初めて住宅ローンを借りるという人にとって大きな問題となるのが、「金利タイプを変動金利にするか、固定金利(全期間固定も含む)にするか」という選択です。今回のシミュレーションでは固定金利を選んだ場合に回避できる金利上昇リスクを保険料として目に見える金額にしたことで、変動金利がどれだけのリスクを背負っているのかを目に見えるようにしてみました。
低金利で選ぶなら変動金利だが、そのデメリットは?
固定金利で借りると、リスクを負わないメリットも
こんにちは、千日太郎です。購入する不動産物件が決まり、「さあ、住宅ローンをどうする?」という段階で皆が一番頭を悩ませるのが、住宅ローンの金利タイプを「変動金利」にするか「固定金利」にするかという問題です。
最も低い金利を選ぶとするならば、変動金利です。しかし、変動金利は銀行が自分の都合で金利を上げることのできる金利タイプですよね。金利の上昇が怖いのなら固定金利にすればいいのですが、その分利息は高くなります。
以下が、金利タイプ別のメリット・デメリットです。
金利タイプ | ||
---|---|---|
変動金利 | 固定金利(全期間固定) | |
メリット | 金利が低い | 金利変動リスクを負わない |
デメリット | 金利変動リスクを負う | 金利が高い |
最低金利の銀行 | 住信SBIネット銀行 | アルヒスーパーフラット8 (頭金2割必要) |
2018年7月の 最低金利 |
0.457% | 1.24% |
2018年7月時点、変動金利の最低金利は0.457%で、住信SBIネット銀行などです。固定金利(全期間固定)の最低金利は1.24%で、アルヒの「スーパーフラット8」(頭金が2割必要)です。どちらも過去に比べると非常に低い金利ですね。
今日は自分にとっての金利変動リスクの大きさを金額で測定することで、金利タイプを変動金利にするか、固定金利にするかを決める方法をお教えしましょう。先ほどの金利を前提としてシミュレーションしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
金利 | ⇒「住信SBIネット銀行」詳細ページを見る |
無料団信の保障範囲 | 死亡・高度障害+全疾病保障+3大疾病50%保障(40歳未満) |
オプション保険(保険料) | なし |
事務手数料(税込) | 借入額×2.20%(税込) |
保証料(税込) | 0円 |
【ポイント】 住信SBIネット銀行はネット銀行の強みを生かし、変動金利や35年固定金利は業界トップクラスの低金利を実現している。加えて、「8疾病・病気。ケガ」をすべて網羅した保障を無料で付帯しているのも魅力的だ。 | |
金利 | ⇒「アルヒ」詳細ページを見る |
無料団信の保障範囲 | 死亡・身体障害 (不要な場合は金利を年0.2%引く) |
オプション保険[保険料] | 死亡・高度障害(金利を0.3%上乗せ) |
事務手数料(税込) | 借入額×2.20%(ウェブ申し込みで、借り換え及びスーパーフラットを除く新規借入は、1.1%) |
保証料(税込) | 0円 |
【ポイント】SBIモーゲージから社名変更した住宅ローン専門の金融機関。フラット35の実行件数ナンバー1で、全国の店舗で相談可能。スーパーフラットは、通常のフラット35よりも金利が低く、頭金が多いほど低金利となる。事前審査は最短で当日、本審査は最短3営業日のスピード審査が特徴。 | |
アルヒスーパーフラット8は、
親からの贈与を頭金に入れて金利引き下げ!
金利変動リスクのシミュレーションですが、次のような家族を前提とします。
家族構成と年収 | 夫35歳、年収600万 妻35歳、専業主婦 子ども2人 |
自己資金 | 1300万円(親からの贈与を含む) |
物件価格 | 5000万円 |
物件のタイプ | 首都圏新築マンション |
借入金額 | 4000万円 |
今の首都圏マンションの価格帯は5000万円台が中心です。しかし、親からの住宅資金の贈与について非課税枠が拡大されていますので、親からの贈与を頭金にすることで何とか手の届く範囲に入ってくるという人が多いでしょう。
上記のように頭金を2割入れることによって、フラット35の金利から0.1%引き下げになるのがアルヒのスーパーフラット8の魅力です。35年の超長期固定金利の中では、最も支払総額が少なくなる住宅ローンですね。
一方、変動金利については、金利引き下げ競争を繰り広げている、住信SBIネット銀行など金利が低い銀行に審査に出しておき、通ったところから選べば今の最低水準の金利で借りることができます(2018年7月)。
【参考記事はこちら】
>> 住信SBIネット銀行の保障拡充記念!? 「全疾病保障団信」って本当にお得か分析、保障対象入院者数は、なんと「5倍」に!
変動金利の金利変動リスクを測る二つの物差し
では、変動金利の「金利変動リスク」を金額で測りましょう。そのために、2つの物差しを用意しました。
(1)変動金利と固定金利の返済総額の差
(2)変動金利上昇時に、リスクを取り除くために必要な「繰上げ返済額」
それぞれの物差しで、金利上昇リスクを実際に測ってみましょう。
(1)「変動金利と固定金利の返済総額の差」は、
「金利変動しないための保険料」
変動金利が低い理由は、銀行が自分の裁量で金利を上げることができる金利タイプだからです。つまり、固定金利には金利上昇時の保険が上乗せになっているのです。
「その保険料がいくらか?」というのは、変動金利と固定金利での総支払額を比較すれば分かります。ネット銀行2社とアルヒスーパーフラット8を比較してみました。
変動金利0.457% 住信SBIネット銀行 |
固定金利1.24% アルヒスーパーフラット8 |
差異 (固定-変動) |
|
---|---|---|---|
毎月返済額 | 10.3万円 | 11.7万円 | 1.4万円 |
60歳残高 | 1209万円 | 1325万円 | 116万円 |
総支払額(※) | 4301万円 | 4848万円 | 547万円 |
※:当初の借入期間は35年とし、60歳定年(25年後)に全額繰上げ返済して完済する前提。別途、融資手数料2.20%、印紙2万円、登録免許税0.1%、司法書士報酬がかかる。フラット35は物件検査手数料も必要。 |
今回のケースでは総支払額の差である「547万円」というのが金利上昇の保険料なのですね。「金利変動のインパクトをなくすための保険料」としての547万円は高いのでしょうか?安いのでしょうか?…。これだけでは判断が難しいですよね。いまいちピンと来ません。
そこで、もう一つの物差しで「金利変動時のインパクト」を測ってみましょう。
(2)変動金利上昇時に、
リスクを取り除くために必要な「繰上げ返済額」は?
金利変動のインパクトは、いざ変動金利が上がったときに毎月の返済額を維持したまま完済するには「いくら繰上げ返済すれば良いか?」という物差しでも測れます。
以下は、金利が上昇した時に、その後も返済額が変わらないようにするためには、いくら繰上げ返済すればいいかをシミュレーションしたものです。
金利上昇のタイミング | 繰上げ返済額 (返済10.3万円を維持するための金額) |
5年後に金利上昇 | 952万円 |
10年後に金利上昇 | 695万円 |
15年後に金利上昇 | 468万円 |
20年後に金利上昇 | 277万円 |
金利上昇なし | 0円 |
このように、4000万円を変動金利で借り入れた場合については、金利上昇時に最大952万円の金額が繰上げ返済資金として必要になるのです。
詳細はこちらをどうぞ。
【参考記事はこちら】
>> 住宅ローンの変動金利が上昇したら、いくら繰上返済すべきか、借入金額別に診断!
固定金利と、変動金利を借りた場合の、
「金利変動リスク」は違う!
以上のことから、変動金利、固定金利を選んだときの「金利変動リスク」はこうなります。
・固定金利を選ぶ
→保険料として547万円を払って支払金額をフィックスさせる。
・変動金利を選ぶ
→保険料を払わない代わりに、0円〜952万円の支払い増加に対応する。
ということになりますね。変動金利のメリットを享受するのであれば、金利が上がったときの繰上げ返済がどのくらい必要かということを把握しておくべきでしょう。
【参考記事はこちら】
>> 住宅ローンの変動金利が上がる時期を大胆予測! 高い貸出金利の人が激減して、銀行が一斉に金利を引き上げるのは「2023年」
変動金利と固定金利の資金計画の違いは?
さらに、資金計画の面でも、変動金利と固定金利を比べてみましょう。
変動金利 | 固定金利 | |
---|---|---|
変動金利0.457% 住信SBIネット銀行 |
固定金利1.24% アルヒスーパーフラット8 |
|
毎月返済額 | 10.3万円 | 11.7万円 |
60歳残高 | 1209万円 | 1325万円 |
完済までの 資金計画 |
|
|
「固定金利」の場合は毎月の返済が高い代わりに資金計画はとてもシンプルですね。定年時の残高は1325万円なので、定年時にもらえる予定の退職金も活用しながら、繰上げ返済します。
これに対して「変動金利」の場合は、毎月の返済が安い代わりに金利が上がったときの対応を自分で行わなければなりません。その金額は0円から952万円です。さらに定年時の残高は1209万円あります。固定金利に比べて、貯蓄の計画をしっかり立てなければなりません。
なお、変動金利が上がってもすぐに毎月の返済が増えるわけではありません。上表のよように、たとえ借入直後からどんなに大きく金利が上がったとしても、当初の10年間は最初に決まった月返済額の125%までしか上がりません。「5年ルール」と「125%ルール」があるからです。
「5年ルール」とは、金利が変動しても5年は元利均等返済額を変えないというルールです。
「125%ルール」とは、1度に上げる元利均等返済額は125%を上限とするというルールです。
なので、千日は著書「家を買う時に『お金で損したくない人』が読む本」で、変動金利で借りる人は2つの「4」をクリアすることを推奨しています。
- ・毎月の返済額の4分の1を繰上げ返済資金として貯蓄すること
- ・毎月の返済額と上記の貯蓄を合わせて手取り月収の4割以下にすること
このように毎月の返済額の125%を払える余裕があれば、どんなに金利が上がっても10年間は持ちこたえることができるのです。この10年間の間に何とか立て直しを図りたところです。金利が上がって返済額が変わらないと、元本返済額が滞りがちになるので、金利が大きく上がった場合には、早期に繰り上げ返済で対応すべきでしょう。
まとめ 〜 どちらの資金返済計画が、
自分に合っているかを見極めるのが重要
住宅ローンの期間は最大35年の長期間です。その間の家計の中心的な位置になるのが住宅ローンの返済です。「変動金利か固定金利」かというのは単に金利や支払額で決めるのではなく、「どちらの資金計画が自分に合っているのか?」という側面から考えましょう。
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事務手数料(税込) | 借入額×2.20%(税込) |
保証料(税込) | 0円 |
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132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
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調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
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評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
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・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
132銀行の住宅ローンを比較 >>返済額シミュレーションで、全銀行の金利を一気に比較・調査
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プロの評判・口コミ
淡河範明さん
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