5月に米朝首脳会談が開催されるというニュースが飛び込んできましたが、住宅ローンの金利にはどんな影響を与えるのでしょうか。この2018年に家を買って住宅ローンを組む人にとって、ここ最近の朝鮮半島をめぐる地政学リスクはネックになりかねないだけに、今後の展開と金融市場に与える影響、そして住宅ローン金利の動向を占ってみましょう。
米トランプ大統領が北朝鮮の金正恩と直接会談することについては、安倍首相もまた北朝鮮の姿勢の変化を評価しており、2018年4月初旬にもトランプ大統領と直接会談することを予定しています。
「これが朝鮮半島の緊張緩和と核廃絶への歴史的な一歩になるのか?」と期待する向きもあります。
ただし、北朝鮮はこれまで2度とも「北朝鮮側の非核化」を交換条件として経済援助をゲットし、2度ともその約束を反故にしてきた経緯があります。「2度あることは3度ある、になってしまうのか?」という疑問も湧いてきます。
住宅ローン金利を占う上で、まずは、こうした疑問にお答えしましょう。
北朝鮮の出した「非核化」のカードにトランプが反応した
注意したいのは、今回は北朝鮮の本気度が違うということです。
北朝鮮は、4月末に予定されている3度目の南北首脳会議を実現させるために、韓国特使に対して「非核化」という言葉を初めて使い、4月に予定されている米韓軍事訓練を行うことについては譲歩するなど、朝鮮半島の緊張緩和へと大きく前進した、という見方があります。
一方で、アメリカのトランプ大統領はこれまで一貫して北朝鮮の核開発と弾道ミサイル開発の放棄を要求してきました。これはあくまで日本国民ではなく、アメリカ国民を守るためです。あからさまにアメリカを敵国として政権を維持している北朝鮮が、アメリカを直接攻撃できる核ミサイルを持つに至ることに脅威を感じているのです。
トランプ大統領もまた、原子力空母の配備や在韓米軍の維持に多額のマネーを投じています。ですから北朝鮮からの「非核化にも応じるかも」というカードは、軍事費の削減という無視できない絶対的な力があるのです。
しかし、金正恩氏の言う「非核化」というのは、「韓国を含む朝鮮半島の非核化」なんですよね。北朝鮮にとっては、米軍の原子力空母も核に含まれるんですよ。そんなことはトランプ大統領も分かりきっています。分かっていてもなお、この話に乗らないわけにはいかないというのが、この「非核化」カードの力です。
安部首相はトランプ大統領との電話会談で「(過去の轍を踏まないように)対話はするが圧力は当然かけ続ける」との認識で一致しているようです。
金正恩政権の存続ストーリーを核無しで描けるのか?
安部首相は「非核化を前提に話し合いを始めることを北朝鮮の方から言ってきた」ことを高く評価しています。しかし、これ自体は別に目新しい話ではなく、故金日成、金正日も使った方便なのです。
つまり、南北首脳会談に臨む姿勢というのは、前2回のときと何ら変わりは無いということになりますよね。新たな動きというのは、むしろ「アメリカ大統領が北朝鮮からの話し合いに応じた」という面にあるのです。
北朝鮮の本音はこうです。
「あくまで我が国を核保有国として認めろ」。
今のところ、核の脅威のもとでの平和は、抑止力を獲得することによって実現してきました。つまりお互いが核兵器を保有することで、お互いが手を出せない状況を作るということです。
今回の米朝首脳会談の「場」というものが、アメリカからではなく北朝鮮のサイドからの働きかけで作られたという点に、私は逆に不安を感じますね。今までと同様に「非核化」を持ち出すということは、次は実効性のある(反故にできない)非核化措置を飲まされるリスクもあるわけです。
北朝鮮がタダでそんなリスクを冒すでしょうか?
私の見方では、既にその(米朝首脳会談の)タイミングには、北朝鮮がアメリカ大陸に届く大陸間弾道ミサイルの開発に成功していると考えます。つまり、自らの非核化を受け入れて、アメリカには朝鮮半島(韓国)から手を引いてもらうという交換条約を狙っているはずです。さらに北朝鮮は、大陸間弾道ミサイルという、アメリカに対する「抑止力」を温存しておけます。
北朝鮮の目的は「金正恩政権の存続」です。このストーリーを現実のものにするために、北では全てが決まっているんですよ。アメリカの言うとおり、「核を放棄するために、今回の米朝首脳会談の場を自ら作る?」ということは、あり得ません。
だとすると、今回、「非核化」という言葉を使ったということは、決して手放しでは喜べない非核化なのですよね。北朝鮮がみごと「抑止力」を手に入れたことを、国際社会に宣伝する場になるかもしれないのです。
なお、交渉が決裂した場合は、武力衝突に発展するという、最悪のシナリオもあり得ます。だってアメリカにとって直接的な脅威ですから、今すぐ叩いておかないと、という事になるでしょう。北朝鮮もそれだけは避けたいはずですから、何らかの妥協点を探るはずです。
2018年5月までの住宅ローンは期待含みで上昇か?
「米朝首脳会談は5月に行われる」ということ以外の詳細は未定です。しかしその前の4月末には南北首脳会談が予定されています。対話が続く間は核実験や弾道ミサイル開発は行わないということですから、米朝間の緊張が高まることは無いのですね。
民間銀行の住宅ローンの金利は、月末に行内の会議で翌月の金利を決定します。「フラット35」についても金利は20日前後に発表される住宅金融支援機構債の表面利回りで翌月の金利が決定されます。長期金利の動きと連動するでしょうから、次月の住宅ローンの金利を予想するうえで、注目ですね!
前述の千日のような慎重な見方もありますが、現時点では「いままで燻っていた朝鮮半島の地政学リスクが解決に向かうのでは?」という期待の方が強い情勢です。つまりアメリカと北朝鮮の武力衝突リスクが無くなったということで、ドルが買われて「円安→国債安」になり、長期金利は若干上がる可能性があると思います。
ただ、長期金利というものは、もちろんですが、北朝鮮問題だけで動いているものではなく、この予想が必ず当たるというものではありません。
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⇒“北朝鮮リスク”で長期金利は再びマイナス! 今後の住宅ローンの金利動向はどうなる?
住宅ローンを組む人は複数の金利タイプで備えるべし
住宅ローンをとりまく金利情勢としては、ここ数カ月はかなり不穏な状況と言えます。そのため、金利の決まり方が異なる複数の金利タイプで審査を通しておくべきでしょう。また、来月か今月かを選べる月末近くに融資の実行日を設定しておくことをお勧めします。
特に、長期金利の影響をモロに受ける固定金利で考えている人は要注意です。史上初の米朝首脳会談というお祭り騒ぎで、たまたま高く上がった金利で35年の住宅ローンの利息を払わなければならなくなるかもしれません。変動金利も一応審査に出しておいてください。
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また、次回の投稿では申込時と融資時の低い方の金利が適用されるサービスを展開している地銀や信金についてご紹介します。こうしたサービスを上手に利用して、金利変動リスクを回避してください。
1月31日に千日太郎の著書「家を買うときに『お金で損したくない人』が読む本」が発売されました。著書の第4章では、金利動向に左右されない住宅ローンの選び方について、専門家の理論を知識ゼロから理解できるようにまとめています。おそらく、他の本には無い踏み込んだ内容になっていると自負しています。ぜひお手に取ってみてくださいね。
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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淡河範明さん
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