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住宅ローンを借りる人の年収や頭金の目安は? 
ゆとりある返済比率の目安を知っておこう 

2020年6月24日公開(2020年6月22日更新)
福崎剛

福崎剛(ふくさき・ごう)氏:東京大学大学院卒、都市工学専攻。日本ペンクラブ会員。マンション管理問題から、景観保全のまちづくり、資産価値の高い住宅選びなど、都市計画的な視点でわかりやすく解説。『マンションは偏差値で選べ!』(河出書房新社)、『本当にいいマンションの選び方』(住宅新報社)など、著書多数。

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マイホームの購入を考えるとき、どんな年齢、年収の人が住宅ローンをいくらぐらい借りているのかという「目安」を知っておくと便利だ。そこで、年収、年齢ごとの借入額の目安など、住宅ローンを借りている人の実態を紹介しよう。この目安を知ることで、余裕を持った返済計画が立てられるだろう。(フリージャーナリスト・福崎剛)

住宅ローンの借り入れは、30代〜40代を目安に

住宅ローンの借入目安
出典:PIXTA

 マイホームを購入する際、高額な不動産を一括で購入できる人はほとんどいないため、大半の人が住宅ローンを利用する。住宅ローンの借入期間は最大で35年だが、その割に低金利で借りられるのが特徴だ。

 融資の担保として、銀行が不動産を抑えているため、ほかのローンに比べて低金利で優遇されているが、返済が滞ればマイホームを手放すことになる。そのため、余裕を持った返済計画を立てなければならない。

 では、実際に住宅ローンを組む人は、どれくらいの年代が多いのだろうか。ここでは、年齢の目安を見てみよう。

 図表1は、はじめて住宅を購入する「一次取得者」の年齢を表したグラフである。国土交通省の「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」(令和2年3月)によれば、一次取得者は、中古マンション以外の住宅について「30歳代」が最も多いことが分かる。

 【図表1】住宅購入者(一次取得者)の年齢は?

年代別の住宅購入一次取得者
出典:「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」(令和2年3月、国土交通省 住宅局)

 住宅ローンの返済は長期間にわたるため、早めに返済を開始したほうが、将来の負担が軽くなる。また、長期間ローンを組めれば、それだけ多く返済できるので、より多額の住宅ローンを借りられるということになる。そのため、30代から借り入れる人が多いのだろう。

 なお、住宅ローンの返済ができるのは、80歳前後までという銀行が大半となっている。

【関連記事はこちら】>>住宅ローンに年齢の上限・制限はある? 15銀行・金融機関の審査基準を徹底比較! 80歳未満まで審査基準を緩和した銀行が多数

住宅ローンを借り入れる人の年収の目安は? 

 住宅ローンを借りる人は、どれくらいの年収の人が多いのか。実際に住宅ローンを組んだ人たちの年収(世帯年収)の目安はいくらなのか調べてみたところ、最も多いのは、世帯年収が400万〜600万円の層だった。また、世帯年収が400万〜800万円の人たちが約60%を占めていることがグラフから分かる(図表2)。

 また、年収400万円以下でも約10%が住宅ローンを組んで購入している。年収400万円だと、月々の手取りは約26万円(ボーナスなし)となるが、それでも住宅ローンを組めないわけではないのだ。

 【図表2】住宅ローンを組んだ人の世帯年収は?

住宅ローンの目安「住宅ローンを組んだ人の世帯年収割合」
出典:「2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」(2019年6月28日、住宅金融支援機構)から

 民間の銀行だと、サラリーマンであれば、前年度の年収が最低でも200万〜400万円ないと、住宅ローンの申し込みさえできないことが多い。フリーランスでも同様の基準を持っている銀行が多い。

 一方で、全期間固定金利の「フラット35」なら、前年度の年収が少しでもあれば申し込むことが可能となっている。

【関連記事はこちら】>>「勤続年数6ヵ月」「年収100万円」でも住宅ローンは借りられる!? 主要18銀行の審査基準を徹底比較

借入可能額の目安は、低金利下で年収の8〜10倍程度に

 「自分の年収で住宅ローンを借りられるのだろうか?」こう思って、銀行のサイトでシミュレーションした人もいるだろう。

 ダイヤモンド不動産研究所の借入可能額シミュレーションを使うと、簡単に借入可能額、毎月返済額が分かる。ここでは、借入可能額シミュレーションを参考に借入可能額の目安を見ていこう。

 たとえば、年収500万円で、借入期間を35年にした場合をシミュレーションすると、

  • ・民間の銀行の借入可能額(目安)は、4032万円(大手銀行を想定。銀行によって幅がある)
  • ・固定金利の「フラット35」の借入可能額(目安)は、4926万円

 このように試算される。フラット35の借り入れ可能額は、民間銀行よりも900万円近くも多いことが分かる。

 年収700万円なら、借入可能額も増え、民間の銀行で6351万円、フラット35なら6897万円になる。

 【図表3】借入可能額シミュレーション結果

※借入可能額は以下のように試算


【共通の条件】
借入期間35年、2020年6月現在の金利で試算

【フラット35】
金利1.29%、頭金10%以上
返済比率は、①年収400万円未満なら30%以下、②年収400万円以上なら35%以下

【民間の銀行】
審査金利3.50%
返済比率は、①年収400万円未満なら35%以下、②年収700万円未満なら40%以下、③年収700万円以上なら45%以下

 シミュレーションから分かるとおり、年収と金利によって借入可能額がおおよそ把握できる。

年収倍率の目安は最大どれくらい? 

 借入可能額を年収で割った「年収倍率」(年収に対する借入可能額の倍率)をみると、現在の金利水準では、以下のようになる。

  • ・民間の銀行の年収倍率は、最大7〜9倍
  • ・フラット35の年収倍率は、最大10倍弱

 民間銀行の借入可能額や年収倍率がフラット35より低くなっているのは、フラット35に比べて保守的に審査しているためだ。銀行の住宅ローンの審査基準は、「年収」や「返済比率」のほか、「属性」が大きいといわれる。職業による収入の安定性とともに、過去のクレジットローンなどの借入実績なども踏まえて評価している。

 なお、借入可能額、年収倍率は、金利が低いほど大きくなる。過去最低金利といわれる現在の金利水準で、借入可能額は大きく膨らんでいる

【参考記事はこちら】>>アルバイトや年収200万円未満でも、住宅ローンは借りられる? 年収が低くても借りられる銀行、商品を紹介!

実際に住宅ローンを組んだ人の借入額と年収倍率は? 

 では、実際に購入する不動産の価格(所要資金)の目安を見ておこう。2018年度の全国平均データだ。なお、不動産の価格(所要資金)とは、申し込み時の建設費と土地取得費の合計をいう。

不動産価格の平均は?

 では、実際に購入する不動産の価格(所要資金)の目安を見ておこう。図表4、2018年度の全国平均データによると、

  • ・新築マンション:4437万円
  • ・土地付注文住宅:4113万円
  • ・建売住宅:3442万円
  • ・注文住宅:3395万円
  • ・中古マンション:2983万円
  • ・中古戸建:2473万円

 となっており、建物の種類によって価格が違うことが分かる。なお、全ての融資区分において、前年(2017)度より所要資金が上昇している(図表4)。

 【図表4】不動産価格の推移(融資区分別・全国)

所要資金
出典:住宅金融支援機構の「2018年度 フラット35利用者調査」から

 調査は全国平均なので、実際の価格は、大都市ではこれよりも高くなり、地方は安くなると見ていいだろう。

 また、過去10年間での不動産価格が上昇していることも分かる。特に新築マンションでは、20%以上も上昇している。一方で、建売住宅、中古戸建については、ほぼ横ばいとなっている。この10年間の都市回帰の傾向により大都市の中心部ほど値上がりしているためだ。

年収倍率の平均は? 

 新築マンションを中心とした不動産価格の上昇により、年収倍率も大きく上昇している。図表5、2018年度の全国平均データによると、実際の年収倍率は、

  • ・土地付注文住宅:7.2倍
    ・新築マンション:6.9倍
  • ・建売住宅:6.7倍
  • ・注文住宅:6.5倍
  • ・中古マンション:5.7倍
  • ・中古戸建:5.3倍

 となっており、低金利になったことで、実質負担額は多少やわらいでいるとはいうものの、年収倍率は2008年〜2018年までの10年間で、軒並み上昇していることが分かる。

 【図表5】年収倍率の推移(融資区分別・全国)

住宅ローンの目安「年収倍率の平均(融資区分別・全国)」
出典:住宅金融支援機構の2018年度 フラット35利用者調査」から

余裕を持った返済額の目安とは?

 冒頭で「返済が滞ればマイホームを手放すことになる。そのため、余裕を持った返済計画を立てなければならない」とお伝えしたが、ここで気になるのが、余裕を持って返済できる目安はどのくらいか? ということだろう。

 前出の「2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」から、最も多い「返済負担率(=年間返済額を年収で割った比率)」を見ると、15%超〜20%以内となっている(図表6)。

 次に多い返済負担率は、20%超〜25%以内、10%超〜15%以内となっている。調査結果から見れば、25%以下の返済負担率にしているケースが多い結果となった。

 【図表6】金利タイプ別の返済負担率

住宅ローンのゆとりある返済額の目安
出典:「2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」(2019年6月28日、住宅金融支援機構)から

年間返済額、返済負担率の目安は? 

 次に、住宅ローンを組んでいる世帯の「年間返済額」と「返済負担率」に関するデータを見てみると、

  • ・分譲マンション:131.6 万円/年(返済負担率 18.2%)
  • ・注文住宅:123.2万円/年(返済負担率 18.4%)
  • ・分譲戸建住宅:121.6万円/年(返済負担率 20.0%)
  • ・中古戸建住宅:104.9万円/年(返済負担率 15.2%)

 このように、返済負担率は15%〜20%が平均ということが分かる(注文住宅の調査地域は全国、その他の住宅は三大都市圏での調査)。

 【図表7】住宅ローンの年間返済額と返済負担率

住宅ローンの年間返済額と返済負担率
出典:「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」(令和2年3月、国土交通省 住宅局)から

 なお、フラット35は、以下の総返済負担率の基準を公表している。

・年収400万円未満なら30%以下
・年収400万円以上なら35%以下

 このような基準としているが、枠ギリギリまで借りるのはリスクがある。そのため、年間返済額と返済負担率のデータも参考にした上で、返済負担率は25%以下にするのが、余裕を持った住宅ローンの借入額の目安になりそうだ。たとえば、

年収500万円(税込)なら、年間の住宅ローン返済額は(返済比率25%の)125万円月々約10万4000円
年収800万円(税込)なら、年間返済額は200万円までに抑え、月々約17万円

 という計算になる。これが多くの人が選択している常識的な返済額であり、余裕を持った返済額の目安といえそうだ。

住宅ローンの借入期間は30年以上が多い

 住宅ローンの借入期間の目安はどうなっているのか。図表8を見てみると、実際に住宅ローンを利用している人たち(特に注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンションを取得している世帯)は、30年以上の借入期間となっている。住宅ローンの借入期間は最長35年ということを考えると、大半の人が35年で借りていることが分かる。

 【図表8】住宅ローンの返済期間

住宅ローンの返済期間の目安
出典:「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」(令和2年3月、国土交通省 住宅局)から
※1 住宅建築における借入金の返済期間 ※2 土地購入における借入金の返済期間

 ただし、注意したいのが、サラリーマンの場合は定年があることだ。たとえば、30歳で住宅ローンを組んで35年ローンとした場合、完済できるのは65歳。60歳で定年を迎えた場合、それ以降の支払いが大変になることは明らかだ。そのため、年金生活者となる頃には、住宅ローンは完済しておきたい。繰り上げ返済で早めの完済を心がけることが必要だろう。

 ただし、実際の契約においては、借入期間を契約上の上限である35年と設定する人が多い。長期にわたる返済期間の途中で、病気をしたり、収入が大きく変動することもあるだけに、「なるべく毎月の支払額は抑えておく」という考え方があるからだ。

【関連記事はこちら】>>住宅ローンの「借り入れ可能額」の決め方とは? 審査の専門家が、銀行内部の計算法を公開 年収別に、本当に借りられる額を試算してみた!

頭金の用意は、26%〜44%と意外に高い

 なお、住宅ローンの借入額を抑えるためには、できるだけ頭金(自己資金)を多く用意しておくことも大切だ。

 「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」によれば、図表9のように、自己資金比率が分譲戸建住宅では26.5%、分譲マンションでは39.4%になっている。中古戸建住宅と中古マンションの取得世帯で、それぞれ39.1%と43.5%になっており、自己資金が意外にも多いことが分かる。

 「頭金は住宅価格の20%」といわれるが、実態は26%〜44%がもっと多いというわけである。

 【図表9】借入金に対する頭金(自己資金)の比率

住宅ローンの目安「借入金に対する頭金(自己資金)の比率」
出典:「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」(令和2年3月、国土交通省 住宅局)から
※1 土地を購入した新築世帯 ※2 建て替え世帯

まとめ〜住宅ローンの借り入れ目安を知り、余裕ある返済計画を

 以上が、住宅ローンの借り入れにおける最新の年収、借入額、借入可能額、年収倍率、返済比率、頭金の目安だ。

 過去最低という低金利の中で、不動産価格の年収倍率は年々上がっており、大都市中心部の新築マンションはサラリーマンでは手が届きにくい価格になってきている。一方で、戸建てについては、それほど価格は上がっていない。

 また、返済比率(年間返済額÷年収×100)を見ると、15〜20%という常識的な範囲で借りている人が多く、続いて20%〜25%になっている。余裕を持った返済を考えるのであれば、返済比率25%以下が目安となるだろう。

 住宅ローンの借り入れを検討している人は、これらの目安を参考に返済計画を立ててみてほしい。

【関連記事はこちら】>>住宅ローンの「借り入れ金額」「借り入れ期間」「金利タイプ」はどう決めるべきか、住宅ローンのプロが計算方法を解説!

 

 
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