した
 答え
 (A) 直近の延滞であるほど、審査に悪影響を与える

 「安定収入」と同様に重視されるのが、過去の借り入れに対しての「返済履歴」だ。 

 「個人信用情報においてはまず返済に延滞がないこと、どれだけちゃんと返し続けているかが重要視されます。必ずしも借金自体が悪いことではなく、しっかりと返済していればクレジット・ヒストリー(過去の返済履歴)がしっかりしているとして、逆に信用の強化にもなります」(窪田氏)

 一方、滞納についてもその中身によって銀行の捉え方は大きく異なる。例えば、キャッシングの返済の延滞が1カ月前にあった場合と、1年前にあった場合では、1カ月前の延滞の方がマイナス度は大きい。というのも、1カ月の延滞だと、直近の資金繰りがうまくいっていないと判断され、信用に値しないからだ。

 延滞履歴をどれくらい重要視するかは銀行によって違う。延滞履歴は個人情報信用機関に最長5年分が蓄積されている。ただし、それをすべて重視するわけではなく、過去2年分の履歴を見る銀行もあれば、過去5年分を見るという銀行もあり、まちまちだ。

 延滞回数についても、銀行によって審査基準は大きく異なる。「1回でも延滞したら絶対にダメ」という銀行があれば、「とりあえず延滞10回までは審査の対象にしてみる」という銀行もある。各銀行の審査基準は公表されておらず、実態はわからない。そのため、審査に不安がある場合は、最初から複数の銀行に審査を申込むのがいいだろう。

 なお、各銀行は延滞した原因は詮索しない。「他の口座にはお金があったのだが、振替口座へのお金の補填を忘れてしまっただけ」と言い訳したい人もいるだろうが、銀行から見れば、それが本当かどうかを調べるのは難しい。なるべく延滞はしないよう気をつけたい。

【信用力をアップする対策は?】

 キャッシングの延滞、税金の延滞などは、銀行が調べればわかってしまうものだ。延滞してしまったら、少なくとも数カ月は延滞をしないようにして、「きちんと支払っている」という履歴を積み上げ直してから、複数の銀行の申し込んでみるのがいいだろう。

「どこで借金をしたか」も審査に影響!

 問題(4)
 下記のどちらの借金が、住宅ローン審査に悪影響を与える?
 (A)銀行から500万円の借金
 (B)消費者金融から300万円の借金
 答え
 (B) 当然、消費者金融からの借金はマイナス要因。逆に、銀行からの借金は、むしろ信用補完になる可能性も

 どこに借り入れがあるかも信用に差が出る。例えば、メガバンクから500万円を借りている人と、消費者金融から300万円を借りている人とでは、信用度が大きく違ってくる。

 まず、消費者金融からの借り入れは、個人信用情報の中ではキャッシング(無担保の少額借り入れなど消費者金融に属すもの)のカテゴリーに入るため悪く作用する。カードローンも同じようにみられる。つまり、収入だけでなく借金にもランクが存在するのだ。消費者金融が貸しているということは、「あそこが貸しているから危ないぞ」という判断が働きがちだ。

 一方で、銀行からの借金を延滞なしで返済し続けているのならば、逆にこれは一つの信用情報として評価されることとなる。「Aの銀行も貸しているから大丈夫だろう」と解釈してくれることがあるのだ。

 自動車ローンは、借金をしていること自体はそれほど、とがめられることはない。「自動車を購入する」などといった目的があるローンは、「証書貸付」と言われるもので、用途が決まっているので、借りていることで信用が傷つくということはあまりない。ただし、自動車ローンが問題なのは、毎月の支払いが結構大きいこと。数百万円の自動車を5年程度で返済することが多く、月の返済額が10万円程度に膨らむこともある。住宅ローンの審査では、年収に対する年間返済額も審査対象となり、自動車ローンの支払いが残っていると、住宅ローンで借りられる額が大きく減ってしまうことがあるので、できれば返済しておきたい。

【信用力をアップする対策は?】

 ノンバンク、消費者金融からの借り入れは、信用を傷つける可能性があるので、なるべく返済しておくことが重要だろう。

クレジットカードのキャッシング枠には要注意!

 問題5
 以下の2人で、住宅ローンを借りやすいのはどっち?
 (A) クレジットカードのキャッシング枠が100万円ある
 (B) クレジットカードを持っていない
 答え
 (A) クレジットカードを持っていない人は、かえって信用されにくいこともある

 クレジットカードは、住宅ローンの審査の重要な信用情報のひとつだ。しかし、気をつけたい点がある。キャッシング枠はいつでも借金ができる状態とみなせるため、「枠分のお金を借りている」とみなされて、審査にマイナスになってしまうのだ。住宅ローンの借り入れを考えている人は、事前にキャッシング枠を減らしておいて、審査への不安材料を減らしておくのがいいだろう。

 特に、クレジットカードを複数枚持っている人は注意してほしい。所有するクレジットカードのキャッシング可能額は、審査の際に合算される可能性があるのだ。「キャッシング枠が何円以上だと審査が不利になる」といった具体的な金額は公表されていないため、具体的にいくらまで削減すればいいのかは分からないが、あまりにもキャッシング枠の合計が多いというときは、ローン審査の前に、必要のないカードは解約しておくのが賢明だろう。

 一方、クレジットカードを一度も作ったことがない人は、どこの金融機関にも全く記録がないため、かえって審査しにくくなる。

 「履歴のない人は、住宅ローンの審査においては、まず架空の人物ではないかと疑います」(窪田氏)

 何らかの形で戸籍を手にいれた別人が窓口に現れる。ドラマの中の話に思えるが、「実は結構ある」のだという。

 「架空の人物ではなかったとしても、審査自体にも非常に手間がかかることには違いない。住宅ローンの審査上は意外と厄介なお客様ですね」(窪田氏)

 もしこれまでにクレジットカードを持ったことがないなら、まずは1枚作ってみてから、住宅ローンの審査にのぞむという流れがいいだろう。

【信用力をアップする対策は?】

 クレジットカードを一枚も持っていないというのは、個人信用の上で、マイナスになる。しかし最近は、多くのクレジットカードが「年会費無料」になっているため、多数のクレジットカードを保有している人も多く、数十枚持っているという人もいるだろう。個人信用情報機関で、見落としているカード、キャッシング枠がないか、確認しておけば、住宅ローンの借り入れを拒否される可能性が低くなるだろう。

まずは「自分の個人信用情報」の確認を!

 このように、表からは見えない基準が数多く存在する住宅ローン審査だが、知識によって補える部分は多い。「高年収なのに審査に通らず困っている」「審査が不安だ」という人は、まずは個人信用情報の開示から始めてみてはいかがだろうか。

【※関連記事はこちら!】⇒[信用情報の審査で知っておきたい5つのポイント]

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 今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。

【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とする

 アンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。

【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。

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