総返済額が150万円近く少なくなる!
フラット35の金利引下げ対象が拡大されている

2021年12月14日公開(2022年11月29日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

フラット35といえば、全期間固定金利型で、借入時に完済までの金利が確定しているので安心感のある住宅金融支援機構と民間提携の住宅ローンだ。金利は変動金利型などに比べると若干高いのだが、各種の金利引下げ制度を利用すれば、負担は大幅に軽減される。その金利引下げ制度の対象が、2021年10月から拡大されているので、有効に活用したいところだ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

フラット35の金利引下げ制度とは?

 フラット35には、以下のような金利引下げ制度がある。

①フラット35S(金利▲0.25%、5年または10年間)

 長期優良住宅など質の高い住宅を取得するときに利用でき、技術水準の高い住宅に適用されるフラット35Sの金利Aプランは、当初10年間の金利が0.25%引下げられる。やや技術水準が低い住宅に適用される金利Bプランは0.25%の金利引下げ期間が5年間になる。

②フラット35地域連携型(金利▲0.25%、5年間)

 子育て世帯や地方移住者などに対する積極的な取組みを行う地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して実施されている金利引下げ制度。住宅取得に対する地方公共団体による補助金交付などの支援策とあわせて、フラット35の金利が当初5年間、0.25%引き下げられるのでダブルメリットになる。

③フラット35リノベ(金利▲0.50%、5年または10年間)

 中古住宅を買って一定条件を満たすリフォームを行う場合、またはあらかじめリフォームされた中古住宅を事業者から取得する場合に利用できる。金利引下げ幅は0.50%で、金利引下げ期間が10年間の金利Aプランと、5年間の金利Bプランがある。

2021年10月から地域連携型の対象が拡大

 2021年10月から金利引下げ対象が拡大されたのは、「②フラット35地域連携型」だ。従来は、以下の5つのタイプだった。

フラット35地域連携型のホームページ
フラット35地域連携型のホームページ

・子育て世帯が住宅を取得する場合
・空き家を取得する場合
・UIJターンを契機として住宅を取得する場合
・防災・減災対策に資する住宅を取得する場合
・居住誘導区域外から居住誘導区域内に移住する際に住宅を取得する場合

 2021年10月からは、以下が追加された。

・街なみ景観の形成に資する住宅を取得する場合
・地域木材を使用した住宅を取得する場合

 具体的には、図表1にある地方公共団体が対象になる。

図表1 フラット35地域連携型に追加された事業

1 地域木材使用

地方公共団体名 補助事業名・事業概要
岩手県 いわて木づかい住宅普及促進事業
山形県 やまがたの家需要創出事業(住宅新築支援分)
栃木県 とちぎ材の家づくり支援事業費補助金
鹿沼市 鹿沼産木材による住宅新築等報奨金
新潟県 新潟県産材の家づくり支援事業
糸魚川市 いといがわ木の香る家・店づくり促進事業
佐渡市 佐渡産材利用促進事業
長野県 信州健康エコ住宅助成金

2 景観形成

地方公共団体名 補助事業名・事業概要
飛騨市 飛騨市景観形成地区建築物等助成金

(資料:住宅金融支援機構ホームページ

長野県では最高100万円の助成金が出る

 まず、地域木材使用に関する対象地区は長野県を初めとする5県と3市となっている。

 たとえば、長野県が実施している「信州健康エコ住宅助成金」制度は、高い住宅性能を有し、県産木材を使用した住宅を新築する場合、50万円~100万円の助成金が給付される。

 長野県では、「断熱性能を高めることで、冬温かく夏涼しいだけではなく、ヒートショックが予防され健康に、また光熱費が少ないエコな暮らしになります。信州の木の香る、あたたかく快適な住まいで、健康・エコに暮らしましょう!」と推奨している。

 毎年予算を組んで実行されており、22年度工事完了分については、21年11月1日から募集が開始されており、22年3月15日で閉め切られる予定。ただし、予算に到達しだい、閉め切られることもあるので、早めに申し込むのが得策だ。

 この助成金とは別に、住宅金融支援機構のフラット35の金利引下げ制度を利用することができるから、まさにダブルメリットになる。

景観を維持する新築やリフォームに助成金

 一方、景観形成は21年10月現在、飛騨市が手を挙げている。

 岐阜県の飛騨地方では、高山市が江戸時代以来の古い街並みを残していることで知られるが、実はその隣の飛騨市古川町にも白壁の土蔵街があり、観光名所になっている。白壁の脇を流れる瀬戸川には、約1000匹の鯉が泳ぎ、由緒ある名刹も点在する。

 また、同じ飛騨市の神岡町には鉱山があり、採掘時に発見された温泉を中心に町が形成されて賑わった。近年では、鉱山跡地にニュートリノを観測するための「カミオカンデ」が設置されて注目度が高まっている。 

 対象となるのは、古川町歴史的景観地区、神岡町自然景観融和地区において、景観建築物の新築、改築などを行う場合。板壁、出窓、出格子などについて、飛騨市が定める項目・種別・単価に応じて補助基本額の4分の1以内、40万円を限度に助成金が出ることになっている。もちろん、それと同時にフラット35の金利引下げ制度を利用できるわけだ。

フラット35Sとの併用で0.50%の引下げ

 この「フラット35地域連携型」の金利引下げ幅は0.25%、5年間だが、実は、「フラット35S」の金利引下げと併用できることになっている。

 図表2にあるように、「フラット35S」の金利Aプランと「フラット35地域連携型」を組み合わせると、当初5年間の金利引下げは0.25%+0.25%の0.50%になり、6年目からは「フラット35地域連携型」の金利引下げはなくなるものの、「フラット35S」の金利引下げ0.25%が続き、11年目から金利引下げがなくなって、通常の金利に戻ることになる。

 これが「フラット35S」の金利Bプランとの組合せだと、当初5年間金利が0.50%の引下げで、6年目からは金利引下げなくなって、通常の金利に戻ることになる。

図表2 フラット35の金利引下げ概要

商品名 金利引下げ期間 金利引下げ幅
フラット35S金利Aプラン 当初10年間 0.25%
フラット35S金利Bプラン 当初5年間 0.25%
フラット35S金利Aプラン+フラット35地域連携型 当初5年間 0.50%
6年~10年目 0.25%
フラット35S金利Bプラン+フラット35地域連携型 当初5年間 0.50%

(資料:住宅金融支援機構ホームページより著者作成)

35年間の総返済額が150万円近く軽減される

 では、この金利引下げ制度、どの程度の負担軽減効果があるのだろうか。借入額4000万円、35年元利均等返済・ボーナス返済なしの場合の試算結果が図表3だ。

図表3 フラット35の金利引下げ効果

設定条件:借入額4000万円、35年元利均等返済・ボーナス返済なし

商品名 当初5年間 6年目~10年目 11年目以降 総返済額
①通常のフラット35 1.33% 1.33% 1.33% 5005万円
月11.9万円 月11.9万円 月11.9万円
②フラット35S
(金利Aプラン)
1.08% 1.08% 1.33% 4908万円(96万円少ない)
月11.4万円 月11.4万円 月11.8万円
③フラット35S
(金利Aプラン)
+フラット35地域連携型)
0.83% 1.08% 1.33% 4857万円(147万円少ない)
月11.0万円 月11.4万円 月11.7万円

(著者による試算)

 まず、借入額4000万円で金利引下げのない①通常のフラット35を利用した場合、21年11月で最も多くの金融機関が採用している最低・最頻金利の1.33%で借り入れると、毎月の返済額は11万9170円。これが35年間変わらないので、35年間の総返済額は約5005万円になる。

 これに対して、②「フラット35S」の金利Aタイプだけが適用される場合には、当初10年間の金利が1.08%に下がり、毎月返済額は5000円近く減少、総返済額は約4909万円で、通常のフラット35に比べて、96万円少なくなる。

 さらに、③「フラット35S」の金利Aタイプに、「フラット35地域連携型」を併用すると、当初の毎月返済額は1万円近く減って、35年間の総返済額は約147万円の軽減になる。

 これに合わせて、地方公共団体の助成金などを受け取ることができるのだから、たいへん魅力のある制度ではないだろうか。

今後は対象エリアが拡大される可能性もある

 これだけ負担が軽減されるのだから、せっかく対象が拡大したいま、この制度を利用しない手はない。

 2021年10月現在、この制度を利用できるエリアはまだまだ少ないが、今後は各地で実施される可能性がある。住宅金融支援機構の制度は1月、4月、10月に改訂されることが多いので、ホームページなどで定期的にチェックしておくのがいいだろう。

 あなたの住む街、住みたい街も対象になるかもしれない。

【関連記事はこちら】>>フラット35の住宅ローン金利ランキング! メリット、手数料、おすすめの主要銀行を紹介

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