住宅ローンシミュレーションは返済額や借入可能額などを試算できる便利なツールです。金融機関や住宅ローン比較サイトなどがシミュレーション(試算)できるページを設けていますが、どれが使いやすいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。そこで、現役の銀行員が実際に住宅ローンシミュレーションを利用し、使いやすさなどを比較しました。ぜひ参考にしてください。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員)
住宅ローンシミュレーションとは

2024年に「金利がある世界」に突入し、住宅ローン金利の上昇が始まっています。これから住宅ローンを借りる方も、すでに返済中の方も、金利によりローン返済額がどのように変わっていくのか気になるところでしょう。
こうした状況では、自分の条件に合わせた返済額などを試算できる住宅ローンシミュレーションの利用が便利です。
住宅ローンシミュレーションでわかること
住宅ローンシミュレーションを利用すると、以下のような住宅ローン検討に必要なさまざまな情報を得ることができます。
返済額:毎月の返済額、ボーナス月の増額はあるのか、1年間でいくら住宅ローンを払うのか
金利変動:金利が上がると、返済額はいくら増えるのか
総返済額:このまま最終回まで返済すると、住宅ローンを総額いくら支払う必要があるのか
利息総額:総返済額の中で、どれだけ利息を払うことになるのか
借り換え:返済中の住宅ローンを借り換えると、返済額はどれくらい少なくなるのか
住宅ローンシミュレーションは、「何が知りたいのか」「変化があるとどうなるのか」など、知りたいことに合わせて利用することができます。
住宅ローンシミュレーションの種類
具体的にどのようなシミュレーションがあるのか、代表的なものを紹介していきます。
①返済額のシミュレーション:借入額から毎回の返済額を調べる
ローンの返済額を知りたい人向けで、これが一般的に「住宅ローンシミュレーション」と呼ばれるものです。
例:3000万円を30年返済、ボーナス増額なし、金利0.5%で借りたときの毎月の返済額は?
→結果:毎回返済額は89,756円
②借入可能額のシミュレーションA:毎回の返済額から借入可能額を調べる
家計や毎月の支払い額が気になる人向けで、自分が指定した毎月、ボーナス月の返済額から逆算して、借入可能額を計算するシミュレーションです。
→結果:毎月返済29,978円、ボーナス時増額99,905円(ボーナス月の支払計12万9,883円)、1年間の返済計55万9,546円
③借入可能額のシミュレーションB:年収から借入可能額を調べる
年収と住宅ローンの関係や返済比率を重視する人向けで、自分の年収ならいくらまで住宅ローンを借りることができるのかを試算するシミュレーションです。
→結果:借入可能額は3,760万円
>>住宅ローン借入可能額シミュレーション(年収から計算)はこちら
ほかにも、途中で繰り上げ返済するとローン返済回数がどのくらい縮まるのかという、繰り上げ返済シミュレーションなどがあります。
住宅ローンシミュレーションに必要な情報は?
住宅ローンシミュレーションを利用するには、以下の情報が必要になります。
・金利(固定金利、変動金利かなど)
・返済期間(年数)
・返済方法(元利均等返済、元金均等返済など)
これらの情報をサイト上のシミュレーション欄に入力することで、結果を得ることができます。原則として個人情報は不要です。
住宅ローンシミュレーション利用時の注意点とは
ここまで紹介してきた住宅ローンシミュレーションの利用には、注意点があります。それは、氏名や年収などの個人情報を入力するシミュレーションは、そのまま進めていくとローン相談につながる可能性があるということです。
IDの作成を求めてくるものも同じです。こうしたケースでは、銀行からセールスの電話やメールが来ることがあります。そのため、ここでは金融機関のホームページなどの紹介はしていません。
なお参考として、日銀のマネーサイト「知るぽると」のシミュレーションは個人情報入力などは不要なので安心して利用できます(筆者自身、執筆でシミュレーションが必要なときに利用しています)。
住宅ローンシミュレーションの使いやすさを銀行員が比較
銀行員は顧客のニーズに合わせたさまざまなシミュレーションを作成するため、それぞれ銀行独自の専用ソフトを開発しています。とはいえ、基本はネット上で公開されているものと同じです。
そこで、シミュレーションを作成している銀行員の目で、いくつかのサイトの住宅ローンシミュレーションを比較してみました。
なお、評価はあくまで筆者の個人的見解です。また、サイトの名称は伏せていますが、あくまでも実際に利用するユーザー目線で試算を行いました。
総合評価 | 見やすさ | 入力のしやすさ | 使いやすい点 | 使いにくい点 | |
比較サイトA | ★☆☆ 操作させられているというストレスを感じる |
★★★ 数字が大きく、全体的に見やすい |
★★★ 入力項目が少ないので負担感は少ない |
★★☆ 毎月返済額、総返済額と最低限の情報だけを知ることができる |
★☆☆ 入力前から金利や返済年数の数値が入っているので、自由度が低いと感じる |
比較サイトB | ★★☆ おすすめの銀行がいくつか出てくるが、順位がわかりにくい |
★★☆ 1項目入力するごとに次の項目に進むため全体を把握しにくい |
★★★ 項目ごとに進むので操作感は良好 |
★★☆ 金利種類から団体信用生命保険、銀行種別など細かく入力できる |
★★☆ ざっくりと知りたい人にとっては、入力が必要な項目が多すぎる |
住宅ローンA | ★☆☆ 銀行ローンは試算の対象外なので向かない人が多い |
★☆☆ 小さい文字や数値が数多く並び、やや見にくい |
★★☆ 入力したあと自分でスクロールしないと進めない |
★☆☆ 最近の金利は?などの説明コラムのリンクがあって親切な設計 |
★☆☆ 結果として返済額がわかるだけで、それ以外の情報がない |
メガバンクA | ★★☆ 条件を保存するボタンなど、個人を特定されないか心配になる |
★★★ ポイントとなる文字が赤くなるなど見やすい |
★★★ 少ない入力項目で、結果画面も自動スクロールなので操作がラク |
★★☆ 結果の下に「詳細な内容」があり、見たい人はクリック、不要ならスルーできる |
★☆☆ 「ミックス借り入れ」など専門用語が出てくるので初心者には不親切 |
メガバンクB | ★★☆ ポップアップ広告や申込みボタンなどがあり見にくい |
★★★ シンプルな画面だが文字や数値は大きく見やすい |
★★★ 少ない入力項目で、結果画面も自動スクロールなので操作がラク |
★★☆ プランを選べば金利は自動入力など親切な設計 |
★☆☆ シミュレーション結果のすぐ下に申込みボタンが密接している |
地方銀行A | ★☆☆ 結果を見ても何を伝えたいのかよくわからない |
★☆☆ 操作項目より説明や注釈のほうが多いと感じる |
★☆☆ 入力箇所がわかりにくく操作感が良くない |
★★☆ 結果の印刷ボタンがある |
★☆☆ 結果で何が書かれているのか意味が分かりにくい |
入力フォームの見やすさ
スマートフォンなどの画面上で結果を求めるシミュレーションでは、第一印象で「見にくい」と感じてしまうと、その後の操作もスムーズに進みません。そういった意味で、文字の大きさやポイントを強調してくれているなどの見やすさの点で、比較サイトAとメガバンクA・Bのシミュレーションを高評価としました。
入力のしやすさ
文字や数値を入力したり、入力後に画面スクロールなどの操作が必要だったりすると面倒だと感じます。クリックだけで試算できたり、入力すると自動で次に進む比較サイトA・B、メガバンクA・Bのシミュレーションは、操作が容易でサクサク進めることができました。
使いやすい点
使いやすさについてはそれぞれが工夫していると感じられたのですが、やはり住んでいる地域が選べたり、頭金の項目があるなど「リアル」を感じられるシミュレーションのほうが、顧客にローンの提案をする銀行員から見ても使いやすいと感じます。その点で、満点をつけられるシミュレーションはありませんでした。
使いにくい点
比較したシミュレーションはそれぞれに特長や良いところがあり、使いにくいサイトはありません。あえて難点を探したというのが実際のところです。したがって、使い勝手は人それぞれだと思いますので、どれもおすすめできるシミュレーションです。
総合評価
シミュレーションは、その名の通り知りたいことをシミュレーションしてつかむのが目的だと考えます。そのため、突き詰めると「みんなが知りたいこと」を的確にとらえているシミュレーションが良いものだという銀行員の視点で、比較サイトB、メガバンクBを評価しました。
ダイヤモンド不動産研究所の住宅ローンシミュレーションの特徴
では、ダイヤモンド不動産研究所の住宅ローンシミュレーションの使いやすさはどうでしょうか。
実際に利用して便利だと感じた点を3つ紹介します。
①諸費用込みの実質金利がわかる
返済シミュレーションでは諸経費込みの実質金利でおすすめを比較してくれるので、目先の金利(表面金利)だけでなく、リアルにどの銀行の住宅ローンが良いのかがつかみやすいと感じました。
②金利上昇シナリオが的確
5年後には1.5%金利が上昇する仮定で、金利上昇シナリオの水準が甘すぎず、厳しすぎず最適で、現実味が強いです。
③自分の住んでいる(住みたい)エリアが選べる
シミュレーションで、関東や北海道などエリアを選ぶことができて、地方銀行も含めておすすめを知ることができるのも便利です。
上記の特徴から、操作しやすく、大多数が一番知りたいことを適切に算出してくれている点が評価できます。
一方で、返済期間が最長35年までしかない(50年まで計算可能なサイトもある)点はデメリットといえます。
まとめ
今回は、住宅ローンシミュレーションの使い勝手などを解説してきました。
筆者はダイヤモンド不動産研究所に記事を寄稿していますが、読者に役立つ情報だけを提供したいと常々考えています。
そうした立場から、銀行員としてダイヤモンド不動産研究所のシミュレーションも使いやすいと感じたので、おすすめできます。
借り入れ可能額や返済額などを知りたいという人は、利用してみるといいでしょう。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
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淡河範明さん
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